本日、岸田文雄氏が第100代首相に選ばれました。岸田文雄内閣は、本日中に皇居での認証を経て正式に発足するでしょう。こうしたなか、早くも「可能な限り早いタイミングでの衆院解散総選挙」という話が出て来ました。事実なら、自民党にとって悪い話ではありません。そして、ますます日本共産党に頭が上がらなくなる立憲民主党、そして「史上初の女性首相」としての国政返り咲きという目論見が空振りに終わりそうな小池百合子・東京都知事…。状況は悲喜こもごも、といったところでしょう。

岸田首相選出も100代は「短命」に

「予定」どおり本日、岸田文雄氏が第100代首相に選ばれました。

本日の首班指名選挙では、衆院側では岸田氏が１回目の投票で458票中、過半数である230票を大きく上回る311票を獲得しました。ちなみに枝野幸男・立憲民主党代表は124票で２位、続いて日本維新の会の片山虎之助代表と国民民主党の玉木雄一郎代表がそれぞれ11票で続きました（なぜか高市早苗氏も１票を獲得しましたが）。

一方で参議院側では、投票総数241票（過半数121票）のうち岸田氏が141票を獲得し、枝野氏（65票）、片山氏・玉木氏（各15票）を抑えてやはりトップでした。

以上の票数で判断する限り、日本共産党はおそらく、志位和夫委員長に対してではなく、枝野氏に投票したのでしょう（立憲民主党の「日本共産党化」がますます進むのでしょうか）。

もっとも、岸田氏の「第100代首相」としての地位は、大変に短い期間で終了します。すぐに衆院の任期が終了し、総選挙を迎えるからです。

これについて産経ニュースは本日、次期衆院選について、岸田首相が臨時国会の会期末である14日に衆院を解散し、19日公示・31日投開票の日程で調整していると報じています。

次期衆院選３１日投開票　感染者減や「ご祝儀相場」

―――2021/10/4 11:39付　産経ニュースより

自民党にとってタイミングとしては非常に良い

この産経の記事が事実であれば、これは自民党にとって、決して悪いタイミングではありません。

一般に内閣の支持率は発足直後が最も高いからであり、これに加えて『東京都の新規陽性者数が１年以上ぶりの水準に「激減」』などでも紹介したとおり、現在、東京都をはじめ、日本全国でコロナの新規陽性者数が激減しているからでもあります。

産経の記事タイトルにある「ご祝儀相場」とは、内閣発足に対する「ご祝儀」が期待できるという点、そしてなによりコロナの状況が小康状態にあることから、タイミング的には自民党が大勝できるかもしれません。

さらに、産経ニュースはこうも述べています。

「自民関係者は、衆院議員の任期満了が21日に迫っていることに触れ、『月内に選挙を終えれば『任期満了を超えている』との批判を抑制できる』とも語る」。

この手の批判、立憲民主党を筆頭とする野党側が一生懸命に行っていたものですが、まさに立憲民主党としてはヤブヘビのようなものでしょう。

あるいは、菅義偉総理大臣が先月、突如として、自民党総裁選に出馬しないと表明したことで、菅総理への批判票を当てにしていた野党の勢いを一気にそいでしまった、というべきか。

まさに、菅総理は最後の最後まで「仕事師」だったと思う次第です。

当てが外れた？小池百合子氏

こうしたなか、この「菅マジック」にしてやられた人物が、もうひとりいたのかもしれません。

東京新聞に先週金曜日、こんな記事が掲載されていました。

都民ファースト、国政新党設立へ　小池知事「関与、関知しておりません」

―――2021年10月1日 19時56分付　東京新聞より

なんだか、よくわからない話題ではあります。

「都民ファーストが国政新党を設立」というのだから、もしこれが事実なら、都民ファーストの特別顧問を務めているはずの小池百合子東京都知事自身が「関与・関知していない」と述べるのも非常に不自然です（あるいは小池氏は無責任、というべきでしょうか）。

これについては現時点において想像するに、小池氏は「史上初の女性首相」を目指していたものの、高市早苗氏が予想外に健闘してしまい、自身が国政に戻るならば急がざるを得ない、といった判断があったのかもしれません。

というよりも、「菅総理の続投」を念頭に、「コロナ対策の失敗」への批判から自民党が大敗するであろうことを予想に入れ、その批判票目当てに「2017アゲイン」を狙い国政政党を準備していたものの、菅総理の突然の総裁選不出馬表明により、当てが外れてしまった、といったところなのかもしれません。

このあたり、菅総理の続投を前提に選挙の準備をしていて、ほかに何にも準備していなかったことを平野博文選対委員長自身が認めた立憲民主党（『菅総理続投というシナリオが狂って大慌ての立憲民主党』等参照）と事情は似ているのかもしれません。

むしろ小池氏こそコロナ拡大の責任者

いずれにせよ、「新型コロナ感染に注意しましょう」というトラックを繁華街で走らせたことなどを除き、小池百合子氏が東京都知事としてコロナの感染増大局面の終息になにか具体的な対策を打ち出したという話は寡聞にして存じ上げません

『徹底して自分に甘いテレビ朝日：説明は明らかに不十分』などでも繰り返し指摘しているとおり、東京都の新規陽性者拡大の責任の一端は、そもそも若年層の路上呑みやテレビ局員らを相手にした飲み屋・カラオケ屋などの「闇営業」すら取り締まらなった小池氏にこそあるように思えてなりません。

いずれにせよ、近いうちに予想される衆院選では、我々有権者は「無投票」「白票」といった、組織票に有利に働く無責任な行動ではなく、少しでも賢明に行動したいものだと思う次第です。