韓国副首相「政権任期中にTPP申請書の提出目指す」
韓国の副首相は15日、文在寅政権の任期中にCPTPPへの加入申請書を提出するとの意向を示したそうです。政権の任期が5ヵ月を切っているという点もさることながら、個人的にはTPP加入以前に、「国際法、国際社会の常識をちゃんと守る」といった点に加え、コロナ対策、証券市場改革など、韓国がやらなければならないことがいくつも残されているように思えてなりません。
目次
CPTPPの高いレベルを完全に満たせるものか
韓国が『環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定』(通称「CPTPP」)への加入を申請する意向を示したとする話題については、『国際法を守らぬ国がCPTPPに参加できるものなのか』を含め、当ウェブサイトでしばしば取り上げています。
このCPTPP、詳しくは『官房長官「韓国とTPP協議しておらず、予定もない」』などでも取り上げたとおり、知的財産権の保護、「完全累積制度」などの関税判定の仕組みを含め、全部で30の章で構成される膨大な協定です。
つまり、CPTPPは、単なる「多くの関税を撤廃するだけの協定」ではなく、社会全体で腐敗防止、透明性確保などをかなり高いレベルで達成させることが必要であり、敢えて比ゆ的な表現を使うならば、一種の「価値同盟」のようなものでしょう。
実際、松野博一官房長官も14日午前の記者会見で、こんなことを述べています。
「TPP11は、市場アクセスの面でも、電子商取引や知的財産、政府調達、国有企業等のルールの面でも高いレベルの内容となっている。新規加入に関するエコノミーがTPP11のこうした高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極める必要があると考えている」。
その一方で韓国といえば、竹島の不法占拠、仏像窃盗事件、2018年10月と11月の自称元徴用工判決や同12月の火器管制レーダー照射事件、さらには慰安婦合意の実質的な破棄、今年1月の主権免除違反判決など、日本との関係では大小さまざまな国際法違反・条約違反・約束違反を重ねています。
そのような国が、CPTPPの高いレベルを完全に満たすことができるものなのでしょうか。
日本は韓国とこれまで協議をしたこともないし、現時点で予定もない
ただ、松野長官はCPTPP参加に関する日韓間での協議を巡り、次のようにも述べています。
「本件に関し、わが国は韓国とのあいだでこれまで協議を実施したことはなく、また、現時点で実施の予定もない」。
これは、ある意味では当然の反応です。
そもそも韓国国内でもCPTPPへの加入を巡って、意思の統一が図られているフシはないからです。というよりも、文在寅(ぶん・ざいいん)政権の残り任期が5ヵ月を切っているなかで、現政権にできることはほとんど残されていません。
これだと、「次の政権でCPTPP入りができた場合に備えて、現政権の実績にするため」だけに申請した、などと思われても、仕方がない気がします。
韓国「現政権で加入申請目指す」
ただ、こうしたなかで、韓国メディア『聯合ニュース』や『中央日報』(いずれも日本語版)に、昨日から本日にかけ、こんな記事が掲載されました。
TPP加盟 現政権で申請目指す=韓国経済副首相
―――2021.12.15 20:02付 聯合ニュース日本語版より
韓国副首相「文在寅政権中にTPP加盟申請書提出」
―――2021.12.16 06:40付 中央日報日本語版より
両メディアの記事を総合すると、洪楠基(こう・なんき)経済副首相兼企画財政部長官が15日午後、外国メディア向けの記者会見で、「現政権の任期中に」CPTPPの加盟申請書を提出することを目標にしていると述べた、というものだそうです。
これには、個人的にはほんの少しだけ驚きました。韓国といえば現在、新規陽性者数や重症患者が急増し、医療崩壊も懸念されていると伝えられているからであり、こんな状況で韓国の現政権がCPTPPに力を注ぐ余力があるものなのかと思ってしまうからです。
ただ、それ以上に気になったのが、聯合ニュースの方の記述で洪楠基氏が「加盟国との非公式協議を続ける」、などと述べたとされる部分でしょう。
聯合ニュースによると洪楠基氏は「加盟国と機会があれば非公式に接触しており、ほとんどが韓国の加盟を歓迎する立場」としつつも、「日本の場合は、他の問題と関連して(接触に)消極的で接触が多くなく、成果も多くなかった」と述べたのだそうです。
このあたり、松野長官の「わが国は韓国とのあいだでこれまで協議を実施したことはない」という説明とも微妙に整合しています(もっとも、洪楠基氏の側は「接触がゼロだった」とは述べていないなど、両国の説明には微妙に齟齬もありますが…)。
「日本の輸出規制が韓国にワクチンの役割」
ただ、洪楠基氏の発言では、TPP以外にも、興味深いものがいくつかありました。
まず、聯合ニュースの方の記事に書かれている、こんな記述です。
「世界の供給網(サプライチェーン)問題に関しては、『日本の(韓国に対する)輸出制限が韓国政府にとってワクチンとして作用した』とし、『経済安保戦略会議と供給網関連企画団を通じて主な品目について、対応システムを備える』と説明した」。
じつは、この記述、当ウェブサイトでは取り上げたことはありませんが、韓国メディアでは以前も報じられたことがあります。たとえば中央日報の次の記事などが参考になるでしょう。
韓国経済副首相「日本の輸出規制が韓国に『ワクチン』の役割」
―――2021.11.02 11:17付 中央日報日本語版より
何とも無礼ですね。
ちなみにここでいう「輸出『規制』」とは、もちろん、誤った表現です。日本は韓国に対し、過去に輸出規制を適用した事実はないからです。
ただ、2019年7月に日本政府が発表した韓国に対する輸出管理の厳格化(ないし適正化)措置については、『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』あたりで議論したとおり、決して不当な貿易報復などではありません。
あくまでも、韓国の輸出管理における「不適切な事案」などに対応して日本が講じた限定的な措置に過ぎず、実際、日本から韓国への「素材・部品・装備」の輸出については、フッ化水素など一部品目を除いて、顕著に減少したという統計的事実はありません。
また、『韓国の輸入品目の3割で特定国への依存度が8割超える』などでも議論したとおり、統計的な分析に基づけば韓国では「素材・部品・装備」の国産化はほとんど進んでいないと考えるべきでしょう。
こうした統計的事実を踏まえると、洪楠基氏の発言がどこまで信頼に値するのか、何となく推し量れる気がしてなりません。
オフショア外為市場なしに「先進国」とは
その一方で、中央日報の方の記事には、こんな記述もあります。
「洪副首相はこの日、モルガン・スタンレーキャピタル・インターナショナル(MSCI)先進指数編入再挑戦と合わせてウォンの域外自由取引許容を『前向きに検討する必要がある』と述べた」。
中央日報によると、韓国の通貨・ウォンについては、現在、「域外市場」がないのだそうです。
ここで「域外市場」とは、その国以外の国・地域でその国の通貨を取引する為替市場(俗にオフショア・マーケットとも呼ばれる市場)のことと思われますが、どうも韓国にはこのオフショア・マーケットそのものが存在していないようなのです。
問題は、それだけではありません。韓国の為替市場は、「輸出入など特定要件を備えていなければ外国人同士のウォン振替もできないほど厳格な規制下」にあるのだとか。
これについてMSCI側は、現在、新興指数に分類されている韓国証券市場を先進指数に編入させるための条件として、▼域外ウォン市場設立、▼24時間外為市場運営、▼外国人投資家登録制と空売り規制緩和――などが必要としているのだそうです。
逆に「先進国指数入り」を目指していながら、オフショア外為市場もなく、外為市場は24時間化されてもいないというのは驚きです。
いずれにせよ、こうした記事を読んでいると、CPTPP以前にやるべきことがいくらでもあるのではないか、という気がしてしまう次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
CPTPP 加入は、どの程度本気なんでしょうね。ただのポーズという気もしますが。
韓国的思考では、本気で CPTPP 加入の動きが対日関係改善につながると思ってるのかもしれませんね。
CPTPPのトップが日本からシンガポールに代わった段階を狙って停止するようです。
システムは変わらないのに能天気な事です。
中華人民共和国ですら加盟申請受付担当国を理解しているのに、全体の構図すら理解出来ないのかな?
地図読めないから太平洋のある場所わからないのかな?
日本の輸出手続き変更がカンフル剤になるらしいから、ちゃんと規制やテーパリングしてあげたら韓国って栄華を極めそうでなにより。
期待されたらお応えしなきゃならないかな?
超ド級の干潟・汽水域干拓地にポツンとあるらしい東レ!
あんたがた、日本売国だけじゃなくて自然破壊や生態系破壊にも加担している悪魔企業に成り下がってるんだぞ!
まだダイキンは現地の反対運動で工場完成してないらしいが同罪!
停止じゃなくて提出〜
韓国の方々って面白い!
「果たして他のCPTPP11の加盟国10ヵ国が賛同しても韓国の参加を拒否して孤立する覚悟が日本にはあるのか!」
とか書いてる。
平気です。
なんとも思いません。
常に孤立を恐れて強国に傘下に入ろう入ろうとしているのはどこでしたっけ?
一番ビビりなのはどこかな?
「日韓間にはさまざまな懸案事項がある」という発言に対して、韓国のネットでは「歴史問題を持ち出すな」との意見が多いようですが、日本が韓国TPP参加に対して消極的であるヒントを出されていることに気付かないんですかね?
韓国のCPTPP加盟は、新たなチャーハンでわ。
加盟申請でもなんでもすりゃあいい。
>洪副首相は「TPPは(他のFTAと比較して)開放度が高く規範水準も高い。韓国の経済体質をアップグレードするモメンタムにできるという考え」と話した。
加盟して高い規範基準になるのでは無く、高い規範基準にならないと、加盟出来ないニダ。
同感ですね。これはチャーハンでしょうね。
本気で加入する気はないと感じます。
最低でも国内法整備が承認条件でしょうね。
例えば、シャインマスカットのような特許侵害をぼうしする法整備がない国とは、まともな農産物の貿易はできない。
日本としては、法整備をしない限り認めないで良いのでは?
参加してから法整備をするというのは、韓国のいつもの嘘ですから。
法整備をしても法に感情が優先する国の法など何の意味もありません.
司法が国際的な約束や条約よりも国民感情を優先するという韓国の実態を元に,韓国は必ず拒否するようにすべきです.
共産チャイナは何の国際条約にも基づかない勝手な言い分を主張するだけでICJの判決に従っていないという実態を元に,必ず拒否すべきです.
「国内法の整備」なんてのは,司法が法に基づく判断をしない国や国際法・国際条約に従わない国には何の意味もありません.
国際法・国際条約を守らず法治でない国々とは絶対に組まないのが幸せである必要条件なのです.
加盟申請は自らの判断で決められても、受理の可否はそうではないんですけどね・・。
K国:我らの加盟申請に死角なし!
N国:彼らの加盟申請に資格なし!!
>洪楠基氏は「加盟国と機会があれば非公式に接触しており、ほとんどが韓国の加盟を歓迎する立場」としつつも、
大統領府や外務省相当部署が「米中豪は朝鮮戦争の終戦宣言に基本的に賛成している」と平気で発表するような国の政治家の発言を一々気にしても胃潰瘍の原因を増やすだけのような気が.
日本政府としてはそういったゴミ発言を気にするのではなく,幾つかの国々から希望が出ているCPTPPへの新規加盟問題に関しては,
1.我が国の国益上からして,少なくとも韓国と共産チャイナとの2ヵ国に関しては加盟拒否を貫くことが絶対的に不可欠であるという認識を政府の全部門が共有することと,
2.実際にCPTPPとして両国の加盟拒否を成立させるためには他の加盟国の大半(全ての加盟国である必要はなく,これら両国の加盟問題に関してCPTPP原加盟国で日本が孤立しないことを目標とすべき)を納得させるための理論武装(つまり拒否理由が日本だけでなく他の加盟国にとっても重要であるという論理的な筋立て)をきちんと用意しておくことと,
3.実際にその理論によって他の原加盟国の過半数を必ず加盟拒否で説得すること(つまり本当の意味での外交をちゃんと行うこと…必要なら原加盟国の中の新興工業国に対してOED等の「金で頬っぺたを叩く」手段で加盟拒否に賛同させるような真似も行えば良い),
この3点が何よりも重要.
はは(笑)いやはや
なんとコメントしていいやら呆れます。
学歴主義者じゃない私ですが
素行が悪くカンニングで得点の中学生が
東大入ってやるニダ と
宣言しているような滑稽さです。
そもそも、国際法違反を
犯したままの現状なのに
こうした主張をしてしまうのが
韓流というもののサガなのでしょうか?
まあ、
有史以来ほぼ中国の属国が実情で
自分たちが欲しいものはオレのものという
山賊追い剥ぎのような歴史の中では
自分たちがふさわしいかと省みる
謙虚な姿勢はのぞむべくもないのかなあ?
と不思議に奇異に感じます。
まあ、
頭ごなしにアホかというのも
かわいそうなので、慇懃無礼に
身のほどを思い知らせてあげるのが
親切というものでしょうなあ。
アメリカは加入しないらしいね
文政権の実績作りの一環でしょうね。
ただ、政権間の継続性が乏しいのは有名なので、どうなるやら。
お疲れさまです。
私から言わせれば鈴置さんのコラムでございました、輸出規制ではなく、横流し疑惑からの輸出管理でございます。
輸出規制と言ってきたら、横流し疑惑をつけて反論する方がより真実に近い反論になると思いました。
お疲れさまです。
ツートラックの一番大切であり肝心で要のところは、過去の問題を解決しないこと。
過去の問題を解決しないことが、真正性の謝罪。
そしてそれに基づき、日本から永遠にお金と技術を奪いとる。
日本と仲良くしなければ、そもそもお金と技術を奪い取れない、だから日本と仲良くする。
日本と仲良くするには、普通の常識的な仲良くはお断り、ツートラックの不平等な仲良くで永遠にお金と技術を奪いとろう。
韓国の行動、態度を見てきてら、そういうことなんだと、日本人の一人として感じました。