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取材力も分析力も専門知識も足りないオールドメディア

新聞・テレビがツイッター画像の丸写しを垂れ流す時代に!

「衆院選の『真の敗者』は新聞、テレビを中心とするオールドメディアだった」――。衆院選から1週間が経過しましたが、時間が経つにつれて、その思いを強くするしかありません。というのも、冷静に眺めてみたら、オールドメディアの取材力のなさ、分析力のなさ、専門知識のなさが露呈してきたからです。オールドメディアの「外」で高度な専門知識に基づく分析を行うサイトが出現するかもしれない今日この頃、記者クラブ制度がなくなれば、もしかしたらオールドメディアの存在意義の大部分は失われてしまうかもしれません。

本稿の新たな試み

最初に、クイズ(?)です。

本稿ではちょっとした試みをしてみたいと思うのですが、それはいったい何でしょうか。

鋭い方であれば、本稿を読み進めるうちに、「あること」に気付かれるのではないかと思いますが、この点に関する答え合わせは末尾でお示ししたいと思います。

オールドメディアと衆院選

オールドメディアの情報独占脅かすインターネット

新聞、テレビを中心とするマスメディアのことを、当ウェブサイトでは最近、「オールドメディア」と呼ぶようにしています。なぜ「オールド」なのかといえば、これらのメディアのビジネスモデルは、インターネットの出現により、なかば崩れかかっているからです。

インターネットが出現する以前の社会では、世の中で何が起こっているかに関する「客観的な事実関係」については、それらの事実関係に関する「解釈」を含めた情報伝達機能を、オールドメディア(新聞、テレビ、ラジオ、雑誌など)がほぼ一元的に担っていました。

このうち、雑誌に関してはそれなりにたくさんの出版社が発行していたのですが、日刊紙(毎日発行される新聞)テレビのチャンネルはとても少なくて、私たち一般国民の多くが何らかの出来事を「速報」として知るための手段は、本当にごく一握りのメディアが占有していたのです。

新聞業界の場合、全国紙であれば、「一般紙」と呼ばれる読売、朝日、毎日の各紙に加え、日経、産経などの経済紙(※産経はのちに一般紙に転向)、これに各都道府県に1~2紙の地方紙、それらの地方紙などに記事を提供する時事通信・共同通信、といった具合に、メディアの数は本当に限られていました。

また、地上波テレビの場合、全国ネット5系列(日テレ、フジ、テレ朝、TBS、テレ東)にNHK(総合・教育)の最大7チャンネルを基本としつつ、各都道府県にキー局に所属しない独立局が1~2局あるかないか、といった状況であり、やはりメディアの数は限られています。

これに対し、インターネットに関しては、べつにニューズサイトに参入規制も参入障壁もありません。

極端な話、この文章を読んでいるあなたがその気になれば、無料の大手ブログサイトに自身のブログを開設することもできますし、また、ちょっとしたコスト(年間数千円から、高くてもせいぜい数万円レベル)負担とウェブの勉強を厭わない姿勢さえあれば、大手ニューズサイトと同じような体裁のサイトを開設することもできます。

これが、オールドメディアとネットメディアの最大の違いです。

「オールド」メディアの「オールド」たるゆえん

この点、もちろん、新聞社とテレビ局が厳密に「同一資本系列」なのかといえば、若干微妙ではあります。

ただ、ここで言いたいことは、「紙媒体の新聞を発行している社、地上波テレビ放送を行っている社は資本的、営業的ないし人的に親密な関係にある限られたグループで独占されている」という事実です。

やや乱暴ではありますが、新聞、在京キー局、在阪キー局の資本関係ないし人的・営業的な親密度でざっくりグループ分けすれば、だいたい次のような関係が成り立っています。

新聞−在京キー局−在阪準キー局
  • 読売新聞-日テレ-よみうりTV
  • 朝日新聞-テレ朝-朝日放送
  • 毎日新聞-TBS-毎日放送
  • 産経新聞-フジTV-関西テレビ
  • 日経新聞-テレ東-テレビ大阪

(【出所】著者作成)

これに、NHK、共同通信、時事通信を加えたら、わが国は事実上、8つのグループによって情報の流通を支配されてしまっていた、と結論付けて良いでしょう。

「オールド」メディアの「オールド」たるゆえんは、まさにこの情報独占にありました。8社・グループが談合さえすれば、自分たちにとって都合が悪い情報を国民の目から隠すことすらできる、という意味においては、まさに絶大な社会的権力を謳歌してきたのです。

2021年衆院選はオールドメディア凋落の証拠

ただ、以前の『紙媒体の新聞から10代が離れた』などでも触れたとおり、総務省などの調査に基づけば、こうした状況にも大きな変化が生じ始めていることが判明します。

「テレビ利権」はいまだに根強いが、果たしてその将来は?以前の『新聞を「情報源」とする割合は10代以下でヒトケタ台』では、総務省の調査結果を速報的に紹介したものの、記事のなかに盛大な事実誤認が含まれており、その訂正に追われるあまり、続きについて紹介しそびれてしまいました。ただ、ネット上でちょっと興味深い記事を発見したという事情もあるため、あらためて「メディア利権」についての先行きについて、考えてみたいと思います。総務省の調査当ウェブサイトにおける盛大な事実誤認のお詫び以前の『新聞を「情報源」とす...
紙媒体の新聞から10代が離れた - 新宿会計士の政治経済評論

具体的には、人々の情報行動を分析していくと、情報を得る手段としては地上波テレビが依然としてある程度の地位を維持してはいるものの、紙媒体の新聞については、少なくとも若年層に対する影響力は急激に落ちているのです。

また、「社会的影響力をガッチリ保持しているかどうか」という意味では、新聞もテレビもかなり怪しいものがあります。

そのことを実証した現象が、2021年10月31日に実施された衆議院議員総選挙でしょう。

メディア利権と野党利権は衆院選を機に崩れ始めたのか』でも報告したとおり、この選挙では、事前に新聞、テレビなどが「(最大野党である)立憲民主党の大躍進」、「自民党の惨敗」を予想していました。

いさぎよい自民党関係者、往生際が悪い立憲民主党関係者野党も官僚もマスメディアも、結局のところは「利権」という問題に結びつきます。当ウェブサイトの持論ですが、日本を悪くしてきたのがこの3者でもあります。ただ、日曜日の衆院選の結果、現在はこの3つの利権のうち、メディア利権と野党利権が同時に崩れようとしているように見受けられます。利権というのは見かけはしっかりしていても、崩れ始めると意外とあっけなかったりするものですが、さて、日本の利権はどう動くのでしょうか。利権の問題利権を持つ官僚機構という問題...
メディア利権と野党利権は衆院選を機に崩れ始めたのか - 新宿会計士の政治経済評論

しかし、その自民党は、蓋を開けたら公示前の276議席を261議席へと多少減らしたにせよ、単独過半数を維持したうえ、連立相手である公明党と合わせた勢力は絶対安定多数水準を大きく超える293議席に達しました。自民党政権に対する事実上の信任と呼んで良いでしょう。

その一方で立憲民主党は、事前予測だと「公示前勢力の109議席から30議席程度上積みする」、といった報道などもなされていたにも関わらず、現実には100議席の大台を割り込み、勢力を96議席にまで後退させました。

当ウェブサイトに言わせれば、むしろこれでも立憲民主党は善戦した方だと思うのですが、いずれにせよ、この2021年10月の衆院選は、あとから振り返れば「メディア利権が崩れ始めた象徴的事件」のひとつとして位置づけられるのではないかと思えてなりません。

オールドメディアの記事改変

シレッと記事を改変するオールドメディア

さて、「なぜこんな現象が生じたのか」という点についても非常に興味深いテーマではありますが、本稿でもうひとつ注目したいのが、「オールドメディアが社会的に信頼されなくなり始めている(かもしれない)」というテーマに関する分析が、なぜかそのオールドメディアの側からは、絶対に出て来ない、という点です。

そして、これに間接的に関連するテーマが、誤った記事を配信してしまったときのオールドメディアの対応です。ひとつ目として、先日の『「自民1強に終止符」と報じシレッと修正した時事通信』でもとりあげた、時事通信の事例を振り返っておきましょう。

10月31日の総選挙の当日、主要メディアの多くは「自民党惨敗」、「立憲民主党躍進」などと報じました。ところが、ふたを開けてみたら、自民党は多少議席を減らしたとはいえ与党で絶対安定多数を占め、立憲民主党は敗北の責任を取り枝野代表が辞意を表明しました。こうしたなか、本稿では時事通信が配信した「自民1強に終止符」なる大誤報なども題材にしつつ、メディア利権の腐敗について考えてみたいと思います。メディア利権絶大なメディア利権『メディア利権と野党利権は衆院選を機に崩れ始めたのか』などで議論したとおり、当ウェ...
「自民1強に終止符」と報じシレッと修正した時事通信 - 新宿会計士の政治経済評論

時事通信は衆院選の当日、つまり10月31日の深夜時点で、大々的に「有権者が『自民1強』にノーを突き付け、自民党が惨敗した」とする趣旨の記事を配信したのですが、それから数時間後に記事のタイトルを慌てて改変しました。

タイトル改変後の記事のリンクが、これです。

「自民1強」に疑問符【21衆院選】

―――2021年11月01日03時48分付 時事通信より

記事冒頭には、こんな記述があります。

4年ぶりの衆院選で自民党は、過半数を維持したものの、議席を減らした。不人気の菅義偉前首相から岸田文雄首相に『党の顔』を代えることで、逆風は和らいだが、有権者は『自民1強』に疑問符を突き付けた」。

「『自民1強』に疑問符」という表現もなんだかよくわかりませんし、「逆風」が和らいだのか続いていたのかもよくわかりません。

こんなわけのわからない記事になってしまったのには、ちゃんとした理由があります。

この記事、もともとのタイトルは『顔変える戦略不発、「自民1強」に終止符』であり、これを上記のように改変しているのです。

もともとのリード文は、こうでした。

4年ぶりの衆院選で自民党は、大幅に議席を減らす見通しに。不人気の菅義偉前首相から岸田文雄首相に『党の顔』を代えることで、逆風を和らげる戦略は不発。有権者は『自民1強』にノーを突き付けた」。

これだと、たしかに意味は通りますが、逆に、事実関係と真っ向から矛盾してしまいます。

「自民1強」の定義はよくわかりませんが、当ウェブサイトではすでに何度も述べてきたとおり、むしろ「ノーを突き付けられた」のは日本共産党との選挙協力を進めた立憲民主党の方なのかもしれません。

記事改変の証拠が残ってしまった!

ただ、本稿で改めてこの話題を取り上げた理由は、記事の内容がおかしい、というだけのものではありません。

時事通信による記事タイトル、記事冒頭の記載の改変履歴が、インターネット上にバッチリ残ってしまっているからです。たとえばツイッター上でも次のツイートで確認可能です。

時事ドットコム(時事通信ニュース)

4年ぶりの衆院選で自民党は、大幅に議席を減らす見通しとなりました。不人気の菅義偉前首相から岸田文雄首相に「党の顔」を代えることで、逆風を和らげる戦略は不発。有権者は「自民1強」にノーを突き付けました。
―――2021/10/31 23:46付 ツイッターより

以上の事実関係については、ちょっとネットに慣れている人であって、ツイートなどを調べるちょっとした労力を厭わなければ、基本的には誰にでも究明することができます。しかも、メディアが頑なに訂正も謝罪もしないことに気付くでしょう。

この点、限られたオールドメディアが情報伝達を一手に独占していた時代であれば、時事通信としても隠しおおせたのかもしれませんが、現代社会ではそういうわけにはいかなくなりました。

これこそがまさに、インターネット化の利点のひとつなのです。

玉木雄一郎氏本人が「ないです」

オールドメディアの記事改変(あるいは修正)については、もうひとつ、興味深い事例がありましたので、それについても挙げておきましょう。

当ウェブサイトでは『国民民主党が「野党共闘枠組」から離脱したことの意味』などでも紹介したとおり、国民民主党の玉木雄一郎代表は4日、自身のツイッターで、立憲民主党、日本共産党などの野党共闘の枠組みからの離脱を表明しました。

立憲民主党から23人の離党者が出たらどうなるのか国民民主党が、立憲民主党を中心とする野党共闘の枠組みから抜けることが判明しました。玉木雄一郎・党代表のツイートによると、「改革中道」「対決より解決」の立場を貫くとして、「これまで立憲、共産、社民とともに行ってきた野党国会対策の枠組には参加しない」「いわゆる野党合同ヒアリングにも参加しない」と明らかにしたのだそうです。これは、大変に良い決定です。改憲否定派が完全に3分の1を失った今回の衆院選については、当ウェブサイトでも『「自民1強に終止符」と報じ...
国民民主党が「野党共闘枠組」から離脱したことの意味 - 新宿会計士の政治経済評論

これに関連し、東京新聞編集局は11月4日、『立民・共産との国対枠組み離脱へ 国民民主、独自路線目指す』と題した共同通信の配信記事をツイートしたのですが、その際、国民民主党が国体枠組みを離脱した意図について、次のように述べました。

政権と是々非々の立場を取る日本維新の会との連携が念頭にあるとみられます。

すると、玉木氏は同日深夜、これに対し「ないです。」とツイートしたのです(本稿執筆時点において、該当するやり取りはツイッター上で確認可能です)。

すると、これに対し東京新聞(あるいは共同通信)は、「日本維新の会との連携が念頭にある」のくだりを削除するという対応を取ったようです。

東京新聞編集局

上記ツイートに国民民主党の玉木雄一郎代表から「ないです」と指摘がありました。ツイートは共同通信の配信記事を紹介したものです。「日本維新の会との連携が念頭にある」は記事からの引用でしたが、引用部分はその後、記事から削除されました。リンク先は削除後の記事です。
―――2021/11/05 13:47付 ツイッターより

これも大変に興味深い話です。

わが国のメディアが「~の狙いがあるとみられる」などと報じる場合、たいていの場合はそのメディアの主観的な意見だったりするわけですが、これに玉木氏本人がツイッターという「誰でも閲覧できる情報源」において公然と反論したことで、共同通信、東京新聞が事実上の記事訂正に追い込まれた格好です。

どうせ書くなら、当ウェブサイトのように、「維新と連携して統一会派を結成し、立憲民主党から23人以上の離脱者を受け入れれば、最大野党の地位を立憲民主党から奪うこともできるかもしれない」などの書き方にすれば良いのに、と思ったのはここだけの話です。

敗北したのはマスメディアの側では?

さて、「盛大な誤報」をしでかした時事通信は、問題の記事の翌日、こんな論評を掲載しています。

自民、参院選へ「刷新」カギ 薄氷の小幅減、胸なで下ろす―惨敗立民「共産寄り」修正も【潮流底流】

―――2021年11月01日20時30分付 時事通信より

正直、内容についても、なぜ選挙情勢について読み誤ったのかという点に関し、言い訳がましいことがつらつら記載されているという印象を抱きます。

自民党はこの4年間の政権運営が問われた衆院選で小幅減にとどまった。<中略>ただ、小選挙区で野党候補との接戦が目立ち、何とか崩壊を食い止めた面は否めない。甘利明幹事長の小選挙区敗北もあり、来年夏の参院選は政治不信の解消や世代交代がカギとなりそうだ。

この衆院選の結果、連立与党で絶対安定多数を確保した状況を、「何とか崩壊を食い止めた」とは、じつに苦しい言い分です(※余談ですが、崩壊しそうになっているのは自民党ではなく、時事通信を含めたオールドメディアの社会的信頼の方ではないでしょうか)。

もっとも、この記事自体は配信日時がちょうど1週間前とやや古い記事ですが、なぜ本稿でこの記事に注目したのかといえば、ポータルサイト大手の『Yahoo!ニュース』に(なぜか土曜日になってから)転載され、これに多くの興味深い読者コメントが付されていたからです。

自民、参院選へ「刷新」カギ 薄氷の小幅減、胸なで下ろす 惨敗立民「共産寄り」修正も【潮流底流】

―――2021/11/6 8:24付 Yahoo!ニュースより

コメント欄を眺めてみて気付くのは、批判が立憲民主党だけでなく、マスメディアの報道ぶりに対しても向けられているというものが、非常に多い、という点でしょう。

たとえば、「議席を減らしたという意味では、ダメージが大きかったのは自民党よりも立憲民主党や日本共産党の方ではないか」、「マスメディアのネガティブ・キャンペーンや落選運動も酷かったなかで、自民党はむしろ善戦した」、といったコメントがありましたが、それだけではありません。

「保守的な有権者はマスメディアに強い不信感を持っていて、メディアによる電話調査、出口調査にも非協力的である」、「そもそも情報リテラシーが強い人は050で始まる電話(※)に出ない」、「結果として調査に協力するのもテレビ漬けの人たちだ」、といった指摘には、ハッとさせられます。

(※「050で始まる電話」とは、世論調査会社による電話のことを指しているものと思われます。著者自身のオフィスにも、最近になって、050で始まる電話が頻繁にかかってくるようになりました。)

また、個人的には、こんな趣旨のコメントにも、深く共感します。

今回の衆院選の最大の敗者は、立憲民主党ではなく、日本のマスコミだ。マスコミ各社が立憲民主党の枝野幸男代表を批判するのは、マスコミ自身の責任逃れの証拠だ。マスコミに乗せられた枝野代表が責められるのは仕方がないかもしれないが、マスコミに人を批判する資格はない」。

このあたり、当ウェブサイトでは『衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』で触れた論点とも重なる点です。

やはり、同じようなことを考えている人は、多いのかもしれませんね。

増えてきた、「ネットが情報源」

情報源としてインターネットがますます強力に!

さて、本稿でもうひとつ触れておきたいのが、最近、新聞社やテレビ局もインターネットを情報源として使用することが増えて来たのではないか、という仮説です。

それを痛感した事件のひとつが、衆院選の当日、京王線の車内で発生した凄惨な事件です。

すでに報じられているとおり、この事件は走行中の京王線の電車内で、刃物やライターオイルなどを所持し、有名な映画の悪役の仮装をした男が、乗客に対して無差別での傷害行為に及んだというものです。亡くなった方はいらっしゃいませんが、とにかく負傷された多数の方々の一刻も早いご快癒を祈るばかりです。

ただ、この事件については、インターネットユーザーの多くは、直接、たとえばこんな動画で事件の発生を知ったのではないでしょうか。

しずくβ」さんというツイッター・ユーザーの方が投稿した動画では、車内で多数の方が避難しているなかで火の手が上がり、電車が緊急停車して窓から多くの人が逃れる姿などが映っています。

また、このユーザーが投稿した動画はほかにもいくつかあるのですが、ほかにも電車が駅に停まったあと、警察官が犯人と思しき男と対峙する様子をホームから撮影した動画なども投稿しています。

調べたところ、このユーザーの方以外にも、複数のユーザーが、問題の男の写真をツイッターなどに上げているほか、実際にこの男と周囲の乗客とのやりとりについての投稿もいくつか見当たりました。

ポイントは、これらの動画・写真などが(おそらくは)マスメディア関係者ではない一般人によって(おそらくは)スマートフォンなどで撮影され、ツイッターという、これまた「誰でも情報発信できる手段」を使って全国、全世界に配信された、という事実です。

そして、新聞やテレビ、通信社などが、こぞってこの写真ないし動画を使用していることが確認できます。

もちろん、これには「偶然そこに居合わせた」という側面も大きいとは思います。

ただ、これだけスマートフォンが一般化し、これだけインターネット環境が身近になったことで、今後ますます、「マスメディア関係者ではない一般人」が撮影した動画、写真などがメディアなどで使用されるという事例が増えて行くでしょう。

オールドメディア「にしか」できないことって、なに?

そうなると、マスメディア・オールドメディアの社会的役割とは、いったい何なのでしょうか。

最近のオールドメディアには、ともすれば「取材もせずにインターネットのツイートや動画を拾ってきて、そのまま垂れ流す」、という姿勢も見受けられるのですが、そもそも一般人が撮影した動画を、インターネット経由で一般人がそのまま視聴することが一般化すれば、正直、そのメディアを通す必要はありません。

いや、もちろん、当ウェブサイトとしては新聞やテレビの役割を全否定するつもりはありません。

やはり、世界各地で生じた事件・事故を速報してくれる役割、複雑で専門的な事象をかみ砕いて一般人にわかりやすく解説してくれる役割、さらにはさまざまなデータを集めて来てひとつのストーリーに仕立てる高度な論説は、この現代社会において、ますます必要になって来ることは間違いありません。

ただ、そもそも論として、それらの役割を、果たして現在の新聞、テレビが担っているのでしょうか。

正直、著者自身の「金融評論家」としての視点からすれば、日経新聞を含めたオールドメディアの金融や会計に関する解説を読んでいると、専門用語を誤って使っている事例も多数ありますし、かつては大規模な誤報、あるいは捏造と疑われる報道などの事例を、多数発生させています。

そのなかの最大のものとしては、2008年のグローバル金融危機の際、「金融庁は時価会計を停止する方針だ」とする世紀の大誤報を配信した、というものがあります(『早いもので、ウェブ評論を始めて10年が経過しました』等参照)。

早いもので、著者自身がウェブ評論活動を開始してから、ちょうど10年が経過しました。正直、まさかこんなに長続きするとは思っていませんでした。本稿ではこの10年少々における政治・社会・経済の変化について簡単に振り返っておくとともに、改めて今後の展望を述べておきたいと思います(※なお、記念すべき初稿についても収録していますが、こちらについてはあまり期待しないでください)。ウェブ評論10年早いもので、10年が経過しました当ウェブサイトの著者がこの『新宿会計士の政治経済評論』を立ち上げたのは、いまからちょうど4...
早いもので、ウェブ評論を始めて10年が経過しました - 新宿会計士の政治経済評論

つまり、それなりの専門知識があれば、あの「日経新聞」ですら、専門知識なしに間違った内容を垂れ流していたということに、2008年の段階で気付くことができた、というわけです。

あれから13年が経過し、社会のインターネット化はますます進みました。

あえて現代社会において、オールドメディアにしかできないものがあるとしたら、記者クラブ制度を通じていち早く排他的に情報を手に入れることと、オールドメディア同士が「談合」して答え合わせをすることくらいなものではないでしょうか。

正直、記者クラブ制度が廃止されたら、オールドメディアの存在意義はなくなるかもしれません。

答え合わせ:読者の皆さま、気付きました?

さて、冒頭で、「本稿ではちょっとした試みをしている」と申し上げたのですが、その答え合わせをしておきます。

本稿は、何かを議論する際の一次ソースとして、できるだけ、ツイッターであったり、インターネットであったり、と、「オールドメディア以外のメディア」を参考にして執筆しました。

もちろん、オールドメディア(新聞、テレビ、通信社など)の記事についてもいちおうは紹介しているのですが、それらは「ツイッター上で記事の改変が証明された事例」や、「Yahoo!ニュースの読者コメントで批判された事例」として紹介したものであり、いわゆる「一次ソース」として引用したものではありません。

つまり、当ウェブサイトのような、「大手マスメディア」ではない独立系ウェブサイトにおいても、直接確認できる一次ソースだけで、ここまでのことが議論できる時代になった、ということです。

当ウェブサイトにおいてさえできるのですから、ちょっとした取材力、分析力、専門知識などがあれば、オールドメディアの「外」において、かなりレベルが高い議論を展開することができるという時代は、もうすぐそこに来ているのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 京王線の事件での話ですが、例えば、これから先Twitterに書かれたニュース価値のある投稿を先回って「有料で」独占権付きで買い取る人が出たらどうなるだろうと思いました。

    今のところみんな無償でホイホイ報道に転載許可しているから彼らのニュースも充実したものになっていますが、もうそんな時代も「有償買取業者」の出現で終わるでしょう。Youtubeで一般人も突然お金持ちになる時代ですからね。

    • >G様
       おはようございます。既に「マスコミから情報提供依頼を受けて(無料で)承諾したら、以後、該当画像の含まれる当人の元ツイートが著作権違反にされてしまった」というケースもあるようです(今年見かけたのですが時期等の記憶が曖昧で、元ソース探し出せず…申し訳ありません🙇)。雑誌の読者投稿コーナーの隅っこによくある「投稿された内容の著作権は出版社に帰属します」的な事態だったんだろうか?
       以下のコラムは2017年発表のものですが、著作権法第41条(時事の事件の報道のための利用)と、マスコミがSNSのユーザーコンテンツを利用する場合の注意点について分かり易く纏められていて参考になりました。これらの内容をきちんと把握してない記者、多いような気がするなぁ。
      https://www.gojo-partners.com/column-ps/2198/

  • >オールドメディア「にしか」できないことって、なに?

    あえて言えば、組織として継続的に活動することによる「信頼性の獲得」かな?
    もっとも、それを獲得できてかは別問題だと思うのです♪

  • 政権による文字起こしが浸透し、報道内容の答え合わせが容易になりました。

  • 本論からは外れるし、紹介頂いてた動画をチラッと見ただけなんだけど、モザイク処理とかはしてないんですね♪
    中には事件のことは忘れたいって人もいるかもだけど、こんなふうに動画を拡散することの是非って、どうなんだろう?許容すべきことなのかな?

    ただ、肖像権の侵害とかで訴えられたりしないのかな?

  • たとえ昔でも、あからさまな記事改変はバレていたのでは?

  • 出口調査や電話での世論調査に喜んで回答してくれる人たちの動向や意見を一般人の投票行動や意見との前提で論を立てているから間違える。これはヒラリー対トランプの時のアメリカのリベラルメディアの失敗と同じ。
    メディアが国民から浮き上がった存在になっているんじゃないか?

    • sqsq様
      おはようございます。
      もともと報道って「真実をそのまま報道する」ことが基本だと思うんですよ。だから権力が嘘をついたり隠し事をしているなら戦う必要があるわけで。
      ところがいつの間にか「権力と戦う」ことが目的になっちゃって「そのためには何を言ってもイイ」みたいな、目的と手段がひっくり返って無茶苦茶になっているのが今の状況な気がします。今回の選挙で盛大にやらかしたのもその弊害が大きいですよね。終わってからもまるで「外した自分達は悪くない!」と言わんばかりの論説を見ると本当にうんざりします。
      アメリカだとまた違うのかもしれないですが、今の時代に報道関係者が「権力と戦う」とか「権力の嘘を暴く」って言ったって、ついてくる層ってホントに僅か(特に若い層は少ない)でしょうし、開き直って(逆ギレして?)そこだけ着いてくればイイって思っているのかな、って感じる今日この頃であります。

      • > 「真実をそのまま報道する」

        いやいや、その通りに振舞っていると思いますよ。ただ、日本では韓国ほど「事実」と「真実」とが乖離していないので、普段はあまり目立たないだけです。
        よく韓国メディア報道の素っ頓狂ぶりが嗤われていますが、日本メディアも程度の問題でしかありません。

  • おはようございます。
    今朝の民放の情報番組で「通天閣の文字が改変された画像がネット上に出回ってて云々」と言ってましたけど、そんなの何日も前からネットでは流れている話で「何を今さら」以上の印象は持ちませんでした。
    報道の中の方に話を聞くと「社内で重要なニュースを選別して、重いものは早く、軽いものは後回しor報道しない」と言っていたので後回しにした結果かもしれないですが、重いものさえも既に時間差が生じているうえに報道の仕方が問われている現状をどうするつもりなんでしょうね。
    とはいえ、自分が住んでいる田舎町では「報道されてはじめて確定」みたいな風潮もまだ残っているので、しばらくは今の形が続くのかな、と思ったりもしています。

  • >オールドメディア「にしか」できないことって、なに?

    思い付かなかったニダ。

  • NHK政治部記者によるくどくどしい弁解記事があると聞きました。
    衆議院選挙 NHKの議席予測はなぜ外れたのか
    https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/71414.html

    ぐだぐだ書いてありますが、バイデン候補圧勝報道と構図は要するに一緒。信じたいものしか理解できない「歪んだ職業集団」としか言いようがありません。

    社会の表層しか探知できない政治部みたいなものは、信頼に足りない組織。社会的害悪。これを機会に解体、記者は人事部預かり、早期退職勧告がふさわしいと考えます。

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