ワクチン接種「2回目」が6割弱

本稿は、データ分析上のメモです。「主要国と比べて遅れている」はずだった日本のワクチン接種が、先ほどの時点で2回目を終えた人が人口の6割近くに達していたようです。見た目が地味な菅義偉総理大臣、短期間でここまで挽回するとは、やはり後世に残る優れた政治家ではないでしょうか。

「遅れていた」はずのワクチン接種が…

主要国と比べ「遅れていた」はずの日本のワクチン接種が、気がついたら6割近くに達していたようです。

当ウェブサイトではこれまで、「ワクチン接種記録システム(VRS)」のデータをかなり追いかけてきたつもりですが、このデータ自体、かなりの「クセ」がありますので、注意が必要です。

ワクチンの前日までの接種実績自体は、首相官邸ウェブサイト上の『新型コロナワクチンについて』というページで、平日の午後から夕方にかけての時間帯に公表されることが多いのですが、その大元のひとつであるVRSのデータは、経験上、午前中には入手可能です。

※VRS生データのダウンロード方法
  • 次の文字列をウェブブラウザのURL欄に打ち込むと、その時点の最新データが取得可能
  • https://vrs-data.cio.go.jp/vaccination/opendata/latest/prefecture.ndjson
  • 上記文字列のうちの「latest」以降の部分を「{dt}/prefecture.ndjson」(※)に変えると過去データの入手が可能(※なお、{dt}は「yyyy-mm-dd」形式で日付を入力。たとえば「2021年9月24日時点で公表されたデータ」なら、{dt}の部分を「2021-09-24」に変換)

実際には、これに医療従事者等への接種実績データ(※7月末時点で更新終了)や職域接種の実績データ、職域接種とVRSへの重複を除外するデータなどがないと、正確な接種実績はわからないのですが、ざっくりした回数や接種率ならば、現時点でも試算できます。

公式には1.6億回だが…

その結果が、次の図表1です。

図表1 総接種回数と接種率
区分総接種回数接種率
全体合計161,166,506
 うち1回目87,680,14868.97%
 うち2回目73,486,35857.80%
65歳以上合計64,175,038
 うち1回目32,325,23091.09%
 うち2回目31,849,80889.75%
高齢者以外合計96,991,468
 うち1回目55,354,91860.40%
 うち2回目41,636,55045.43%

(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。9月24日時点で取得したVRSデータ、9月22日時点で取得した職域接種データ・重複計上データなどを使用。「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、「高齢者以外」の接種率は、接種回数合計から65歳以上接種回数を引いた数値を、9164万2566人で割って求めたもの)

現実には、このデータは本日午後にでも公表されるであろう「職域接種の重複計上」(おそらくは20~30万回分)を含めているため、少しだけ「過大計上」ですが、それと同時に、VRSの未入力実績を反映していないため、その分が「過少計上」です。

過去には1100万回の未入力も!

では、いったい何回ほど「過少計上」なのでしょうか。

データの取得時点によっても異なりますが、いちばん酷かったときで1000万回を優に超える未入力が発生していたことが、現時点までに判明しています。

そもそも論として、VRSには「前日までの接種実績」が入力されているはずなのに、現実には、数値が正確に反映されていません。

たとえば、8月11日時点で取得したデータには、4月12日から8月10日までの接種実績が入力されているはずですが、その回数は85,359,056回です。しかし、本日時点で取得したデータで見ると、4月12日から8月10日までの総接種回数は、96,383,585回に増えています。

その差は11,024,529回、というわけです。

ここまで極端な未入力が生じていると、正直、先ほど図表1に挙げた、「総接種回数161,166,506回」という実績についても、信頼できません。「すでに接種が終わったのにVRSに入力されていない回数」は、下手をするとトータルで800~1200万回分は生じているかもしれないからです。

以上より、現実にはすでに総接種回数は1.7億回を達成していて、接種率も1回目で73%、2回目で62%程度には達していると考えても、さほど大きなズレはないでしょう。

もっとも、個人的な関心事がもうひとつあるとしたら、ワクチンの接種率が何%にまで達するか、です。

現在のところ、VRSデータで見る限り、平日にだいたい150万回前後という接種速度はまったく落ちていません。

早ければ来月中に希望者全員が接種を終える?

この点、令和2年10月時点の日本の人口が1億2712万8905人だそうですが、ワクチン接種対象外の12歳以下の人口(約1200万人)を除けば、ワクチン接種対象者は1.15億人と把握できます。ということは、2.3億回の接種がなされれば、対象者の100%が2回接種を終える計算です。

ただ、これも著者自身の主観で恐縮ですが、ワクチン接種の対象者でありながらかたくなに「ワクチンを受けない」と言い張る人が、おそらく日本には1割くらいいらっしゃると思います(ある世論調査で「比例区で立憲民主党に投票する」と答えた人の割合と似ていますね)。

ということは、だいたい2億回で、「希望する人全員」へのワクチン接種が行きわたる計算です。

現在の総接種回数が1.7億回だとしたら、あと3000万回で終了です。

平日1日あたり150万回、休日でも100万回前後というペースを維持すれば、3週間です。

ただし、現実には接種を完了する自治体も出てくるでしょうから、日本全体として接種ペースが鈍ってくれば、最後の方は接種速度が遅くなるでしょう。

結局、接種が完了するのは11月にずれ込むかもしれません。

菅総理≒谷垣総裁

いずれにせよ、ワクチン接種開始があと2ヵ月早ければ、東京五輪開会式までに現在の状況が生じていたかもしれないと思うと、残念でなりません。

ただ、東京オリパラを成功に導くとともに、主要国と比べて遅れていたワクチン接種がここまで挽回できたというのは、まぎれもなく、菅義偉総理大臣の実績でしょう。

個人的感想ですが、菅義偉総理大臣という人物は、谷垣貞一・自民党元総裁とよく似ていると思います。

見た目の派手さはなく、寡黙ではあったにせよ、世間の批判、逆風にもかかわらず、その時点における自分自身の役割をしっかりと認識して任務を全うしたという共通点があるように思えてならないからです。

谷垣貞一氏は自民党が下野した2009年9月に総裁に就任し、そこから3年間、自民党をしっかりとまもりました。2012年の衆院選で自民党が大勝できたのは、谷垣総裁の下で自民党に大規模な分裂が生じなかったから、という要因もあるのです。

菅総理も、コロナワクチン接種、デジタル庁実現、東京オリパラ開催、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)推進など、後世に残るさまざまな業績を、たった1年で残したのではないかと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう言っておかないと、高齢者に怒られそうなので)
     外国で、新型コロナワクチン3回目のブースター接種をするところが増えてきました。ということは、もし外国でブースター接種が増えてきたら、日本でも高齢者を中心に「他の国がしているのだから、日本でも3回目のブースター接種をすべきだ」と言い出す人が出てくるでしょう。そうしたら朝日新聞は、「だから菅総理がダメなんだ」と言い出します。
     蛇足ですが、高齢者にとって、新型コロナワクチンのブースター接種をするより、「ブースター接種をすべきだ」と言って、仲間内で盛り上げっているほうが、安心できるのではないでしょうか。
     駄文にて失礼しました。

    1. だんな より:

      引きこもり中年さま
      ファイザー接種者には、3回目接種の方針とワクチンの確保が進んでいる筈だと思います。

  2. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    mRNAワクチンは何回有効だろうか
    6回くらいで使えなくなくなるかも

  3. 転勤族 より:

    谷垣総裁の功績を再評価して良い頃なのかもしれませんね。

  4. より:

    「あと二か月早ければ」の件は全く同感です。

    毎度ですが、日本は四項目完全独走態勢に入りました。
    https://twitter.com/Gensbloghissya/status/1442491073557712896

    1. 匿名 より:

      >「あと二か月早ければ」の件は全く同感です。
      そのことに言及するマスコミはいませんね、たまに掲示板を見ると承認遅れを政府(厚労省)にして批判している人が多いですね。
      慎重に行うことが良いことか悪いことかの是非は置いておいて事実は正しく伝えるべきです。

  5. 元ジェネラリスト より:

    ファイザーが経口投与のワクチンの治験に入ったそうです。

    経口投与薬で新型コロナを予防へ 米ファイザーが大規模治験を開始
    https://twitter.com/ReutersJapan/status/1442700594259668992?s=20

    経口投与のワクチンであれば、世界中に予め配布して、日時を決めて世界中で一斉に「せーの!」で飲む、なんてこともできるかもと思いました。
    ワクチン接種の間に変異種が流行る、なんていうイタチごっこのリスクが相当減らせるのではないかと、素人ながらに思いました。

    と思って少し調べてみると、さすが、経口薬の開発はあちこちで意識してやっていたみたいですね。難度の高さで後になっているということなのでしょう。

    1. 元ジェネラリスト より:

      これは、ワクチンじゃなく、治療薬ですね。
      間違っていました。

  6. 匿名29号 より:

    ワクチン接種の費用は今は国が負担してくれているので4回でも5回でも打とうという人が現れてきてしまいますが、もし個人負担だとすると一体幾らになるのでしょう。まったく根拠はないけれど3万円/回くらいですか。
    全国民に一通り接種が済んだ後は、個人負担になるのですかね。いずれにしても早く治療薬も開発されてインフルエンザ並みになるとよいですね。あと3年は掛かりそうですが。

  7. Sky より:

    ラジオで国会答弁を聞いています。菅総理のCOVID -19への取り組みについての話を聞いていたのですが、本当に誠実な人だなぁ、と改めて感じました。世俗にまみれた野党質問者とは大違い。後光がさしている姿を想像してしまいました。ありがとうございました、菅総理。

  8. sqsq より:

    VRSデータ未入力の件、私の想像だけど自治体の慢性的な人手不足が原因ではと考えている。
    河野大臣はアルバイトを雇えば、給料は国で負担すると言ってたけど、そのアルバイトに誰が仕事を教えて、誰が監督するのかということ。その割にはワークロードはたかが知れている。
    以前にも書いたけど、私の知りあいの会社は、例の10万円の定額給付金の仕事を自治体から請け負っていた。自治体にとってはアルバイトを雇って仕事を教えて自分で監督、チェックするよりどこかに丸投げした方が全然楽だと思う。住民票のデータへのアクセスが必須だから秘密保持契約もその会社と結べば済むと思う。
    この仕組みは、公立病院ではすでに一般的で、病院の総合受付、各科受付、会計受付などは外部に請け負わせているようだ。
    元または現地方公務員でこのへんのこと詳しい人いない?

    1. 匿名 より:

      VRSデータの遅れが生じても、それに起因してワクチン確保が出来ないのは自業自得です。
      それを供給不足だと政府責任にするから問題なだけで、他責にせず自分の自治体の中でやりくりすれば何の問題もありません、実害がなければわざわざ手間かけて入力する必要もなし、そう考えている自治体が多いのではないでしょうか?
      幸い日本全体で見ると接種は順調に行われているようなので現状のままでも良いと思います。

    2. 名前はまだない より:

      現にコロナ対応の業務を担当しているのではないため一般論で言いますが、通常このような国から地方公共団体へ仕事をやらせるような場合(やらせるという訳ではなく、一応は自治体が自ら行うという方法を取るのですが)、国から方針が示されそれに自治体が意見を出す、という事を何度か繰り返し、意見が集約され全ての自治体で導入できる、という状態になって初めて事業が展開されるという流れになります。
      コロナ関係の業務についてはスピードを重視した結果、この中間作業がごっそり抜け落ちているため、かなり国の示した方針に穴があり、そのため自治体が対応しかねる事態が生じているというのが実情だと思われます。
      アルバイトの問題もその一つとして挙げられるでしょうし、人手不足の問題も当然あります。お金だけ渡されたところで、制度面が整っていないために、実際には使えないという場合もあります。
      が、しかし、一応は自治体が自ら行うという形を取るわけで、責任は自治体にあるということになります。担当の中の人は正直やってられませんという感想を持っているでしょうね。

  9. だんな より:

    菅首相が、緊急事態宣言解除の記者会見をしています。新宿会計士さんが、述べられているような成果を久々に晴れやかに話しており、良かったなぁと思いました。

  10. 一之介 より:

    谷垣総裁には総理になっていただきたかったと思います。
    自民党総裁で総理になれないのは過去も未来も
    下品な言い方で申し訳けありませんが、ろくでなし(と私が思っている)の
    河野洋平ただ一人で十分だと思います。残念です。

    1. まんなっか より:

      谷垣氏が自転車事故で政界引退されたのは誠に勿体ない話でした。人望と能力、両立する方は本当に貴重でしょう。
      事故が無ければ二階氏の幹事長の目が無かったわけですし。

      1. がみ より:

        谷垣氏無理なのかな?

        山本太郎の所の議員が国会開催中に、公明正大に寝ながら議員やってるんだし。
        コロナ禍で登院拒否してたけどまだ議員。

        車椅子なんてアクティブなほうなんじゃないかな?

  11. がみ より:

    とりあえずは私の家族・親戚には、未接種が一人も居なくなった。

    一都八県一道の中学生まで含む全員完了。

  12. namuny より:

    とりあえず、接種者が50%になると、人流に換算して、感染させる人が半分、感染する人が半分で再生産率が1/4。つまり、2次関数で影響するわけで、動き回る現役世代の接種率が上がったことが一気に感染者が減った最大の理由だと思います。
    今から2週間前の時点で現役世代の接種が30%、再生産率-50% が今見えているんじゃないでしょうか

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