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FOIPと距離置く韓国と防衛協力が停滞するのも当然

「韓日双方は停滞した防衛協力を復活させねばならない」。そんな主張が韓国メディアに掲載されました。少し待ってほしいと思います。そもそも日韓防衛協力を停滞させる原因を作ったのは一方的に韓国だからです。それだけではありません。日本が提唱し、米国などとの間でコンセンサスとなりつつある「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に頑なにコミットしない韓国と、日本が防衛協力を積極的に推進するという理由もありません。

FOIP考

FOIPを作り上げた3人の総理

麻生太郎、安倍晋三、菅義偉の各総理大臣には、日本の外交を大きく変えたという共通点があります。それが、「自由で開かれたインド太平洋」、あるいは英語の “Free and Open Indo-Pacific” を略した「FOIP」という考え方です。

外務省が公表する『令和3年版外交青書』(※PDF版、大容量注意)によれば、日本の外交には「7つの重点分野」があり、日米同盟に続き、2番目にFOIPの推進が明記されているほどです。

日本は、日本の国益を守り増進するため、①日本外交・安全保障の基軸である日米同盟の強化、②『自由で開かれたインド太平洋』の推進、③中国・韓国・ロシアといった近隣諸国外交、④北朝鮮をめぐる諸懸案への対応、⑤中東情勢への対応、⑥新たなルール作りに向けた国際的取組の主導及び⑦地球規模課題への対応を中心に、外交に取り組んでいく。」(『令和3年版外交青書』P20)

FOIP自体は麻生太郎総理大臣が外相時代に提唱した「自由と繁栄の弧」を下敷きに、安倍総理が「セキュリティ・ダイヤモンド」を経由して具体的な構想に結実させたものであり、それを菅総理が現実の外交路線に組み込んだという、じつに3人の総理の努力の結晶、というわけです。

菅総理から政権を引き継いだ岸田文雄・現首相は、麻生・安倍・菅の各総理が敷いたFOIPという路線をそのまま走れば、外交面で大きなミスはないでしょう。

FOIPは外交だけでなく防衛面でも日本の基軸に!

そして、このFOIPは外交面のみならず、防衛面においても、大きな成果を残しました。

その意味で、防衛省が公表する『令和3年版防衛白書』(※PDF版、大容量注意ウェブ版)も、大変に興味深いものです。ウェブ版『特集1 防衛この1年』によると、FOIPについてはこんなことが記載されているからです。

インド太平洋地域は、世界人口の半数を擁する世界の活力の中核であり、主要なシーレーンが通過しています。『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』というビジョンは、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた秩序を実現することにより、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄を確保していくとの考え方に根ざしたものです。FOIPは包摂的なものであり、この考えに賛同するのであれば、いずれの国とも協力可能です」。

つまり、FOIPは日本にとって、外交面でも防衛面でも、日米関係に続く基軸となりつつあるのです(図表1)。

図表1 FOIP

(【出所】防衛省『特集1 防衛この1年』)

FOIPの本当の役割は、対「米」牽制に!

ところで、このFOIPを巡っては、世間的には「中国に対する牽制」という見方が強いことは事実でしょう。

ただ、当ウェブサイトの見方で恐縮ですが、このFOIPには、中国だけでなく、米国に対する牽制、という側面があります。

なぜなら、『近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた』でも述べたとおり、そもそもこのFOIPはそれにコミットする国(たとえば「日米豪印クアッド」)同士の「内部牽制」という、大変に大きな役割があるからです。

日本時間の土曜日早朝、菅義偉総理は訪問先の米国で史上初の対面での日米豪印首脳会談に臨みました(厳密には、今年3月のテレビ会議を含めれば、首脳会談としては2回目ですが…)。少しインドのトーンが弱いというのは気になるところではありますが、ただ、今後は「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)が日本外交における基軸となることは間違いありません。まさに菅政権の最後の仕上げ、というわけです。クアッドではなくFOIPが重要先日の『日本外交は「クアッド+台湾」>「中露朝韓」の時代へ』では、「最後の最後まで仕...
近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた - 新宿会計士の政治経済評論

日本にとっては、FOIPを推進すること自体、FOIP陣営全体の立場を強めるだけでなく、米国に対する日本の立場をも強めるという効果が期待できる、というわけです。

このあたり、注意が必要な点です。

米国は意外と、これまでに自由主義諸国の信頼を裏切る行動をしてきたからであり、その典型例は、ニクソン訪中でしょう。

1972年2月、当時のアメリカ合衆国大統領のリチャード・ニクソンが突如として中国を訪問し、当時の中国の最高指導者だった毛沢東(もう・たくとう)や首相の周恩来(しゅう・おんらい)らと会談するなどし、米中国交正常化に舵を切ったからです。

もちろん、米ソ対立が深刻だった当時と現在とでは、置かれている国際環境もまったく異なります。

しかし、米中国交正常化は、大陸の政権を「中共」と呼んで激しく対立していた台湾(中華民国)にとっても、当時、中国と国交を樹立していなかった日本や西ドイツ(当時)などにとっても、まさに「寝耳に水」のようなものでした。

米中国交正常化から半世紀が経過するなかで、日本がFOIPの概念を提唱し、自由・民主主義国が「基本的価値」でまとまるきっかけを再び提供したことで、結果として、じつは米国自身を「自由・民主主義」陣営に縛り付ける効果が得られるのかもしれません。

韓国とFOIP

FOIPにコミットしない韓国と「戦略的あいまい性」

もっとも、こうしたFOIPの推進で弾かれる国があります。

韓国です。

米中対立局面が激化しつつあるなかで、韓国はしばしば、米国から旗幟を鮮明にするように求められていますが、その韓国は「戦略的あいまい性」と称し、米中双方に対し、中立的立場を貫こうとしているのです(言い方は悪いのですが、「漁夫の利」を得ようとしている、と呼ぶべきでしょうか)。

もちろん、米国がそんなことを許すはずはありません。

なにせ、韓国は米韓同盟の存在によって北朝鮮などから国土を守られているわけであり、まさに米国との軍事同盟の最大の受益者です。

これに関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には先月、こんな記事が掲載されていました。

韓国の「戦略的あいまい性」の寿命は終わろうとしている(1)

―――2021.11.02 15:33付 中央日報日本語版より

韓国の「戦略的あいまい性」の寿命は終わろうとしている(2)

―――2021.11.02 15:33付 中央日報日本語版より

記事タイトルには、「戦略的あいまい性の寿命は終わろうとしている」、とありますが、これはこのほど米中覇権競争を巡る著書を出版したというソウル大政治外交学部の教授に対するインタビュー記事です。

インタビューでこの教授は、バイデン政権下でトランプ政権時代と比べ、米国の対中圧迫度がさらに上昇したと延べつつ、米中関係悪化が韓国に「深刻な悪材料として作用する」として、次のように指摘します。

我々は米国とは同盟、中国とはパートナー関係を結んでいる。両国ともに非常に重要な存在であり、両国との関係悪化は必然的に韓国に非常に深刻なジレンマを抱かせるだろう」。

何を当たり前のことを述べているのか、と呆れざるを得ない記述です。

米国に同盟で国土を守ってもらっておきながら、「経済的に中国は大事だ」という理由で、米国が突き付けるFOIPに頑なに参加しようとせず、米中対立で「良いところどり」を目指す韓国の姿勢は、米国から嫌悪されることはあっても好感されることはありません。

それなのに、この記事では「2つの強大国が対立する局面では中小国はどちらか一方に偏るのではなく、曖昧性を維持しながら被害の最小化を模索する」、「適応と対応の戦略を適切に混ぜて実利を増やし、被害は減らすという努力をする」などと述べるのです(これを記事では「ヘッジング戦略」などと称しているようです)。

歴史に学ばない国

さて、この記事を取り上げたのには、ちゃんとした理由があります。

記事ではいちばん肝心な部分――「韓国は米中どちらにつくべきか」、という点に関する「結論」――が、すっぽり抜け落ちているからです。

そして、記者が「韓国はどんな選択をすべきか」と尋ねた際、この教授はこんなことを答えたのだとか。

我々も多くの国がするように適切に混ぜた戦略を選択するのが合理的だ。民主国家であり米国の同盟である韓国の『最適選択肢』は対応とヘッジングの間のどこかに位置するものと評価される」。

まさに、この教授がいう「対応とヘッジングの間で最適な選択肢を探る」という戦略自体が米国を極度にいら立たせているのですが…。

いずれにせよ、中央日報の記事は、「韓国の戦略的あいまい性が寿命を迎えている」ものの、「それではその戦略的あいまい性に代替し得るものはいったい何なのか」、という点に関し、明確な言及は見当たりません。

この手の結論のない文章、ビジネスマンだと落第点ではないかと思う次第ですが、これを読んで思うところは、それだけではありません。

まさに、世界史を紐解けば、こうした強大国の対決局面で、これといった覚悟を持たない「中立(?)国」がどういう末路を辿ったのか、参考になる事例はいくらでも出ています。その最たるものは、明・清双方に対してバランス外交をして失敗した朝鮮王国そのものでしょう。

あるいは朝鮮王国といえば、近代に入り日清両国間であいまいな戦略を取り、日清戦争で日本が清に勝利して以降はロシアに近づくなど、常に強大国との間でのバランス外交を続けてきたのです。曖昧な戦略を取って自分たちの国がどういう末路を辿ったのか、歴史を知らないというのは本当に怖いと思わざるを得ません。

すでに日韓の防衛交流は停滞

このように考えていくと、日本がFOIPを提唱し、日米豪印を含めた主要国がFOIPでまとまろうとしていることは、大変に重要なことを示唆しています。

歴史的に見たら、韓国は明清二股外交、日清二股外交、日露二股外交、米中二股外交を続けてきたのですが、二股外交のうちの片方が自由民主主義諸国同士でまとまり、韓国はそこから弾き飛ばされる形となっているからです。

ただ、日韓両国に関していえば、すでに防衛交流は停滞の兆しを見せています。

具体的には、『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』でも報告したとおり、防衛面での日韓の「ハイレベル防衛交流」が、ほとんど行われなくなっているのです。

本稿は、速報です。ついに韓国との「ハイレベル交流実績」が「ゼロ回」になってしまいました。コロナ禍のために対話が停滞しているためなのか、それとも「それ以外の理由」があるのかはさておき、事実として、防衛省が本日公表した『令和3年版防衛白書』によれば、韓国は昨年4月からの1年間で「交流実績ゼロ」だったのです。「竹島」云々より、むしろこちらの方が重要なのかもしれませんね。ハイレベル交流実績以前の『ハイレベル防衛交流面でも大幅に後退していた日韓関係』で、過去数年分の防衛白書を確認したところ、韓国との「...
ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書 - 新宿会計士の政治経済評論

防衛白書によると、「ハイレベル防衛交流」とは「防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、事務次官、防衛審議官、各幕僚長」が「それぞれのカウンターパート」と実施する2国間会談のことを指しているのだそうですが、これについて過去数年分を比較すると、図表2のとおり、日韓間ではほとんど行われなくなっています。

図表2 ハイレベル級協議の開催回数(クリックで拡大)

(【出所】過去の防衛白書より著者作成)

そして、こうした状態を受けてでしょうか、昨日は中央日報にこんな記事が掲載されていたのを発見しました。

「遅いと思う時が一番早い」韓日軍事交流

―――2021.12.07 13:56付 中央日報日本語版より

中央日報の記事のタイトルは、「遅いと思うときが一番早い」ということば(韓国国内の格言でしょうか?)を持ち出して、日韓軍事交流の回復を呼びかけるというものです。

中央日報は、こう述べます。

国家間の関係はさまざまな利害関係が複雑に絡んでいて、難しい問題に直面するほど戦略的コミュニケーションがより一層重要になる」。

このあたりは、一般論としては決して間違った記述ではありません。

旭日旗と火器管制レーダー照射

この中央日報の記事の続きを読む前に考えておきたいのが、「ではなぜ、日韓両国の防衛交流は停滞しているのか」、です。思いつく理由はいくつかあるのですが、その最たるものは、韓国が日本からの信頼を踏みにじる行動を続けてきたことでしょう。

たとえば、2018年10月、韓国海軍は済州島(さいしゅうとう)で世界の海軍の艦艇を集め、国際観艦式を主催しましたが、その際、外国の艦艇には艦旗を掲揚しないように要求しました。これは、日本の自衛艦に艦旗(いわゆる旭日旗)を掲揚させないための要請と考えられます。

結局、日本はこの要求を拒絶し、国際観艦式への参加を見送りました(ただし、『旭日旗騒動 7ヵ国が韓国の要請無視、ボイコットは5ヵ国?』でも述べたとおり、日本以外の参加国も多くはこの韓国政府の要請を無視したようですが…)。

韓国が日本の自衛艦に対し、韓国が主催する国際的な観艦式の場で、旭日旗を掲揚しないように求めたという「旭日旗騒動」については、当ウェブサイトでも頻繁に取り上げて来ました。昨日の観艦式の模様について確認したところ、少なくとも7ヵ国はこの要請を無視し、最大で5ヵ国が観艦式をボイコットした可能性があると私は考えています。旭日旗騒動の顛末先週、当ウェブサイトでは「旭日旗騒動」を大きく取り上げました。これは、10月11日に韓国・済州島海軍基地で予定されていた国際的な観艦式に招待された自衛艦が、艦旗である旭日...
旭日旗騒動 7ヵ国が韓国の要請無視、ボイコットは5ヵ国? - 新宿会計士の政治経済評論

いずれにせよ、日本の自衛艦に対しては招待状を出しておきながら、「旭日旗を掲揚するな」は非礼にもほどがあります。

ただ、こうした非礼はほんの「前座」に過ぎませんでした。

やはり日韓の防衛協力関係が停滞する決定的な要因のひとつは、2018年12月20日に石川県能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で発生したとされる、韓国海軍駆逐艦「広開土大王」による海自P1哨戒機に対する火器管制レーダー照射事件でしょう。

これについては韓国側が火器管制レーダーを照射した証拠はいくらでもあるのに加え、日本の発表に対し「日本の哨戒機が低空威嚇飛行を仕掛けてきた」というウソをついて「逆ギレ」したという点でも異例ずくめの事件でした(『【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表』等参照)。

速報です。防衛省が先ほど、韓国との事実上の協議打ち切りを宣言しました。ただ、日本国民の1人としては、防衛省の今回の発表については、後味の悪さが残る気がします。防衛省におかれては、本件発表をもって「一件落着」とするのではなく、やはり最低でも責任者(文在寅大統領本人)からの真摯な謝罪と責任者の厳罰を要求し続けるべく、本件については韓国側に説明責任を求め続けるべきではないでしょうか?防衛省、事実上の韓国側との協議打ち切りを通告防衛省は先ほど、昨年12月20日に発生した「火器管制レーダー照射」事件を巡る...
【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表 - 新宿会計士の政治経済評論

火器管制レーダー照射自体、ときと場合によってはれっきとした準戦闘行為とみなされますし、下手をすればそのまま軍事攻撃とみなされて開戦に至ることもある、大変危険な行為です。

そして、韓国はこれについて、再発防止策の確約や日本に対する謝罪など、然るべき行為を行っていないばかりか、レーダー照射した事実をいまだに認めず、「むしろ日本が低空威嚇飛行をした」などと言い続けている状況でもあります。

輸出管理適正化措置とGSOMIA破棄

もっとも、安全保障という点では、もうひとつの「事件」を挙げておくことも必要でしょう。

これが、日本の経産省が2019年7月に発表した、韓国に対する輸出管理を厳格化(あるいは適正化)する措置です。

経産省『大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて』によると、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理上、韓国を「ホワイト国」から外し、あわせて一部品目に個別許可を導入したものです。

韓国側ではこれを「日本による不当な輸出『規制』だ」と、わざと間違った用語を使いながら舌鋒鋭く批判し続けていますが、これはもちろん、輸出「規制」ではありません。

あくまでも輸出管理の適正化措置です。

そして、『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』あたりで議論したとおり、この措置自体は韓国における輸出管理でかなり不適切な事案が発生し、このまま放置すれば日本がほかの国から批判されかねない状況にあった、というのが当ウェブサイトなりの現時点の見解でもあります。

とある理由に基づき再開した『数字で読む日本経済』シリーズ、本稿で第8回目となりました。今回は「中韓がなくても大丈夫な日本経済」をテーマに、おもに数字を使いながら日中関係、日韓関係について議論しているのですが、日韓関係に言及した際に欠かせない論点のひとつが、安全保障上の措置に基づく輸出管理の強化・適正化措置です。追記:本文中で数ヵ所表現などを修正しています(詳細はコメント欄などをご参照下さい)。韓国との関係をどう見るか両国関係を数字で読むことの重要性『数字で読む日本経済』シリーズとして、現在展...
対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった? - 新宿会計士の政治経済評論

ただ、韓国はこの措置に対し、『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(つまり「日韓GSOMIA」)の破棄を通告するなどの対抗措置を取ってきましたが、正直、輸出管理問題で安全保障上の協力関係を壊そうとするというのも異例でしょう。

(※もっとも、『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』などでも触れたとおり、韓国側は米国に強く要求されたためか、このGSOMIA破棄については効力発生直前になり、事実上の撤回に追い込まれています。)

当ウェブサイトではここ最近、連日のように『数字で読む日本経済』シリーズを掲載して来たのですが、本日だけはこれを中断し、昨日「速報」的にお知らせした、韓国政府が日韓GSOMIA破棄を撤回したという話題について、改めてじっくりと考えてみたいと思います。総合的な判定でいえば、日本の勝利、韓国の敗北ですし、それだけでなく、文在寅氏は習近平、金正恩らの独裁者を敵に回してしまった格好ともなりました。文在寅氏がこうした窮地を脱するために、今後、今まで「隠れ蓑」にしていた「反日」の皮を脱ぎ、「反米」としての...
韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが… - 新宿会計士の政治経済評論

防衛面でも日韓テーパリング

こうしたなか、先ほど紹介した『「遅いと思う時が一番早い」韓日軍事交流』の記事に戻りましょう。

記事には、こんな記述があります。

2018年12月に哨戒機事件が発生して以降、2019年6月にシンガポールで韓日国防閣僚が立場の違いを狭めて交流を正常化しようと述べた。しかし韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)と日本の輸出規制をめぐる隔たりで、韓日軍事交流は事実上の中断状態だ」。

まるで、日韓防衛交流が停滞している理由が、日韓双方にあるかのような書き方です。

ただ、正直、韓国側にほぼ100%の原因があるにも関わらず、「韓日がお互いを信頼すべきだ」「韓日防衛相が会わなければならない」などと述べるのは、いつもの韓国メディアの言い分、という気がしてなりません。

すなわち、日韓間の防衛交流が途絶えた背景には、少なく見つもって①旭日旗騒動、②火器管制レーダー照射事件、③GSOMIA破棄騒動、という、韓国側が作り出した3つの問題点が存在しているからです。

ただ、韓国はこうした非常識な騒動を起こす国であると同時に、やはりFOIPに頑なにコミットせず、中国に対しても、米国を含めた西側諸国に対してもあいまいな態度を貫くという不誠実な国でもあります。

その意味では、日韓防衛交流が途絶えるのもやむを得ない話でしょうし、また、結果論ではありますが、日本にとっては防衛面の協力相手を韓国からFOIP諸国へとシフトさせる原動力となっているのかもしれない、と思うのです。

すなわち、日韓防衛対話が復活するためには、韓国が少なくともいくつかの不法行為を日本に対しきちんと謝罪することが必要ですし、また、韓国がFOIPにある程度はコミットする姿勢を見せなければなりません。

それができないのであれば、やはり防衛面でも「日韓協力のテーパリング」は進まざるを得ないのではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • 中央日報の記事は、読んでませんでした。
    >新型コロナ感染拡大の影響でオンライン会議に進行されるが、韓国の徐旭(ソ・ウク)国防部長官が岸信夫防衛相と自然な形で会う環境が準備されなければいけない。韓日の閣僚が共同の懸案のほか、国際平和に関する立場を交換すれば、お互いを理解して信頼する機会になるだろう。

    朝鮮脳ではこういう話になるんでしょうが、日本にしてみれば「馬鹿も休み休み言え」という論外な内容でしょう。
    日本を主敵としている国との防衛協力は、「有り得ない」でしょう。

    • そもそもの問題として、事実を適切に認識できない相手とはいかなる交渉も対話も成り立たないでしょう。
      国家やメディアの要職を担う人間がこんなのばかりというのは、先進国では稀有なことだと思います。

  • 平気で敵前逃亡し、さらには後ろから撃ってくる韓国なんかと、協力できるはずがありません。
    「見方にすると邪魔だが、的に回せば笑える」のが韓国軍です。

    • イーシャさま
      ついでに
      誤:見方
      正:味方
      思わぬ所に敵がいるニダ。

    • イーシャ様

      的(マト)で正しいと思いますよ。
      一瞬大いに受けたのですが訂正されるとは残念にだ

      • ソバーシュ 様
        タナカ珈琲 様
        狙ったときより本当に間違えたときの方が受けるなんて悔しいニダ。
        K空母が本当にできれば、魚雷の的に最適ニダ。

    • イーシャ様
      > 見方にすると邪魔だが、的に回せば笑える
      段を乗り越えられない戦車、飛ばない戦闘機、沈むと浮いてこない潜水艦、銃を撃とうと思ったら弾が無い現実、などなどあれば、確かにお笑い軍ですねw

      • うむ、韓国では兵器ですら絶対安全を達成しているのですね。安全意識の高さに敬意を表したいと思います。日本では、ISO26262に基づく機能安全の実現にも四苦八苦していますので、まだまだ努力が必要です(何の?)。

  • もともと、小国という立場でも荷が重すぎるのだと思います。一地域に早く転換できると良いですね。

  • レーダー照射してくるような相手に対して、いくら大臣同士が握手をしても、現場の自衛官は自分らの命を左右することなので握手はしないでしょう。

  • 毎日の更新御疲れ様です。締結した協定等を片っ端から反故にしていながら協力要求や期待とは、どれだけ上から目線なのでしょうね。北ではなく日本を敵視しているのでしょうから「敵に防衛協力する事を」はシャレにならないよ。

  • 昨日のBSプライム、安倍元首相が出演、色々と興味深いお話をされていました。未視聴の方は是非、ダイジェストを視てください。かつての冷戦時代は東西が対峙していたのはヨーロッパが前線で、現在はその場はアジア太平洋に移り、、という話がありました。

    • Sky様

      日本が前線でなかった事ってありましたでしょうか?
      海に囲まれている事で他国軍隊が歩いて来る事はありませんが、
      船であれば、いつでもそこに敵軍が現れるのです。
      刀伊・元寇等、江戸時代の蘭学者達が恐れており
      海防を主張しましたが、幕府が無視し黒船が出現しました。
      現代では中露の艦隊が日本一周した事を忘れてはいけません。

      • ちょろんぼさま
        その通りです。先ほどダイジェスト版を聴取したところその辺りの話が削除されてたのに気づいたのですが、現在、東西衝突の場はアジア太平洋地域が最前線になってきた。FOIPをはじめとする重層的に様々な仕組みで基本的価値を共有する国々と協力して対峙しなければ、という内容がありました。そしてロシアは軍事力は強いが経済力は韓国と同程度であり、より重要なのは中国。強大な中国と対峙するために、ロシアとはできるだけ友好な関係を模索する、というような内容であったと思います。こないだの中国ロシア共同軍事演習も話題に挙がってましたが、当然これは望ましい姿ではないでしょう。

      • 世界の重心というものを、新しい均衡点が生まれようとする現場と定義するなら、世界の重心は今ちょうど南シナ海あたりにあると思えてなりません。
        立てた小枝がどの方角へ倒れ込もうとするのか誰にも分からない。各国艦艇が世界から殺到しているのは偶然ではないのでしょう。

      • 日本単独の視点と、世界各国の共通視点(注目度)の違いではないでしょうか。
        日本の国境は常に日本にとって前線だったと思いますし、世界の対立構造と無関係ではありませんでしたが、冷戦時代の世界の最大の関心は欧州の東西正面に向いていたと思います。

  • >『戦略的あいまい性』の有効期間が終わろうとしている。
    って言ってるのに、
    >同時に米中が我々を必要とするように導く『相関性』を絶えず創出しなければいけない。
    って、何が違うのかよくわかんないのです♪
    言葉遊び?

    >我々がずっと『4分の1』の過程にとどまっているからだ。学界と政策サークルでの真摯な批判と議論(1/4)に続いて、・・・・
    っていうけど、1/4もちゃんと出来てないんじゃないかって思うのです♪

    • 七味さま
      前半は、「二股外交の消費期限を延ばす事を考える」という意味。
      後半は、朝鮮脳だからちゃんと出来ない。

      では、どうでしょう。

      >韓国が追求してきた国益は概してお金に簡単に換算される貿易・投資・観光など短期的かつ経済的な利益に置き換えられてきた。

      これが韓国の国の価値の評価で、KPOPで韓国が世界の文化の最先端だという価値観なんだと思います。
      世界の最貧国から、成り上がったのだから、当たり前なのかもしれませんが。

  • 人間関係においても、二股を続けるには技術が必要だからね

  • >曖昧な戦略を取って自分たちの国がどういう末路を辿ったのか、歴史を知らないというのは本当に怖いと思わざるを得ません。

    韓国は歴史を「知らない」のではなく「見失った」のだと思います(*・ω・)ノ

    愛をとりもどせ!  〜K-Version〜

    コリアン 嘘を吐いて生きている
    コリアン 嘘を重ね生きている

    厚い嘘を 事実で暴いても 今は無駄だよ
    邪魔するウリは チニルパ指定で ナムさ

    コリアン 嘘の被害 創り出す
    コリアン 嘘の歴史 創り出す

    お金求め さまよう歴史 今 嘘で覆われて
    いつかバレて 無惨に飛び散るはずさ

    重ねた嘘を守る為 事実をねじ曲げ 歴史を 見失った
    歴史を忘れたコリアに 未来は無いさ 嘘は終わらない

    コリアン 嘘で事実 切り裂いて
    コリアン 嘘で歴史 切り裂いて
    誰もコリアの妄想 止める事 出来はしないさ
    引き付け合う中韓 離れない 二度と

    重ねた嘘を守る為 事実をねじ曲げ 歴史を 見失った
    歴史を忘れたコリアに 未来は無いさ 嘘は終わらない