気が付けばワクチン2億回目前:厚労省はマスクを配布

本日が「仕事納め」ということもあり、とりあえず、当ウェブサイトで長らく続けてきたワクチン接種状況の集計をアップデートしておきます。日本国内のワクチン接種は、いまや国民全体の8割近くに行きわたり、また、VRSの入力遅延問題などもあるためか、現時点では総接種回数は2億回近くに達しました。こうしたなか、厚労省はマスクの配布事業を始めるようです。

VRSデータを使った集計

当ウェブサイトの著者自身、本業は「金融評論家」であるとともに、「エクセル評論家」、「ハンバーガー評論家」です。

したがって、専門分野(金融規制、金融制度、マネーフロー、エクセル操作、ハンバーガーコスパ比較など)に属することに関しては、かなりの深度での分析を行ってきたという自負があるのですが、その同じ流れで議論しておきたいのが、「数字を使った議論の重要性」です。

世間では菅義偉総理大臣が「コロナ対策でなんにもしていない無能な総理大臣だ」、などと言われていたころから、密かに進めていたのが、「ワクチン接種記録システム(VRS)」(※)や首相官邸ウェブサイトなどの生データをつかった、ワクチンの接種状況に関する集計です。

※VRS生データのダウンロード方法
  • 次の文字列をウェブブラウザのURL欄に打ち込むと、その時点の最新データが取得可能
  • https://vrs-data.cio.go.jp/vaccination/opendata/latest/prefecture.ndjson
  • 上記文字列のうちの「latest」以降の部分を「{dt}/prefecture.ndjson」(※)に変えると過去データの入手が可能(※なお、{dt}は「yyyy-mm-dd」形式で日付を入力。たとえば「2021年12月24日時点で公表されたデータ」なら、{dt}の部分を「2021-12-24」に変換)

正直、世の中でもVRSの生データを生真面目にダウンロードして分析しているサイトはさほど多くないのではないかと自負していますが、これは政府のデータの公表方法がてんでバラバラでわかり辛いことにも、大きな責任があるとは思います。

すでに日本国民の8割近くにワクチンが行きわたった

ただ、ワクチンの接種状況に関しては、当ウェブサイトではかなり早い段階から、菅総理のいう「1日100万回接種目標」が難なく達成されていたこと、このペースで進めば9月中にも、国民のかなりの範囲にワクチンが行きわたることを「予言」してきました。

非常に残念なことに、菅総理自身は10月4日に内閣総辞職に伴い退任してしまいましたが、その「置き土産」であるワクチン接種状況は、極めて堅調です。

そろそろ年末ですが、現時点におけるワクチンの接種状況について、まとめておきましょう(図表)。

図表 総接種回数と接種率(公式ベース、12月28日時点)
区分総接種回数接種率
①全体合計199,340,742 
 うち1回目100,309,18379.20%
 うち2回目98,563,02277.82%
 うち3回目468,5370.37%
②一般・65歳以上合計65,718,603 
 うち1回目32,924,39392.05%
 うち2回目32,794,21091.68%
③②以外の区分133,153,602 
 うち1回目67,384,79085.42%
 うち2回目65,768,81283.37%

(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。12月27日時点のVRSデータ、12月27日時点で取得した職域接種データ・重複計上データ・3回目接種データなどを使用。接種率の定義は、その年齢階層における累計接種数を『令和3年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】に記載されている人口で割った数値のこと。「全体」については1億2665万4244人で、「65歳以上」については3576万8503人で、それぞれ割っている。なお、「③」の区分については、便宜上、「12歳未満人口は1200万人だ」という仮定を置いたうえで、若干不正確ながらも、便宜上、対象人口を7888万5741人として算出している)

すでに日本国民の8割近くにワクチンが行きわたり、気が付いたら、もうすぐ2億回を数えるまでにワクチン接種が進んでいます。

VRSのバックデート問題は相変わらず

ところで、このVRS上の接種実績については、バックデートでどんどんと増えて行くという特徴があります。

VRSのルール上は、各自治体などがその日に接種した情報をその日のうちに入力することとされているはずであり、この運用どおりであれば、ある日に出て来たVRSデータを見れば、前日までの接種実績が入力されているはずです。

ところが、どうも多くの自治体でVRSへの入力が大きく遅延しているらしく、現実には、「ある日のデータが翌日以降に入力される」ということが罷り通っているようです。

いちばん酷いのが、8月10日(火)までの接種実績でしょう。

8月11日時点でダウンロードしたデータに基づけば、4月12日から8月10日までの接種実績は85,359,056回とされていました。ところが、12月27日時点でダウンロードしたデータに基づき、同じく4月12日から8月10日までの接種実績を集計すると、99,191,696回です。

その差分は、なんと13,832,640回です。

4月12日~8月10日の接種実績
  • 8月11日時点でダウンロードしたデータ…85,359,056回…①
  • 12月27日時点でダウンロードしたデータ…99,191,696回…②
  • ②-①:13,832,640回

(【出所】VRSデータより著者作成)

この8月10日までのデータに関してはとくに遅延が激しかったのですが、VRSへの入力遅延は現在でも生じており、たとえば1ヵ月前の11月28日時点までの接種実績は、11月29日にダウンロードしたデータでは183,795,091回でしたが、12月27日のデータでは184,766,668回でした。

すなわち、その差分は、971,577回であり、8月10日のものほど酷くはないにせよ、やはり現時点でも、最大で100万回分前後の入力が漏れている状況にあると考えて良いでしょう。

4月12日~11月28日の接種実績
  • 11月29日時点でダウンロードしたデータ…183,795,091回…①
  • 12月27日時点でダウンロードしたデータ…184,766,668回…②
  • ②-①:971,577回

(【出所】VRSデータより著者作成)

これを当てはめるならば、先ほどの図表上、現時点までの総接種回数は199,340,742回とされていますが、現実にはすでに年内で2億回の大台に乗っているという可能性は、十分にあるのです。

いずれにせよ、わずか半年あまりで対象者の9割近くが2回の接種を終えたというのは、「快挙」という部類に入るものだと考えて良いでしょう。

また、今回の経験が生きていれば、おそらくは3回目のブースター接種も、2回目接種者の接種時点から8ヵ月後の人を対象に(※)、予定どおり粛々と進んでいくものと考えられます(※なお、「8ヵ月後」ではなく「6ヵ月後」に前倒しする、といった計画もあります)。

マスクを申し込みますか?

こうしたなか、ちょっとした話を共有しておきます。

厚生労働省がマスクの配布を無料で実施すると発表しました。

自治体・個人・団体からの布製マスクの配布希望の申出について』のページによると、個人であっても、日本国内に居住していれば、これに申し込むことが可能です(原則として100枚単位で無償配布)。

具体的には来年1月14日までに、厚生労働省ウェブサイトからエクセルファイルをダウンロードし、「入力フォーマット」のシートを参考に「入力用シート」に必要事項を入力して、専用のメールアドレス mask-kojinn@mhlw.go.jp にそのエクセルファイルを添付して送付する、という流れだそうです。

(なお、メールでの申し込みが難しい場合は電話相談窓口(0120-829-178、9時~18時、土日祝日も実施)への申し込みでも可能だそうですが、官公庁の休日である12月28日から1月3日の期間は休業ですのでご注意ください。)

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 千葉県在住 より:

    100枚単位なので迷いましたが、マスク申込みました。
    防災用品としても使えそうです。

  2. わんわん より:

     保管費がかさむ前に
    何故 損切りができなかったのか?
    疑問です

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      半年前だったら
      「またマスク不足になるかも」という可能性が充分にありそうに思えたのだから
      しょうがない
      安易な損切り=コストカットしまくった末路が韓国の中国尿素依存(中国依存しているのは尿素だけではない)

      1. わんわん より:

        >半年前だったら(略)
         前提がおかしくないでしょうか?
        不足は基本的に需要と供給のバランスが崩れることによっておこります
         石油ショックや新型コロナ感染拡大初期におけるトイレットペーパーやマスク等の不足は需要拡大による買い占めや転売(営利)によるものです
         実態としてみる場合必ずしも不足とは言いきれない
         また マスクの有効性についても賛否があり統一見解があるとは言えない
         転売防止法や異業種のマスク製造促進(シャープの抽選販売は現在どうなりましたか?)によりマスク不足はとうにとうのいたと考えれてもよいかと思われます
        実際 (半年前)ドラッグストア等でマスクは売り切れてましたか?
        必要性を感じる方は多少の備蓄はしていると思いますが違いますかね
         医療従事者等が使う医療用マスクであれば備蓄の意味も出てくるでしょうが布マスクでは意味があるとは思えません

        >安易な損切り=コストカット(略)
         まず 安易と言い切った論拠をお聞かせ願いたい
         また隣国の尿素不足は直接的には関係しないし日本には関係ない
         日本の尿素高騰はメーカーの一時製造中止と営利(転売)によるもので心配にはあたらないと報道されているし 私もそう思います

        1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

          半年前はマスクの売り切れはなかったけど
          「もし何かがあったら」ということを考えたら
          多少の在庫を国が確保するのは必要だと思われます

          >>隣国の尿素不足は日本には関係ない
          そういう話をしているのではなく
          コストをかけて在庫を持つことや、割高でも自分で生産することを「損切りできない馬鹿」と言って非難して排除しまくっていたら
          韓国尿素みたいになるぞってこと

          1. わんわん より:

            あげあしととられると不本意だが
            >「もし何かがあったら」
             それっておかしくないですか?
            「もし」と言うのはいつの時点でもありえる
             将来起こりえる危機に対して被害の回避や軽減する(リスクマネジメント)
             リスクマネジメントから考えてココとココの観点から損切りにはあたらない等が
            論理的回答(私が求めているのがコレ)です

            >>>隣国の尿素不足は日本には関係ない
             当然 皮肉です
            理由は複数あるが
            日本のマスクのサプライチェーン構築は既に完成しているとみてよい(政府による新規参入の促進や一部メーカーの国内回帰等)

            ※議論にならないので以降の回答はご遠慮させていただきます

        2. ななこ より:

          地元の左翼政党代議士は、マスクを1枚でも廃棄したら国会で追及すると息巻いております。つまり、損切りの是非については、左翼政党にお聞きになったほうがよろしいかと思います。
          介護施設や高齢者施設向けのマスクの在庫があるということは、日本中の介護施設入所者や高齢者施設入所者および施設関係者に大きな安心感を提供しているといえます。在庫がなくて日本国民が苦しむよりも、在庫があって安心感を提供している方が、より適切な行政といえるのではないでしょうか。
          そういえば、マスクが市中になくて日本国民が苦しんでいた頃、左翼政党は政府を追及していましたね。マスクの在庫があればあったで、在庫がなければないで、政府を追及すれば多額の歳費をもらえるのだから、左翼政党代議士の歳費こそが税金の無駄遣いですね。

          1. わんわん より:

            いろいろな異論があることにには賛成です
            産経新聞
            https://news.yahoo.co.jp/articles/52b33404d9f315b85b700e3fa04567248a0b8bf8
            プレジデント オンライン
            https://news.yahoo.co.jp/articles/7b6c37c48b8dcd358176ecd697866317a455e738
            ※コメントも参照されるとよろしいかと思います

             今回のマスク処分に関しては
            一番の原因は何でも反対する野党
            安倍元総理や菅前総理にも責任の一端はあるかと思います
             岸田総理の失策は
            ①拙速(独断で判断せずに世に問えば余分な税金を使わず利益をあげる事も可能だったと思います)
            ②マスクの送料を国が負担(希望地方自治体への送付後自治体での配布 心苦しいとは思うが希望者の送料負担等)

    2. ただの オヤジ より:

      高橋洋一氏がyou tubeでこの件について説明しています。
      アベノマスクの在庫は300万枚、医療介護用に作ったのは7,8000万枚。どちらもまとめて1億枚の在庫とか・・・・・
      会計検査院の検査では無駄とは報告されていない。←ここ重要。
      誰でもネットで原文読めるそうです。マスコミはアレだから読めないとも言ってました。こちらが正解じゃないでしょうか?

      詳しくは高橋洋一チャンネルで!

      1. わんわん より:

        ありがとうございます
        なかなかみる機会がないのですが
        時間があるときに探してみたいと思います

  3. sey g より:

    敵の有能なトップは邪魔です。
    もしかしたら、菅前総理は有能が故に敵国の流言飛語にやられたのでは?
    安倍元総理は、雑音を跳ね除ける力がありました。
    岸田総理は、無能の様に見える故に 敵国から支持率が上がる様にやられてるのでは?
    でないと、この支持率の高さは説明できません。

    1. 匿名 より:

      人は見たいものしか見ないということがよく分かるコメントですね。
      正体不明の謎の敵による攻撃のせいだとか、ただの陰謀論じゃないかと。

  4. やむそら より:

    最初のマスクにの発送文書に枚数追加OKと書いてあったのに、見てない人の多いこと。
    施設とかが利用するだろうなと思って遠慮しなきゃ良かったです。
    安倍さんが悪いとかでなく、キチンと文書を読まない国民が悪い。
    ついでに、厚労省もお知らせ出さないのが悪い。。

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