【数字で読む自民党の派閥】衆院比例議員の派閥別割合
当ウェブサイトでは現在、選挙前の事前分析作業を行っています。とくに、自民党は派閥の論理で動く政党であるにもかかわらず、世の中にはこの派閥に関する情報が少なすぎるように思えてなりません。そこで個人的に、各派閥の所属議員数や当選回数、得票数といったデータを集めている最中であり、その「第一弾」として、比例出身の衆院議員の「割合」を派閥別に計算してみました。
目次
参院選で自民党はどうなる?
今夏には3年ぶりに参議院議員通常選挙が行われます。
これについては先日の『和田政宗議員、「岩盤支持層の離反で自民苦戦」を予想』でも述べたとおり、自民党の和田政宗参議院議員が「自民党は苦戦する」との危機感を示しています。
該当する、ウェブ評論サイト『月刊Hanadaプラス』のリンクを再掲しておきましょう。
世論調査ではわからない岩盤保守層の自民党離れ|和田政宗
―――2022/06/05付 月刊Hanadaプラスより
この和田氏の認識を巡っては、和田氏なりの実感に基づくものなのか、それとも単に自民党の「楽勝ムード」を戒めるための論考なのかは、現時点ではよくわかりません。また、ネット界隈では最近、「脱糞民主党」などと揶揄されるようになった立憲民主党が、そこまで選挙で強いものなのかどうかも見物ではあるでしょう。
ただ、この論考を自民党や岸田文雄首相にとって「厳しめ」に見るならば、やはり「何もしていない」(※)首相である岸田文雄首相に対し、これまで自民党の「岩盤支持層」だった20%のうちの10%弱が、今夏の参院選で離反するかもしれない、というのが和田氏の指摘だと見ることはできるでしょう。
(※なお、「何もしていない」とは、ウェブ評論サイト『JBプレス』に今月6日付で掲載された『「何もしていない」岸田内閣、なぜ高支持率を維持できているのか』という論考で用いられていた表現をそのまま使っただけであり、他意はありません。)
岩盤支持層500万票がどこかに行くのか?
ここでいう「10%」、「20%」が何に対する比率なのかはよくわかりませんが、かりに前回の選挙区や比例区の投票総数(約5000万票)に対する比率であるとするならば、「自民党の岩盤支持層」が1000万人で、そのうちの500万人弱が自民党を見限る、という指摘だと読めます。
「岩盤支持層が1000万人いて、そのうちの500万人弱が岸田政権に見切りをつけている」という点もさることながら、政権が岸田首相に代わったくらいで自民党を見限るような有権者がそもそも「岩盤支持層」といえるのかどうか、といった点については、ここではとりあえず議論しません。
あくまでも和田氏が指摘する、「大手メディアの世論調査では読めない岩盤支持層の自民党離れ」が生じているとする指摘が正しかったとすれば、その500万票がどこに行くかは気になります。
このあたり、間違っても立憲民主党や日本共産党には行かないでしょう。それらの「岩盤支持層」の考え方に照らすなら、票の行き先は日本維新の会か国民民主党、あるいは新興政党である「新党くにもり」か「参政党」あたりでしょうか。
あるいは500万票のうちのかなりの部分が「棄権」を選んだ場合、投票率が下がって組織票に強い日本共産党や公明党などが有利になってしまいます。投票率が下がることはできれば避けたいところです。
派閥に関する情報が世の中的に足りない!
ただ、こんな議論を展開していくなかで、やはり個人的に痛感したのが、有権者に対し、自民党の派閥に関する情報が決定的に不足しているという点です。
実際、派閥については、報道機関が散発的に触れているくらいで、あまりきちんとした「ガイド」は見当たりません。
そして、想像するに、和田氏が指摘する「岩盤支持層が岸田首相に抱く不満」の正体は、文脈に照らし、宏池会や二階派など、いわゆる自民党内の「左派」(?)に対する不満なのかもしれません。
このように考えていくと、今夏の参院選では、自民党の候補者を「宏池会」なのかそれ以外の派閥なのか、といった具合に分類していく取り組みも有意義ではないかと思います。そして、メディアがそれをやってくれないのであれば、いっそのこと、当ウェブサイトでそれをやってみても良いかもしれない、と思うようになりました。
参院選の告示日まであまり日はなく、間に合うかどうか自分でもよくわからないのですが、とりあえず自民党の全議員を派閥に分類していく作業から始めてみたいと思っています。
派閥をどう集計するかが微妙だが…
こうしたなか、いくつかのデータを分類していくと、いろいろ興味深いことがわかります。まず、自民党内の主な派閥を暫定的に集計したものが、次の図表1です(ただし岸田派の吉川赳衆院議員が昨日離党を表明したようですが、これについては勘案していません)。
図表1 自民党の主な派閥(仮)
派閥名称 | 衆議院 | 参議院 |
---|---|---|
清和政策研究会(安倍派) | 60名 | 34名 |
平成研究会(茂木派) | 33名 | 21名 |
志公会(麻生派) | 38名 | 11名(※) |
宏池会(岸田派) | 33名 | 12名 |
志帥会(二階派) | 34名(※) | 8名 |
「菅派」 | 15名 | 11名 |
その他 | 50名 | 12名 |
合計 | 263名 | 109名 |
(【出所】著者調べ。ただし、衆参両院議長は除外。なお、麻生派には無所属の藤末健三参議院議員が、二階派には無所属の三反園訓衆議院議員が含まれているようであり、これらを含めた場合、麻生派の参議院議員は12名、二階派の衆議院議員は35名となる。また、「菅派」については衆院の「ガネーシャの会」、参院の「菅義偉を支える参議院議員の会」を合算した数値を示しており、「令和の会」については除外している)
このあたり、各派閥の集計については方法がいくつかあるため、なかなか難しいのですが、とりあえず暫定的に取りまとめると、最大派閥が安倍派(清和政策研究会)であり、岸田首相の出身母体である宏池会は派閥として4番手に留まっていることがわかります。
あるいは、衆議院議員の人数では二階派に抜かれて5番手、といったところでしょうか。
また、自民党内で総裁選に立候補するためには20人以上の国会議員の推薦が必要であることから、基本的に20人以上が所属していなければ、「派閥」ではなく単なる「グループ」とみなされる、とする考え方もあるようで、このあたりも自民党の派閥の分類を難しくしている要因です。
これについても「石破派」転じて「石破グループ」、「谷垣派」転じて「谷垣グループ」の特定作業がまだ終わっていないのに加え、複数の派閥ないしグループに所属している議員の考え方も整理しなければならないため、上記図表はあくまでも暫定的なものだとご理解ください。
衆議院の比例議員の派閥別割合
ただ、上記図表を作成するためのデータを整備するなかで、興味深い副産物もいくつか出て来そうです。
本稿ではそのうちの一部分を紹介したいと思うのですが、そのテーマが「比例当選の衆議院議員の人数」です(図表2)。
図表2 各派閥の衆議院議員と比例議員の人数・割合
派閥 | 所属衆議院議員 | うち比例議員 |
---|---|---|
安倍派 | 60名 | 20名(33.33%) |
茂木派 | 33名 | 9名(27.27%) |
麻生派 | 38名 | 7名(18.42%) |
岸田派 | 33名 | 11名(33.33%) |
二階派 | 35名 | 10名(28.57%) |
菅派 | 15名 | 7名(46.67%) |
(【出所】著者調べ)
これで見ると、比例選出の議員の割合が最も高いのは「菅派」で47%、これに続き安倍派と岸田派が33.33%で並んでいます。
一般に衆議院議員の場合、同じ衆議院議員であっても比例当選組よりも小選挙区で勝ち残った議員の方が強い発言力を有するとされているようであり、所属している衆議院議員の人数も少なく、比例組が多い岸田派が、なかなか強い発言力を確保するのも難しい、といった事情が透けて見えます。
一方で参議院の場合、比例区は「非拘束名簿式」を採用しているため、「特定枠」を別とすれば、候補者本人の名前で投票された場合にはその議員の党内における力が強まる、という傾向が見られます。
大した組織票があるわけでもないのに2016年の参院選で481,890票を獲得した青山繁晴参議院議員、2019年の参院選で540,078票を獲得した山田太郎参議院議員や288,080票を獲得した和田政宗議員らは、いずれも党内でそれなりに存在感を有しています。
有権者が自民党を変えていくヒント
このように考えていくならば、「有権者の力で自民党を変える」方法を巡ってのヒントが得られます。
つまり、衆議院議員の場合は小選挙区で勝ち上がった議員が、参議院の場合は比例上位で当選した議員などが、それぞれ自民党内で影響力を持ち得る、ということでもあります。
このように考えていくと、各派閥に所属する比例区の参議院議員が獲得した票数を、派閥別に集計してみても面白いかもしれません。
いずれにせよ、現在、議員に関する分析を進めている最中ですので、なにか面白いアイデアなどがあれば、読者コメント欄でも教えてくださると幸いです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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自民党の慢心を阻止するためには、
”勝つには勝ったが、執行部が期待した内容と異なる選挙結果”にすればよいと思います。
複数候補を擁立していない多くの小選挙区ではそれは難しいと思うので
比例区で、”親中・親露・親韓議員より下位で国を任せられそうな議員に指名投票する”と言うのは如何でしょうか?
こうすれば、自民党としての得票は減らず、但し、”政策よりは利権”と言う議員を少しでも減らすことが出来るのではないかと期待します。
効果のほどは名簿が出てきてからしか判らないと思いますが。
よく読むと内容が”新宿会計士様の指摘内容とほとんど同じでした。
失礼しました。
言いたかったポイントは
・”親中・親露・親韓議員より下位となりそうで落選しそうだが、国を任せられそうな議員”に指名投票する
です。
・”親中・親露・親韓議員より下位となりそうで落選しそうだが、国を任せられそうな議員”に指名投票する・・・まったく同感です。ただ具体的な方法がわかりません。
選挙前になると競馬の予想に似た物が出ますが 比例区について具体的なのがあればぜひ参考にしたいと思います。
赤ずきん 様
非拘束名簿式と言っても特定枠を設置しているであろうから、前回の自民当選人数21人を基に、特定枠が21人以下なら特定枠に入らなかった人の中から選ぶとか、当落予想のボーダーライン前後の人を記名で投票するというのは如何でしょう?
まあ、これによって当選させたい人が落選することもあるので、先ずは当選させたい人がいればその人に入れ、強いて入れたい人がいなければ上記の方法でやるという程度でしょうか。
特に、先祖返りしそうな自民党にお仕置きをしようと他党(維新・国民民主は悪くはないと思うが)に入れるくらいならこの方法の方が良いかな?
訂正です。
>他党(維新・国民民主は悪くはないと思うが)・・
の維新は除きます。
鈴木宗男を除名できない様な政党は投票対象にすべきではありません。
下記を見て、未だにこんなことを言っている男は政治家になるべきではないと思いました。
人の命が大事と言いながら、日本国を法の支配・人権重視から人命軽視のヤクザ世界に堕とす輩です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/42f797f045bc47eeda416e046c33cfaab72fb9cd
与党である自民は、右から左まで幅広い。
まず、自民党内の権力闘争があり、党内のパワーバランスによって政策が決まっていく。
その後、連立の公明党の影響も受けながら政府案が決定される。
さらに、与野党の審議で最終的に決定される。
ただし、野党は、反対することはできても、実質的に政策を作ることはできない。
つまり、自民党内のパワーバランスで決まるといっても過言ではないわけだ。
例えば、自民党内で、消費減税派が多数派になれば、実現される可能性が高まる。(現在は少数派)
結局、政策を変えたければ、巨大与党である自民党を動かすしかないわけだ。
党の違いによる政治変革が期待できず(野党のていたらくにはほとほと愛想が付いています)
別の保守党を探していました。
先日の話で派閥に注目した話が有り、今回記事で理解した次第です。
来月の参議院選で使ってみようと思います。
岸田政権が前のめりに進める韓国との関係改善について、韓国および岸田内閣に深い怒りを持った人達は岩盤支持層の中にも少なからずいる筈です。表面にはなかなか出てこないこれらの人々の票を読み違えると、和田氏の言う通りの厳しい結果になるように思います。
岩盤支持層の定義はともかく、自民党は支持するが、岸田氏が首相を続投する限り自民党には投票しないという層は結構厚そう。
コメント失礼します。
理想を言えば、
・後援会や圧力団体を作って票と金を可視化して議員を誘惑
・近代政党(明確な理念を表している綱領、組織、議員。先ずは党首、シンクタンク、スポンサーの確保)を作る
でしょうか。近代政党に近い活動をしているのは公明、共産党ですが、理念が反日、滅日なのが残念です。
自民は国民政党では有りますが、構成が議員、後援会、圧力団体で、支持団体の利益に反する政策は基本やらない。理念は飾り、政策は官僚任せ。
個人でやれる事は分析止まりですかね。集団で動けるなら陳情や請願とか。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/tetuzuki/seigan.htm
分析も結構大変だから、引き籠りがオシント(公開情報の比較)やったり、近所の政治家に話を聴くとかやってくれれば労働需要を圧迫しない社会貢献になりますね。違法動画のアップロードと違って、合法且つ大勢に感謝される。
後は単純に、
【政策実現方法を候補者本人に訊く】
のはオススメです。
例えば消費税の減税や廃止を訴えてる候補が居たら、
・マクロ経済の論拠の説明が出来るか?
・喚いてれば実現すると思っていないか?
これを確認します。
以前、駅前で訴えてた民民の某候補に確認しました。「チラシに書いてある通りです」何処に書いてあるのか訊いても同じ答えでした。シンクタンク(頭脳集団)についても訊きましたが、「余計なお金が掛かるし民民の優秀な頭脳で賄えます」云々の答えでした。
数学が何故答えだけでなく式も書かないといけないのか?答えだけ正しくても、実現方法が間違ってたり途轍もない遠回りだと困りますよね。現実の政治であれば尚更です。
・行政問題(国内で利害が二つ以上に別れる)
・政治問題(国内で一致しないといけない。皇室や拉致等)
の区別も重要ですね。
結局「政治家は投票した国民の利益代表者」なので、私達国民が先ずしっかり学ばないといけないという主様が散々訴えてる主張に帰結してしまいます。
マクロ経済は主様や他の方々が訴えてくれてるので、
・国際法(欧州の慣習。合意法。やくざの仁義)
・アーカイブ(文書整理。資料の扱い方)
も訴えてくれる人が増えるといいなぁと思ってる次第です。日本国は学べる環境は整ってるけど、接点が無さ過ぎる故の無知と無関心が勿体無いです。