陽性者を感染と呼ぶNHK:コロナ問題はメディア問題
気付けば高齢者の8割近くが1回目接種を終える
「コロナ問題とは、メディア問題である」――。こう述べると、「なにを責任転嫁しているのか」というお叱りをいただくかもしれません。ただ、NHKを筆頭に、「感染者数」ばかり過度に強調するメディアの在り方は、やはり大きな問題です。そもそも「新規陽性者」は「感染者」ではありませんし、また、「感染」という意味ではその「質」、具体的には重症化リスクや医療崩壊リスクなどに目を向けねばならないはずでしょう。
目次
新規陽性者だけに注目?
新規陽性者≠感染者
個人的にオールドメディア(とくに新聞、テレビ)の報道を眺めていて感じるのですが、「感染者数そのもの」をセンセーショナルに取り上げて大騒ぎすること自体、なにも利益をもたらさないばかりか、いたずらに社会的な不安を煽り、有害ですらあります。
何の話を申し上げているのかといえば、東京都で最近、「新規陽性者数」が増加に転じたほか、日本全体で見ても、いったん落ち着いていたはずの新規陽性者数が再び増加に転じる気配を示していることにあります(図表1、図表2)。
図表1 東京都における新規陽性者数(と7日間平均値)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』を参考に著者作成)
図表2 日本全体における新規陽性者数(と7日間平均値)
(【出所】厚生労働省『オープンデータ』を参考に著者作成)
どちらのデータも、直近データで見れば再び「波」が到来しているように見えますし、とくに東京都については、新規陽性者数は前週と比べて+160人、7日間平均値についても前日比+23人で、グラフの形だけで見れば、もう「第5波」と呼んで良いかもしれません。
東京都・7月12日(月)の状況
- 新規陽性者数…502人(前日比▲112人/前週比+160人)
- 7日間平均値…757人(前日比+23人/前週比+171人)
NHKが「502人感染」と報じる
ただし、ここで「ちょっと待ってほしい」と申し上げたいと思います。
まず、ここで増えているのは「感染者」ではありません。増えているのは、あくまでも「新規陽性者」です。
メディアの報道を眺めると、「感染者」と「新規陽性者」の用語は混同されています。たとえば、NHKは次のとおり、ハッキリと「感染」という用語を使っています。
東京都 新型コロナ 502人感染確認 先週月曜日より160人増
―――2021年7月12日 20時52分付 NHK NEWS WEBより
NHKの場合は事実上、法律に基づいて受信料を半強制的に巻き上げている組織であるため、この報道は悪質です。個人的には、この報道をみるだけでも「NHKが強制解体に値する組織だ」という証拠に見えてなりません。
(※なお、「NHK問題」については『NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実』にもまとめていますので、適宜ご参照ください。)
ワクチンで遠のく医療崩壊リスク
ワクチン接種は今日も進む
そもそも論ですが、ワクチンの接種が日々、進捗し続けています。
昨日の『松井一郎大阪市長がVRS未入力の事実を認め開き直り』でも報告しましたが、「ワクチン接種記録システム(VRS)」への入力は恒常的に遅れており、個人的な感覚に基づけば、未入力件数は現時点で、少なく見積もっても500~600万回程度に達していると考えています。
そして、昨日、つまり月曜日は、ワクチン接種回数の「増分」が150万回に達しました(図表3)
図表3 VRSデータの「増分」の推移
(【出所】過去のVRSデータより著者作成)
VRS生データのダウンロード方法
- 次の文字列をウェブブラウザのURL欄に打ち込むと、その時点の最新データが取得可能
https://vrs-data.cio.go.jp/vaccination/opendata/latest/prefecture.ndjson
- 上記文字列のうちの「latest」以降の部分を「{dt}/prefecture.ndjson」(※)に変えると過去データの入手が可能(※なお、{dt}は「yyyy-mm-dd」形式で日付を入力。たとえば「2021年7月11日時点のデータ」なら、{dt}の部分を「2021-07-11」に変換)
ここで述べている「増分」とは、当日のVRSデータと前日のVRSデータを比べ、総接種回数が何回増えたかをグラフ化したもので、たとえば7月13日(火)時点のデータを分析すると、次のとおり、前日の接種回数は70万回弱ですが、「修正入力された過去分」が90万回を超えているのです。
7月13日(火)時点で取得したVRSデータ
- 総接種回数…1,595,498回
- うち、7月12日(月)当日の接種回数…675,547回
- うち、7月12日(月)以前の接種回数…919,951回
なんともお粗末ですね。
高齢者接種率は1回目で8割弱、2回目で5割弱だが…
また、接種回数と接種率についても日々上昇しており、とりわけ65歳以上のいわゆる「高齢者」については、1回目接種率が77%、2回目接種率が48.52%だったそうです(図表4)。
図表4 接種回数と接種率
区分 | 接種回数 | 接種率 |
---|---|---|
65歳以上合計 | 44,638,167 | |
うち1回目 | 27,419,865 | 77.27% |
うち2回目 | 17,218,302 | 48.52% |
全体合計 | 61,852,790 | |
うち1回目 | 38,443,625 | 30.24% |
うち2回目 | 23,409,165 | 18.41% |
(【出所】7月13日時点のVRSデータ、首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』より著者作成。なお、「医療従事者等」への接種実績は、7月12日(月)に公表された7月9日(金)までのデータを使用。なお、「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、全体接種率は累計接種回数を1億2712万8905人で割って求めたもの)
例の「VRSへの600万回前後の未入力」を勘案すれば、VRS入力対象の接種が高齢者優先であることから、仮に1回目と2回目がそれぞれ300万回増えたとすれば、65歳以上への現時点の接種率は1回目が85%前後、2回目が55%前後と考えられます。
下がり続ける「危険指数・新規陽性者割合」
この点、発症した際の重症化リスクが顕著に高いのは、若年層ではなく、断然、高齢層です。普段から何度も紹介しているとおり、重症化する割合は、30歳代を1倍とすれば60歳代で25倍、70歳代で47倍、80歳代で71倍にも達します。
年代別の重症化:30歳代を1倍とすると…
- 若年層:10歳未満…0.5倍/10歳代…0.2倍/20歳代…0.3倍
- 中年層:30歳代…1倍/40歳代…4倍/50歳代…10倍
- 高年層:60歳代…25倍/70歳代…47倍/80歳代…71倍/90歳代…78倍
(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』P4)
ということは、先行する医療従事者等に加え、高齢者に対するワクチン接種が進み、ワクチン接種後に免疫効果が生じれば、いわゆる「免疫の壁」が厚くなり、社会全体の重症化リスク、ひいては医療崩壊リスクが激減することが期待できます。
そして、先ほど図表1で紹介した東京都のデータだと、新規陽性者(※「感染者」、ではありません)の情報が年齢別に開示されていますので、年齢別の新規陽性者数に上記倍率を乗じて「東京都危険指数」を計算してみたものが、図表5です。
図表5 東京都新規陽性者数と東京都危険指数
(【出所】東京都オープンデータ等より著者作成)
図表5の数値を7日間平均値に置き換えたものが、図表6です。
図表6 東京都新規陽性者数と東京都危険指数(※7日間平均値)
(【出所】東京都オープンデータ等より著者作成)
この「東京都危険指数」自体、新規陽性者に含まれる高齢層の割合が減れば減るほど、若年層の割合が増えれば増えるほど、実際の新規陽性者数よりも低く出ます。
そして、図表6(※10分の1表示)でも確認できるとおり、最近だと「新規陽性者数」(A)を「危険指数÷10」(B)が恒常的に下回っており、両者の倍率(A÷B)についても低下する一方だ、というわけです。
もちろん、新規陽性者の「絶対数」が増えれば、危険指数自体も上昇するのですが、それでも全体の新規陽性者動きと比べれば、増え方はグッと緩やかであることが確認できます。
メディアの問題がコロナで浮き彫りに
NHK問題を違う角度から眺める
さて、ここで少しだけ余談です。
メディアが「感染者」と「新規陽性者」を混同している理由については、よくわかりません。「悪意を持ってわざとやっている」、「記事を執筆している記者やデスクなどが不勉強である」など、さまざまな仮説は浮かびますが、それについてここで究明することはしません。
ただ、先ほど紹介したNHKのケースもそうですが、職員1人あたり、少なく見積もっても1573万円という非常識なほど巨額な人件費を計上していて、受信料という名目の実質的に「税金」のようなもので生きながらえている組織が、このような報道を垂れ流すこと自体、大変に大きな問題です。
NHKは、もし「公的な組織」を名乗るのであれば、少なくとも国家公務員並みに人件費を引き下げ、さらに先ほどのような誤った報道を流した場合に、担当者を処罰する仕組みを導入しなければならないのではないか、と思わざるを得ません。
あるいは、現在のように「国からの独立」を騙り続けるのであれば、公的組織なのか、民間組織なのか、よくわからないような現在の組織の在り方をただす必要があります。少なくとも半強制的に受信料を巻き上げる仕組みは、直ちに改めなければなりません。スクランブル放送化を義務付けるべきでしょう。
酷い虚報を垂れ流したメディアは、競争原理に基づいて倒産し、市場から退出していただく必要があると思いますし、その意味で、私たち日本国民には「NHKを倒産させる権利」が必要だと思う次第です。
正しく恐れることが必要
ただし、NHK問題についてこれ以上議論するのは控えたいと思います。
いずれにせよ、大事なことは、「感染の実態」をちゃんと学ぶことであり、やみくもに恐れるのではなく「正しく恐れる」ことでしょう。
小さい子どもさんがいらっしゃる家庭だと、火がついている状態のコンロ、水が張られた状態の風呂などにひとりで近づけないはずですし、ハサミ、ナイフなどの鋭利な道具は子どもの手の届かない場所に置いておくはずです(※それでも彼らは手を伸ばそうとするのですが…)。
ある程度の年齢になれば、やみくもに触ると危ないものの分別がつくのと同じで、その性質を「正しく理解すること」が危機克服の第一歩、というわけです。
菅義偉政権が東京都への4回目の緊急事態宣言発令を余儀なくされたのも、東京五輪の「無観客」が決定されたのも、結局は「政府が悪い」、「菅(総理)が悪い」のではなく、私たち一般国民が「感染者(※新規陽性者のこと)」だけに目を奪われ、正しく恐れていなかったからではないでしょうか。
その意味で、コロナ問題とは私たち国民の認識の問題であり、なにより、国民がコロナに関する正確な理解を妨げているのは、まさに「『感染者』数」ばかりを強調していたずらに不安を煽るメディアそのものの問題なのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
おっしゃるとおり、最早、コロナはメディア問題だと思います。一時は医療崩壊だ何だ報道していたのが、今は感染者数が何日連続で前週を上回るとか、いかに情弱者の恐怖心を煽るかに執着しているように思います。また、ワクチン接種が進んだUKのサッカーの話や、アメリカのメジャーについても感染者数は日本よりずっと多いのに、そこはあまり触れずにマスクがない、制限が緩和されたと、いかに日本がダメかというような間違った印象を植え付けるに偏向した報道を続けています。今のままだと、一部国民はリスクがゼロにならないと納得しないと思います。そして経済回復が遅れるのは自明で、それがメディアの目的かもしれません。
既存メディアの目的が世論誘導から日本経済への攻撃であったとして、巷間の議論が本記事の如くと成らば、既存メディアと市井の人々の断絶が更に深まることとなりましょう
であるならば、このような視点論点議論の経緯を広く拡散することでマスメディアの影響力を更に低下させることへの一助となるやも…
菅首相の過去の複数の記者会見を見てみましたが、首相自ら「感染者数」と言う表現を使ってるんですよね。
例えば
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0514kaiken.html
>新規感染者数は、大阪では減少に転じていますが、
西村大臣は概ね陽性者数の表現で通しているようです。
なぜ首相会見で感染者数の表現を使っているのか経緯はわかりません。
測定できる数値は感染者数ではなく陽性者数であってそれを元に対策を打つわけですから、政府自身も正しい言葉遣いを心がけるべきではないかと思います。
マスコミが使う感染者数という表現に免罪符を与えるようなもんです。
この問題は専門家から厳しく指摘してもらうのがいい。
要するに「感度」「特異度」の問題。
検査が陽性でも感染していない人(擬陽性)がかなりいると思われる。
コロナ問題やNHKに限った話ではありませんが。
「社会不安を煽る」
「それに対処しない政府への信頼を毀損する」
「国民の分断」
これはもはやテロや革命の扇動では?
陽性と診断された者=感染者ではない、というのはわかる。
病原体保有者というべきか。
確かに感染者数と発表するメディアが多いが、新型コロナ感染症なのだから「感染者」と呼ばれること事態、国民も特に違和感を持っていないような気がします。
統計などでは感染状況、感染者数、患者数などと表していたりしていてややこしい。
娘が、文化祭でお店をやるのに、検便を提出しないといけないのなんで?って聞かれたから
「腸チフスのメアリー」の話から、「変人偏屈列伝」を読むのをオススメしたらウザがられました。解せぬ。
食中毒菌の保菌者でないか事前に確認するってやつですか。
でもこれって義務じゃないんですよね…解せぬ
りょうちん様
「腸チフスのメアリー」、つい最近、「0番目の患者」で読みました。まさにタイムリーな書籍ですね。が、カミさんにすすめたら、やっぱりウザがられました。
毎日の更新ありがとうございます。
感染者ではなく陽性者であるPCR検査のCt値についてのコメントします。現在日本PCR検査のCt値の陽性基準は40~45です。これは諸外国(Ct値35~40)に比べて高く、細胞感染していない暴露者や擬陽性者を多数含んでしまいます。 いわば諸外国の感染者数に比べて水増しされているわけです。 鼻くそにウイルスがついていても陽性と小生は揶揄しておりますが、 本当にそうかCt値ついて調べましたところ、 纏まった一般的な良い説明がみつかりませんでした。 かろうじて下記の日経の記事が参考になった程度です。
PCR「陽性」基準値巡り議論、日本は厳しめ? -日本経済新聞-
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65910480W0A101C2CE0000/
個人のTwitterですが、下記が図表一番まとまっていてわかりやすいです。
https://twitter.com/samuraikensuke/status/1331408999422386177
統計学も苦手なド文系のマスゴミにとって、医学は“ワクチンこわい・感染者拡大”と騒ぐこと以外は、理解範囲の大外で、PCR検査のCt値などは、ギリシア語どころかヒエログリフなのでしょう。しかたないので、自身で纏めてみようと思ったしだいです。
はじめに、PCR検査とは何か、Ct値とは何かからはじめます。
素人のヨタ話より下記COVID-19有識者会議の記載をご参照いただくと良いでしょう。
(A) COVID-19有識者会議
感染拡大防止の鍵となる社会的PCRスクリーニング
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/6489
-以下引用-
PCR検査のCt値とその解釈方法
COVID-19の診断に用いるPCR検査新型コロナウイルス感染症の診断に最もよく行われている検査が、RT-qPCR法(以下PCR検査)と抗原定性検査である。PCR検査は、採取した検体(唾液、鼻咽頭スワブなど)の中に存在するウイルスの特定のターゲット遺伝子を増幅させ検出する検査法で、結果の評価に用いるCt (Cycle Threshold) 値は、検出可能な閾値に達するまでPCR にて何回増幅を行ったかを示す数値を表す。Ct 値の数値が低ければ低いほどウイルス量が多く、高ければ高いほど少なくなる。日本の行政検査におけるPCR検査はCt=40未満を陽性としている。
引用終わり-
Ct値とは何回増幅したかということなので
① Ct 値35は 検体を2の35乗 34,359,738,368倍増幅するということです。
② Ct値40は,検体を2の45乗 1,099,511,627,776倍増幅すること ①の32倍
③ Ct値45は、検体を2の45乗35,184,372,088,832倍増幅すること ②の32倍
ではCt値はいくつが適切であるかということですが、(B)並びに後述の(C)(D)にあるように台湾が採用しているCt値35が適切であると考えられます。
国別のCt値は
米国と英国は 日本行政の推奨と同じ40、日経記事によれば、台湾のCt値は35で天才オードリー・タンの指揮下模範解答です。武漢ウイルス発祥地(漏洩地)の中国は中国疾病対策予防センター(中国CDC)によって37未満を陽性と判断するが、37~40の場合は再検査などを推奨しています。
では、なんで日本のCt値はやや過敏といえる40~45なのかといえば、憲法に書いてあるからではなく、下記(B)の”SARS-CoV-2 遺伝子検出・ウイルス分離マニュアル”に45回増幅すると書いてあるからであります。民間のPCR検査ではCt値をマニュアルにある増幅回数である45にしていることもあるようです。
(B)「感染研・地衛研専用」SARS-CoV-2 遺伝子検出・ウイルス分離マニュアル Ver.1.1
令和 3 年 2 月 8 日
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/SARS-CoV-2_gene_detect_and_isolation_manual_Ver1_1.pdf
-以下引用-
4. リアルタイムone-step RT-PCR法によるSARS-CoV-2の検出 P9~
LightCycler 480II(480、96)を使用する場合
PCR Quantification 45 Cycle
-引用終わり-
厚生労働省もうすうすCt値40~45はやばいと気づいたようで、
下記本年1月22日の通達でプール検体(複数人の検体をまとめて検査)のCt値は35に落としています。
医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)
https://www.mhlw.go.jp/content/000725744.pdf
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000725922.pdf
・プール化検体数を増やすことにより、偽陰性判定が増加→適正なプール化検体数の設定が必要
・カットオフ値(検出限界値)CT値35(感染研法による)
選挙確定後のポジショントーク臭がプンプンしますが、1月6日のファウチの提言後、CDCも5月にワクチン接種者のCt値を下げています。 他者への感染リスクと重症化リスクの低いワクチン接種者のCt値を下げるのは、擬陽性の混乱を回避する合理的な判断と考えます。
CDC新ガイドライン発表 –BonaFidr-
https://bonafidr.com/2021/05/18/%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E6%8E%A5%E7%A8%AE%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%9F%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AFpcr%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AEct%E5%80%A4%E3%82%92/
結論的には、プール検体と同様に少なくともワクチン接種者と無症状者のCt値は35まで下げる。有症状者とクラスター調査の検体に限り40を維持することが、合理的な陽性基準と考えます。 Ct値を下げて、陽性者が少なくなると、尾身や緑のたぬきや玉川が騒げなくなるので命を守るとかいって大反対するでしょう。
下記(C)(D)は、Ct値35が適切であると解説する専門家記事です。
(C)2021 年 3 月 31 日 報道関係者各位 慶應義塾大学医学部
COVID-19 に対する社会的 PCR 検査のコンセプトを発表
-感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指す新たな検査コンセプト-
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2021/3/31/210331-1.pdf
-以下引用-
「Ct=35 以上の検体は実験系において感染性を持たない」という複数の報告があり、Ct 値から推測されるウイルス量を計算すると、例えば Ct=35 の場合には、コーヒーカップ 1 杯程度(125ml)の唾液にウイルス 100 万粒子以上が含まれていることになりますが、それを浴びても感染が成立する可能性が低いことを意味しており、Ct=35 を検査閾値とするコンセプトを打ち出しました。
-引用終わり-
(D)国立循環器病研究センター 健康サポートセンター
http://www.ncvc.go.jp/kenkou/topics20210205.html
-以下引用-
ちなみに日本でのCt値は40、台湾でのCt値は35と設定されていますが、民間の誰でも検査が受けられるところでは45に設定されていることもあります。従って閾値をCt値45で設定すると3-4週間後でもこの図のように陽性となってしまいます。
中略
このように新型コロナウイルスを極度に恐れていた時には、PCR検査で偽陰性が無いようにしていたため、現在では感染者を過剰にカウントしていると考えられます。有症状者のPCR検査は迅速に行わなければなりませんが、無症状でCt値が35以上のPCR検査陽性者の濃厚接触者に対するPCR検査を積極的に行う必要はないと考えられます。ましてや広島市長が提案するような全市民対象のPCR検査はパニックと医療崩壊を引き起こしかねません。
-引用終わり-
私のような素人にとって、「陽性者とはどんな状態なのか」を分かりやすくすると良いと思います。
陽性者のうち
Ct35以下 保菌数が一定以上。
細胞感染している可能性が高い。
他者への感染リスクがある可能性が高い。
いわゆる感染者。
Ct35を超える 保菌数が一定以下。
細胞感染していない。=ウイルスが増えない
他者への感染リスクが限りなく低い。
いわゆる擬陽性。
以上のような理解で良いのでしょうか。
また、ウイルス感染するには一定数が必要とのことですが、
Ct35を超える状態であれば、「追加のウイルス」が入ってこない限り感染せず、
自然消滅または免疫が勝利するという事でしょうか。
もし、そうであれば下記の一息つきました様のご意見にも「心配なさらなくても大丈夫ですよ」と言ってあげられますね。
矢塚様
Ct値35は感染を判断するのに合理的感度である。 感染者である可能性が高い 単勝500円馬券
Ct値40だと0ではないが、擬陽性が多く感染者である可能性は極めて低い 宝くじ特等 xx億円
あくまで確率論の問題です。
埼玉県民様
なるほど、ありがとうございます。
確かに確率の問題ですね。
100%でないと文句を言われる方もありますが、ごくごく低い確率ではコスト対効果があまりにも低く、負の影響しかないということですね。
いつも実証データを元にした論理構成で敬服致しますが、
ことこの件に関しては、
「陽性者」でも「感染者」でもいいような気がします。
結局ウィルスを運搬している事に変わりなく、
何らかの隔離対象者である事は事実であり、
発症予備軍なのか今後も発症しないのか、他人に対してどの程度影響が有るのかも不明である以上、同等の扱いをして最大限の注意喚起を行うのが有るべき姿ではないかと。
「正しく恐れる」と立場としては、「陽性者」は最大限「感染者」と扱ってこそ、宣言の必要性も論じれるのだと思います。
但し、その意味では、ブログ主様の示されている通り、
重症者や、重症化リスクの高い感染者も併せて統計的にマスコミに提示してもらえれば、世界の中での日本の位置づけがもっと明確になる筈。
そこはマスコミ努力の不足は感じます。
陽性者には偽陽性や感染力を持たない陽性者が多数含まれております。 これらの方は感染力を持ちません。 感染者は、細胞内にウイルスを取り込みウィルスの再生産をしているので感染力があります。 理解を拒絶することは良くないことと思います。
x感染力を持たない陽性者 ○感染力を持たない暴露者 の間違いでした。
コメント有難うございます。
理解を拒絶している様に見えてしまってすみません。
ですが、
陽性者と判明した時点で、その人が「偽陽性」や「感染力を持たない陽性者」かどうかは判明していないと理解してます。
最大限のリスクとして、全員「感染者」と扱って注意喚起するのは、「有り」だと思っています。
個人的には、オリンピック有観客でやってもいいんじゃないかと思いますね。
陽性者は増えるでしょうが、意外に重症者はそんなには増えないんじゃないかな。ただ、若いモンの自宅療養には反対、ホテルに監禁すべきです。自宅療養をきちんと守るとは思えませんし、ホテルに缶詰めになるとわかれば、少しは自重するでしょう。
ただ、有観客でやりたいなら、もっとやり様はあったと思いますので、正直、現政権の手腕には疑問符は多々あります。ワクチンを確保した点だけは評価しますが、あれは安倍政権の遺産という面も大きいと思いますので。
オリンピック期間中に、なんでプロ野球は観客入れてるんだ、Bリーグの観客はかなり密な状態だという疑問が出てくるでしょう。
プロ野球はいいの。読売新聞、中日新聞、その他メディアがオーナーだからといわれないように。
夏の甲子園も観客入れるんでしょうね~。
マスゴミのダブルスタンダードの最たるもんだ。
大多数の方は「感染者」でも「陽性者」でも同じ認識かと思います
みなさん御存知かと思いますが「感染者」と「陽性者」の違い
現代ビジネス 2020.9.3
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75285?page=1&imp=0
政府関係者やメディアであればバイアスを与えかねない「感染者」ではなく「陽性者」を使用すべきかと思います
後は実際の重症、死亡者の増加を抑えられるかどうかですね。
新型コロナもいずれ「ただの風邪」扱いすることになるわけだけど、
その基準値はどうするのか考える段階に来ていると思う。
感染者≒犯罪者ニュアンスでの報道姿勢
これにつきますね
先日西村大臣の
「卸売業からの圧力」
「金融業からの圧力」
での感染者発生に圧力かける発言が、方々からの批難で撤回されました。
逆の視点から見ると、
そういった「感染者≒犯罪者」的報道も一緒に口封じされてしまっている意味が有ると思います。
恥ずかしながら自分もPRC検査陽性者と感染者の区別がついていません。こちらの投稿中のリンクに違いを説明したものが多々あり読みましたが、いずれも専門的な解説であるため、もとより門外漢である上に劣化した脳には専門的で長い文章はスムーズに入って来ませんでした。もっと一般人にも分かり易すく且つ簡潔な説明が世の中にないことが「PRC検査陽性者数=感染者」の誤解を広めることになっているように思います。
分からないながら、わんわん様の投稿のリンクが最も自分としては劣化脳にも入って来易かったように思います。多少の不正確はご容赦いただき、無謀にも もっと簡潔を旨にまとめるならば、人が病気になることを時系列的に並べると、(ウィルスが活性化していることを便宜上「生きた」と表現しています)
(1)生きたウィルスが粘液や気道表面等に付着・存在する状態
(2)生きたウィルスが細胞に侵入した状態(潜伏期)
(3)生きたウィルスが細胞内で増殖している状態(増殖期)
(3)ウィルスが細胞内で増殖して感染細胞を破壊しながら全身に広がる状態
(4)ウィルスが不活性化して(治癒)、残骸が体内に残っている状態
(1)から(2)の段階では自然免疫によってその後の(3)以降に進むとは限らないということです(自然治癒)。 では、どこから「感染」と言えばよいのか、また、どの段階から人にうつす能力が出るのかが新型コロナの場合は明確にされていないことから混乱が生じているようです。
更にPRC検査自体に責任があるわけではなく、その運用に問題があるようで、
・陽性判定の基準値が国ごとにばらばらで、日本は厳しい(数十個のウィルスでも陽性)
・日本の基準では上記(1)の状態でもPRC検査陽性=感染者とされてしまっている
・結果的にPRC検査陽性者=感染者として本当の感染者より多くを病院へ送り込み医療の負担を増やしている。
普通の風邪でいえば、風邪の菌は夏冬通して人間の粘膜に存在しており(知らなんだ)、免疫力が落ちた時に増殖して「風邪にかかる」わけであり、これにPRC検査と同じように検査を行えば日本人全員が風邪に「感染している」ということになるんだとか。
ここからは個人の妄想ですが、集団免疫ができるとはどういう状態かというと新型コロナウィルスが風邪の菌と同様に常在しており、かかる人がかかるのであり、検査をすれば全員陽性ってことになるのでしょうか。えらいこっちゃ。
> 風邪の菌は夏冬通して人間の粘膜に存在しており
ウィルスを「菌」と称する習慣は蔓延していますので、それだけなら、まあいいかなと思うのですが、風邪の原因には細菌もありますので、ウィルスを口内常在菌のように記述すると誤解が拡大するかな、と心配になります。
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=2
医学は素人なので、私の方こそ誤解があるかもしれません。予めお詫び申し上げます。
改めてわんわん様のリンク先を読み直すと、
「常にウイルスは気道上(のどや鼻)に「いる」のです。」
と書いてあり、自分もホンマかいなと思います。
因みに風邪をひいて病院へゆくと抗生物質を山ほど処方してくれるのですが、細菌による風邪より、ウィルスによる風邪のほうがほとんどであり、抗生物質は効かないのでないのと思いつつ、一応指示通りにのんでいます。
ウィルスと菌を混同することは、回り回って民間防疫をあらぬ方向に曲げはしないかと心配なのです。
> 細菌による風邪より、ウィルスによる風邪のほうがほとんどであり、抗生物質は効かないのでないの
仰る通りです。
医師からすれば、「ウィルスが引き起こす炎症や免疫力低下によって副次的に起こるかもしれない細菌感染を防ぐため」という言い分かもしれませんが、もしかしたら本音は「何でも良いから沢山薬を出しておけば儲かるから」かもしれません。あるいは単に、風邪の原因がウィルスか細菌かを特定するのが困難/面倒くさいから、「何でも良いから沢山薬を出しておけ」になっているのかもしれません。