「改憲勢力」3分の2の衆議院でさっそく変化の兆しか
産経ニュースによると、自民党など5会派が、何らかの形での現行憲法に対する問題意識を共有しており、これに対し立憲民主党が改憲議論で孤立し始めているのだそうです。報じたメディアがメディアだけに、「これで改憲が進む」と楽観視すべきではないかもしれませんが、ただ、10月31日の衆院選については、見方によっては「改憲勢力」が3分の2を占めた、という言い方もできるかもしれません。
衆院選の敗者は「立憲共産党」とオールドメディア
10月31日の衆議院議員総選挙では、新聞、テレビなどのオールドメディア勢の大方の予想を覆し、自民党は261議席を確保。公示前勢力の276議席から15議席ほど減らしたものの、ほぼ絶対安定多数に近い議席を確保しました。
その一方で、オールドメディア勢が「30議席程度の上積みもあり得る」と述べていた立憲民主党については、こうした予想とは裏腹に、公示前勢力の109議席から96議席へと13議席減らし、依然として最大野党ではあるものの、100議席の大台を割り込んでしまいました。
こうした状況については、『衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』を含め、当ウェブサイトではこれまでに何度か論じてきたとおり、「オールドメディア」と「特定野党」がともに敗北した結果である、と見るべきではないかと思います。
日本では従来、「官僚・メディア・野党議員」という「鉄の利権トライアングル」が結託し、民主主義を歪めてきた、というのが個人的な持論です。しかし、その「真ん中」にどっしりと構えていたメディアが、社会のインターネット化とともに社会的影響力を徐々に削がれてきているのです。
『紙媒体の新聞から10代が離れた』などでも触れてきたとおり、どうもさまざまな調査からは、若年層ほど紙媒体の新聞、地上波テレビから情報を得る割合が低く、インターネットから情報を得る割合が高い、という統計的事実が出始めています。
そして、一部のオールドメディアや特定野党が「もりかけ問題」だ、「桜を見る会」だ、といった具合に、ひたすら自民党政権のスキャンダル追及(というよりも揚げ足取り)に終始してきたことに対し、一般国民が辟易し、メディアの報道をまったく信頼しない人が増えた結果が、あの衆院選だったのではないでしょうか。
ネットで知る立憲民主党の奇行
もちろん、新聞もテレビも、ながらく日本社会の情報配信を独占してきましたので、一部の高齢者などに対しては依然として強い影響力を保持しているとは思います。
しかし、PC、スマートフォンなどを通じ、日常的にインターネットにアクセスする人が社会の圧倒的多数を占めるに至り、「鉄の利権トライアングル」の真ん中が、ボコッとへこみ始めているのです。
ちなみに、社会がインターネット化したことで、私たち有権者は、次のとおり、立憲民主党などの野党関係者の言動を深く知ることができるようになりました(※肩書は当時のもの)。
- メディアが立憲民主党の行動を「審議拒否」と報じたことを巡り、村田蓮舫・代表代行や安住淳・国対委員長らが「メディアが『審議拒否』を『常套句』のように報じている」と立腹(『審議拒否」報道に立憲・村田氏ら「常套句」と逆ギレ』等参照)
- 立憲民主党を筆頭とする野党議員の質問通告の遅れが官僚の長時間労働の原因となっているとの指摘に対し、安住淳氏が「陳腐な話」としたうえで「むしろ政府に問題がある」と逆ギレ(『「逆ギレの立憲民主党」質問通告遅れを政府に責任転嫁』等参照)
- 安住淳氏が国民民主党、日本共産党の国対委員長とともに、「コロナ第4波が到来したならば内閣総辞職に値する」との認識で一致したと発表(『野党3党「コロナ第4波到来なら内閣総辞職に値する」』等参照)
- 枝野幸男代表が記者会見で、「菅義偉内閣が退陣し、立憲民主党を少数与党とする『枝野幸男内閣』を暫定的に組閣したうえで、次期衆院選まで危機管理に当たるべきだ」と述べた(『さすがに無理がある、民意を否定する「枝野内閣」構想』等参照)
- 福山哲郎幹事長が京都市内の中心部に近い交差点の車道側に立ち、鳴らされたクラクションを「応援のメッセージ」と述べてツイートする(『福山哲郎氏、交差点で演説しクラクションを鳴らされる』等参照)
オールドメディアが「報道しない自由」を駆使し、こうした野党議員の「奇行」を報じないで隠蔽しようとしても、インターネットでどんどんと拡散されていってしまいます。
その意味で、インターネットはオールドメディアと特定野党を丸ごと粉砕する威力を持っているのかもしれません。
「改憲派」が3分の2を超えた!?
さて、衆院選の話題に戻りましょう。
各政党別に公示前と選挙後の勢力を比較してみると(図表)、最も大きく減らしているのが15議席減の自民党ですが、それでも公示前勢力が276議席だったため、選挙結果は261議席と、まずは順調な勝利だったと考えて良いでしょう。
図表 2021年10月衆院選・公示前勢力と選挙結果
政党 | 公示前→選挙結果 | 増減 |
---|---|---|
自民党 | 276→261 | ▲15(5%減) |
公明党 | 29→32 | +3(10%増) |
立憲民主党 | 109→96 | ▲13(12%減) |
日本維新の会 | 11→41 | +30(273%増) |
日本共産党 | 12→10 | ▲2(17%減) |
国民民主党 | 8→11 | +3(38%増) |
れいわ新選組 | 1→3 | +2(200%増) |
NHK党 | 1→0 | ▲1(100%減) |
社民党 | 1→1 | ±0(―) |
無所属 | 12→10 | ▲2(17%減) |
合計 | 460→465 | +5(1%増) |
(【出所】各社報道をベースに著者作成。増減率は「公示前勢力」に対するもの)
一方で、最も躍進したのは日本維新の会であり、さらに8議席を11議席に伸ばした国民民主党も健闘したといえます。
そして、意外と知られていないのですが、日本維新の会、国民民主党の両党は、改憲に対し前向きであるとされています。
政権与党の一角を占める公明党が改憲に後ろ向きに見えますが、もしも日本維新の会、国民民主党の両党を自民党とともに「改憲勢力」に位置付けるなら、公明党が賛同しなかったとしても、3党で313議席と定数(465議席)のうち3分の2(310議席)を上回っています。
これは、ひそかに重要な変化です。
これに対し、改憲に否定的な立憲民主党は公示前の109議席から96議席に、日本共産党も公示前の12議席から10議席にそれぞれ後退し、議席が増減しなかった1議席の社民党とあわせた「3党」の議席数は107議席にとどまります。
これに3議席を獲得した「れいわ新選組」とあわせても110議席であり、さらに、仮に無所属の10議席がすべて改憲反対派だったとしても120議席であり、改憲阻止ラインの3分の1(155議席)には、遠く及びません。
憲法議論で「孤立」する立憲民主党=産経
もちろん、改憲の発議には参議院側でも同じく改憲勢力が3分の2を占めなければならないのに加え、自民党は公明党と連立を組んでいるため、現状で「自民党が日本維新の会、国民民主党と組んで改憲を発議する」というのは、非現実的ではあります。
ただ、衆院選の流れが来年夏の参議院議員通常選挙でも続けば、もしかしたら「改憲勢力」(?)がさらに参議院でも議席を増やす可能性もあります。その意味では、岩盤の利権も動き始めたら案外あっけなく崩れ去るものなのかもしれません。
こうしたなか、産経ニュースに昨晩、こんな記事が出ていました。
立民、改憲議論で孤立 緊急事態で改憲勢力が足並み
―――2021/12/16 21:27付 産経ニュースより
産経によると、16日の衆院憲法審査会では自民党に加え、国民民主党、日本維新の会、公明党、さらには衆院会派の「有志の会」の5会派が、(会派によって異なるにせよ)「緊急時の国会機能維持」ないし「緊急事態条項」などに対し、何らかの形で問題意識を共有しているのだそうです。
これに対し、立憲民主党の奥野総一郎氏(野党筆頭幹事)はこうした条項に対し、「議員任期の延長もお手盛りととられる」、「コロナを奇貨として改憲論議を進めるのは拙速で、間違っている」などと述べたのだそうですが、それだけではありません。
産経ニュースはこうした立憲民主党の姿勢について、「立民が改憲に抵抗する姿勢を強めれば、憲法に関する論議から取り残される可能性もある」、と述べています。
このあたり、自民党や保守派に対して理解を示すことが多い産経の報道であるという事情も踏まえれば、この記事の主張を鵜呑みに信じるのは若干慎重であるべきかもしれませんが、ただ、立憲民主党の「何が何でも改憲阻止」という姿勢が、泉健太代表の体制で変化を余儀なくされている可能性はあります。
選挙前には、最大野党である立憲民主党の抵抗もあり、憲法審査会自体がほとんど開かれていなかったことを思い起こすなら、憲法審査会が開かれて議論が行われるようになったこと自体、大きな変化でもあります。
というよりも、著者自身の手元計算に基づけば、日本維新の会と国民民主党が統一会派を形成し、立憲民主党から25人前後が離脱してその会派に参加すれば、条件次第では衆院で立憲民主党が「最大野党」としての地位を失うこともあり得ます。
もちろん、現在の立憲民主党から、いきなり4分の1もの議員が離党するというのは、シナリオとしては不自然ですし、また、泉健太氏自身が国民民主党の出身者でもあるということを踏まえるなら、立憲民主党内の保守的な勢力が同党を見限って離党する、というシナリオも考え辛いところではあります。
ただ、政界では一寸先は闇でもあります。
憲法議論を契機に、立憲民主党に変化が生じるかどうかについては、もう少し慎重に見守る価値があるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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昨日チラとニュースを見ましたが、審査会が開催されたことは前進とは思うものの、立憲共産は「安倍4項目」なる単語を使っての自民の主張に反対すると宣言し、抵抗勢力としてのアクセル全開のようでした。
総選挙では立憲共産は「アベスガ政治の評価」とも言っていながら負けました。なのに相変わらずアベガーは使い続けるようです。
この人たちは死ぬまで変わらないんだろうなと思いましたが、まあ、彼らの支援者ともども、時を経れば先細りの先に消滅するのだろうとも思います。
野党の色分けが変わったので、総選挙はよい変化をもたらしたと思います。
あの朝日新聞でさえ、改憲必要が不要を上回った世論調査を上げてますので、改憲は世の流れとして、もう止められないのではないかと思います。
議員が国民の声を政治に反映する機関であるならば、改憲勢力が増えるのも自然の流れかもしれません。
翻って、立憲共産は、同性婚や夫婦別姓などの主張はするものの、改憲に後ろ向きな自己矛盾をはらんでて、これからますます身動き取れなくなるんじゃないでしょうかね。
日本の力をどうやっても削ぎたい立憲共産は、これからますます自己矛盾に陥りながら支離滅裂な主張を繰り広げて、支持を落としてくれるものと期待してます。
憲法改正には「総議員の三分の二以上の賛成」が必要です。
このため、310以上の賛意が必要となりますが、3人以上の欠席があれば失敗になりますね。
(議長は投票しないため)
かなりギリギリの状況です。
異様ですね、憲法改正は、やるときは必ず成功しなければならないという自民党の強迫観念は。。
憲法改正議案国会での投票を日常化してしまえば良いのに!
日本国憲法の条文では最初から憲法改正できるなど夢物語!
国会開催のたびに憲法改正を提出して通ったらラッキー!と何度でもやらゃあ良い!
政府は関係なしに国会議員が議員立法を繰り返せ!
否決など恐れず
大阪維新の会の道州制を見習って
何度でも議員立法でも内閣立法?でもやりゃ良いんだよ。
内閣不信任にはあたらない、憲法改正法案否決は。何故なら日本国憲法の縛りで憲法改正が国会を通るのは奇跡なのだか。
気になるのはキッシーでしょうか。
「話を聞く」のかけ声のとおり聞いては変更、聞いては変更、が見られます。
このざまを見て夏の参議院議員選挙がどう出るか。
頼りないとなるか、丁寧な内閣となるか
ながら見なので、確かなことは言えませんが、昨日のBSフジプライムニュース『憲法審査会で自由討議自民案VS各党の姿勢は国民投票と自衛隊明記』でもガーガー言ってるなぁ、と思いました。早う先に進んで欲しいです。
公明党も改憲容認になりつつあるのかな?
選挙を通じた国民の選択の結果を、こちらの早大教授は、
> ちょうど10年たって、政治状況は完全に変わってしまった。いまや、与党+維新+国民民主で改憲勢力は3分の2を超えている。「火事場泥棒的改憲」が実現しそうな状況である。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2021/1206.html
だそうである。国民を舐めるのもいい加減にせえよ。
>「火事場泥棒的改憲」
意
味不明ですね、どこがどういう火事場なんでしょうね!
まあ、改正できりゃ良いんですけどね、火事場ドロボウだろうがなんだろうがGHQに押し付けられた憲法など!