韓国外相「韓日とも過去の問題は包括的解決で努力を」
朴振(ぼく・しん)韓国外交部長官は中央日報のインタビューに対し、「韓日の過去の問題は包括的に解決を図るべき」と述べたそうです。ただ、ここで気付くのは、韓国のメディアや政治家が、日韓諸懸案を「過去の問題」「歴史問題」などと勘違いしている、という点です。日韓諸懸案は「歴史問題」ではありません。「韓国の約束破りの問題」です。
2022/06/13 16:30追記
本文中に誤植がありましたので修正しております。また、読者コメントが消えてしまったのですが、これについては原因を調査中であり、復活できるものについては復帰措置を講じたいと思います。
現在の問題を過去の問題と勘違いする韓国
先日の『日韓ともに「相手に譲歩してはならない」が多数=調査』などでも少し取り上げたとおり最近の個人的な発見事項のひとつは、「韓国は日韓諸懸案を巡り歴史問題と勘違いしているのではないか」、という仮説です。
というのも、韓国の政治家やメディアは、日韓のさまざまな諸懸案について言及するときに、「歴史問題」とひとくくりにすることが多いように見受けられるからです。
『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』などを含め、当ウェブサイトではこれまでに何度となく、繰り返し指摘してきたとおり、日韓諸懸案の本質は、「韓国の日本に対する一方的な加害行為」です。
当ウェブサイトにおいて「二重の不法行為」と呼ぶ理由は、「①韓国が主張する内容がたいていの場合、ウソ、捏造、でっち上げのたぐいのものである」、「②韓国が日本に対して要求する内容が違法なもの(国際法違反、国際合意違反、国際条約違反など)である」、というふたつの特徴にあります。
【参考】日韓諸懸案巡る韓国の「二重の不法行為」とは?
- ①韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
- ②韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」などには、多くの場合、法的根拠がなく、何らかの国際法違反・条約違反・約束違反を伴っている
(【出所】著者作成)
韓国が日本に対して仕掛けている不法行為は、たいていの場合、この①、②の少なくとも片方の特徴が含まれていますし、自称元徴用工問題のように、両方の特徴が含まれている懸案も数多くあります。
つまり、これらについては基本的に「ウソに基づく約束破り」という「現在進行形の問題」であって、決して「歴史問題」ではありえないのですが、この点の基本認識を欠いた状態で「日韓が歴史問題をどう解決すれば良いですか」、などと問いかけたところで、日韓諸懸案が解決するというものでもないでしょう。
朴振外交部長官のお粗末な認識
こうした認識の齟齬を代弁するのが、こんな記事ではないでしょうか。
<インタビュー>韓国外交長官「韓日の懸案解決、包括的に」(1)
―――2022.06.13 09:52付 中央日報日本語版より
<インタビュー>韓国外交長官「韓日の懸案解決、包括的に」(2)
―――2022.06.13 09:56付 中央日報日本語版より
これは、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日掲載されたもので、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官(外相に相当)に対するインタビュー記事です。この記事自体「タイトル詐欺」のようなものであり、「韓日諸懸案の包括的解決」に絡む記述は、記事の最後にある、この2つのやり取りの部分に限られています。
「――韓日間の過去の問題の解決の原則は。/過去の問題は国民が納得できるレベルで解決案を見いださなければいけない。日本は日本企業の国内資産現金化を憂慮しているが、外交的解決案の摸索のために努力している。日本も過去を直視するなど共に誠意を見せなければいけない」
「――輸出規制、福島汚染水の放出など、その他の懸案も多い。/すべての懸案を協議するものの、先に解決できる問題から着実に接近する包括的な解決が望ましいとみる」
ただ、この短い記述だけでも、韓国メディアや韓国の政治家が、日韓諸懸案を「過去の問題」だ、「歴史問題」だのと勘違いしていることがよくわかるのではないでしょうか。
たとえば自称元徴用工問題自体、その本質は韓国の歴史捏造に加え、「韓国の日本に対する国際条約破り」という問題ですが、自分たちの側がそうした問題を起こしている側だという認識がないからこそ、「日本も過去を直視するなどともに誠意を見せなければならない」、などとするトンチンカンな発言につながっているのです。
それに「包括的解決」というのも、じつに乱雑でお粗末な認識です。くどいようですが、自称元徴用工問題に関しては「ともに解決を模索すべき問題」ではありません。日韓諸懸案それぞれについて、「韓国が問題に誠実に向き合い、国際法を守る」以外に解決策はないからです。
また、輸出「規制」、福島「汚染水」などと称している部分に関しても、なかなかに意味不明です。日本が韓国に輸出「規制」を課した事実はないからですし、また、福島第一原発で日本が海洋放出しようとしているALPS処理水は「汚染水」ではないからです(※韓国メディアには、この手のウソが平気で掲載されます)。
あれ?韓国外相の訪日はどうなったの?
もっとも、この記事を読んで不思議に感じるのは、「朴振氏自身が6月中旬に訪日する」という韓国メディアの報道は、いったいどこに行ったのか、という点です。
この「韓国外相の訪日」とは、『竹島不法調査受け、日本政府は韓国外相来日を拒否せよ』などでも取り上げたとおり、複数の韓国メディアが先月報じた、「韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官が6月中旬に日本を訪問する方向で調整している」などとする話題です。
しかし、本日はすでに6月13日であり、朴振氏自身は昨日、訪米のために韓国を出国しています。
韓国外相が米へ出発 ブリンケン氏と13日に会談
―――2022.06.12 13:57付 聯合ニュース日本語版より
もちろん現在のところ、「朴振氏の6月中旬訪日」が虚報だったと決めつけるのは適切ではありません。朴振氏が帰路、急遽日本に立ち寄るという可能性についても、皆無ではないからです。
ただ、共同通信が昨日配信した次の記事によれば、朴振氏は「訪米後、日本側と調整して双方都合の良い時期に訪問したい」と述べたそうであり、逆にいえば、現時点は「双方都合がよい時期」ではない、という意味だとも読めます。
韓国外相、訪日に前向き 関係改善模索、米へ出発
―――2022.6.12 20:04付 共同通信より
いずれにせよ、現時点においても「朴振氏の訪日」が日本政府側から公式に発表されている形跡がない点を踏まえるならば、自然に考えて、この一件も「韓国が訪日を打診したところ、日本側から断られた」と見るべきではないでしょうか。
個人的に、岸田文雄首相や林芳正外相が韓国に余分な譲歩をしないかという点については懸念がないわけではないのですが、自民党派閥の均衡のうえに成り立つ岸田文雄政権が、自民党の安倍派を含めた「対韓強硬派」の意見を押し切ってまで韓国に妥協できる政治力があるのかは別問題でしょう。
オマケ:歴史を問題視する旧植民地はあるのか?
本稿の「オマケ」です。ふと気になって、かなり以前から調べているテーマのひとつが、「旧植民地における宗主国に対する反感」という感情です。たとえば、インドやシンガポール、香港における反英感情、インドネシアにおける反オランダ感情、ベトナムにおける反仏感情、といった具合です。
ただ、これについてはさまざまな手段・言語で調べているものの、なかなか統一的なレポートなどを見つけることができません。
「旧植民地では宗主国に対する強い反発がある」とするのだとすれば、そのような感情は、日常的に報じられているのではないか、などとする仮説を個人的には持っているのですが、不思議なことに、その手の報道を目にすることは、本当に滅多にないのです。
というよりも、たとえば「ベトナムで激しい反米デモが発生した」、「ベトナムでフランスに対し植民地時代の謝罪を求める声が上がっている」といった報道を見た記憶はありませんし、それどころか、香港では最近、旧植民地時代を懐かしむ人も多い、といった報道もあるほどです。
英国領時代に戻りたい…香港デモに参加する若者が抱く「反中意識」
―――2019/07/25付 現代ビジネスより
香港デモで急増、英国人に戻りたい市民
―――2019 年 9 月 9 日 08:22 JST付 WSJ日本版より
このように考えていくと、「植民地支配を受けていた国で、旧宗主国に対して謝罪を求める意見が出て来る」という現象自体、正直、あまり多くないような気がしてならないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
前から言ってるように、韓国は自分たちで問題を次々作り出し「この問題は韓国が妥協するから、その問題は日本が妥協してね」というようなことを狙っている。日本人の「合意ありき」の
交渉スタイルをよく研究しているのだと思う。
問題など初めからないのだから、いっさいとりあわないこと。
>たとえば自称元徴用工問題自体、(省略)「韓国の日本に対する国際条約破り」という問題ですが、
おっしゃるとおりだと思うのです♪
ただこの件については、日本側でも岸田総理が「労働者問題」とか言ってるのは気になるのです♪
端的に「(自称元徴用工)裁判問題」とか「不当判決問題」と言えばいいのにって思うのです♪
呼び方って、それなりに大切だと思うのです♪
韓国の認識では、歴史問題で責められて日本は困ってるのだろう となってます。
ここで、日本が困ってないと言っても 韓国は日本の強がりだと認識して そんな筈はないとなります。
つまり、韓国にとって 世界は自分の認識のみで 所謂客観視が存在しない世界に住んでるのです。
この様な輩に言葉で説得や、会話が通じないので 韓国が答えを持ってくるまでは会いません。というのが日本にできる唯一の方法かも。
本当なら しっぺ返し戦略で韓国の不法行為に同じ様な仕返しするべきですが。
一度徹底的に検証して世界に公開したらどうでしょうか?
少なくとも再検証を封じるような合意をしているとは聞いていませんし向こうが既に破っておりそれに対応しただけだ、と言えば批判を控える、という合意も有名無実化かつ向こうのせいにした上で批判できると思います。
アメリカに対する理論武装の喪失や政治家の先達を批判しない体質など問題点はありますが一考の余地はあると思っています。
過去の債権債務問題は、日韓請求権協定に基づいて解決を図りましょうよ。
>過去の債権債務問題
ところが債権債務問題じゃないんですね
植民地支配下による強制労働に対する慰謝料という彼らの脳内史実なんですね。
ということで日刊請求権協定で解決済みだと強弁すると
植民地支配下による強制労働は事実であるが過去に慰謝料を支払った事となり、彼らの脳内史実を認めることになるのです。
トラブルメーカーの韓国に対し、”包括的解決”なんて無理でしょう。
原理原則にに従い、ひとつひとつ解決を求めていくしかないですね。
韓国の内政問題に付き合う必要な無いのです。
搾取の限りを尽くされたであろうインドネシアでさえ、独立に際しては、インフラ代金を支払ってたはず・・。
韓国には、独立国としての矜持が”無い”んですよね。
たぶん違うと思います。
韓国と言うか朝鮮半島民の文化として「たかり」がありその「武器」として日本へは歴史問題が都合が良い。日本文化の弱点、としてみているのだと思います。
とにかく「たかる」為の武器は次々と出てくることでしょう
「被害者は加害者に対して何を要求しても良くて、加害者は何でもいうことを聞かなくてはならない」
「日本は加害者で韓国は被害者である」
日本人には到底理解出来ない韓国の謎理論2つ。
これを彼らが前提にしているのでどうしたって噛み合わないのです。日本は負い目に感じているだろうから何を言っても構わない。韓国が得た地位?は絶対でありこれを失うわけにはいかない。そういうことです。
理解出来ない謎理論をまるで理解したように振る舞ったから今までひどいことになってしまいました。
今からでも明確に否定しましょう。おまえらは被害者ではない。過去の一瞬たりとも被害を受けたことはなくいつの時代も無理難題を押し付けて大国日本を困らせてきたのだ。
我々はもう疲れた。今さら謝れと言うつもりもない。だからせめて疎遠になりたい。
>このように考えていくと、「植民地支配を受けていた国で、旧宗主国に対して謝罪を求める意見が出て来る」という現象自体、正直、あまり多くないような気がしてならないのです。
ドイツとナミビアがありますね。
ドイツがジェノサイドをして、ずっと謝罪も賠償も拒否していたっていう。
インドネシアとオランダで思い出しましたが、オランダは日帝の所為で植民地を失って貧乏になって恨んでて、未だに日本政府に謝罪と賠償を求める「ヨーロッパの韓国」状態だったような。
日本側から断られたというよりは、米国が仲介を断ったってところでしょう。
1.世界中で元宗主国を恨む被植民地は少ない。
2.その中で韓国は日本を恨んでいる。
3.つまり世界に類を見ないほど日本の支配は苛烈だったのだ。 Q.E.D
この解法は所謂慰安婦や南京戦(証拠が出ない、つまりそれほど卑劣な隠匿をしたのだ)やスーパー日本兵(中国人が弱いのではなく日本兵が物凄く卑怯だったのだ)などでも応用できます。テストに出るので覚えておくように。
>>「旧植民地における宗主国に対する反感」という感情です。たとえば、インドやシンガポール、香港における反英感情、インドネシアにおける反オランダ感情、ベトナムにおける反仏感情、といった具合です。
>>「植民地支配を受けていた国で、旧宗主国に対して謝罪を求める意見が出て来る」という現象自体、正直、あまり多くないような気がしてならないのです。
これは、異民族をそのまま支配・搾取する「植民地」ではなく、建前として同等の国民として扱い、改宗や国民国家確立のための教育などで本国民族への同化を進められた「併合」であったからでしょう。
アイルランドでの反英、ポーランドでの反独・反露、ギリシャでの反トルコ・イラン、パキスタンでの反インドといくらでも事例があります。同化を拒否することが建国のアイデンティティーとなっているからです。
また「新独立国」に残された「旧本国民」存在は、しばしばテロや戦争を引き起こします。今回のウクライナとロシアも正しくこのケースと考えます。最終的にこれを無くそうとすると追放や虐殺による「民族浄化」が発生します。
第一次世界大戦後のギリシャ・トルコ間では大量の民族交換によりこの問題を概ね解決しました。しかし、「民族の定義が宗教」に依ったためギリシャ語を母語とするムスリム(地位確保のため改宗)やトルコ語を母語とする正教徒(改宗しないまま同化)は、生国を追われることになりました。
分離独立ができない事例では、スペインでのバスク民族、トルコ・イランでのグルド人などがあり、テロによる独立闘争が発生しています。
また、同化が進み国民国家を構成する「ほぼ同一民族」となっていても、潜在的に多少の違和感が不満が存在する場合、嫌み・ブラフ程度の独立論がしばしば唱えられます。スペインでのカタルーニャ、英国でのスコットランド、日本での沖縄がこの事例と思われます。
なお、台湾と香港では、同一民族である「本国」の悪逆非道ぶりとの比較により、旧宗主国の株が上がったと考えられます。
もし、文禄慶長の役が成功し朝鮮を併合、1945年に朝鮮半島が分離独立する際に旧任那エリアと済州島が日本に残ったりしたら、残留地域では「独立派」対「残留派」で血を地を洗うテロ合戦となり、「朝鮮共和国軍(KRA)」により「大阪城爆破事件」が引き起こされるという酷歴史となったかも知れません。