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ゼレンスキー氏国会演説を「華麗にスルー」する人たち

昨日のゼレンスキー大統領の国会演説を巡り、わが国の「ATM」と呼ばれるメディア、「国民が許さない」と怪気炎を上げていたジャーナリストの方、そして韓国メディアがどう取り扱ったかについて調べてみました。案の定というか、基本的には都合が悪い点はスルー、といったところでしょう。

ゼレンスキー演説

日本時間の昨日午後6時、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会で演説しました(『【資料集】ゼレンスキー大統領の国会演説・文字起こし』参照)。

日本時間の2022年3月23日午後6時から、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説を行いました。これについて簡単に「文字起こし」を行いましたので、「資料集」として公表する次第です。日本時間の2022年3月23日午後6時から、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説を行いました。その様子は、衆議院のウェブサイト『インターネット審議中継』のページで視聴することが可能です。会議名:ウクライナ大統領国会演説(オンライン)(29分)―――2022/03/23付 ...
【資料集】ゼレンスキー大統領の国会演説・文字起こし - 新宿会計士の政治経済評論

この内容に関しては今朝の『「日本のリーダーシップ」に期待するウクライナ大統領』でも触れたとおり、ゼレンスキー氏が日本の支援に対して強い感謝とともに、高い期待感を示したものだと考えて良いでしょう。

ごく一部のジャーナリストが「国民は許さない」などと怪気炎を上げたわりに、ゼレンスキー大統領の国会演説は実現しました。内容は大変すっきりと良くまとまっていて、私たちの国・日本に対する感謝の強さ、期待の高さがうかがわれるものでもありました。しかも、「日本のリーダーシップで国連に代わる新しい国際的な仕組みを作ってほしい」とのメッセージ付きです。ゼレンスキー演説が実現!早いもので、ロシアによるウクライナ侵攻が開始してから、本日でちょうど1ヵ月が過ぎました。「すぐに降伏する」との観測もあったにも関わら...
「日本のリーダーシップ」に期待するウクライナ大統領 - 新宿会計士の政治経済評論

左派論客の皆さんは一斉にスルー

こうしたなか、個人的に大変興味津々だった論点は、「護憲派(?)」のメディアの皆さん、あるいはゼレンスキー演説に反対していた皆さんが、これに対しどのようなコメントを出すか、という点でした。

ところが、今朝方調べてみたところ、読売新聞は『ウクライナ支援 大統領の演説にどう応えるか』という社説でこれを正面から取り上げている一方、左派メディア、左派論客の皆さんは、このゼレンスキー演説を華麗にスルーしているように見受けられます。

たとえば朝日新聞は今朝、2本の社説を出しています。

ひとつは『電力の逼迫 抜本的な備えの強化を』と題した社説で、「電力不足に備えよ」と言いながら「原発の稼働は新規制基準への適合や避難計画の整備が前提」、「目先の需給と直結させて議論すべきではない」などとする、かなり支離滅裂な社説ですが、これはゼレンスキー演説とは無関係です。

また、もうひとつは『震災と関連死 情報を埋もれさせるな』と題したものですが、これについてもわざわざこれを「今日」出す意味がよくわかりません。もしかして、これも「ゼレンスキー演説」には絶対に触れたくないという、朝日新聞社としての意思表示なのかもしれませんが…。

また、毎日新聞の『ウクライナ侵攻1カ月 露軍の即時撤退を求める』という社説では、最後の方にほんの一部、こんな記述が混じっているのみです。

ゼレンスキー氏は、日本の国会議員向けのオンライン演説で、国連安保理の機能不全に言及した。その上で、今回のような侵略を阻止するための『安全を担保する新たな仕組み作り』を提唱し、日本がそのための議論をリードしていくよう訴えた」。

さらに東京新聞は『国連の機能不全 安保理改革を粘り強く』という社説で国連改革の必要性を訴えてはいますが、ゼレンスキー演説そのものについては取り上げていません。

これだと、「朝日、東京、毎日(ATM)の各紙は、ゼレンスキー氏の渾身の訴えをなかば無視した」と見られても仕方がないかもしれません。

また、『大統領国会演説を「国民は許さない」=ジャーナリスト』では、とあるジャーナリストの方が「ゼレンスキー演説は国民は許さない」と述べた、などとする話題を取り上げました(少なくともこの人物が国民の意見を代表できる立場にあるとは思いませんが…)。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が近いうちに日本の国会でも演説をする可能性があります。こうしたなか、この演説を「国民が許さない」としたツイートが、ちょっとした話題を呼んでいるようです。なぜなら、ちょっと主語が大きすぎるからです。ただ、こうした話題を目にすると、新聞記者が自分たちを「国民の代表」だと勘違いしていたとする話題を思い出します。ケンポーキュージョー教というカルト宗教ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が日本の国会での演説を打診してきたものの、立憲民主党や日本共...
大統領国会演説を「国民は許さない」=ジャーナリスト - 新宿会計士の政治経済評論

こうしたなか、同じ人物のツイートをチェックしてみたのですが、現時点においてこの演説について触れている形跡はありませんでした。ここでも華麗にスルー、といったところでしょう。

(※なお、元政治家でもある著名な弁護士の方も、直前まで、ゼレンスキー氏の演説を巡って「拍手喝采に終わるのではないかと心配」、などと述べていたようですが、この方も演説内容自体はスルーなさっているようです。)

韓国メディアも基本はスルー

こうしたなか、もうひとつ興味深いと感じていていたのは、これを外国メディア――とくに隣国のメディア――がどう報じるか、という点です。

韓国メディアのなかで、日本語版のウェブサイトを設けているのは中央日報、朝鮮日報、ハンギョレ新聞、東亜日報などの大手紙と通信社である聯合ニュースなどですが、現時点で調べたところ、該当する記事は次の中央日報のものくらいしか見つかりませんでした。

ゼレンスキー大統領が日本の国会で画像演説…「ロシアに対する制裁を継続してほしい」

―――2022.03.24 06:46付 中央日報日本語版より

基本的にこの記事、ゼレンスキー大統領の演説内容から逸脱するものではないものの、肝心な部分がいくつか飛ばされています。

たとえば、ゼレンスキー大統領は演説で、「国連が機能しなかった」、「責任ある国家が一緒になって平和を守るために努力しなければならない」、「日本もリーダーシップを発揮してほしい」、などと述べているのですが、こうしたくだりが丸ごと無視されています。

また、ゼレンスキー大統領が日本文化に非常に親近感を抱いていると述べたこと、日本と価値を共有していると述べたことも、大変に重要な要素ではないかと思うのですが、こうした点についても中央日報の記事ではほぼ丸ごとカットされています。

しかも、韓国メディアは常々、「日本は過去の歴史を反省も謝罪もしていない」などと述べていますし、中央日報は「日韓間の諸懸案は法的に解決できない」とする発言を平気で掲載してしまうメディアでもあります(『韓国弁護士「過去の問題は法的手段では解決できない」』等参照)。

なぜ正論を指摘する論者が、たった1人もいないのか――。「韓日ビジョンフォーラム」には多くの論者が参加しているようですが、「韓日諸懸案は本来、すべて法的に解決済みであるのに、これを蒸し返すわが国の側に問題がある」と指摘する論者は見られません。それどころか、「韓日問題は法律で解決することができない」などと言ってのける弁護士の方もいらっしゃるようです。「台頭で未来志向の関係」否定しているのはどちらかとても当たり前の話ですが、外交関係においては、基本的に「対等で未来志向の関係」を目指さなければなりませ...
韓国弁護士「過去の問題は法的手段では解決できない」 - 新宿会計士の政治経済評論

中央日報自身が普段から舌鋒鋭く日本を批判している立場にあるわけですから、ゼレンスキー氏の演説に「日本が過去を反省も謝罪もしない国だ」といった趣旨の発言はいっさい含まれていなかったことについて、なにかヒトコトでもコメントするのが筋ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (31)

  • 「命を守るために東京オリンピックは中止しよう」「東京オリンピックを開催すると大変なことになる」と不安を煽っていた構図と同じですね。
    実際に開催して、開催してよかった、ってなると、上記を主張していた人たちは、何事も無かったように、決して触れることもないし、マスコミも取り上げないし、検証もしない。
    腹立たしくはありますが、これが日本の良識的なマスコミの限界だと思います。

    • 政府批判、揚げ足取りばかりの政治家、政党がある。
      マスコミ批判だけのマスコミもあっていいのではないだろうか。

  •  北朝鮮に軍事侵攻されて首都の住民を置き去りにして我先に逃亡したばかりか、北朝鮮軍の進軍を遅らせるために漢江に架かる幹線道路の橋を爆破までした初代大統領を思い起こし、超軍事大国ロシアに攻め込まれ、命を狙われても逃亡しようとしないゼレンスキー大統領とその家族をはじめ、死を覚悟して国家と尊厳を護り抜こうとするウクライナ国民の気高い精神について、何か思うところがあっても良いと思うのですが。

    • 今のマスゴミに純粋日本人はまだ残っているのでしょうか。限りなく0に近いと推測しています。勿論純粋日本人の定義にもよりますが。

  • 毎度、バカバカしいお話を。
    韓国がウクライナのゼレンスキー大統領に、「日本でもしたのだから、韓国の国会でも、オンライン演説をするべきだ」と言い出したんだって。(もっとも、逆切れして、プーチン大統領にオンライン演説を頼むかもしれませんが)
    おあとが、よろしいようで。

    • 韓国の国会は「ゼレンスキーの演説を受け入れるべきか」で揉めてたそうですが、楽韓さんが、
      「そもそも演説させて欲しいという依頼はあったの?」
      と疑義を呈しています。
      https://rakukan.net/article/486098670.html

      もし韓国国会が、うちでも演説してほしいと要望するなら、ゼレンスキー氏にはぜひ、「アジアで2番目」に支援を表明してくれた国として謝意を表明してあげてほしいと思います。

      • では、更にバカバカしいお話を。
        ①韓国が日本に、「ウクライナのゼレンスキー大統領が韓国にオンライン演説を申し入れないのは、日本の責任である。謝罪と賠償を要求する」と言い出したんだって。
        ②韓国がウクライナに、「韓国にオンライン演説を依頼していたことに、してくれ」と言い出したんだって。
        ③韓国がロシアに、「ウクライナへの特殊軍事作戦で、ロシアの正当性をオンライン演説で主張する最初の国に、韓国を選んでくれ」と言い出したんだって。
        ④韓国の文大統領が、尹次期大統領への嫌がらせのために、自分の任期中にロシアと条約を結ぶんだって。
        さて、みなさんは、どれがお好みですか。

  • 「都合が悪いことは記事にしないでなかったことにする」

    新聞記者らしい職業倫理、新聞記者らしい良心、だとつくづく思います。

  • 脳は現実に対して思考が追いつかない時フリーズを起こします。
    また、立憲民主党のコロナ第一波の時のように正常性バイアスよろしく定番の定食、森かけ桜を心の拠り所にして後は、ほっかむりをかましてきます。

    今後、朝日新聞や件のジャーナリストは情緒不安定になり無意識の苛々を政府にぶつけることで不満を解消するのかなあと思います。

    決まった玉しか打てない駄目なバッターだなと思いました。

  • 「アベがプーチンを助長した」

    左派はゼ大統領のこのような発言を期待していた。

    呼応してATMゲンダイ、立憲共産、左派論客、韓国紙は鬼の首を取ったようにはしゃいでいただろう。

    すでにそういう原稿を用意していたのでは?とも思ふ。
    ポストやタムトモが御丁寧に伏線を張っていたしねw

    だがそうはならなかった。

    彼らはスルーというより落胆しているのではないか?w
    彼らの悔しそうな姿が目に浮かぶようだw

  • 今更ながら、ですが朝日新聞がもはや何も機能しない公器であることが良くわかった社説でしたね。そのうち、朝日新聞の誰かがウクライナのどこかの市役所の壁にペンキでZと書き、自作自演記事を書きそうで心配です。

  • 昨日ゼレンスキー氏の演説を冷静に分析して日本は行動考えるべきと書いたところ、某方よりその考えは「国際法を守らず、合意を守らず、二股外交をするコウモリ国と同じだ」と日本人に対する最大級の罵詈雑言を吐かれたので反論しておきますね。

    私はプーチンロシアの論も聞こうとかロシアにも一理あるとか両国の間で上手く立ち回ろうなどと1度も書いておりません。

    むしろ私の方が過激かもしれません。

    現在ロシアがウクライナで行っている軍事行為は「無差別攻撃」で「人類史に残る残虐」な戦闘で「非人道的」な国際法違反の虐殺なんだそうです。

    …私には「敵国の『人口密集都市』」だと理由だけで無差別・非精密爆撃で皆殺しを謀った大国が「爆弾の火を消火しようと水をかけるとより爆発的に燃え盛る」正義の爆撃や、ベトナムやらの密林は敵が潜むには絶好の場だから人の住む集落や幹線道路周辺も含め全部爆撃で焼いちゃおうとか、思ったより燃えなくて樹木の再生が早かったので「枯れ葉剤撒いて二度とはえないように除草したらどうかな?」だの「これからの平和の決め手は核ね♪」は人道的な戦争終結手段で正義だと言う現国連や国連軍や国連常任理事国の論理がよくわかりません。

    しかし、その屁理屈理論で第二次世界大戦以降の世界平和(だった事がほぼ無いんですが)がもたらされた!
    と世界が認識しているのですから仕方がありません。
    政治形態が自由主義でも社会主義・共産主義・族長制・独裁制・恐怖政治・革新とかどうであれ支持している唯一の国際平和の公認手段が核です。

    プーチン率いるロシアが国際法に反する非人道的な殺戮戦争をしているのなら、現行国連がとるべき最小限の制裁かつその行使により更なる被害を最小限に抑える平和的正義の拠り所は核です。
    否が応でも、それが現行国連が成立している唯一の存在根拠ですから。

    核兵器はなぜいけないか。

    ・必ず無差別攻撃になるから
    ・残虐で非人道的殺戮になるから(?)
    ・遺伝子に変異を起こし後世の子孫にまで悪影響するから

    これは化学兵器でも生物兵器でも同様の事が起こり得ます。
    これが原始時代からの石や棍棒にはじまる物理兵器との違いです。

    使用を暗示しているプーチンに核使わない理由なんかあります?
    ロシアによるとウクライナは化学兵器使うそうですが、核で抑止しない理由があります?
    2年以上が経ちますがもし新型コロナウィルスが生物兵器なら、製造国に核を使い同時にウィルス殲滅しない理由があります?

    放置した場合に発生する、より大勢の死者を抑え平和をもたらすいたしかたない善の手段じゃなかったんでしたっけ?

    反撃核については全世界で所在場所はほぼわかっているのですから、先制通常弾爆撃で主目的に使わせなければいいだけ。
    最大効率で使わない核の破壊力は限定的ですし、世界に存在する核弾頭の5%位の爆発では人類は死滅しませんし全人類が死滅しても地球は消えたりしません。
    1億年もすればまた生物は繁栄します。

    SDGs花盛りですが、地球資源の再循環を考えるなら最大でも人類の個体数最大数は50億(理想的には40億以下)ですから、ざっくり半減しないと維持出来ません。

    戦争は人類の生物としての減数本能だとすら考えています。
    戦後に必ず人類は栄えてきましたから。

    私個人の考えでは、プーチンのロシア含めウクライナ・ベラルーシ・チェチェン・中華人民共和国・北の解体減数。
    予測される損失としてEUの隣接諸国やアメリカ合衆国・シリアの個体数減数。

    国連の存在意義からまったく外れない現実的対応だと思いますが?

  • 本日付朝日新聞「天声人語」。

    ベラルーシを舞台にした小説の紹介から、筆を起こしています。途中でゼレンスキー国会演説について触れ、「目は正面を見つめ、盛んな闘志を感じさせた。プーチン大統領にしてみれば、脅しに屈しない厄介な存在だろう」とも記していますが、末尾は「主人公が眠り続けた10年の間にベラルーシの民主主義は根こそぎ奪われた。焦土と化したウクライナに10年後も民主主義の花が咲くよう祈りたい」の所感で締めています。

    朝日の肩を持つわけじゃありませんが、ゼレンスキー演説完全スルーというわけでもなさそうです。

    • 読書感想文でぬるく論評してみせるとは、さすが「花形職業のカガミ」たる新聞記者らしいですね。今朝の社説は歴史に残る駄作と記憶されるに違いありません。

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