「デジタルカレンシーで人民元は米ドルに代わる基軸通貨になる!」。こんな議論を見かけることが増えてきました。結論から言えば、あり得ません。いや、「あり得ない」というよりも、人民元を国際化させようと思うならば、「デジタルカレンシー」よりも先にやることがほかにいくらでもある、という言い方のほうが正確でしょうか。
目次
中国の金融シリーズ
当ウェブサイトではここ数日、中国と金融をテーマにした小稿をいくつか連続で掲載してきました。
『「のろのろバス」AIIBの資産規模は最大手信金並み』(2021/11/21 05:00)
「バスに乗り遅れるな!AIIBに参加しないと、日本は国際インフラ金融の世界で仲間外れにされてしまう!」。今から6年前にこんな議論を嬉々として展開していた皆さんは、いったい責任をどう取るつもりでしょうか。現実のAIIBの財務諸表などの資料を眺めていると、コロナ特需で少し融資が伸びたとはいえ、依然として「AIIBバス」はノロノロ運転ですし、むしろ「仲間外れ」にされているのはAIIBの側じゃないか、という気がしてならないのです。自称識者「バスに乗り遅れるな!」今から6年前のダイヤモンドオンラインの... 「のろのろバス」AIIBの資産規模は最大手信金並み - 新宿会計士の政治経済評論 |
『人民元は基軸通貨とならない①成長が止まった債券市場』(2021/11/22 06:00)
中国の通貨・人民元が米ドルに代わって基軸通貨になることがあり得るのか。結論的には「NO」です。なぜならそもそも基本的なレベルで人民元が国際通貨として機能していないからです。人民元が国際的にどのように使われているかに関する統計にはさまざまなものがあるのですが、本稿では「オフショア債券市場統計」という見慣れない統計とともに、そもそもの前提条件として、そもそも中国が人民元の国際化に対する覚悟を持っていない、という点を指摘しておきたいと思います。通貨の実力人民元に関する一連論考の予定現在、とある事情... 人民元は基軸通貨とならない①成長が止まった債券市場 - 新宿会計士の政治経済評論 |
『人民元は基軸通貨とならない②外貨準備では「存在感」』(2021/11/23 05:00)
人民元が米ドルに代替する国際的な基軸通貨とはなり得ないという点は、以前からしばしば当ウェブサイトにて言及しているとおりです。ただ、こうした当ウェブサイトの仮説とは反し、外貨準備高の世界においては、人民元は少しずつ、しかし着実に、その存在感を高めています。おそらく、民間の機関投資家と異なり、中央銀行などの通貨当局は、比較的自由に人民元に投資することができるという仮説が成り立ちます。「人民元が米ドル覇権を終わらせる」?著者自身は現在、とある理由があって、中国の通貨・人民元の「将来の姿」に関し、ち... 人民元は基軸通貨とならない②外貨準備では「存在感」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
『人民元は基軸通貨とならない③増えない人民元国際送金』(2021/11/24 06:00)
~「システム整えたら基軸通貨化」という本末転倒した議論~人民元がCIPSなどの独自の国際送金システムで米ドルの覇権に挑戦しようとしている、という話を聞きます。なんだか、意味がよくわかりません。そもそも人民元が国際的な通貨となるための条件を整えないままで、いくらシステムを整えたら自動的にある通貨が国際通貨に変わるわけはないからです。あくまでもその通貨の使い勝手が良くならないと、送金高のシェアは高まりませんし、基軸通貨にもなれません。人民元の使い勝手を阻むもの人民元のシェアと中国の金融覇権数日前... 人民元は基軸通貨とならない③増えない人民元国際送金 - 新宿会計士の政治経済評論 |
本稿ではその続きとして、かなり以前に当ウェブサイトに掲載した『「デジタル人民元」は国際犯罪の温床となるのが関の山』の内容なども振り返りながら、中国人民元の近い将来の未来について考えてみたいと思います。
人民元はデジタル化以前に資本規制の撤廃が必要では?金融規制の専門家のあいだで、最近注目されている論点のひとつが、「CBDC」(セントラルバンク・デジタルカレンシー)、つまり「中央銀行が発行する電子通貨」です。これは、SUICAなどの電子マネーと異なり、中央銀行そのものが発行しているという特徴があります。こうしたなか、中国人民銀行が「デジタル人民元」の実証実験を開始したようですが、これについてどう考えるべきでしょうか。人民元の電子化は脅威なのか?デジタル人民元(人民元建てのCBDC)米メディア... 「デジタル人民元」は国際犯罪の温床となるのが関の山 - 新宿会計士の政治経済評論 |
デジタルカレンシー
電子マネーの特徴
ここ数日、中国の金融について議論し始めた理由については、現時点ではまだ詳しく話せませんが、ただ、「中国の金融」「人民元の未来」については、もともと当ウェブサイトにおける重要なテーマのひとつであるため、その延長線上の議論と考えていただいて差し支えありません。
こうしたなか、金融規制の専門家のあいだで、最近、注目されている論点のひとつが、「CBDC」(セントラルバンク・デジタルカレンシー)、つまり「中央銀行が発行するデジタルカレンシー」です。
日本の場合、デジタルカレンシーは、民間企業が発行している「電子マネー」がその典型例です。
SUICAなどの事例でいえば、発行体であるJR東日本におカネを払って「チャージ」し、そのチャージした分だけ、電車の運賃、駅構内や街中の商店・コンビニなどでの買い物、レストランでの食事などに使うことができる、という特徴があります。
最近、電子マネーが使用可能な店舗がどんどん広がっていて、とくに大都市圏に住んでいると、電子マネーの利便性は極めて高いです。
電子マネーの限界
ただし、現在日本で流通しているSUICAなどの電子マネーには、いくつかの限界があります。
①現金に払い戻すことができない
たとえば、電子マネーの多くは、いったんチャージしたらそれを現金に戻すことができない、という特徴があります。「絶対に戻せない」わけではないようですが、SUICAの場合だと現金に払い戻すときには、そのSUICA自体をJR東日本に返却するという場合などに限られるようです。
(当ウェブサイトはJR東日本とは無関係であり、本稿はSUICAの説明ではありませんので、詳しい払戻手続について知りたい場合は、JR東日本のSUICA『払いもどし』のページを読むか、直接、JR東日本に問い合わるなどしてください。)
②送金することができない
電子マネーの多くは、チャージをした残高の範囲内で、運賃を支払ったり、買い物をしたり、食事をしたりすることに使用できますが、飲み代の「割り勘」をするときなどにおいて、電子マネーの残高を他人の電子マネーに移す、といったことはできません。
③金額が小さい
一般に電子マネーの多くは、チャージできる上限が小さく、SUICAの場合で20,000円、著者自身がかつて調べたときは、最も多額のチャージが可能な電子マネーはEdyで、上限が50,000円でした。
(※最近は電子マネーの種類も増えているため、もしかしたらそれよりも多くの金額をチャージすることができる電子マネーもあるのかもしれませんが、このあたりは詳しく存じ上げません。)
この金額だと、電子マネーで買える商品の上限には限度があります。
PCなど高額の家電を買うために家電量販店に行くと、「一部を電子マネー、一部をクレジットカード」という払い方をするケースもあるのですが、店員さんに「現金だと還元率が良いですよ」と教えられ、慌てて近所の銀行のATMに走る、といった光景も目にします。
いずれにせよ、現在の日本で流通している電子マネーの多くは、おもに一般消費者を対象に、日常の数百円から数千円というレベルの少額の買い物をするのに適した設計であり、基本的に、大口決済や送金などには対応していません。
また、基本的に電子マネー決済には専用の決済端末が必要であり、街中で個人が経営する店舗などの場合だと、電子マネーに対応しておらず、基本的には現金しか使えない、というケースも多いようです。
その意味で、電子マネーを完全に「お財布代わり」にすることができる時代は、まだもう少し先なのかもしれません。
デジタルカレンシーの実証実験始まる=日経
その一方で、こうした電子マネーの限界を突破するための興味深い試みが以前から行われています。
日経電子版に昨日、こんな記事が掲載されていました。
デジタル通貨、22年にも実用化発表 大企業70社が参画
―――2021年11月24日 12:57付 日本経済新聞電子版より
日経によると、メガバンクや大企業の約70社が参加する企業連合が24日、デジタル通貨の試験発行を始めると発表したのだそうです。
あくまでも記事のベースですが、このデジタルカレンシーは、「銀行預金を裏付資産としている」、「企業間の送金を目的としている」「大口送金に対応している」などの特徴があるようであり、また、金融庁や日銀もオブザーバーとして参加するのだとか。
もしもこの構想が実現すれば、小口(B to C)の電子マネーとは異なり、企業間(B to B)の大口の決済にも対応できるほか、送金コストの圧縮、着金までの期間の短縮なども期待できるようです。
この点、たしかに通常の銀行送金を利用する場合には、全国銀行資金決済ネットワークなどのシステムを使用するため、銀行休日には稼働していない、着金まで時間がかかる、送金手数料が必要である、といったさまざまな問題があります。
日経が報じた「DCJPY」(日本円デジタルカレンシー、の略でしょうか?)なる通貨については、早ければ来年後半にも実用化される、などとの情報もありますので、このあたりは注視する価値がありそうです。
デジタル人民元
主要国初のCBDC=WSJ
さて、デジタルカレンシー自体、まだ世界的にも実験段階にありますが、その実験でかなり先行している国が、中国です。
というのも、日本のデジタルカレンシーと異なり、中国は中央銀行である中国人民銀行自身がデジタルカレンシーを発行しているからです。
このように、「中央銀行自身が発行しているデジタルカレンシー」のことを、一般に英語で “Central Bank Digital Currency” と呼び、「CBDC」と略すのが一般的です。
これに関連し、以前紹介したのが、米メディア『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)に掲載された、こんな記事です。
China Creates its Own Digital Currency, a First for Major Economy
―――2021/04/05(月) 10:48EDT付 WSJより
WSJによると、中国のCBDCの場合、個人がスマートフォンにアプリをインストールし、中国人民銀行の口座から直接、支払が行われる、というものだそうです。
日本だと個人が中央銀行である日本銀行に直接口座を保有することはできませんので、このあたりはさすが大胆な実験をする国は違うな、と思う次第です(※誉め言葉とは限りません)。
そもそも日中では前提条件が異なる
このあたり、日本と中国では、社会のさまざまな点において、さまざまな前提条件が異なっているという点についても意識する必要があるかもしれません。
まず、日本だと流通している現金が偽札である可能性は極めて低いなど、現金が非常に信頼されています。しかし、在中日本国大使館のウェブサイトに2019年6月6日付で掲載された『中国での偽札に関するQ&A』というページによれば、中国では依然として偽札が広く混在しているのだそうです。
次に、物理的に中国の最高額面紙幣は100元であり、1元=18円だと仮定すれば、せいぜい1800円くらいの価値しかありません。日本の1万円札のような高額紙幣が存在しないため、中国でPCなどを現金で買おうと思うと、それこそ札束を持って行かねばなりません。
だからこそ、中国ではかなり早い段階で、各種ペイアプリが普及したという事情もありますし、また、先ほど紹介したWSJの記事でも、実験的に始まったCBDCも「人々から使い勝手が良いとの評判である」などと記載されています。
もっとも、国が国だけに、支払手段が完全に電子化してしまうと、自分自身のすべての財産、支払履歴などの情報を中国共産党に把握されてしまうのではないか、という気がしてなりません。
このあたり、紙幣とデジタルカレンシーの最大の違いが、この「おカネを何に使ったか」という流れを、中央銀行を通じて中央政府が完全に支配・掌握してしまう(かもしれない)、という点にあります。
いわば、中国共産党にあなたのサイフを握られてしまう、というわけですね。
人民元自体が広く使われる通貨ではない
さて、ここでのもうひとつの疑問は、「デジタル人民元」、すなわち人民元建てCBDCが実装されれば、人民元が世界の基軸通貨になれるのか、という点でしょう。
しかし、そもそもなぜ、米ドルが世界の基軸通貨となったのかを考えてみれば、「デジタル人民元」の発足がすなわち人民元の基軸通貨化を意味するものではないとわかります。
著者自身の定義によれば、基軸通貨とは、国際的な取引においてメインで使用される通貨のことであり、昨日の『人民元は基軸通貨とならない③増えない人民元国際送金』などでも取り上げたとおり、伝統的には米ドル、最近だとユーロなどがその特徴を満たします。
当然、ある通貨が基軸通貨となるかどうかを決めるのは、その通貨の使い勝手の良さです。
CBDC自体、紙の現金と比べて使い勝手が良ければ多くの人が使いたいと思うであろうと想像できますが、それと同時に、残念ながら人民元自体、現在の世界においては、国際的な取引でほとんど利用されていないのです。
たとえば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資を見ても、発足から現時点までの6年弱で承認された150件のプロジェクトは、149件が米ドル建てであり、1件がユーロ建てで、人民元建ての融資はたった1件もありません。
また、企業が多額の資金を調達するための国際的な市場である「オフショア債券市場」でも、人民元建ての債券の市場規模は世界全体の0.4%少々に過ぎず、米ドル(46.02%)と比べたら市場規模は100分の1以下です(図表)。
図表 オフショア債券の通貨別発行残高(2021年6月末時点)
通貨 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
1位:米ドル | 12兆7045億ドル | 46.02% |
2位:ユーロ | 10兆8254億ドル | 39.21% |
3位:英ポンド | 2兆2126億ドル | 8.01% |
4位:日本円 | 4096億ドル | 1.48% |
5位:豪ドル | 2717億ドル | 0.98% |
6位:スイスフラン | 1959億ドル | 0.71% |
7位:スウェーデンクローナ | 1497億ドル | 0.54% |
8位:加ドル | 1438億ドル | 0.52% |
9位:香港ドル | 1204億ドル | 0.44% |
10位:人民元 | 1198億ドル | 0.43% |
その他 | 4553億ドル | 1.65% |
合計 | 27兆6088億ドル | 100.00% |
(【出所】国際決済銀行・債務証券統計より著者作成)
「人民元はCBDCで国際化」はない
このように考えていくと、人民元建てCBDCは、人民元の使い勝手を高める手段のひとつではありますが、残念ながら中国が本土の債券市場を対外開放していないという状況などを考えるならば、いくら小手先の努力を重ねたとしても、人民元が国際化するとも思えないのです。
いずれにせよ、中国が現在、人民元の国際化を目論んでいることは間違いないとは思うものの、やはり、2015年以降、オフショア人民元債券市場の成長が止まっているという事実などを踏まえると、中国当局がこのまま無制限に人民元の国際化を進めるには及び腰であるようにも見えます。
やはり、現在の中国の狙いは、CBDCやCIPSなどで少しずつ人民元の使い勝手を高める努力をしつつ、人民元経済圏を徐々に拡大する、といった方法で、おっかなびっくり、人民元の国際化を進めていこうとしているのかもしれません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
さて、「人民元は基軸通貨とならない」シリーズ、自分自身で特段の構想も考えずに漠然と書き始めてしまったのですが、本稿で締めるつもりだったのが、もうひとつ、是非ともアップデートしておきたい論点もあります。
それが、人民元建ての通貨スワップ、というものです。
そこで、おそらく次稿あたりで人民元経済圏の拡大と通貨スワップの役割について考えてみたいと思います。
View Comments (10)
デジタル人民元アプリは、まず自国内の先行アプリ(アリペイとか)と戦わなきゃだと思うんだけど、使い慣れたアプリからは相当魅力的じゃないと乗り換えなさそう。
あと中国人って内心ではイマイチ国のこと信用してないっぽいから、お財布握られちゃうのには拒否感ありそう。
いざとなりゃ国権発動で先行アプリ潰しにいくのかな。
政府自体が信用されてないのに、デジタルなら信用されるってことはないな
>やはり、現在の中国の狙いは、CBDCやCIPSなどで少しずつ人民元の使い勝手を高める努力をしつつ、人民元経済圏を徐々に拡大する、といった方法で、おっかなびっくり、人民元の国際化を進めていこうとしているのかもしれません。
米国以外で米ドルが一般の商取引で使える国や地域を米ドル経済圏と考えれば、中国政府も其れを狙ってるんだろうな、って事ですね。
よくわかんないんだけど、デジタル通貨の発行って、円とは別の通貨を作るってことなんでしょうか?
それとも、電子的に管理されてる円の使い勝手を向上させて、銀行システムの外で使えるようにするってことなんでしょうか?
通貨の発行残高は118兆円で、三菱UFJの預金残高は211兆円だそうだから、現金以上の価値が既に存在してて、それは銀行の中で電子的に管理されてるってことだと思うのです♪
日銀HP>> 日本で流通しているお札は全部でどれくらいありますか?
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c06.htm/
三菱UFJHP>>よくあるご質問
https://www.mufg.jp/faqs/index.html#:~:text=また預金残高は、国内,億円となりました。
【現代の経済社会②】信用創造の仕組みがよくわかりません。(進研ゼミ)
https://kou.benesse.co.jp/nigate/social/a13s0403.html
おそらく両者の差額は信用創造によるものだと思うのですが、銀行は元手を何倍にも膨らませて運用しているのですね。
*「取り付け騒ぎに弱い」とされるのもこのためなんですよね。きっと。
>よくわかんないんだけど、デジタル通貨の発行って、円とは別の通貨を作るってことなんでしょうか?
多分、国によって定義も違うと思いますけど、既存の通貨発行システムは利権なので、自ら壊すことは考えないのじゃないでしょうかね。
デジタル人民元はその考え方のようです。(下コメントに入れたレポートにもあります)
現時点の実証実験等でも、利用者が発行者に預けた現金の範囲内で、デジタル人民元を発行するそうです。現行の通貨発行調整のシステムには影響しない形になっています。
日銀さんは「(1)デジタル化されていること、(2)円などの法定通貨建てであること、(3)中央銀行の債務として発行されること。」と言ってますので、考えは近いようです。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c28.htm/
中央銀行自身が仕組みを考える限りは、そうなるような気がします。
カズ様、元ジェネラリスト様
返信ありがとなのです♪
デジタル通貨っていう新たな通貨を作るってのじゃなくて、円を流通させる手段として一万円札とか100円玉があるみたいに、デジタルのみの貨幣(デジ幣??)を作るってことなのですね♪
デジタル人民元は去年の全人代あたりから情報が出てくるようになったと思いますが、既存の人民元の紙幣に加えてデジタル貨幣を作る意味合いだと分かって、関心を失っていました。
その後、中国人民銀行の幹部から積極的に情報発信するようになり、まとまったレポートもでてきていました。
デジタル人民元の基本的なことを知るにはいいかもしれません。
大和総研の「デジタル人民元レポートシリーズ」
デジタル人民元の基本的な特徴と仕組み
2.デジタル人民元発行に向けた歩みと最近の動向
3.今、なぜ中国のデジタル人民元が重要か
現在やってる実証実験等はほぼ電子マネーとしての実験のようです。
国際通貨としてのデジタル人民元については3つ目のレポートにあります。
中国人民銀行がfacebookのリブラを警戒していることから、現在の送金網の次の時代には、デジタル人民元が影響力を行使できることを狙っているのは間違いなさそうです。
ただ、中国自身も一朝一夕にそうなるとは思っていないようで、当面は地道で手堅い取り組みを長期的に続けていくし、今できることをやっておく姿勢のようです。
姿が明らかになる昨年以前から「デジタル人民元がドル覇権を脅かす!」と言ってた評論家もいましたが、何を根拠にそう言っていたのか・・・
余談ですが、去年時点ではブロックチェーン導入に言及していましたが、今はこだわりはないと言っているようです。少なくとも消費者が使う電子マネーとしてのデジタル人民元にはブロックチェーンは入れないと。
実際、そもそも国家が管理する通貨なので、入れるメリットはないと思いますけどね。
数年前、タイ北部の田舎の両替所で順番待ちをしてたらチャイニーズが100元紙幣束(ピン札じゃなくてボロボロの束)を両替で出したが計数機で半分以上撥ねられてブーブー言ってもう一回数えろと言って(たぶん)ゴネてて入口の警備員がつまみ出してた。
窓口の子はチャイナの両替時はいつもこうだってあきれ顔だったが自分の万札はテキパキとバーツになった。
中共のデジタル人民元の目的は「共同富裕」の為、国家が人民の金遣いを把握し
ワイロと闇経済を把握する為じゃないんですか?
共産主義国家や文明途上国・非文明国の場合、闇マネーが自国のGDPの3~5割に
達すると言われており、「共同富裕」の為には、この部分を減少させる事が必要と
なったのでしょう。
「共同富裕」=みんななかよく貧乏に、富裕層は党幹部だけに