政党支持率調査で「維新>立憲」が傾向として定着か?
読売新聞が公表した調査によると、岸田内閣支持率は前月比6ポイント上昇して62%でした。また、政党支持率では「維新>立憲」という傾向が続いているようです。支持率調査自体、メディアによるバイアスがかなりかかっている可能性もあるため、鵜呑みに信頼すべきではありませんが、とくに政党支持率で立憲民主党が日本維新の会に抜かれているという点は、オールドメディアの世論支配力が低下している証拠ではないかと思う次第です。
支持率調査は鵜呑みに信頼すべきではないが…
当ウェブサイトでは6つの世論調査(読売新聞、朝日新聞、時事通信、共同通信の4社が実施するものと、産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同調査)に基づく内閣支持率、政党支持率などを「定点観測」しています。
といっても、各メディアが実施する世論調査には、どうも「怪しさ」を感じざるを得ません。というのも、調査をするメディアは公表する前に、何らかの「操作」をしているのではないか、という疑念があるからです。
また、そもそも論として、各メディアが実施している世論調査自体、聞き方(質問の順序、質問の仕方など)によって調査結果はある程度誘導可能であると考えられること、調査結果自体に何らかの調整が加えられている可能性が高いことなどを踏まえるなら、これらの調査を鵜呑みに信じるべきではないと考えられます。
さらに、『政治ジャーナリストが立憲民主党とメディアを痛烈批判』でも説明したとおり、10月31日の衆院選では、各社が実施した事前の情勢分析・獲得議席予想は「大外れ」ばかりだった、というのも記憶に新しい点です。
いずれにせよ、世論調査を定点観測する意義は、「異なるメディアが同じタイミングでどんな世論調査結果を出して来たか」、「同じメディアが異なるタイミングでどんな世論調査を出して来たか」を確認することで、国内政治の動向を何となく読むことにあります。
「内閣支持率や政党支持率については鵜呑みに信じたりせず、あくまでも単なる『参考』くらいに位置付けておくのが正解だ」、という当ウェブサイトの以前からの仮説については、やはり、さほどおかしなものではないと考えておいて間違いないでしょう。
岸田内閣の支持率は前月比6ポイント増=読売新聞
以上の前提条件を置いたうえで、あらためて最新の世論調査に基づく内閣支持率を確認しておきましょう(図表1)。
図表1 内閣支持率(2021年11月~12月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
---|---|---|
朝日新聞(11/6~7) | 45.0%(+4.0) | 27.0%(+1.0) |
日経・テレ東(11/10~11) | 61.0%(+2.0) | 27.0%(+2.0) |
産経・FNN(11/13~14) | 63.2%(±0) | 30.7%(+3.3) |
時事通信(11/5~8) | 47.1%(+6.8) | 21.3%(+2.5) |
共同通信(調査日不明) | 60.5%(+2.4) | 23.0% |
読売新聞(12/3~5) | 62.0%(+6.0) | 22.0%(▲7.0) |
(【出所】各社報道より著者作成)
12月分の支持率調査については、現時点で手に入るのは読売新聞のものだけですが、内閣支持率は6ポイント上昇して62%となる一方、不支持率も7ポイント低下して22%でした。
読売新聞の調査だと、朝日新聞などの調査と比べて伝統的に自民党政権の支持率が高く出るという傾向がありますが、それにしても総選挙後直後のものと比べて一気に6ポイントも支持率が上昇したというのは、なかなか興味深い現象です。
増税原理主義を隠す知能を持っているのか?
総選挙直後、給付金を巡るグダグダがあったにも関わらず、なぜここまで支持率が上昇したのかを巡っては、読売新聞の報道記事を読む限り、「オミクロン株」に対する政府の水際対策が「高い評価を得た」ためだ、という印象を抱きます。
内閣支持率6ポイント上昇の62%、新規入国停止「評価」89%…読売世論調査
―――2021/12/05 22:00付 読売新聞オンラインより
もっとも、個人的に岸田首相に対しては、「財務省の言い分ばかり聞く人物」、「外相時代には韓国に何度も騙された人物」という印象を抱いているのですが、来年7月の参院選までに「増税」を打ち出してしまえば、自民党が参院選で勢力を減らすということにもつながりかねません。
このように考えていくと、参院選までまだ半年以上の時間が残されている状況で、たまたまこのタイミングの調査結果が良いものだったからといって、岸田内閣が長続きするのかどうかについて予断することは適切ではないでしょう。
このあたり、岸田政権の脇を固める財務省出身者、あるいは財務省シンパの皆さんが、あと半年間、おとなしく「増税論」を封印するだけの知能をお持ちなのかどうかについては、あわせて見極めていく価値がありそうだと思う次第です。
政党支持率では「維新>立憲」の逆転が定着か?
もっとも、今回の読売新聞の調査を含めて、11月から12月にかけての政党支持率を振り返っておくと、興味深いことが判明します。どうも政党支持率で立憲民主党と日本維新の会の「逆転」が常態化し始めているようなのです(図表2)。
図表2 政党支持率(2021年11月~12月)
メディアと調査日 | 自由民主党 | 立憲民主党 | 日本維新の会 |
---|---|---|---|
朝日新聞(11/6~7) | 36.0%(+2.0) | 9.0%(+2.0) | 9.0%(+6.0) |
日経・テレ東(11/10~11) | 44.0% | 9.0% | 13.0% |
産経・FNN(11/13~14) | 40.2%(▲5.1) | 9.0%(+2.6) | 11.7%(+9.1) |
時事通信(11/5~8) | 27.2%(▲0.2) | 5.4%(+1.6) | 4.7%(+3.2) |
読売新聞(12/3~5) | 41.0%(+2.0) | 7.0%(▲4.0) | 8.0%(▲2.0) |
(【出所】各社報道より著者作成)
立憲民主党といえば、先週、47歳の泉健太氏が新代表に選ばれたばかりであり、個人的には「ご祝儀」的に支持率が上昇しても良いのではないか、などと思っていたのですが、現実には読売の調査でも、1ポイントではあるとはいえ、支持率で日本維新の会が立憲民主党のそれを上回っているのです。
このあたり、『立憲・共産党の年代別支持層は70歳以上が最多=産経』などでも議論したとおり、立憲民主党や日本共産党の支持層は高齢者に偏っている、といった調査結果もありました。
このあたり、新聞、テレビなどのオールドメディアを参考にする人が若年層になるほど少なくなる、という現象とも整合しているように思えてなりません。このように考えていくと、「維新>立憲」という逆転現象は、今後、傾向として定着するのかもしれません。
もちろん、日本維新の会が立憲民主党と比べ、本当に優れた政党なのかどうかについては、今後の国会論戦などを通じ、私たち有権者がちゃんと見極めていかなければならない論点であることはいうまでもありません。
ただ、これも個人的主観で恐縮ですが、オールドメディアの社会的影響力が喪失した結果、「もりかけ・さくら」スキャンダルなどの追及に汲々としてきた立憲民主党が、徐々に有権者からの支持を失いつつあるという調査結果自体に対しては、さほど違和感を抱かないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
今の自民党の支持率が高いのはコロナ感染が激減しており、これは菅さんのおかげだと思います。岸田さんは、この数字に安住すべきではありません。弱腰や朝令暮改的な面も見えるので、私はあまり評価していません。
世の中の表層的な変化は、本質的な変化に比べて遅れて出てくるという法則があるように思います。
国民が立憲民主党に愛想を尽かしはじめていたのはとっくの昔の話で、それがようやく目に見える形で現れてきたのだという気がします。
この「遅れ」には、立憲民主党を必死で擁護してきたオールドメディアも一役買ってるのでしょう。つまり、メディアがいくら塗厚しようと、ごまかしきれなくなってきたということですね。
NHKや新聞が報道するようになった時点で「社会の常識」化し議論の対象ではなくなる。ですから「NHKや新聞が報じる前に」変化を読み取って深層をちゃんと分析理解しておくことが必須なのでしょう。当サイトは、事実に向かう姿勢という点において、NHKや新聞記者に先行していると思えます。
オールドメディアが立憲民主党を切り捨てる兆候かな。寄生先を変えて維新にべったりになるかも。
いうて維新も組織として地力の効く地域はまだまだ少ないでしょうし
マスゴミお得意の揚げて落とすムーブでなければイイんデスが
維新は大阪では公明党と同盟している説がなかったっけ?
維新側が国政公明の選挙区議席をテコに府市政公明に言うことキカセテルだけで、同盟とはトテモトテモ
双方不満アリアリなのでドコマデ続きますやら
むしろ立共ともズブズブ出来ちゃう大阪自民がどないヨ感出してましたネ
普通に同盟じゃん
JNN(TBS)の世論調査結果です。
https://news.tbs.co.jp/newsi_sp/yoron/backnumber/20211204/q1-2.html
読売新聞と似たようなトレンドで、維新>立憲ですね。立憲は、代表が変わったらしいですけど、支持率はマイナスです。
参議院議員選挙は、どうなるかですね。
はたして参院選まで党が分裂しないで済むか、改名しないで済むかがポイントですね。
>このあたり、岸田政権の脇を固める財務省出身者、あるいは財務省シンパの皆さんが、あと半年間、おとなしく「増税論」を封印するだけの知能をお持ちなのかどうかについては、あわせて見極めていく価値がありそうだと思う次第です。
私の考えでは日本という国家にとって最も良い流れは,財務省主導政権の岸田内閣が参院選前に増税策を出すが自民党内部から強い反対の声が上がりボツとなるも,そのドタバタの余波で参院選で自民党が少しだけ議席を減らし,その責任を問われて岸田さんが総理の座を降りるパターンですね.
ともかく当初から使えないと予想していたが予想以上に使えないというのが岸田さんに対する感想ですから,ああいう使えない人物は速やかに総理の座から降りて頂かねば日本の受けるダメージは増大する一方です.
私は今回の選挙で
「野党共闘が負けた(?)」だの
そうした捉え方がそもそも
奇異なものに感じています
高度な日本の民主主義は
ふつうにまじめに働き納税する国民と
同じ一票を、
立憲・共産党を支持してしまう
人たちにも与えてあげているという点で、
選挙というのは国民という母集団からの
サンプリング調査のようなものです。
そうしたなかで、
韓流政党立憲民主党や
公安指定の共産党支持者などは
あたりまえに少数なものなのに
その人達が多数と正義を騙れば
政権取って思いのままにウッシッシと
勝手に思い描いてしまったものが
そんなもの、
当たり前に見透かされてしまって
本来の少数にとどまったというだけのこと
だと考えているからです。
それを往生際悪く
志位さんにいたっては
「野党共闘の成果は前進した(?)」とか
いってますが、そんなもの
内ゲバ相手の革マル派などからも
厳しく非難されてます。
そもそも不実で無理な主張を
「もっと強力に主張すれば(?)」とか
考えず、そもそも少数であり
自分たちを顧みて
世界が羨む日本の社会保障制度と
民主主義のおかげでの今に感謝を示すべきなのにと
呆れています。