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立憲民主党、衆議選結果を「科学的に」分析すると表明

当ウェブサイトでは総選挙前から立憲民主党の政権公約(っぽいなにか)を紹介して来たのですが、改めて振り返っておくと、やはり強烈です。立憲民主党が公示前と比べ、勢力を後退させた理由は、公約を眺めると何となく想像がつくように思えてなりません。こうしたなか、立憲民主党が今回の衆院選の結果を「定性的ではなく科学的・総合的に分析する」という方針を示した、という話題が出て来たようですよ。

立憲民主党の「公約」(なのかなぁ…?)

これまでに何度となく述べてきたとおり、10月31日の衆院選では立憲民主党が13議席、公示前と比べて勢力を減らしていますが、自民党も同様に15議席、勢力を減らしました。

ただ、公示前勢力がそれぞれ109議席、276議席であるため、公示前勢力に対する減少率で見たら、自民党は5%少々ですが、立憲民主党はほぼ12%であり、同じような減少率であってもその影響度には大きな違いがあります。

こうしたなか、当ウェブサイトにおいて、ひとつ自慢できることがあるとすれば、立憲民主党の政権公約(?)っぽいものをかなり早いタイミングから取り上げ、「これ、公約なのかなぁ…」などと言いながらも、当ウェブサイトの読者の皆さまに紹介して来たことだと思います。

たとえば、約2ヵ月前の『発表しない方がマシだった?立憲民主党の政権「公約」』では、2021年9月に立憲民主党が発表した「公約」の「第1弾」、すなわち「『枝野幸男内閣』が初閣議で直ちに決定する7項目」と題したものをさっそく紹介したからです。

「枝野幸男内閣」が初閣議で直ちに決定する7項目
  1. 2021年度補正予算の編成
  2. 新型コロナウイルス感染症対策司令塔の設置
  3. 2022年度予算編成の見直し
  4. 日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
  5. ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
  6. 「赤木ファイル」関連文書の開示
  7. 森友・加計・『桜』問題真相解明チームの設置

(【出所】立憲民主党HP『枝野代表が「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」7項目を発表 福山幹事長会見』)

先日の『急速に劣化進む特定野党:意外と脆かった「野党利権」』でも触れましたが、野党、とりわけ最大野党である立憲民主党の劣化が激し過ぎます。いや、「劣化」というよりも単にメディアのメッキが剥げ落ちただけなのかもしれませんが、それにしても、彼らが何か発表するたびに、ネットでは一般人が全力で嫌悪感を表明しているようなのです。なかでも噴飯物は「初閣議の7項目」と「市民連合との6項目」でしょう。自民党総裁選で、野党が埋没する来週、自民党総裁選が始まる菅義偉総理大臣が自民党総裁選に出馬しないと明らかにし...
発表しない方がマシだった?立憲民主党の政権「公約」 - 新宿会計士の政治経済評論

 

有権者は公約をちゃんと見たのかもしれない

この7項目、それにしても印象は強烈です。補正予算などの件はともかく、4番目以降を望んでいる国民が多数を占めているとも思えません。

もちろん、立憲民主党ウェブサイトで確認できる政権公約(っぽいもの)はこれだけではなく、『「1億総中流社会」の復活』など、経済・外交政策などもちゃんと含まれています(ちなみに有名な「分配なくして成長なし」の出所は、この立憲民主党のウェブサイトだそうです)。

また、『「立憲民主は自民の3分の1を上回るか」に注目したい』では、当ウェブサイトでは次のように申し上げました。

『立憲民主党の主張や政権公約には賛同していないが、自民党に対する牽制として立憲民主党に投票する』などとおっしゃっている方は、ご自身の行動がいかなる結果をもたらすか、もう少し考えてみられることを深くお勧めする」。

日本が総選挙モードに突入するなか、各メディアがさまざまな調査を開始しています。こうしたなか、読売新聞や共同通信が今月2回目の内閣支持率調査などを実施しているのですが、興味深いことに、どの調査でみても、比例区で「自民党に投票する」、「立憲民主党に投票する」と答えた人の割合が、だいたい3対1なのです。逆に言えば、獲得議席数で立憲民主党が自民党の3分の1を上回るかどうかが、個人的な見どころ、というわけでもあります。選挙前の世論調査「共同通信トレンド調査」では自民党対立憲民主党が「3対1」に当ウェブ...
「立憲民主は自民の3分の1を上回るか」に注目したい - 新宿会計士の政治経済評論

現実には、立憲民主党の選挙後勢力は96議席で、自民党(261議席)と比べて3分の1を少し上回ったのですが、多くのメディアが予測していた「公示前(109議席)を30議席前後上回る」という見通しについては実現しませんでした。

 

当ウェブサイトでは『衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』などでも報告したとおり、「立憲民主党が勝つぞ」というオールドメディアの報道が人々に刺さらなくなった証拠だと考えているのですが、見方を変えれば、「有権者が立憲民主党の公約などを評価しなかった」、という言い方もできるかもしれません。

今回の総選挙、最大の勝者は、おそらくは議席を4倍近くに伸ばした日本維新の会であり、また、事前に惨敗を予想する意見も見られた自民党も、議席数は15議席減で済んだという意味では、「勝者」といえるかもしれません。一方の敗者はいったい誰なのか。「立憲共産党」と揶揄された野党共闘にも関わらず13議席減らした立憲民主党もさることながら、やはり最大の敗者は、新聞、テレビを中心とするオールドメディアではないかと思うのです。2021/11/01 10:15追記図表に注記を追加しています。オールドメディアさん、予測はどうでしたか?...
衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ - 新宿会計士の政治経済評論

つまり、案外私たち有権者は、立憲民主党などの公約を、ちゃんと見て、考えて、評価して、その結果、立憲民主党に投票しないと決めた、という可能性については、ここで指摘しておいても良いでしょう。

科学的に検証=福山氏

こうしたなか、立憲民主党のウェブサイトに、大変興味深い記事が出ていました。

福山哲郎幹事長は9日、記者会見に応じ、今回の選挙の結果を「科学的に分析する」という方針を示したのだそうです。

福山哲郎幹事長記者会見2021年11月9日(火)

―――2021/11/09付 立憲民主党HPより

福山氏の発言は、次のとおりです。

両院議員総会ではほとんど意見は出なかったのですが、やはり選挙の分析を定性的ではなく科学的に分析してほしいと、総合的にやってほしいという意見が出ました。そのことについては我々としても、代表選挙に間に合うかどうかわかりませんが、分析、総括の議論を進めながら、一方で新体制にこの総括の議論を引き継ぐというような状況でやっていきたいと思いますし、惜敗された方々の次どうするかの意向調査もしながら、この新体制にしっかり引き継いで、なるべく早く、年内に最初の総支部長の選任等を通していきたいということをきょうは確認させていただきました。」(※下線は引用者による加工)

科学的、などといわれても、大変困惑します。

科学もなにも、そんなこと検証しなければわからないのものなのでしょうか。いろいろ謎です。

もっとも、立憲民主党といえば、旧民主党時代、あるいは旧民進党時代、政権を失って以降の総括をしていない政党でもあるため、いまさら検証しようとしても、どうやって検証するつもりなのかは疑問です。

この点、自民党は多少議席を減らしつつも絶対安定多数に近い議席を獲得したのですが、それ以上に興味深いのは、日本維新の会が11議席から41議席へと4倍近くに勢力を増やしたこと、国民民主党も8議席から11議席へと勢力を増やしたことでしょう。

この議席数を見れば、それだけでほぼ結論は見えているように思えてならないのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (49)

  • やはり、この手の政党は前衛的といいますか先鋭的なので時代の先を行ってるから現時点では全国民が投票する普通選挙は不利ですね。国民(人民)が十分成熟するまでは党が指導するしかないと思います。ですから公約も科学的には正しかったので指導者を替える必要などなかったのです。
    とりあえず、「影の内閣」を組閣して国民に披露すれば大うけすると思いますよ。

    • HNわすれた 様

      >公約も科学的には正しかったので指導者を替える必要などなかった

      共産党のC氏も、政策的には間違ってなかったので反省はしない、と言ってます。
      まあ「正しい思想を受け入れない国民が悪い」のでしょう。

  • ???「科学を振りかざすな」
    ???「エビデンス?ねーよそんなもん」

  • >自民党は5%少々ですが、立憲民主党はほぼ12%であり、同じような減少率であってもその影響度には大きな違いがあります。  

    同じような減少数の間違いかと思います。

    立憲の科学的な分析は、「国民が悪い」とかになるんじゃないかな。

    • だんな様

      まだまだ、投票用紙とか鉛筆とかマテリアルのせいにする余地も科学的にこしらえるかもです。

  • 渋谷、難波、栄、天神、etc.の繁華街あたりで、通りすがりの人を片端からつかまえて、面倒くさがられない程度の10項目以内くらいに収めたアンケートの質問に答えてもらって、年齢、性別に区分した上で、「科学的な」統計処理を施して、有権者の意向を把握する。

    何かそんなこと考えてるんじゃないかな? と感じさせる、福山氏のコメントですね。で、その結果が、これまでの党の考え方、あり方と、まるっきり正反対なんてことになったら、どうするんだろう(笑)。

    有権者に媚びるだけでは、馬鹿にされて見放されるのがオチ。と言って、旧習を墨守していてはじり貧は必至。「科学的」なんて言葉が出てくるようでは、政治家としての定見も勘も、もはや通用しないと自信喪失に陥っているようで、今後ますますダッチロール状態なんて風にも見えてしまいますね。

  • 心理歴史学的に分析するのでは。1.2億人では少なすぎますか。
    Apple TV+入ったけど、原作レ○プ酷すぎて後悔。

    • 心理歴史学的に分析した結果、有権者誘導三原則の上位に第零法則があるらしい事が判るのでは?
      Apple TV+にガッカリなのは私も同じです。こんなにダサいダニールは見たくなかった。

  • 「科学的に」って具体的にはどういうアプローチでの分析を想定しているんでしょうね。
    不支持の理由について要因分析を行うとかなら分からなくもないですけど。

    そもそも定性的に対する語は定量的にですし。
    日本語に不自由な方々なのかな?

  • 私は、科学的に検証した結果、
    「自民党が悪い」
    になると思いますw

      • はい、だんなさま。
        最終的には、アベガーまでがお約束ですw
        あくまで、科学的に、です。

  • 化学的に検証といっても
    今回の結果をまず自責のものと受け止めた上で検証するのか
    それとも結局他責の正当化の為に検証するかで大分変わりますけどね。

    言動ではなく人で判断するのは良く無いとは思っていますが
    今まで堂々と他責に始終してきた福山氏が言うもんですから・・・。
    どうしても後者を疑ってしまいます。

    • >化学的に検証

      立憲民主党が塩素系の「妄言吐いたー」で共産党が酸性の「共産ポール」だったのでは。

      • 私のアテンションミスが起きた検証結果は
        「文全体を纏める事に目を向けすぎて逆に視野狭窄していた」
        でした。

        お恥ずかしい限りです。

    • 「混ぜるな危険」と言うことですね。今日の(は|も)自分にはちょっと難しかったです。

  • >案外私たち有権者は、立憲民主党などの公約を、ちゃんと見て、考えて、評価して、その結果、立憲民主党に投票しないと決めた、という可能性については

    あの内容で96もの議席を確保したってことは、案外公約を見てない人が多かったって可能性もあるんじゃないのかな?って思っちゃうのです♪

    ↓の記事によると比例で20%もの得票率を叩きだしたそうなのです♪

    自民党の得票率、84%の自治体で上昇 衆院選比例代表
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA030UQ0T01C21A1000000/

    • 七味さま
      立憲の支持率は8%程度だから、乖離が大きいですよね。
      自民党は、支持率より低めですからね。
      自民党支持者は、選挙に行かないのかな。

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