「強制労働」なのに年金加入?不自然過ぎる徴用工問題

「強制徴用被害者が年金に加入していた」というのは、ストーリーとしても、かなりの無理があります。自称元徴用工側が日本共産党衆議院議員の支援を得て、厚生年金への加入が認められたという記事がありましたが、もしその年金加入が事実だったとすれば、むしろ自称元徴用工側が主張する「強制労働」というストーリーが虚偽であり、実態がたんなる応募工に過ぎない、という証拠ではないでしょうか。

自称元徴用工問題の不思議さ

自称元徴用工、すなわち「戦時中、日本に強制連行された」と自称する者たちが日本企業を訴え、韓国の最高裁に相当する「大法院」が日本企業敗訴を言い渡すなどした問題が、当ウェブサイトでいうところの自称元徴用工判決問題です。

大法院判決自体は2018年10月に新日鐵住金(現在の日本製鉄)に対し、同11月には三菱重工に対して下されましたが、判決自体が1965年の日韓請求権協定に反するとして、日本政府は韓国に対し「適切な措置」を要求。

しかし、請求権協定に沿った外交協議や国際仲裁手続などを韓国政府が無視したため、結局のところ、この問題は韓国側の司法による国際法違反判決、行政による国際手続法違反という、2種類の違法状態が韓国によってもたらされている状況です。

日本政府が韓国に対し、「韓国が適切な措置を講じるべきだ」と要求するのも当然すぎる話ですが、話はそこで終わりません。

自称元徴用工の主張を眺めていくと、そもそも「強制徴用された」という主張自体に合理的な根拠が見当たらないケースが多いのです。

というよりも、「こんな被害を受けた」と主張するならば、それを主張する側が具体的な証拠を出さねばならないというのが近代法治国家の基本原理なのですが、「強制徴用された」という信頼に値する証拠がほとんど存在しません。

結局は3つの問題に集約される

これは、大変に不思議な話と言わざるを得ません。

実際、2018年の自称元徴用工判決を読んでも、一番大事な「事実認定」の部分が非常に弱く、原告らが「いつ」「どのようにして」強制徴用されたのかに関しては、自称元徴用工側の「証言」以外に証拠らしきものがあまり見当たらないのです。

このあたり、自称元慰安婦問題にも同じようなことがいえるのですが、やはり、韓国側が主張する「歴史問題」自体、たいていの場合は事実ではなく、ウソや捏造などに基づく一方的なものが多いのではないでしょうか。

だからこそ、当ウェブサイトでは自称元徴用工判決には次の3つの本質的な問題があるのだ、と申し上げてきたところです。

自称元徴用工判決の3つの問題点
  1. 日韓間の請求権に関するあらゆる問題は、1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みであり、自称元徴用工判決はこの日韓請求権協定に違反する状態を作り出している。
  2. 韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである。
  3. 日本政府は2019年、日韓請求権協定に従って、韓国に対し外交的な協議や国際仲裁手続を申し入れるなど、平和的な問題解決に向けた努力を行ったが、韓国政府はこれらを無視した。

(【出所】著者作成)

日本共産党議員が動いた!

ただ、この2番目の点については、やはり「怪しい」と思わざるを得ないのが、厚年記録という論点です。

先週の『「日本が強制動員の証拠出せ」と要求する自称元徴用工』では、韓国メディアの報道をもとに、「強制徴用されて日本で働かされた強制徴用被害者」なる者が「厚生年金の加入記録」をもとに、日本に対して賠償を求めている、といった話題を取り上げました。

その「続報」でしょうか。

韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)には今朝、こんな記事が掲載されていたのです。

日本の厚生年金、76年前の強制徴用の「記録」認めたものの…

―――2021-12-08 07:20付 ハンギョレ新聞日本語版より

こちらの記事に、もう少し詳細な話が出ていました。

これは、「1944年から45年にかけて、三菱重工の名古屋工場で強制労働させられた」と自称する者が、日本共産党の本村伸子衆議院議員を通じて日本の厚生労働省に年金記録を照会したところ、厚労省側がこの者の厚生年金加入期間を11ヵ月として、厚生年金加入を認めたというものです。

注意しないといけないのは、べつにこの自称元徴用工の加入記録が政府に残っていた、という意味ではない、という点です。あくまでも、本人の申請と「被保険者記録回復基準事務取扱要領」に基づいて厚生年金の加入が認められたというだけの話です。

(どうでも良いですが、ハンギョレ新聞の原文では、本村議員の所属政党をなぜか報じていません。どうして「日本共産党の支援を受けた」と明記しないのでしょうか?)

ストーリーに無理がある「年金が存在する強制労働」

いずれにせよ、「強制労働」だったはずなのに、なぜ厚生年金に加入していたのか、という点は、大変に大きな謎です(※なお、厚生労働省HPの記載によると、「労働者年金保険法」は1942年に制定され、1944年に「厚生年金保険法」に改称されているのだそうです)。

「強制労働」というストーリーなのに、なぜここで「年金」という話が出て来るのか、ちょっと理解に苦しむ点です。

むしろ、厚生年金の存在は、自称元徴用工が主張する「強制徴用」が、あくまでも自称元徴用工側の自発的な応募によるものだったという証拠であるとともに、韓国側が主張する「強制徴用被害者が強制徴用されて日本で働かされた」というストーリーが虚偽であるという動かぬ証拠でしょう。

いずれにせよ、ついに自称元徴用工側が「年金記録」を持ち出してきたという点に、自称元徴用工側の迷走を見る思いがする、というわけです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. sey g より:

    彼等にとって、年金加入と強制労働は矛盾しないのでしょう。
    現代でも、正社員となった人が 望まぬ労働を強いられたら それは強制労働なのです。
    給料や、年金などの権利は主張するが それに伴う義務である労働は無視をする。
    朝鮮人の習性を顕著に現した記事ですね。

    1. サムライアベンジャー より:

      >sey g氏
       氏のまさにおっしゃる通り、韓国人の中では矛盾しません。
       韓国の儒教:朱子学は「究極の結果主義」ですから、「強制連行」というウソが先に立つのです。自分の主張のためなら、「年金」とかの不都合な事実は無視されます。

       「反日」と「強制~」は韓国人にとっては最高の組み合わせですね。やめられない麻薬のようなものです。麻薬を常に必要とする麻薬患者ですから、「反日」という麻薬をやめる選択肢もないのでしょう。

      1. sey g より:

        反日ジャンキーですね。
        骨の髄まで麻薬が浸透しているので、人間やめますか?それとも韓国人やめますか?
        の状態ですね。
        韓国が騒ぐ、日本が半島との接点を一つづつ切っていく。
        この流れは、もう立憲民主党でも止められません。

  2. だんな より:

    強制労働では無く、雇用関係だった証明をする為に、99円取りに来て貰いましょう。

    1. がみ より:

      だんな様

      有給休暇も残日数が残ってるかも知れませんね?

      1. だんな より:

        がみさま
        タイムカードも有るかも。

  3. 元日本共産党員名無し より:

    村本議員はよく知らないのですが、日本国民のための仕事とはやや方向の違うこんな仕事に対してリソースの注ぎ方が異常だと思います。日本共産党国会議員団秘書(団)は個々の議員の為ではなく総合的に動くので、中央委員会直結のこの議員団秘書の動きは議員個人の尽力の側面は割と少なく、かなりの部分を党中央の指示としてやって居る事と思います(この辺り、兵本元秘書と橋本敦元参議院議員との間で少し論争になった事がありました)。
    それにしても厚生年金や国民年金も本来ならば1965年の請求権問題の解決で全て韓国政府側に責任が移って居るはずで、たかが「99円」と言えども引き継いだ韓国政府の責任のはずです。だが今回の新宿会計士さまのご指摘の様に【厚生年金付きの奴隷的苦役】と言う解けないナゾを韓国に突きつけるにはこんな矛盾もアリかな?と言う気もしました。韓国人もそろそろ気づけと思います。年金だよ年金。韓国では大半の老人が毎月3万円程度しか受け取れないあの年金ですよ。数十年勤めて三万円に比して一年未満で99円ならばどれだけ高待遇か、と。
    まぁ韓国人のYouTuberや何かは年金なんて遠い未来のよくわからない話と思い、学者や政治家は特に右派なら相当の資産があるし、この矛盾には気付かないかも知れませんね

    1. がみ より:

      元日本共産党員名無し様

      給与未払いがあっても日韓基本条約で韓国政府の支払い義務に移管されてますよね。

    2. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      当時の99円は現在の99万円では?
      庶民にとっては普通に大金だぞ

  4. 七味 より:

    どうでもいいことをふたつ

    韓国で徴用があったかどうかわかんないけど、日本人が徴用された場合でも給料も出るし年金にも入ってるんだと思うのです♪
    「強制」ってつけておどろおどろしい印象を与えようとしてるけど、そのうち課税証明を出して「強制徴収」されたとかいって謝罪と賠償を求めてくるんじゃないかな?

  5. 匿名29号 より:

    >韓国人にだけは76年前の額面で支給している

    2020年の消費者物価指数が102に対して1947年が5.4だから、大雑把に当時の5円は今の100円程度に相当するので、当時の99円は今の1980円程度でしょうか。ただ、たった11ヶ月の加入でこれだけ貰えるのは強制徴用??の割にはえらく高給だったのですね?? もっとも支払い責任は韓国政府に移っているので貰えないかも。

  6. 匿名 より:

    結局、永久に金が欲しいんだなって印象しか。

  7. 匿名 より:

    もう強制労働なんてどうでもいいから
    賠償金が取れないならば年金を頂こうってか
    当時の99円は現在の999万円だー
    だから賠償金の1000万と同じくらいなんだニダーーーー

    在日も国籍条項外した当時も加入拒否してた国民年金をなんとか貰おうと共産党や公明党を動かしてるようだから年金ならば取れそうだと思ってんでしょ

  8. KN より:

    同じ三菱重工の名古屋工場で戦闘機を製造していた元台湾少年工の方は、「志願した」と明言していますね。
    http://dontena.doorblog.jp/archives/26681921.html

  9. 匿名 より:

    朝鮮人だけ厚生年金に強制加入させられたニダ!

  10. カズ より:

    刹那主義の彼らのことですから、意に添わず源泉徴収された掛金は、雇用主による搾取の一環でしかなかったのかもですね。

    *****
    共産党は何としても矛先を日本政府(企業)に向けないと行けないんですよね。たぶん。

    戦後、日本企業から朝鮮総連に渡された精算金(朝鮮人労働者らへの未払金相当分)から活動原資を提供され発足(ネコババ)したのが日本共産党ってことじゃなかったっけ・・?

  11. 農民 より:

    「ね、年金記録はあるが実際には未払いだ。日帝は高給も休暇も住居も年金もあるなどと甘い言葉でワシらに応募を実質的に強制したのじゃ。証拠はワシじゃ!!!」

     …あたりでまだ頑張れるかな。

     修飾語を重ねるのが大好きだから、強占期だの強制○○だの不思議な言葉を創るのでしょうが。強制徴兵は日帝残滓!!とかやれば兵役逃れられるんじゃない?あと強制徴税は未開!!!とかやれば脱税できるんじゃない?
     あ、NHKの強制契約ってやっぱオカシイですね。人類普遍の正義のためにやめないと(流れ弾)。

  12. j より:

    この国に情けをかけたら、国益を損なう。

    最高に厳しくして、ちょうどよいと思います。

  13. ベル より:

    さすがにこの主張は無理でしょう。
    戦前の年金制度は税金や国債などによらない戦費調達手段とも考えられているからです。
    wikipediaの厚生年金の歴史の項にも記載されています。

  14. クロワッサン より:

    うーん、強制労働かどうかと厚生年金は別扱いしといた方が筋が良いと思います。

    自薦他薦問わず労働者の募集に応募して日本本土で働いた、というだけの事かと。

    今の日本でも草刈りの奉仕活動があって、出なければお金を取られたりします。

    其れの国家版が当時の軍需工場での労働で、朝鮮系日本国民として働いただけの事かと。

    韓国が強制労働だ違法だと文句を付けるには、朝鮮国民から朝鮮系日本国民になったのが国際法的に違法だってしないといけないんですけど、当時の列強が承認してるし、韓国が主催?した国際法学者の学会でも「違法ではない」との結論が出ている以上、韓国の主張は筋が悪過ぎるんですよね。

    1. クロワッサン より:

      整理すると、

      朝鮮併合を国際法上合法であるとする日本の立場だと、朝鮮系日本国民が国家規模の奉仕活動の一環として日本本土の軍需工場で働く事自体に問題はありませんが、

      朝鮮併合を国際法上違法であるとする韓国の立場だと、朝鮮国民が朝鮮系日本国民として国家規模の奉仕活動の一環として日本本土の軍需工場で働く事自体に問題が出る、

      という事です。

      なので、本土で働いていたという証拠が韓国としては違法な労働をさせられていた証拠になっちゃうという事です。

      1. クロワッサン より:

        中国元労働者との和解、日本企業に警戒広がる 敗訴なら財産差し押さえの懸念
        2016/6/1 23:46
        https://www.sankei.com/article/20160601-EO2YDLOFLNJGBLSBUUVJ3PGMAM/

        この記事とか参考になるかもですね。

        日中間では中国政府が対日請求の窓口になるとはなっていない筈ですし。

        日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
        https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html

        日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約
        https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html

        1. クロワッサン より:

          自己レスです。

          地域社会での住人に対する奉仕活動は「その地域の住人だから」が根本だと考えます。

          なので、当時の日本政府による日本系日本臣民や朝鮮系日本臣民に対する徴用は「日本臣民だから」が根本だと考えられます。

          支那人に関しては、「支那系日本臣民」なら徴用されても「日本臣民だから」が適用出来て、「支那人」だと適用出来ないです。

          日中間では「併合」が無く、日韓間では「併合」があり、「併合」が国際法上合法か違法かの見解の相違は日中間でそもそも生じません。

        2. クロワッサン より:

          そして、新宿会計士さんもご存知の通り、日韓間の併合への見解の相違は65年条約で「解決しない事で解決する」としており、韓国民が有する対日請求権は、韓国政府が日本政府や日本企業、日本国民の代わりに窓口となって対応し、韓国政府と韓国民の間で解決する事になっています。

          と言う事で、とある韓国民がかつて日本本土で朝鮮系日本臣民として働いていたとしても、その韓国民が有する対日請求権は韓国政府が窓口となって解決すべきであり、日本企業や日本政府の掛けた手間や費用を肩代わりしない時点で「65年条約違反」と言えるのではないかと考えます。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

サムライアベンジャー へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告