国会議員を決めるのはメディア世論調査ではなく投票だ
メディアは「立憲民主党苦戦」を予想するが…
選挙の序盤情勢が出てきています。今のところはどうも自民党に有利であるのに加え、立憲民主党の苦戦が予想されているようです。ただし、昨年10月の衆院選では、「立憲民主党が躍進する」といった多くのメディアの報道と異なり、実際には立憲民主党が13議席減らす敗北となったという事例もあります。メディアの報道に関わらず、私たち有権者は選挙で必ず投票するように努めたいものです。
序盤選挙情勢
今回の参院選に関しても、著者自身が確認しただけで、たとえば大手全国紙が次のような具合に、選挙情勢に関する世論調査を行い内容を公表しています。
参院選比例の投票先、自民36%・維新10%・立民8%…読売世論調査
―――2022/06/23 22:39付 読売新聞オンラインより
32の1人区、自民25選挙区で優勢・やや優勢 朝日序盤情勢調査
―――2022年6月23日 22時31分付 朝日新聞デジタル日本語版より
自公、改選過半数の勢い 野党、1人区ふるわず 序盤情勢、朝日新聞社調査 参院選
―――2022年6月24日 5時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
参議院選挙、自公が改選過半数の勢い 立民は伸び悩み
―――2022年6月24日 5:00付 日本経済新聞電子版より
参院選序盤情勢 与党、改選過半数の勢い 改憲勢力3分の2も
―――2022/6/23 22:14付 産経ニュースより
どのメディアの調査を見ても、基本的には「最大野党」であるはずの立憲民主党が振るわず、その一方で自民党が選挙戦を有利に進めている、といった論調です。
これらを盲信してもよいものか
ただ、昨年10月に行われた衆院選では、メディアが実施する世論調査では「立憲民主党が有利」、「立憲民主党は議席を大幅に増やす」、「場合によっては政権交代もあり得る」といった論調も見られましたが、ふたを開けてみれば立憲民主党が勢力を13議席減らす惨敗に終わりました。
このため、これらのメディアの報道については、現時点で鵜呑みに信頼するというのは、少し危険でもあります。
これに対し先日の『和田政宗議員、「岩盤支持層の離反で自民苦戦」を予想』では、自民党の和田政宗参議院議員が来月の参院通常選挙で自民党の苦戦を警戒している、とする話題を取り上げました。
和田氏によれば、安倍晋三・菅義偉政権のころであれば「必ず自民党に投票していた」であろう「20%の岩盤支持層」のうちの「10%弱」が、岸田文雄政権に代わって以降、「自民党支持をやめ」ており、これらの層は「参政党や新党くにもりに投票するか、投票に行かないという行動を取るとみられる」、というのです。
和田氏の主張する「20%の岩盤支持層」、「そのうちの10%弱」が具体的にどの数値を表しているのかについてはよくわかりませんが、結局、選挙戦はふたを開けてみなければわからないものなのでしょう。
公選法に違反していませんか?
ところで、これらの「選挙情勢分析」に関しては、厳密には公職選挙法の規定に抵触しているのではないか、といった疑念を、個人的には払拭することができません。実際、同法の第138条の3には「選挙に関し公職に就くべき者を予想する人気投票の経過や結果」については「公表してはならない」と明記されています。
公職選挙法第138条の3
何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。
ただ、不思議なことに、報道各社は選挙の公示日以降も、「序盤の情勢」、「中盤の情勢」、「終盤の情勢」といった具合に、世論調査を実施してその結果を公表しまくっているようにも見受けられます。先ほど列挙したメディアの調査など、どう考えても「人気投票の経過または結果」ではないでしょうか。
はたしてこれらの報道は公選法に違反しないものなのでしょうか。
個人的には選挙の公示日後にこの手の調査を実施して公表すること自体が選挙の公正性をゆがめているのではないか、といった疑念は払拭できないのですが、結論的にいえば、著者自身がこれまでに調べた限りにおいて、これらの新聞社、テレビ局、通信社などが公選法違反で摘発されたという事例は存じ上げません。
日本では実質的な「治外法権」状態となっている業界がいくつか存在する、というのが著者自身の見解なのですが、新聞、テレビなどを中心とするオールドメディア業界は、法律の規定を無視し、本当にやりたい放題ではないかと思うのです。
なんだか腑に落ちない状態ですね。
いずれにせよ、日本の国会議員を決めるのは新聞社でもテレビ局でもありません。私たち日本国民です。
当ウェブサイトの読者の皆さまがたにおかれましても、選挙ではくれぐれも棄権、白票といった行動をとることがないよう、心よりお願い申し上げたいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
世論調査が選挙の結果に影響するケースとしてよく「バンドワゴン効果」が挙げられます。首長選挙など一人を選ぶ選挙では、勝ち馬に乗る有権者が多いといわれる効果です。一方、議員などを選ぶ選挙ではバランス効果が発揮されたと思われるケースもあって、一つの政党にあまり勝たせるとロクなことをしない、と考える有権者が弱い政党の候補を選ぶようなこともあると言われます。本当のことは分かりませんが、世論調査が投票行動にある程度の影響を及ぼすことはありそうなので、確かに公示・告示後の調査、ましてマスコミが鉛筆をなめた数字は出さない方がいいような気がします。それと新宿会計士さんも指摘していますが、調査の母体の選び方、質問の仕方など疑問点もありますね。
第164回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 平成18年4月21日
○寺田(学)委員 選挙じゃない平時においては、かなり政策において、もっと言うと政党の好き嫌いというものがはっきり見えるような書き方を新聞、テレビの方でもされるんですけれども、事国民が判断をしなきゃいけない一番重要な局面において、もちろん公平性を保つことは大事でしょうけれども、急にトーンダウンして物すごく平たい一般論しか言わなくなってくるというのは、ある種、冒頭読ませていただいた大臣の民主主義のインフラという意味ではやや欠ける部分があるのではないかなという思いもあります。
放送法において政治的な公平性ということがうたわれている以上、情報量としての公平性を保ちながらも旗色としては結構鮮明に出してみるということも、これから放送と通信が融合化してメディアがかなり多様化する中では一つの考え得る余地ではないかなと。そういうときには、この放送法の規定ということに関してもやはり御一考いただきたい部分であるのではないかなと思っています。
そして、最後にもう一点だけなんですけれども、選挙報道におけるアナウンス効果ということもいろいろ議論を呼んでおります。
アナウンス効果と一言で言うと、告示日の途中で、どっちが勝ちそうだ、どっちが優勢だということをアナウンスする、報道が世論調査をとってそれを紙面か番組の中で発表して有権者に少なからず影響を与えるということが、いいことなのかどうなのかということが言われています。
九九年の東京都知事選挙において、森喜朗前首相が、この当時幹事長なんですけれども、事前調査に関して、毎日新聞とやられたみたいですけれども、公選法の改正を検討せざるを得ないぞということを強く言うぐらい、この事前世論調査というものに対してお怒りになられた。公選法を変えるぞと時の与党の幹事長の方が言われているのは非常に強いインパクトがあるんですが、このアナウンス効果に関して非常に強い懸念というか疑問を持たれていた証拠だと思うんですけれども、この告示中の事前世論調査を公表することについて、大臣自身はどのようにお考えになられますか。
○竹中国務大臣 委員の御指摘は、メディアの予測報道とか情勢がどうなっているという情勢報道によって選挙人の投票行動が影響を受ける、そういうのをアナウンス効果というふうに呼んでおられるわけだと思いますけれども、そういう御指摘、一般に、確かによく耳にするところでございますし、今の具体的な御指摘もあったわけでございますけれども、公職選挙法において認められた報道及び論評として公正になされたものである限り、その是非について我々としては言及する立場にはないというふうに思っております。
なお、公選法の百三十八条の三において、人気投票の結果の公表の禁止でありますけれども、新聞社等の行う世論調査については、これは名目が世論調査であっても、その調査方式が投票方式によるものであれば、その過程または結果を公表することはこの百三十八条の三の違反になるものというふうに解されているということでございます。一方で、調査員が被調査者に面接して調査した場合は、この人気投票には当たらないものと理解されているというふうに承知をしております。
こちらでは箸にも棒にもかからない調査とみなされがちなメディア世論調査ですが・・・
https://note.com/miraisyakai/n/nad00f5a60d25
第49回衆院選の時は、各紙の情勢調査は8割半程度。
未来社会プロジェクト代表の三春充希なる御仁が集約した情勢調査は9割程度の精度だったようです。
大手商業紙の立憲躍進予想が大きく外れたのは、「接戦区次第で結果が大きく動く選挙」であり、かつ「立憲が接戦区に注力できてない」つまり、立憲が非効率な選挙戦を展開したことも要因の一つではないか、と思いました。
逆に言えば、立憲が限りあるマンパワーを効率よく配分できていれば、大手商業紙の予想に幾分かは近づいたかもしれません。
自民党はその辺が上手だったのかもしれませんね。
いずれにしろ、メディア世論調査は一つの指標にすぎないとは思いますが、メディアが都合よくはじき出したものだ、と決めつけるのもいかがなものかとも思います。
匿名様に返信した匿名です。(ややこしい)
単独で送信するつもりが間違えて返信してしまいました。
やりとりがかみ合ってないことはご了承ください。
ご指摘のとおり、公示日後の世論調査報道(アンケート調査≒人気投票の公表)は公職選挙法違反と思います。もう50年ほど前のことと記憶していますが、当時の朝日新聞の読者投書欄にこの疑問が掲載されたことがあります。回答をはっきり覚えていませんが、個人がやってはいけないが新聞には公共性があるから許されるのだ、みたいな回答でした。
貴重な記憶のご紹介
ありがとうございます。
保護すべき珊瑚も
朝日の記事のためなら
傷つけても構わない?
とまでの事件などなど
にも通じるように感じられる
今も昔も変わらない
朝日新聞さんの姿勢が
見て取れて興味深いです。
素朴な感想ですけど、前回の選挙予想で大失敗をしたメディアとしては、今度の選挙こそ、自分たちの事前予測にそった議席数になることを願っているのではないでしょうか。
すみません。追加です。
今回の選挙結果ですけど、投票日直前の食品物価の肌感覚もそうですが、ロシア軍がウクライナで大量破壊兵器を使用するかで、違ってくるのではないでしょうか。
失礼します。当ブログ主様から選挙でぜひお聞きしたいことがあります。
最近NHK党が話題になっておりますが、今回の参議院選挙でどうなると予測しますでしょうか
正直私は、芸能人の過去の出来事を何回もせめて精神的に追い詰めようとする某暴露youtuberを擁立し、そしてそれを推奨する政党に嫌悪感を抱いてすらいます。
今回当選してほしくないのですが、当選する可能性があると聞きブログ主様としてはどのように結果を見ているかぜひ取り上げて欲しいです。
よろしくお願い致します。
選挙が気になるマン 様。
ぜひともあなたに読んでほしい記事があります。
https://note.com/saman2020/n/n2a917e7417a2
記事中にもありましたが、熱狂的支持者や炎上商法を楽しんでいる人には、こちらの言葉がほとんど通じません。
私たちが声を届けるべきは、詳しく知らないがなんとなくNHK党に投票しようとしている人々です。
固定電話にかかってきた世論調査、1度だけ最後まで聞いたら5分強かかった。
あんなものに一々答えてる人ってどんな人なんだろう。
そういう人たちの回答を集計した結果も偏ってるんだろう。
携帯にはかけていないようだけど、今の若い人固定電話持ってない人が多いと思うよ。
このあたりが選挙予想はずす原因じゃない?
世論調査の結果といっしょに、かけた電話10万、うちつながったもの4万、うちガチャ切り3万8千、途中で切ったもの1500、最後まで回答したもの500とか言えばいいのに。
今度外したらメディアがやる世論調査は誰にも相手にされなくなる。
マスコミが政府批判で野党をサポートしないのは、今政府を批判すると批判票が立民とかには行かずに維新とかに流れるからですかね?前回で懲りたのかな?
公示日以降のメディアの調査や情勢分析は「選挙結果を予想する人気投票の経過又は結果」ではなく、(どこかの国の新聞みたいに)メディア自身の希望に沿った妄想を実現すべくメディアが数字を作り出したものなので、公職選挙法には抵触しないと考えられます。きっと関係者は「それに騙されるアンタが悪い」と内心舌を出していると思います。
メディア各社とも調査結果の生値でなく調整係数を掛けている節があるので、あながち間違いではないかと。
マスメディアが世論の代弁者では無くなったという事でしょう。
序盤の情勢判断で優勢だとその後緩むことが多いのでちょっと心配していたのですが。各社表現が抑えめな感じがします。
どこかの国みたいに蓋を開けてみたら全然違うと言うこともないので、選挙の情勢判断に限っては結構信頼しています。数字の積み重ねが当確を打つ時の根拠にもなってますね。
今回は与党の地滑り的大勝の状況に見えます。もちろんこれからの変動もあるのですが、そもそも野党統一候補も不発でしたし(それぞれの政党のマイナスイメージをうやむやにしてくれる野党統一候補は最強の野党の戦術)、立憲なんかは1候補に絞れば取れる選挙区で2候補出したりとか統制が全くとれてなく、戦う状況になっていません。
この状況で朝日あたりが「大勝」情勢判断を出して邪魔をしてくると思ったのですが…
(多分終盤分析ではやってくるはず)