ロシア・マクドの閉店は「鉄のカーテン」復活の兆しか
マクドを大量購入し冷凍庫に保管する動きも?=ロシア
ついにマクドがロシアで事業を終了しました。ツイッター上では山ほどマクドのバーガーを冷凍している画像も投稿されているようです。たかがファーストフードチェーン店と侮ることなかれ、マクドはまさに鉄のカーテンが破れた象徴です。はたしてロシアは再び、「鉄のカーテンの向こう側」に行ってしまうのでしょうか?
マクドはペレストロイカの象徴
ロシアのウクライナ侵攻に伴い、西側諸国がロシアに対し、外貨準備の凍結や債券発行の禁止、SWIFTNetからの特定銀行の排除、輸出入制限といった制裁措置を繰り出すなかで、興味深い話題がいくつか出て来ました。
そのなかでも世界的ファーストフードチェーン店であるマクド・ナルド社は先日、ロシア国内での850店舗を一時的に休業すると発表した、とする話題については、『ロシア30年の歩みを象徴するマクド1号店の長蛇の列』を含め、当ウェブサイトではしばしば紹介してきました。
ただのファーストフードの閉鎖だと侮るなかれ。
1990年1月31日にモスクワのプーシキン広場前に開店したマクドは、「鉄のカーテン」の東側にいたロシア人にとっては間違いなく、豊かな西側諸国の象徴であり、そしてミハイル・ゴルバチョフ書記長(のちにソ連の初代大統領)のペレストロイカ路線の象徴でもあったのです。
McDonalds closes restaurants and suspends operations in Russia.
This is footage from when the first ever McDonalds opened in the Soviet Union in 1990 in Moscow.
Queues literally round the block #Russia #McDonalds pic.twitter.com/XJGmy8S1Mn
— Danny Armstrong (@DannyWArmstrong) March 9, 2022
【参考】ファーストフードのイメージ
(【出所】消費者庁『イラスト集(4)-1 食・環境・自然関連』)
マクドがロシア全土の847店舗を一時的に閉店
ところが、今回の事態を受け、マクド社はロシア全土の847店舗すべてを一時的に閉店すると発表。そのなかには当然のことながら、このプーシキン広場前の第1号店も含まれています。
McDonald’s To Temporarily Close Restaurants & Pause Operations in Russia
―――2022/03/08付 マクド社コーポレートサイトより
そして、インターネット上では、その「第1号店」が開店した1990年のときの様子に関しても、投稿されていたようです。
In 1990 I was in the queue when #McDonalds opened its 1st restaurant in #Moscow: when iron curtains were crumbling & Russia was embracing the West. Today McDonald’s announced it is temporarily closing its 850 restaurants in #Russia. Hugely symbolic. #UkraineRussianWar pic.twitter.com/59LZo1IRXS
— 𝙐𝙠𝙧𝙖𝙞𝙣𝙚 𝙒𝙖𝙧 𝙍𝙪𝙨𝙨𝙞𝙖 (@UkraineWarRuss1) March 9, 2022
それにしても、あらためて当時の写真を振り返ってみると、ソ連の国旗のすぐ上にあるマクド・マークは、東西冷戦の終焉という意味では象徴的です。そして、マクドが閉店するとわかった瞬間、やはりロシアの人々はマクドに殺到したというのも興味深い点でしょう。
Supersize me ! There’s a long queue forming in Moscow outside the huge and historic #McDonalds on Pushkin Square after the US fastfood giant announced it was closing in Russia. pic.twitter.com/C8mZCzFhpc
— Jason Corcoran (@jason_corcoran) March 8, 2022
なかには冷凍庫一杯にマクドのバーガーらしきものを保管しているという画像も出回っているようです。
Forget drugs, gonna start smuggling McDonald’s burgers into Russia pic.twitter.com/ANFWBxnZ9F
— Not Jerome Powell (@alifarhat79) March 10, 2022
ナイフとフォークでポテトを食べるロシア人
こうしたなか、マクドが13日、最後の営業日を迎えたそうです。
FNNプライムオンラインの次の記事によれば、このプーシキン広場店には朝から大勢の客が訪れ、なかにはテーブルクロスや花を用意し、ナイフとフォークでポテトを食べる人や、ハンバーガーと一緒にワインを飲む客の姿も見られるなど、なかなかシュールな光景が見られたのだとか。
ロシア マック最終日に大勢の客 ユニクロも混雑続く
―――2022年3月14日 11:47付 FNNプライムオンラインより
この点、マクドの一時休業がいつまで続くのかについても、おそらくは西側諸国による対ロシア制裁の動向次第でしょうが、正直、かなり長期化することを織り込んでおくべきかもしれません。
こうしたなか、『ロシア国内で西側諸国「知的財産権保護」を解除の動き』などでも述べたとおり、ロシア国内が西側諸国の制裁に対抗するため、「非友好国」に対する知的財産権を守らないで良い、とする大統領令を準備している、などとする報道もありました。
これに関連し、もうひとつ、興味深い話題を確認しておきましょう。
ロシア検察、外国企業に逮捕・差し押さえを警告
―――2022年3月14日 14:53付 AFPBBニュースより
AFPは米メディア『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)の報道を引用する形で、「ロシアの検察当局が、同国事業の停止や撤退を発表した外国企業に対し、関係者の逮捕や資産の差し押さえを警告した」と報じています。
具体的には、「情報筋」の話として、マクドに加えコカ・コーラ、P&G、IBM、ヤム・ブランズ(※ケンタッキー・フライド・チキンやピザハットなどを運営している会社)など複数の外国企業に対し、検察当局から電話、所管、職員の訪問などを通じて警告があったのだとか。
国有化・接収しても営業できますかね?
まさに、マクドの最終営業日とともに、ロシアが鉄のカーテンの向こう側に戻りつつあるということを象徴するような出来事が出てきた、というわけでしょう。
これに加え、AFPにはこんな記述もあります。
「ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は『国有化』という言葉こそ使わなかったものの、そうした外国企業のトップに『外部』の管理者を任命し、『事業を引き継ぎたい者に譲渡する』ことに賛成だと表明している」。
このあたり、何とも微妙な記述です。
撤退した企業を国家が接収し、そのまま払い下げる、という意味であれば、まさに「国有化」ということですが、仮にそのような「国有化」がなされたとしても、事業の継続ができるとは限りません。
たとえば、マクドなどの場合だと、肝心の食材が外国から入って来なくなるため、仮に「事業を引き継ぎたい者」が登場したとしても、あの独特のハンバーガーやポテトやコーラーなどの味を出すことは難しそうな気がするのですが…(あるいは、ビッグマックに変わって「ピロシキバーガー」でも提供するつもりなのでしょうか?)。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
ピロシキってロシア人にとってはマイナーな食べ物らしいですよ。以前ロシア人に日本人にとってロシア料理って言うとピロシキだねって話したら、ボルシチはともかくなんでピロシキやねんって言われたです。
ブリヌイのほうが一般的かもしれません。
モチモチのクレープにいろいろな具を包んで食べる料理。
ヨーロッパの小麦粉の産地だとパンやパンケーキなどは大量生産のものは当たり前ですが太刀打ちできない美味しさだったりします。
自由の象徴、反戦などの意味で市民が押し寄せているのだと思っています。
個人的にはどこの国でも郷土料理が大量生産の食に追いやられる傾向があるのはは悲しくなります。
ロシア国民は、ペレストロイカ前の”モノがなく公平に貧しい”状況に戻れるのでしょうか?
サッチャー氏に「彼となら仕事ができる」と言わしめたゴルバチョフ氏はご存命でしょうか?
イギリス首相からそう言われる大統領だから
ロシア人からは売国奴に見えるかも
テーブルクロスや花を用意したり、ワインを飲む・・・
ブダペストの「世界一美しいマクドナルド」なら似合うかもしれません。
>ゴルバチョフ氏はご存命でしょうか?
現在91歳で存命。
15年ほど前ロシアを旅行した時ロシア人ガイドが、ゴルバチョフは歴代指導者の中で、まったく人気がないと言っていた。
アンドロポフと勝負してほしい。
おっと、ウノ・チェルネンコの悪口はそこまでだ~
長寿ですね。思考が柔らかいせいもあるのかもですね。
ありがとうございました。
マクドナルドは
アメリカの制裁と超インフレのベネズエラですら 営業していました。
youtubeに旅行者の動画がアップされています。
ロシアが国有化しても きっと出来るでしょう。
是非とも動画で見たいものです
あらゆる分野でロシア外しが起きています。補給ができなくなったISSが落下するとか(落下地点はロシア以外)、ロシア行き航空便が停止されたためタイでロシア人観光客6500人以上が帰国できなくなり、カードも停止されているのでお金も引き出せず立ち往生ているとか、etc.
待てよ、ロシア人観光客がタイだけで6500人以上? では、世界中には一体どれほどのロシア人観光客がいるのか、このコロナ禍の中で。
今回のウクライナ侵攻がどのような形で終結するのか予想がきませんが、停戦交渉が成功してウクライナ現政権が存続しようとも、或いはロシアがウクライナ全土を制圧して親ロシア傀儡政権になればますます、ロシア制裁は継続されると考えられます。そうなると、自国経済への損失は一時的なものではなくなり、サプライチェーンも見直しが必要です。特に、エネルギー関係・希少資源の輸入と、戦略物資の輸出はCOCOMの復活と、鉄のカーテン以前の状態の時代の再来になりそうです。ただし、以前の冷戦時代と異なるのは中国の存在であり、中国は両陣営のどちらにも与さず、漁夫の利をもってますます肥え太るのでしょう。ウクライナ終結後の世界はあまり面白くない世界が出現しそう。
「ウクライナ中立化」にすら失敗し、すごすごと撤兵せざるを得なくなれば、プーチン氏の威信に大きな傷がつくことにはなります。ただ、その場合であってすら、プーチン氏が退場に追い込まれる可能性は、せいぜい五分五分でしょう。何らかの形での停戦直後にプーチン氏が退場してくれれば制裁解除の名目も立つのですが、そうならなかった場合に、制裁の取り扱いをどうしていくのか、なかなか難しいことになりそうです。
北朝鮮あたりならば、どれだけ制裁を維持しても外の世界が困ることはありませんが、ロシアは石油・天然ガスや食糧の大輸出国です。EUはロシアへのエネルギー資源依存を減らすとは言っていますが、最速でも2027年までは不可能だとか。そして、ロシア以外からの安定的供給ルートが確保できたとしても、大幅なコスト増になるのは避けられないでしょう。さらに食糧までもとなると、話は結構深刻です。少なくとも、当面は、ロシアを完全に国際的サプライチェーンから切り離そうとしても、代替できる国はありません。中国にしても、中国自体がエネルギーと食糧の大輸入国なので、代替どころか、ロシアからの買い付けを増やす(=外貨を提供する)ことにしかならないと思います。
結局のところ、プーチン氏が退場しなければ制裁は継続されるでしょうが、ロシアの軍事的脅威に直接さらされかねない東欧諸国よりも、コスト増に耐えきれなくなったフランスやドイツあたりから制裁がなし崩しにされるという展開になるのではないかと思っています。その後は、もうグダグダでしょう。
元のコメントに対して意見があるなら、わけのわからない遠回しでなく、戦後のプーチン氏の国内での立ち位置によるとか、制裁はグダグダになって長続きしない等、明確に書くべきだし、他に言いたいことがあるなら人の尻馬に乗るようなことをせずに独立した別スレをたてたらどうか。
遠回しになんぞ書いておりませんが?
それとも、結論だけを箇条書きで書くことをお望みですか?
形がどうこうでなく、エチケットを守れといっているだけ。
追伸、
うるさいから、付きまとわずに別コメントを立てろよ。
ド~でも良い事ですが、気になった事がひとつ...。
『マック』最終日に大勢の客が...
ヤッパリ、ワタシには『マクド』最終日には大勢の客が...
が、しっくりきます。
そう言えば普段「マクド」と言ってますね。
関東の「肉まん」と関西の「ぶたまん」の違いと同じなんでしょうか。
関西で「肉」と言えば牛肉のこと。したがって「牛丼」などと言わず「肉丼」でいいのだと大阪の友人に言われたことがある。
「肉まん」と言われて関西の人は中身が牛肉と連想するのでしょうか?
接収して居抜き開業、しばらくしたら起源主張…
シマッタ!どっかと混ざった!?
略す必要ないですよね?
どうして頑なにマクドなんでしょうか。
マクドナルドはマクドナルドのままでいいじゃないですか。
通用するなら略しても問題なくないですかい?
略すのが面倒なら略さずでも問題ないでせうし
…ん?
長いの面倒だから略すのか!
きみ、よく他人から「いちいち細かいことでうるさい奴だ」って言われない?
私の関西出身の知人の多くは、関東に住んでいるにも関わらず頑なに「マクド」と呼びます。
私は「マック」でいいじゃんと思うんですけどね。
解明したい謎の一つとして楽しみに取ってます。
>私は「マック」でいいじゃんと思うんですけどね。
同感.私も略すときは昔から「マック」ですね,「お昼はマックで食べた」とか.
略さずにマクドナルドとすればいいのにと思いますが、サイト主お得意のこだわりの一つなんでしょう。
ポテトをナイフ、フォーク、ハンバーガーにワイン。
そんなにシュールですか?
私は手が汚れるのがイヤなのでフォーク使いたいです。チェーン店だってナイフ、フォークにワインなんてあります。
マックはほとんど行かないけれどトイレがキレイなので何度か利用したシャンゼリゼのマックはテラス席はおしゃれでワインは無いけれどナイフ、フォークは当たり前ではないでしょうか。
それなりのハンバーガーショップならボトルワインも数種類置いていませんか?例えば、私が行くお店はビール、ワイン、カクテルが数種類ずつありますし、青山に上陸したUmami Burgerでトリュフ塩のフレンチフライやトリュフバーガーにはワインなんて良いと思います。アメリカのお店だとビール、ワインの品揃えはもっとすごいですよ。
七輪焼きバーガーと日本酒焼酎泡盛、あと箸もよろ
泡盛大好き。一昨年は蔵元に見学の予約入れていました。コロナで行けてない。芋、黒糖、泡盛をロックが定番ですが冬は芋のお湯割最高ですよね。1番好きなのはワインなんですがやはり和食には日本酒。淡麗より芳醇が好みだったりします。ずっと頑張れ東北。土曜日は行きつけの寿司屋、蕎麦屋で昼から呑んでます。月に何度かはフレンチ。
まあ、旨いものと酒を楽しむのが幸せなのです。
箸は美しくてよいですよね。
本記事内容とは関係が無いコメントですが、yahoo ニュースで『日本のビッグマックはタイより安い…日本が急激に貧しくなったのは「アベノミクス」の責任である』という記事を見ました。余程頭が悪い人が書いているとしか思えませんでしたが、一応国立大学の名誉教授だそうです。日本の経済学者がノーベル賞に無縁なのもわかる気がします。こんな先生から教わった学生さんは大丈夫でしょうか?と人ごとながら心配ですね。
出典
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba151a68e1841e9eba70599d6b7c56857987b080?page=4
>こんな先生
アベガーズの一員で大蔵官僚出身の方ですな。
消費増税は景気に関係なく増税しないと財政に対する信頼が失われ金利が高騰すると消費税増税延期の前に吹いて、実際は延期後にマイナス金利になったというお方ですな。