韓国次期政権、福島「汚染水」問題でも「強力対応」か

韓国の尹錫悦政権は日韓関係の「包括的解決」を目指す――。こんな言説は、単なる幻想に過ぎないのではないかと思わざるを得ない証拠を、またひとつ発見しました。現在の文在寅政権による福島「汚染水」問題を巡り、尹錫悦政権下でも「強力に対応する方針だ」とする報道記事が、韓国メディアに出て来たのです。

尹錫悦政権下で日韓関係「改善」という幻想

徹国の次期大統領に選ばれた尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏が日韓関係を巡って「包括的解決」を目指している(らしい)、ということについては、これまでに当ウェブサイトではしばしば取り上げてきた話題のひとつです。

ただ、三々五々報じられる「解決策」とやらを巡っては、読んでいて本当にこころもとない限りです。

たとえば、昨日の『韓国次期大統領「関係改善には双方ともに努力が必要」』でも取り上げたとおり、尹錫悦氏は相星孝一・駐韓日本大使と面会し、「韓日関係は未来志向で必ず改善し、過去のように良い関係が早急に修復されなければならないと考えている」として、「双方とも多くの努力が必要だ」などと述べました。

正直、竹島、自称元徴用工、自称元慰安婦などの日韓諸懸案を巡っては、その責任の大部分が韓国側にあります。韓国が国際法、国際常識、条約、国際的な約束を「守るか守らないか」という問題でもあるため、日本にできる努力はありません。

その意味では、「尹錫悦政権で日韓関係が『改善』される」とする、ごく一部の論者が主張している見通しに対しては、正直、当ウェブサイトとしてはまったく賛同することはできない、という次第です。

福島「汚染水」問題とは?

さて、その一方で、日韓諸懸案のひとつに、「福島『汚染』水問題」があります。

この「汚染水問題」とは、福島第一原発のALPS(多核種除去装置)処理水を日本政府が昨年4月に海洋放出すると決定した件に対し、韓国や中国が処理水をわざと「汚染水」と呼び変えたうえで、これに反対している問題のことです。

ちなみにALPS処理水には重水素(トリチウム)を含んでいますが、トリチウムを含んだ処理水を自然環境に放出するのは、基本的に世界各国共通の方法です。

在中日本大使館ウェブサイト上の『世界の主要な原発におけるトリチウムの年間処分量』と題するPDFファイルによると、2019年において韓国の月城原発からは液体で31兆ベクレル、気体で110兆ベクレルのトリチウムが放出されています。古里原発からは、液体でじつに91兆ベクレルが放出されています(図表)。

図表 トリチウムの海洋放出状況(クリックで拡大※大容量注意)

(【出所】在中日本大使館ウェブサイト『世界の主要な原発におけるトリチウムの年間処分量』)

ちなみに中国の紅沿河原発でも、同じく2019年において液体で87兆ベクレルのトリチウムが放出されているわけですが、日本のALPS処理水を「汚染水」と呼称するならば、自分たちの国がやっていることも汚染水の放出そのものです。

また、『処理水は「汚染水」に非ず:海洋放出は合理的な決定だ』でも引用したとおり、日本政府の決定に対しては米国政府が即座に「国際基準に合致した透明なプロセス」と絶賛しましたし、また、国際原子力機関(IAEA)も「技術的に実現可能で国際的な慣行にも沿ったもの」と評しています。

科学的な知見に基づけば、基本的には海洋放出が最も合理的な選択肢だ、というわけです。

中央日報「尹錫悦政権でも汚染水問題には強力に対応」

こうした前提条件を踏まえたうえで、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載されたこんな記事を読んでみたいと思います。

「日本の原発汚染水」強力対応…尹氏の業務引継委、文政府の基調を維持

―――2022.03.29 06:52付 中央日報日本語版より

記事タイトルでもわかるとおり、中央日報もALPS処理水のことを「汚染水」という誤った呼称を使用しているのですが、驚くのはそこだけではありません。文在寅(ぶん・ざいいん)政権に続き、尹錫悦政権でも「日本の福島原発汚染水放出に対して強硬に対応していく」、としているのです。

中央日報によると、韓国政府は現在、「最隣接国の韓国政府といかなる事前協議や了解もなく一方的に推進されていることに対し、改めて深く遺憾」、「日本は海洋環境や国民の安全に危害を加え、太平洋沿岸国など国際社会が懸念を示している一方的な汚染水放流推進を直ちに中断せよ」などと述べているそうです。

そのうえで、「大統領職引継委員会」の関係者は29日、中央日報に対し、「日本産水産物輸入など福島汚染水放出に関する内容の報告を受けた」としつつ、「現政権の政策に基づいて今後政府の政策方向の検討を始めた」と述べたのだとか。

また、政府関係者も「次期政府で歴史・輸出規制・韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題などで対日関係が改善されるだろうという見通しがあるが、福島汚染水問題だけは国民的な懸念が大きな事案である以上、政府の基調に変化はないだろう」と明らかにしたそうです。

中央日報の報道が正しければ、日本の処理水海洋放出を「汚染水海洋放出」と呼び続けること、これに反対し続けることが次期政権でも続く可能性は濃厚です。

科学的知見が皆無:相手にする必要なし

この点、非常に驚くことがもう1点あるとしたら、中央日報を含めた韓国メディアは「福島汚染水問題」について頻繁に報じているわりに、科学的な論拠については、ほぼまったくと言って良いほど示されていない、という点ではないかと思います。

こうした科学的知見に基づかない主張については正直相手にする必要はありませんし、韓国政府の了解を得る必要もありません。日本はIAEAを含めた国際社会を相手に、正々堂々とALPS処理水の放出の妥当性を説明すれば良いだけの話です。

いずれにせよ、尹錫悦政権で日韓関係が「改善」されるとの見方は、こうした個々の諸懸案をあまりにも無視し過ぎている意見であると、改めて指摘しておきたいと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. 元ジェネラリスト より:

    韓国の次期大統領は選挙中に、福島の処理水のことは科学的に判断する、的なことを言って叩かれていました。
    中央日報の記事のとおりだとすると、次期大統領も科学的に判断することはあきらめたのかと思いました。日本に対しては現状踏襲しかできないんだろうと思います。
    あとは、苦しいときの反日新ネタ追加をやるかどうかが関心あります。政権運営は厳しくなりそうですから、可能性濃厚だと思います。

  2. カズ より:

    「福島海洋排出、韓国の100分の1」…文大統領にデータ突き付けた安倍首相
    2019.12.29  中央日報
    https://s.japanese.joins.com/JArticle/260989?sectcode=A10&servcode=A00

    >日本の安倍晋三首相が24日に中国の成都で開かれた韓日首脳会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に「福島第1原発から排出される水に含まれる放射性物質の量は韓国の原発の排水の100分の1以下だ」と話したと産経新聞が29日に報道した。
    >韓日関係筋の話として報じたもので、「福島第1原発事故後、韓国が福島県の水産物をはじめとする日本産食品の輸入を禁止していることを念頭に、科学的な議論を行うよう求めた形だ。文氏は反論しなかったという」と伝えた。

    これを問題化するのなら、良いトリチウムと悪いトリチウムの定義が必要になるのかと。
    本当に問題視してるのは、日本が ”ひれ伏して許しを請わないこと” ではないのですか?

    *見たいものしか見えず、聞きたいことしか聞こえない人たち。
    (自分たちもでっち上げてるんだから日本もそうに違いない。)

  3. フクロウ より:

    私は科学を理解しない愚か者です。

    処理水を汚染水と呼び放流に反対する人たちには上記を書いた紙を体に貼って生活してもらいたいです。

    1. りょうちん より:

      ただの汚染水では足りません。
      今度から超汚染水(チョウォセンスイ)と呼びましょう。

    2. 迷王星 より:

      その紙は,誰よりもまず日本国内の原発再稼働反対派,なかでも川内原発や伊方原発の再稼働を阿蘇の巨大噴火とそれによる炉心破壊の可能性を根拠に主張している連中や,それを認めた裁判官どもに貼って己の無知を反省してもらいたいですね.

      彼らは阿蘇の巨大噴火の科学的な意味を全く理解出来ずに言葉を濫用している輩ですから.

      川内原発や伊方原発の炉心を破壊し得る規模の巨大噴火とは破局噴火ということですが,阿蘇が破局噴火すれば,川内や伊方に原発があろうとなかろうと,九州や四国はおろか中部や近畿の大半も人間が住めなくなるし,大量の火山灰の堆積によって(※)関東およびその西側のほとんどのエリアでの経済活動は長期間にわたって極めて困難になるのが確実だという科学的事実を理解できない連中ですから.

      ※:江戸時代ならともかく電力と鉄道・自動車輸送に頼り切っている都市活動は数センチの火山灰の堆積で完全にマヒし,撤去前に雨が降れば火山灰は天然コンクリートと化して撤去が極めて大変になる.

  4. sey g より:

    簡単にいうと、もう韓国には こんなでっちあげでしか日本と取引する材料がないということですね。

    おそらく、韓国がもっと窮地に立てば どんな屁理屈でもこねそうです。

    約束をまもるまで無視でいいでしょう。

  5. だんな より:

    ユン氏が、「韓国国内の構造的反日に抵抗出来ない現実」が顕在化し、「未来志向」の実態が「文政権と何ら変わらない」という事です。

  6. しきしま より:

    韓国の保守派も進歩派も同じ穴のムジナですね。
    保守派のイ・ミョンバク元大統領は竹島上陸しましたし、同じ保守派のパク・クネ元大統領は中国軍の観閲式に参加しました。
    結局韓国人は韓国人ということです。

  7. めたぼーん より:

    自分達の考えそのものが積弊と気づかない限りは変わらないでしょう。ま、気づいているけど変えられない、が正しいのでしょうけど。

  8. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    政権が変わっても汚染水言い続けるのか
    政権変わったら前の政権との約束は反故にする割に、そういう所だけ引き継ぐのか

  9. 匿名 より:

    まあ、でっち上げでも捏造でも岸田に通用し松よ
    朝鮮人はアベの時から日本人のマヌケをよく知ってます

  10. 匿名 より:

    まあ、言われて黙る方かマヌケなんですよ
    基本の基本なんでが、なぜか理分かってない人が多い
    今のウクライナロシア米中京
    言われて黙ってるマヌケなんていない

  11. はるちゃん より:

    半島の方々は科学的根拠なんてどうでもいいんですよ。
    因縁、嫌がらせを楽しんでいるだけですから。
    愉快犯です。
    相手になると余計に喜んで絡んできます。
    無視するか殴るかどちらかでしょうね。
    岸田さんはどうするのでしょうかね?

  12. 通りすがり より:

    そもそも論として、り地域と日本の間の海流の方向を見れば一目瞭然だが、福一から排出された処理水がり地域に向かって流れていくことはない。
    むしろり地域から不法投棄された大量のゴミが年がら年中日本海沿岸に漂着する始末。それを泣く泣くそれぞれの自治体が費用負担して焼却処分しているのが実情。

    そんなに国家間の関係を改善したいと言うのであれば、まずはこれまで流れ着いてきたり地域のゴミについての損害賠償もさせるべき。
    処理水よりもよっぽどどんな物質に汚染されているかわからない代物。

  13. taku より:

    本件は、無視して構わないと考えます。IAEAも4月に問題なし、の報告を出しますし、後は日本が福島の漁民の風評被害をどう抑えるか、だけです。中国や韓国が何を言おうと、屁の河童です。それよりも本日の朝日新聞、尹錫悦が5/10前後に日本に「政策協議団」を派遣、岸田首相とも面会方向、との記事です。多くの方が危惧されている岸田-林ラインですが、私はもう一度騙されないと信じ、大丈夫かなと考えていましたが、この記事通りなら、論外です。もし岸田首相が、この「政策協議団」と面会するなら、来るべき参院選挙では、絶対に自民党には投票しません。韓国民が、「国家間の合意・条約は一方の国の主観的な正義に優先する」という国際常識を弁えるまでは、我が国の「一貫した立場」を固守してください。

  14. わんわん より:

    処理水に関する中韓のプロバイダはスルーでOK
     問題は水産物の風評被害
    解決は簡単 海洋放出を速やかに行うこと
    ※ダイオキシン・環境ホルモン等と同じ経過になるでしょう

  15. 世相マンボウ . より:

    まあ、
    捏造元に正面から日本にインネンつけてきた
    倒日派の文ちゃんにしても
    表向き韓日友好かかげながらも
    日本を嵌める用日派の新政権にしても
    日本にタカる反日の韓流バリエーション
    でしかないことがさっそく露見したのが
    この記事の指摘だと感じます。

    表向き騙る正義と裏腹に醜聞漂う
    韓国にふさわしい新政権には、
    『韓日友好(?)』などと言ってきたらまず
    捏造元にした過去の幾多の韓流画策を
    正してから顔洗って出直して来なさいと
    軽くあしらって上げるのが正しい対応だと
    考えます。

  16. 普通の日本人 より:

    東京オリンピックに来た韓国人。
    食材の放射能計測をしていたが空間検査用測定器を使っていた。
    測定方法も分らない国に論理を期待する方が無理。
    さてどうしたものか。良い方法が見つかりません。
    諦めるしか無いですね。
    世界もじわじわと朝鮮半島の異常さを理解し出しました。
    時間が掛かると思いますが都度積極的な異常さ発信をしましょう。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。