X

日経新聞が対韓輸出管理適正化措置を「黒歴史」と批判

著者自身、以前から「日経新聞は経済オンチではないか」との仮説を抱いているのですが、残念ながら、経済オンチであるだけでなく、政治オンチ、法律オンチである可能性も出てきました。日経のコラム『大機小機』に掲載された『対韓輸出規制という黒歴史』というコラムが、なかなかに強烈だからです。「黒歴史」となるのは「対韓輸出規制」ではなく、このコラムそのものではないかと思う次第です。

対韓輸出「規制」の本質

日本政府が2019年7月に発表した、韓国に対する輸出管理を厳格化する措置(いわゆる対韓輸出管理適正化措置)を巡っては、当ウェブサイトではこれまでに何回も繰り返してきたとおり、「韓国に対する経済制裁」ではなく、むしろ「日本自身を守るために必要な措置」だったと考えています。

ただ、韓国の政府やメディア、あるいは日本のごく一部のメディアを中心に、この日本政府の措置が韓国に対する輸出「規制」であり、「強制徴用問題」に対する意趣返しである、とする発信が、頑なに繰り返されている状況にあります。

この点、『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』を含め、何度となく繰り返してきたとおり、対韓輸出管理適正化措置はべつに韓国に対する報復でも輸出「規制」ではありませんし、それどころかこの措置自体、日本政府にとっては必要なものだった、と見るべきでしょう。

とある理由に基づき再開した『数字で読む日本経済』シリーズ、本稿で第8回目となりました。今回は「中韓がなくても大丈夫な日本経済」をテーマに、おもに数字を使いながら日中関係、日韓関係について議論しているのですが、日韓関係に言及した際に欠かせない論点のひとつが、安全保障上の措置に基づく輸出管理の強化・適正化措置です。追記:本文中で数ヵ所表現などを修正しています(詳細はコメント欄などをご参照下さい)。韓国との関係をどう見るか両国関係を数字で読むことの重要性『数字で読む日本経済』シリーズとして、現在展...
対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった? - 新宿会計士の政治経済評論

これが、対韓輸出「規制」(?)の本質です。

不正輸出?政策対話拒否?

事実関係を振り返っておくと、それは明らかです。

経済産業省ウェブサイトの2019年7月1日付『大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて』によれば、日本政府が対韓輸出管理適正化措置に踏み切った理由は、①韓国との信頼関係の喪失、②韓国の輸出管理における不適切な事案の発生、という2点であるとされます

この点について、経産省が個別具体的な詳細を明らかにしているわけではありません。しかし、客観的な統計から判断しても、この措置自体が日本政府による韓国への意趣返しのたぐいではないことは明らかです。

たとえばフッ化水素・フッ化水素酸(HS2811.11-000)の対韓輸出高が2019年6月までの時点で異常に水膨れしていたという事実に加え、輸出管理適正化措置実施以降、韓国の半導体製造が滞ったとする報道がないことは、その大きな証拠でしょう。

もしも本気で日本政府が韓国に経済的打撃を与えようと思っていたならば、輸出「規制」の対象品目を、フッ化水素、フォトレジスト、フッ化ポリイミドの3種に絞るはずがありません。

また、「韓国との信頼関係の喪失」については、日本政府が韓国政府に対し、繰り返し輸出管理を巡る政策対話の開催を要求していたという事実、そして韓国政府がこの要求を無視し、2016年6月の対話を最後に、2019年7月時点で3年間政策対話が開かれていなかったという事実でも説明が可能です。

あくまでも仮説ですが、日本政府が韓国の輸出管理を巡る「不適切な事案」(横流しや目的外使用でしょうか?)に関する兆候を掴んでおり、これに対する説明を要求したのに、韓国政府が逃げ回っていたのではないか、とする仮説を置くと、事情は非常にすっきりと説明できます。

政策対話から逃げ回り、WTO提訴した韓国の狙い

事実、日本の輸出「規制」措置を受け、韓国政府は2019年8月、日韓GSOMIA(正式名称は『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』)の終了を日本に通告しましたが、その後、米国政府の説得もあり、同11月には事実上、この措置を撤回。

GSOMIAに復帰すると同時に、日本政府が求めた政策対話には、その後2019年12月と2020年3月の2回、応じました。

ところが、奇妙なことに、韓国政府は翌・4月になり、突如として日本を世界貿易機関(WTO)に提訴すると表明し、実際に6月にはWTO提訴手続を開始。7月には審理が行われています(『【資料編】7月29日に開催されたWTO会合の議事録』等参照)。

本稿は資料編です。韓国が日本の「輸出『規制』」を不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOのウェブサイトに紛争解決小委員会(DSB)の定例会議の要旨が公表されていましたので、その概要について紹介しておきます。なお、参考訳が誤っている可能性がありますが、その責任は当ウェブサイトに帰属します。また、当ウェブサイトに掲載した内容につきましては出資を示していただければ自由に転載・再利用等をいただくことが可能ですが、その際には自己責任にてお取扱いください。WTOパネルのリンク該当す...
【資料編】7月29日に開催されたWTO会合の議事録 - 新宿会計士の政治経済評論

このWTO提訴について、個人的には、2回の政策対話で日本政府側からフッ化水素等の行方について問い詰められた韓国政府が、苦し紛れに「逆ギレ」したものではないか、と睨んでいるのですが、これについては残念ながら確証は得られていません。

いずれにせよ、対韓輸出管理適正化措置の正体は、韓国による何らかの事案(不正貿易でしょうか?)に対応した日本政府自身の措置であり、自称元徴用工問題とは無関係である、とするのが、最も自然な解釈でしょう。

日経の「黒歴史」となる(かもしれない)コラム

もっとも、この輸出管理適正化措置を、いまでも頑なに「輸出『規制』」と呼称し続けているメディアがあるようです。

七味様というコメント主様から教えていただいたのですが、日経新聞の『大機小機』というコラムに本日、記事が掲載されていたようです。

対韓輸出規制という黒歴史

―――2022年5月20日 2:00付 日本経済新聞電子版より

記事タイトルには、はっきりと「対韓輸出『規制』」と書かれています。

端的に申し上げて、この記事自体、先ほど指摘した「対韓報復説」に立っているようです。なぜなら、記事本文中にこんな記載が出て来るからです。

この機会に確認しておきたいことがある。3年前に実施した半導体材料の輸出規制は失敗だったということだ」。

「輸出規制は失敗だった」とは、いったいどういう意味でしょうか?

コラムによると、この輸出「規制」によって「韓国の半導体産業が受けた被害はさほどではなかった」、「それどころか、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は5月9日の退任演説において、『日本の不当な輸出規制による危機を克服した』とアピールしている」と指摘。

「輸出規制が『効かなかった』ことよりも、相手国に道義的な優位性を与えたことを恥じるべきであろう」、と主張します。

そのうえで、この輸出「規制」を「日本の通商政策の歴史における『黒歴史』というべきではなかろうか」と述べている、というわけです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いやはや。参りました。

日経新聞さんが経済オンチではないか、とする説は、かなり以前から当ウェブサイトでも取り上げてきたところですが、経済オンチどころか法律オンチ、政治オンチでもあったようです。「黒歴史」というのならば、日本の対韓輸出管理適正化措置ではなく、日経新聞のこのコラムの方ではないでしょうか?

ちなみにこのコラム、「有料会員限定記事」だそうですが、こんな記事が掲載されるからこそ、日経オンラインの有料会員になる価値がないと読者に思わせてしまうリスクはないのでしょうか?

他人事ながら、やや心配になってしまう次第です。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • > 経済オンチであるだけでなく、政治オンチ、法律オンチ

    ではなく、日経に潜入している(もはや、牛耳っていると言うべきか?)特亜工作員の方が御書きになったのでしょう。

    • そうでしょうか。
      >「この機会に確認しておきたいことがある。3年前に実施した半導体材料の輸出規制は失敗だったということだ」。

      裏読みのし過ぎか、
      3年前から始めた韓国政府と日経新聞による共同工作 「日本が半導体材料の輸出規制を行っていると勘違いさせる」工作は失敗だった。もはや黒歴史といえる。

      なるほど。と納得しました。

      • 散歩時の寄道で、新聞舗に立ち寄り、¥180出して件の日経新聞を買って来ました。
        押紙が余っているのか、オマケで夕刊を付けてくれました。

        >>「この機会に確認しておきたいことがある。3年前に実施した半導体材料の輸出規制は失敗だったということだ」。

        輸出管理適正化の狙いの1つに、3年半途絶えている政策対話の復活があったと思うのですが、復活したのは適正化後ほんの暫くのみで、その後やはり途絶えたままだそうです。そういう意味では「失敗だった」と言えるカモ。

        「対話に応じないのなら、もう1ランク落とせよ。」と思いますが、韓国に優しい岸田総理ではなかなかなのかな?

  • よい子のみんなは黒歴史って実はガンダム用語だって知ってたかな?
    本当は総人口の半分を死に至らしめるくらいしないと、とても黒歴史って言えないぞ。

  • 「日経新聞こそが日本の黒歴史」でしょう。 

     ある高名な博士曰く、日本経済新聞の経済記事は経済のことが分からない記者が書いていることが多いようだから間違いだらけで、「日経を読むとバカになる」とか宣言されています。

     それ故「日経新聞こそが日本の黒歴史」になっているようですが。あたしゃ惚けかかっているから本当かどうか判別つきませんが、少なくとも高名な博士が言われるのだから正しいのでしょう。

  • 情報ロンダリングの記事じゃないですかね。
    K国で「日本のクオリティペーパーが、こんなの載せてる!」ってやつ。チガウカナ?

    問題は、なぜ、今更このような記事を、このタイミングで、ってとこだと思うのだけれど、米大統領の訪韓、訪日に合わせてきたのかな。
    きっとバイデンさんに告げ口する口実の1つかもしれないですw

  • 『大機小機』というコラム

    ちょっとググったら、このコラムは約50人の匿名筆者がいて、主に社外の人間であるらしく彼らの実名を知る社員も少ないのだとか…

    どこの輩かわからん奴にコラムを任せているとか、さすが日経

    • どこの輩かわからん奴に、日経のホンネを代弁させているのですね。A新聞の読者投稿欄と変わらないじゃないですか~

    • 昔 2ちゃんねるのマスコミ板の「朝日はキチガイ」スレッドで
      これまた朝日新聞が喜びそうなサヨクな記事を作って投稿する釣りが流行りまして…
      「赤井報道」の名前で 見事朝日新聞を釣った事がありました。

    • こんな記事をそのまま載せてしまうとは日経の編集も堕ちるところ迄堕ちたものですね。道徳的優位?こんな言葉は流石に恥ずかしくて使えませんよ。まあこの記事は韓国系の人間が筆者だったのでしょう。

  • 朝日新聞なら
    まあそんなとこだと
    知れ渡っているから
    さもありなんですが、
    日経新聞としてこうした
    韓流脱糞派的記事を
    書いてしまっていることに
    呆れます。

  • 今は昔、昭和の時代、細川隆元がTVの時事放談で、日経のことを「日本で一番右寄りの新聞」と
    評していたことがありました。ところが、社長の森田康がリクルート事件に連座して、円城寺会長
    に首を切られて以来、日経が少しずつ左傾していったようである。このサイトで紹介されている、
    日経の韓国に関するコラムに???という内容のものがあるのも、左傾日経の実体の表象するもの
    と思われる。

  •  コラム『大機小機』文中の「相手国に道義的な優位性を与えたことを恥じるべきであろう」という言葉使いは、日本人には決して見られないものです。この執筆者は「辺」とか「李」とかいう苗字の朝鮮半島出身の言論人の匂いがプンプンします。

  • テレビも新聞も大手ポータルサイト(コメント削除で言論統制)も、あてにならないですね。他国の工作機関かと思うときもありますね。ここはその中でのオアシスといえます。

  • 言論の自由は保たれるべきであり、
    このような内容のものもあっていいと思うのですが、
    日経が信用できる情報源として自負するのであれば、
    せめて対案のコラムもあって然るべきだと思います。

    • 経済を売りにしている新聞が経済的な見地に立ててないのは
      経済新聞としては致命傷で済んでますね

    • 「言論の自由」を錦の御旗に プロパガンダを拡散を図るのはいかなる理由があろうと間違っています。戦時中に命がけで戦争反対を叫ぶ 今の時代に 戦争をしてでも守りたいものがある と叫ぶ、どちらも 内容に合理性があって始めて 人の心を打つのであって、「言論の自由」を叫んで 誰も納得しない内容で言論弾圧をする報道機関なんてブラックジョークの類で 自然消滅すべき類のものです。

1 2 3