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処理水問題が米韓同盟を消滅させる原動力のひとつに?

「米中対立局面では中国の味方をする」と言ってしまったようなもの

福島第一原発のALPS処理水の海洋放出を巡っては、当ウェブサイトでも集中的に紹介したつもりですが、ふと冷静に考えると、「日米」対「中朝韓」という構図ができてしまっています。これが意味するところが何なのか、そして日韓関係を巡るゴタゴタが、これからどう続くのかについては気になるところです。

韓国を諦める日本

「日韓関係が悪いこと」に議論の余地はない

「現在の日韓関係は良好ではない」。

こんなこと、いまや誰でも知っている話でしょう。

日本国内には右派的なメディア、左派的なメディア(あるいは親日的なメディア、反日的なメディア)がありますが、どのメディアも「日韓関係が良好ではない」という点においては、おおむね一致しているのではないかと思います。

この状況は韓国国内でも同じであり、日本語版を設けているメディアに限定しても、通信社である聯合ニュース、「保守派」に属するとされる朝鮮日報や東亜日報、中央日報、「左派」に属するとされるハンギョレ新聞など、どのメディアも「韓日関係は悪い」とする事実認識では一致しています。

よって、いまや日韓関係が良好か、そうではないかを議論しても、あまり意味はありません。

それよりも大事なことは、①日韓関係悪化の原因がどこにあるのか、②日韓関係悪化で誰が困り、誰が笑うのか、③これからの日韓関係はどうあるべきか、といった諸論点でしょう。

日韓関係に関して重要な諸論点
  • ①日韓関係悪化の原因は何か
  • ②日韓関係悪化で利益を得るのは誰か
  • ③これからの日韓関係をどうすべきか

議論は長くなりますので、本日は②、③ではなく、①を中心に検討してみましょう。

日韓関係悪化原因を巡っては、おそらく日本国内では多くの人が、「文在寅(ぶん・ざいいん)政権下の反日行為の数々が原因だ」、などと思っているかもしれません。

また、韓国メディアを眺めると、「文在寅政権下で韓国が日本に対し、日本を激怒させるようなことをやったことも原因だが、根本的な原因は、歴史を反省しない日本にある」、などという「逆ギレ」分析を頻繁に見かけます。

おりしも『処理水は「汚染水」に非ず:海洋放出は合理的な決定だ』などでも取り上げたとおり、最近の日韓関係におけるホットな話題のひとつが、福島第一原発の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出に関するものです。

もう「話が通じない」、韓国メディアのコラム記事

これに関し、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に昨日、こんな「コラム」記事が掲載されていました。

[コラム]福島第一原発の汚染水、「反日」ではなく世界の問題だ

―――2021-04-16 07:04付 ハンギョレ新聞日本語版より

記事を執筆したのは「論説委員」の方だそうですが、文章の書き出しを含め、これがまた非常に強烈です。文章の書き出しがあまりにも酷いので、冒頭部分だけを紹介しておきたいと思います。

原爆の被爆国であることを掲げてきた日本が、放射能で汚染された大量の水を海に流すことを決めた。歴史上最悪の福島第一原発事故を起こしても、日本の市民や周辺国家にきちんとした謝罪も行わず、責任も取らず、米国の支持を前面に押し立てて汚染水の放出を強行しようとする態度は、植民地支配と戦争の責任を直視せず、その記憶すら消そうとしてきた日本の権力者の態度が変わっていないことを示している」。

この「放射能で汚染された大量の水」、「市民や周辺国への謝罪」云々の記載、日本に対する強烈な恨みを感じますが、残念ながらこの論説委員氏が何を言おうが、日本政府の決定は米国や国際原子力機関(IAEA)の理解を得ていますし、また、国際的なスタンダードに従ったものでもあります。

この論説委員氏の議論には、深刻な欠陥もあります。

燃料棒が溶け落ちるメルトダウン事故が起きた福島第一原発の汚染水には、トリチウムのほかにもストロンチウム90、セシウム137などの、人体に致命的な放射性物質が含まれているという事実を巧妙に隠蔽するフレームだ。

科学的な傍証もなしにそう断言する根拠は、いったいどこにあるのでしょうか。

ここまで非科学的だと、正直、日本に対する誹謗中傷のたぐいとしか考えられません。

こうした感情的・非理性的・非論理的な文章の存在もさることながら、しかもそれを執筆したのが「論説委員」を名乗る人物であるという点などを踏まえると、日本はそろそろ日韓関係を「諦めるべき」、という絶望感に浸ってしまうのです。

文在寅政権が日韓関係を壊した

文在寅政権の対日不法行為の数々

さて、ここで先ほどの問題点に戻りましょう。

日韓関係を破壊した人物が誰なのかと問われれば、多くの人は「文在寅政権だ」と答えるでしょう。しかし、当ウェブサイトとしては、「文在寅政権が日韓関係を破壊する決定的な原因を作った」とする説明には、全面的に賛同することはできません。これについては部分的に正しいのですが、部分的には間違いです。

なぜ「文在寅政権が日韓関係破壊のすべての原因だ」とする見解が、半分は正解で、半分は間違っているといえるのか。

まずは、事実関係だけを述べておきましょう。

図表1は、当ウェブサイトでも幾度となく述べてきた、文在寅政権下の韓国が日本に対して仕掛けた不法行為のうちの一部分を抜粋したものです(ただし、内容はアップデートしています)。

図表1 文在寅政権下の韓国が日本に対して行った不法行為の例
時期 出来事
2017年12月 2015年12月の日韓慰安婦同意に関する外交機密文書を日本政府の了解なく勝手に公表
2018年9月頃 旭日旗騒動
2018年10月30日、11月29日 自称元徴用工判決
2018年12月20日~ 韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事件
2019年2月頃 国会議長による天皇陛下に対する侮辱発言
2019年7月頃まで 慰安婦財団解散
2019年7月19日 日韓請求権協定に基づく紛争解決措置の完全な無視
2019年8月22日~11月22日 日韓GSOMIA破棄騒動
2019年9月11日~11月22日、2020年6月2日~ 日本の対韓輸出管理適正化措置を巡るWTO提訴騒動
2021年1月8日 自称元慰安婦の訴訟に関連し、ソウル中央地裁が日本政府に主権免除違反の判決を下す
2021年4月14日~ 日本政府が決定した福島第一原発のALPS処理水の海洋放出を巡って「汚染水」と誤った用語まで用いて激しく批判する

(【出所】著者作成。肩書は当時。なお、余談ですが、2020年までの出来事については、拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』のP33にも転載しています。)

たしかに、これで確認すると、文在寅政権は2017年5月に発足して以来、日本に対し「これでもか」というほど多くの不法行為を繰り返してきています。

外国と付き合う理由は「平和と繁栄のため」

この点、普段から当ウェブサイトで何度も報告しているとおり、古今東西、そもそもありとあらゆる国家は、国民の平和と繁栄のために存在します(北朝鮮などの例外を除きます)。したがって、外交も結局は「その国との付き合いが日本の平和と繁栄に役立つ」と言えることが必要です。

この「平和と繁栄」のことを、難しい言葉でそれぞれ「安全保障」「経済的利益」などと呼ぶこともあるのですが、要するに軍事的側面と経済的側面のことであり、また、この軍事的側面、経済的側面の両者をまとめて「国の利益」、すなわち「国益」と呼ぶのです。

国同士の関係は「仲良しごっこ」ではありません。日本が外国と仲良くする目的も、結局のところは、そうすることで、何らかの「国益(=安全保障と経済的利益)」を達成することにあります。

たとえば、日本が米国と仲良く付き合っている理由は、米国が日本と「自由・民主主義・人権尊重・法の支配」などの根本的な価値を共有しているだけでなく、世界最強の軍事力と経済力を兼ね備えた国家だからです。

米国と良好な関係を維持していれば、基本的に日本が外国から攻め込まれることはなく、また、日本も経済的に発展と繁栄を謳歌することができる、などとされているのです(※この点については異論があるという方も多いと思いますが、とりあえずは議論を先に進めます)。

当然、中国やロシア、韓国などとおつき合いする理由も、「平和と繁栄に役立つため」という点では、まったく同じです。

とくに、中露の場合は日本と基本的な価値を共有していませんが、海を隔てて隣国でもあるため、無用ないさかいを避ける必要がある、という切実な事情があります。

また、中国の場合は1990年代以降、「安くて豊富な労働力」、「14億人の市場」などをキーワードに、日本企業をはじめとする外国企業の誘致を積極化したため、日本企業がこぞって中国に進出した、という事情もあります。

(※余談ですが、この「安くて豊富な労働力」、「14億人の市場」云々については、かなりの誇張があったと考えているのですが、これについてはもし機会があれば、「中国がなくても日本経済はまったく心配ない」などの書籍にしてみても良いかもしれません、)

韓国と付き合うのは「日本の国益」に合致しているのか?

この「平和と繁栄」という視点は、きわめて重要です。相手国と付き合うかどうか、付き合うとしたらどれくらい深く付き合うか、などについては、常に「国益」という観点から判断しなければなりません。

そのうえで、先ほどの図表1に示した内容を振り返っておきましょう。

これらのなかには、単純に「多くの日本国民が腹立たしく感じる」という出来事がいくつかあります。たとえば、「⑤文喜相(ぶん・きそう)国会議長による天皇陛下に対する侮辱発言」、「⑥慰安婦財団の一方的な解散」などはその典型例でしょう。

しかし、「平和」と「繁栄」という視点からは、看過できない不法行為がいくつも発生しています。

たとえば「②旭日旗騒動」、「④韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事件」、「⑧日韓GSOMIA破棄騒動」などは、日本が韓国と安全保障面で協力し辛い相手国である、ということを、間接的に示してしまいました。

ことに、④の火器管制レーダー照射事件などは、時代や環境によっては、一歩間違えばそのまま戦争に突入していても不思議ではないほど危険な行為です。そんな危険な行為をし変えてくる相手国と、安全保障対話など成立しなくても、ある意味では当然です。

実際、過去の防衛白書を確認してみると、『ハイレベル防衛交流面でも大幅に後退していた日韓関係』などでも触れたとおり、日韓間では防衛当局者のハイレベル交流が年々途絶えていっていることがわかります(たとえば図表2等参照)。

図表2 ハイレベル交流実績(過去4年分)【※クリックで拡大/大容量注意】

(【出所】過去4年分の『防衛白書』、すなわち『令和2年版(2019年4月~2020年3月)』、『令和元年版(2018年6月~2019年6月)』、『平成30年版(2017年6月~2018年6月)』、『平成29年版(2016年6月~2017年6月)』より著者作成)

つまり、外国とおつき合いするうえで重要な2面のうち、少なくとも軍事的側面からは、韓国は日本が積極的にかかわるべき国ではなくなってしまった、ということなのです。

経済的側面からも強い疑問符が!

ただし、上記はあくまでも「軍事的側面」の議論でした。

日韓両国政府間で関係が悪化しているにせよ、日韓両国の企業、地方自治体、あるいは両国国民同士が仲良くする分には、まったく問題がないかに見えなくもありません。

しかし、この見方は間違っています。

先ほどの図表1の議論に戻りますが、これらのうち「①外交機密文書の一方的公開」、「③自称元徴用工判決」、「⑥慰安婦財団解散」、「⑦日韓請求権協定に基づく紛争解決措置の完全な無視」などの事件は、日本企業が韓国企業とおつき合いするのをためらわせるのに十分な理由でもあります。

ことに、自称元徴用工問題に関しては、極端な話、「せっかく韓国に進出しても、韓国のデタラメ判決のせいで、ある日突然自社の資産が差し押さえられ、強制売却されるリスクがある」ということを意味しています。

さらには、日本政府は自称元徴用工問題に対しては、一歩も退かず、それでいて友好的・平和的な解決を模索しましたが(いわゆる日韓請求権協定に基づく解決プロセス)、韓国政府はこうした日本政府側の努力をすべて無駄にしてしまいました。

つまり、日韓間で何らかのトラブルが発生したとしても、現在の韓国は、外交交渉による解決は不可能な相手国である、というわけです。

韓国が日本企業にとって、こうしたリスクがあることを理解したうえで、進出・取引すべき相手国なのかは、それこそ各企業の判断ではありますが、まともな経営者ならば株主代表訴訟も怖いので、韓国で新規ビジネスを始めようとは思わないでしょう(●レなどの例外を除きます)。

文在寅氏はきっかけを作ったに過ぎない

文在寅政権が日韓関係を壊したのは間違いないが…

以上より、文在寅政権が日本の韓国に対する信頼を壊してしまったことは間違いありません。文在寅政権のせいで、日本は韓国と安全保障面での対話が成り立たなくなったからであり、また、外交・経済面でも日本企業にとって韓国への進出が非常にリスキーな行為と化してしまったからです。

このあたり、先日の『信頼関係は文在寅政権下で最終的かつ不可逆的に壊れた』でも述べたとおり、文在寅政権以降になっても、回復するのは容易ではありません。

ただ、ひとつ勘違いしてはならないのは、べつに日韓関係悪化の責任のすべてが文在寅政権にある、というわけではない、という点でしょう。

たとえば、図表1では文在寅政権発足後の韓国の日本に対する不法行為を列挙してみましたが、文在寅政権以前の韓国が日本に対し友好的な態度を取っていたのかといえば、答えは明らかに「NO」でしょう。

李明博(り・めいはく)政権下の対日不法行為の例
  • 在韓日本大使館前に慰安婦像設置(2011年12月)
  • 李明博大統領が島根県竹島に不法上陸(2012年8月)
  • 李明博大統領による天皇陛下侮辱発言(2012年8月)
  • 韓国政府が野田佳彦首相の親書を郵便で返送(2012年8月)
朴槿恵(ぼく・きんけい)政権下の対日不法行為の例
  • 朴槿恵大統領、安倍晋三総理大臣との会談を頑なに拒絶(2013年2月~2014年3月)
  • 安倍総理の米上下両院合同演説を阻止しようと国会議長らがロビー活動(2015年3月頃)
  • 安倍総理の米上下両院合同演説に対する韓国国会の非難決議(2015年5月)
  • 日本の産業革命関連施設の世界遺産登録妨害(2015年5月~7月)
  • 釜山の日本総領事館前にも慰安婦像設置(2016年12月)

つまり、文在寅政権に入ってから日韓関係の悪化が「加速」したことはたしかですが、いきなりそうなったのではなく、そうなる土壌はすでに何年も前から作られていたのです。

李明博元大統領、朴槿恵前大統領はいずれも就任前は「日本とのゆかりがある」、「親日保守政権だ」、といった期待感が日本国内で(勝手に)高まっていたにも関わらず、です。

なぜ韓国と付き合わねばならないのか

以上から、自然に考えて、日韓の二国関係が破綻するのは、もはや時間の問題であるようにも思えます。

ただ、物事は単純ではありません。現在の日本は、韓国との関係を今すぐ破綻させるわけにはいかない事情があるからです。いや、「無理をしてでも韓国とおつき合いしなければならない」、という言い方の方が正しいでしょうか。

ではなぜ、無理してでも韓国とおつき合いしなければならないのでしょうか。

その理由は大きく2つあります。

1つ目は、いきなり断交はできないことです。もしもどこかの段階で日韓断交が不可避なのだとしても、それが「今」であるわけにはいきません。そのことは、産業面を見れば明らかでしょう。

残念ながら、日本は半導体産業を自分で潰してしまったようなものなので(『日韓通貨スワップこそ、日本の半導体産業を潰した犯人』等参照)、これはなかば自業自得のようなものなのですが、韓国が供給する半導体がなければ、日本の産業にも大混乱を来してしまいます。

ただし、拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』でも報告したとおり、著者自身の見立てでは、日本経済にとっての韓国は、中・長期的に見ても「死活的に重要」だとは考えていません。十分にコントロール可能です。

したがって、ちゃんと時間をかけて準備すれば、少なくとも経済・産業面からは、日韓断交自体は不可能ではありません。

しかし、2つ目の理由は、単純ではありません。

日本にとって国防・安全保障面で韓国の存在が組み入れられてしまっているからです。いや、「米国の都合に合わせなければならない」、という言い方をした方が正確でしょうか。

米国にとっては、在日、在韓米軍は有機的一体として運用されており、また、北朝鮮や中国を牽制するうえでも、「日米韓3ヵ国連携」が必要だと米国自身が考えています。

最近になって、韓国が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)に頑なにコミットしないのを見て、米国もさすがに文在寅政権である間は韓国を相手にしなくなったというフシもあります。

しかし、それでも依然として、米国は韓国の存在が必要だと考えています。『韓国の自滅外交を警告 ビクター・チャ氏の議論と限界』でも取り上げた、米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏の認識など、その典型例でしょう。

そして、日本にとって米国との関係は切っても切れません。

米国が自国の国益の都合上、韓国との関係を重視している限りは、必然的に、日本としても韓国との関係を切ることができない、というわけです。

日本の国益を優先すべき

ただし、ここで議論を終わらせてはなりません。

当たり前の話ですが、日本は米国の友好国であり、同盟国ではありますが、「米国そのもの」ではありません。れっきとした独立国です。ゆえに、日本が最終的に追求しなければならないのは、「米国の国益」ではなく、「日本の国益」です。

これについては、少し状況が複雑です。

基本的に、日本と米国は同じ自由主義陣営に属しており、日本の国益と米国の国益は、かなりの範囲で重なっています。軍事的野心を隠そうとしないまま台頭する中国を牽制することが、日米双方の利益となるのは、その典型例でしょう。

しかし、それと同時に、米国は米国で、彼らの利益を追求する立場にあります。

米国にとって同盟国同士のいさかいは大した問題ではありませんし、おそらく日韓の歴史問題には、米国としては、関心はありません。要するに、「日米韓3ヵ国連携」を邪魔されない限りは、どちらが正しい、間違っている、といった点には配慮する必要はない(と彼らが考えている)のです。

もちろん、こうした彼らの認識は、大きな間違いです。

同盟国に対し、不当な負担を強いるようなことを続けていれば、やがてそのストレスは同盟を傷つけ、同盟にヒビが入る遠因となりかねません。

そして、外交の世界において、相手国を変えるということなどできません。

私たち日本人が米国に対し、「あなたたち、もう少し東アジア情勢を読み解く能力を身に着けた方が良いですよ」、などと説得したとして、米国にその能力が芽生えるというわけではないでしょう。

だからこそ、私たちの国・日本としても、日米双方の国益がバッティングする場面では、極力、日本の国益を優先させるべく、米国をうまく誘導していくことが必要なのです。

実際、アプローチはともかくとして、安倍晋三総理は結果的には米国をうまく誘導しましたし、この「安倍路線」は菅義偉総理大臣も(おそらくは)継承しています。本稿では時間的に間に合いませんでしたが、本日未明の日米首脳会談の結果にも注目したいところです。

キル・ユンヒョン氏の「雷管」論

こうしたなか、冒頭でハンギョレ新聞日本語版の記事を紹介しましたが、もうひとつ、こんな記事についても紹介したいと思います。

日本の「汚染水放出決定」は、韓日関係悪化の決定的“雷管”になるか

―――2021-04-15 07:22付 ハンギョレ新聞日本語版より

これは、処理水の放出を巡る、ハンギョレ新聞のキル・ユンヒョン氏の論考です(本稿では同氏を乞う表記します)。

この記事でもあいかわらず、処理水のことをわざと「汚染水」と呼び変えるなど、相変わらず日本に対する悪意に満ちた表現の悪意も見られますが、これはべつにキル・ユンヒョン氏だけがやっているものではなく、韓国メディアが全体としてやっているものですので、あえて本稿ではスルーしたいと思います。

それよりも大切なのは、今回の処理水放出に対し、文在寅政権が国際海洋法裁判所への提訴をおにおわすなど、「韓日関係の梗塞が避けられなくなった」、「最悪の場合は文在寅大統領が任期を終える来年5月まで韓日関係の回復が難しくなる」、などと指摘している点でしょう。

非常にうがった見方ですが、キル・ユンヒョン氏は、もとから文在寅氏の任期切れとなる来年5月までの日韓関係の「回復」があり得ないことを理解しながらこの記事を書いているのではないでしょうか。

というのも、キル・ユンヒョン氏は韓国の左派メディアの記者にしては珍しく、文在寅氏のこうした「超強硬論」が、国内政治的な要因、国際的な要因という2つの点に着目しつつ、最後は米中対立という構図につなげて説明しているのです。

このうち「国内政治」に関しては、今月7日にソウル市と釜山市の市長選で与党「ともに民主党」候補者が惨敗したことで、文在寅氏としても対日強硬姿勢に転じざるを得なかった、という指摘です。この点に関しては、ほかの論者でも指摘しているため、そこまでの新鮮味はありません。

しかし、「国際的な要因」に関しては、「さすが、キル・ユンヒョン氏だ」と思わざるを得ません。

すなわち、「▼北朝鮮が東京五輪不参加を表明したこと、▼日本軍『慰安婦』賠償関連判決の宣告日が21日に迫っていること」などの要因に加え、米中双方の態度との関連も指摘しているからです。

ネッド・プライス米国務省報道官は13日の論評で、日本政府の決定に対し理解するとの反応を示したが、中国外交部は報道官の論評で『利害関係国、国際原子力機構(IAEA)と十分な合意に至るまで独断的に排出してはならない』との強硬な立場を公開した。汚染水懸案で米日と韓中が仲間として括られたわけだ。

この点は、まったくそのとおりでしょう。

日本のALPS処理水放出に関しては、ネッド・プライス報道官、アントニー・ブリンケン国務長官がいずれもかなり早い段階で、日本政府の姿勢を支持する方針を表明しています。これに対し、中朝韓3ヵ国が日本を非難したわけですが、言い換えれば、そこで深刻な立場の違いが生まれたのです。

処理水問題の意義

結局のところ、処理水問題(韓国が「『汚染水』問題」と呼ぶ問題)の意義については、「国際的にセンシティブな課題が浮上した際に、韓国は米国と同じ立場を取らないという姿勢が明らかになった」、と総括しても良いのかもしれません。

すなわち、今回はたまたま日本の問題だったのかもしれませんが、米中が対立する局面で、日本は米国に、韓国は中国に、それぞれ味方をする、という構図がより一層明白化したのです。

おそらく、日米首脳会談の重要なテーマは台湾問題かもしれませんし、その場合、菅義偉総理は、中距離ミサイル配備を含めた「それなりの覚悟」をジョー・バイデン大統領から求められるのかもしれません。

つまり、韓国が態度を明確にしないなかで、日本はハッキリと米国の側にコミットしていかねばなりませんし、こうした混乱ないしゴタゴタは、下手をすると文在寅氏が任期満了を迎える来年5月まで、いや、それ以降も続く可能性すらあります。

もっとも、それまでにもしも米韓同盟が破綻する日が到来するならば、日韓関係も容赦なく必然的に破綻するでしょうし、場合によっては「日米韓」に代わって「日米豪」「日米台」「日米英」「日米印」など、海洋諸国同士の連携が出現するのかもしれません。

それはそれで、悲観すべき話でもない、と思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (35)

  • 更新ありがとうございます。今回の処理水問題で一番の悪党は、原発問題の当事者であった枝野を始めとする立憲民主党の連中やその他野党、正しい報道をしない日本のマスゴミだと思います。彼らが悪の枢軸中露南北朝鮮にガソリンを補給しています。日本も中露南北朝鮮にはそこまで言うなら、世界中の原発止めさせろと言って欲しい。外交では沈黙は美徳ではないと思います。ところで、東京新聞も社是が「公正・真実・進歩的」とはあきれ返ります。確かに隣国からは進歩的と言われてますけどね(呆)

    • シロウ様

      悪党は、立憲やマスコミだというのはそのとおりだと思います♪
      ただ、韓国政府や韓国の政治は、事実を知った上で、おかしな主張をしたり、韓国の世論を煽っているんだと思うのです♪
      だから、仮に立憲がまともな主張をしたところで、韓国の対応は変わらないと思うのです♪

    • 少なくとも 韓国の新聞の原稿は 朝日、毎日が書いて送信しているとしか思えない記事があまりにも多い。

      • 赤ずきん様、逆じゃないですかね。
        朝日、毎日、東京新聞の原稿は、毎日、韓国から送られてくる、
        が正しいように思いますw

        • いつもお世話になっております。

          マスオ様 記事が某国から送ってこられると、私も以前は思って
          おりました。 この頃では、原稿本文が某国言語(ロシア及び特亜諸国語)で
          書かれており、それを日本語に変換しているのだと思います。
          だから、記事を読んでも日本語の使い方がおかしな所があるのだと思います。
          又、記者の本国での検閲がし易い為だとも思っております。

  • 文在寅政権は、もともとSNSによる炎上作戦によって誕生した政権で、大統領就任後も、SNS扇動チームを利用して、世論を自分に都合に良い方向に動かす戦術で支持率を維持してきました。最近は逆風が吹いていますが、福島処理水はSNS上の自分への批判を他所にそらす絶好にネタだと思って、全力投球で批判作戦を展開すると思います。東京オリンピックも北朝鮮不参加のために、また不参加作戦でSNS上で日本批判を展開してくるかもしれません。このあたりは、上からの指示で組織的に行われるはずです。
    日本も、ちょっと前までは2ch(5ch)やその他のSNSでよく炎上していましたが、最近は、学習効果か、少し炎上が減った気がします。でも、ワクチンデマとか、いろいろSNSの欠点も、目立ちます。

  • >おそらく、日米首脳会談の重要なテーマは台湾問題かもしれませんし、その場合、菅義偉総理は、中距離ミサイル配備を含めた「それなりの覚悟」をジョー・バイデン大統領から求められるのかもしれません。

    《独自》「国産トマホーク」開発へ 射程2千キロの新型対艦弾 12式は1500キロに延伸(産経)2020.12.29
    https://www.sankei.com/politics/news/201229/plt2012290001-n1.html
    >南西諸島に配備した場合、1500キロあれば平壌を、2千キロあれば北京をほぼ射程に収める。政府は12月の閣議決定で敵基地攻撃能力をめぐる検討の無期限延期を決めたが、北朝鮮や中国が自衛隊の長射程ミサイルを「敵基地攻撃能力」と認識すれば、日本への攻撃自体を思いとどまらせる効果も期待できる。

    *抑止力として、”射程の長い装備”を持ってるかそうでないかの違いは大きいと思います。
    *”脅威でもない相手”は甘く見られて当然なのですものね。

  • あまり良くない、というか完全に間違った風潮ですが、議論をする際に中身を吟味せずに「誰が主張しているか」で賛否を決めるというものがあります。ネットの議論なんてみんなそれですよね。だからその議論を側から見ていても、全く議論は深まらず、単にあの人は「あっち陣営なんだな」って事実だけしかわかりません。

    韓国と中国の議論のやり方が、そういうネットの悪しき風潮に完全に沿っています。ですから、議論は全く深まらない、陣営の確認しかできない。そういうことなんだと思います。まあ、この際陣営が確認できて「韓国中国があっち側」ということが明白になるのも重要ですが。

    私は日米首脳会談でバイデン大統領からALPS処理水についての言及があると見ています。菅総理が首脳会談の議題にして強く求めるであろうからです。
    アメリカも「日米」陣営と「中朝韓」陣営の明確化の目的で応じるでしょう。まあ政治家は科学的な議論より陣営確認の方が大事ですから。

    ちなみに、主要な政治家の中で唯一科学的な議論が出来ている人がいます。麻生総理です。彼は処理水は飲めると言っています。私はこれこそ陣営を明らかにするだけでない科学的な議論の道筋だとおもいます。
    韓国は科学的な議論が理解できないから「なら本当にお前飲んでみろよ。出来ないだろう」「もし飲んでみせたとしてもすり替えしたものに決まっている」しか言えません。でも麻生総理は、処理水の成分を把握して、トリチウムその他処理後に残る放射性物質はそのままに、あとは塩素消毒などの飲用化措置を講じれば飲めるとの主張です。そこまで(すり替えなしに)準備したら麻生総理は飲むでしょうし、私も飲めます。科学的思考が出来る人にとって、これはなんの怖いこともありません。

  • 「中国がなくても日本経済はまったく心配ない」などの書籍・・・熱望します。現在中国で利益を上げている企業はコマセを撒かれている状況で そのうち釣り上げられるのではと感じていますが 理論建てるほどの知見もありませんので。

  • 韓国のレッドチーム入りが濃厚になれば、
    背取などの資料を表面化して、対北制裁破りのセカンダリーボイコットが提案されるのではないでしょうか(希望的観測)。
    中ロが「韓国を締め上げるのは無問題」と判断すれば制裁発動。
    中ロが反対すれば、レッドチーム入り確定で、西側陣営だけで制裁発動。
    詰みですね.。

  •  原爆被"爆"国だからこそ、一般的にもそこそこの放射線に対する知識があったり、そのくせ過剰に放射線を恐れ、過剰なほどの核兵器アレルギーがあるのが日本です。その日本が科学的な知見を基に、放流を決めた。
     普段から核兵器所持を夢想し、懲罰で叩きこんでやるんだなどという発想を持つ連中に、"原爆"云々を言われるのが、一番日本を怒らせ関係を悪化させるのです。

  • 表題は『韓国を諦める日本』だったんですね。
    『韓国を締める日本』だと思いました。

    • 門外漢様(共感します)
      「それでは皆様のお手を拝借!『ヒト・モノ・カネ』の”三本糸交め”で!」
      ・・って、大団円を迎える話ではなかったですね。
      (◞‸◟)チガウカッタ・・。

  • 更新ありがとうございます。

    日韓関係を断裂まであと1cmに追い込み、興味はいつ潰れるかだけ、という状況まで追い込んだのは、一方的に韓国です。敢えていうなら、日本は友邦国であろうとして来ました。それを悉く裏切ったのが韓国です。病的に民族的問題アリですね。

    文在寅氏だけではありません。最近、何となく日韓関係が変だな、と少し気づいた方、或いはコリアンウォッチャーになった方は「文大統領は極左だ、歴史的事実を歪曲し、蒸し返す。組合活動家だから反日が凄いんだろ。反日すれば国内の支持が高まる」と思い勝ち。

    しかし、文在寅氏に関係無く、もう何十年も前から韓国の為政者は、ずーっと「日本は嫌い」「性根を鍛え直してやる」「併合時代の圧政に謝罪が無い」(嘲笑)と事あるごとに放言し、竹島で天皇陛下を侮辱したりして来ました。

    歴代の大統領朴槿恵、李明博、盧武鉉、金大中、金泳三、盧泰愚、、およそ真の親日大統領なんて、いません。もし、特定の何かの事案で親日的行為をやったなら、その時の損得勘定だけです。

    韓国の有能な記者として会計士様がよく取り上げられるキル・ユンヒョン氏を「文在寅氏の任期切れとなる来年5月まで日韓関係の回復があり得ないことを理解しながらこの記事を書いているのではないか」(本文中)。キル・ユンヒョン氏はその程度かも知れませんが、事態はもっと重いです。

    すなわち【誰が次期大統領になろうが、韓国の「おおもと」は、左派か用日派(保守)しか居ない】。日本が従来の接し方で関係回復に動いても、しっぺ返しを喰らうだけ。世界に醜悪な像を建てまくるだけです。

    韓国は永遠に上位であり、下位の日本は謝罪し続けねばならない譲歩しなければならないというおかしな考えがあるからです。

    幸い日本は韓国と同盟関係にはありません。韓国も米中で良いとこ取りもやり難くなり、いえ米中ともタコ殴りで許さないでしょう。

    米韓合同演習を縮小したり、キャンセルすると、実働に大きく悪影響を及ぼします。コンピュータを使った机上演習だけでは、実戦に役に立ちません。米韓同盟が薄くなれば、またゆくゆく切れれば、日韓関係は更にサラミスライス出来る。着いて来れない商売人は韓国と一緒に沈むしかないでしょう。

    それよりも、お互いを尊重出来る日米豪印台、日英米豪加NZ、日米欧、日ASEANとの連帯を太くするのが日本の進路に合ってます。

  • >「国際的にセンシティブな課題が浮上した際に、韓国は米国と同じ立場を取らないという姿勢が明らかになった」

    そうかな~~
    「韓国は米国と同じ立場を取らない」というよりも、「日本と対立する立場を取る」という姿勢が明らかになったんだと思うのです♪

    選挙で負けたから対日強硬姿勢に転じざるを得なかった、というキル・ユンヒョン氏の指摘が正しいのであれば、韓国国民自身が、個々人はともかくとして総体としては日本との対立を望んでいる(少なくとも、日本との強調は望んでいない)ということだと思うのです♪

    処理水の放出についても、安全性には問題はないという自らの結論を覆えしてでも、いちゃもんをつけているのは、そういった韓国国民の性向を踏まえたものなんだと思うのです♪

    真面目に韓国の水産業への風評被害を心配してるなら、第一には、トリチウムの放出に問題がないことを説明すべきだと思うのです♪ 
    百歩譲って日本に注文をつけるとしても、基準(日本国内の基準じゃなくて、IAEAとかWHOの基準)の遵守を求めるくらいだと思うのです♪(あたし自身、東電がちゃんと基準を守れるのか?ってのはちょっと心配で、そこんとこは国がちゃんと監視するようにして欲しいとこなのです。ただ、これは日本国内の話であって外国からとやかく言われることじゃないと思うのです♪)

    そういった当たり前のことをせずに、日本非難に走ったのは、水産業従事者っていう一部の者のことよりも、国民の大多数の日本憎しの感情に乗っかったからだと思うのです♪

    >また、北朝鮮や中国を牽制するうえでも、「日米韓3ヵ国連携」が必要だと米国自身が考えています。
    米国はそうなんだろうなってのは、あたしも感じるのです♪
    でも、韓国の「日本との対立を望み、協調を拒否する」って姿勢はそれなりに固くて、安全保障みたいなセンシティブな問題ほど、3ヶ国連携なんて画餅に過ぎないと思うのです♪
    そんで、そういったことがわかってるからこそ、中国は韓国への切り崩しをやってるんだと思うのです♪
    米国が、自身の戦略に韓国を組み入れるのは勝手なんだけど、まっとうに機能させたいのなら、日米韓3ヵ国の有機的な連携なんて幻想は捨てて、日米連携と米韓連携を別個のものとしないとダメな気がするのです♪

    3ヶ国の情報共有の一部として、日韓のGSOMIAがあるけど、結局、韓国の反日のおもちゃになっちゃってるのです♪
    多少効率が落ちても、日米間と米韓間の情報共有を、密に迅速に行って、米国を通して日韓の情報共有を図るしかないと思うのです♪

    ただ、本音のところ、米国には、そろそろ韓国は中国側だと諦めて貰って、その上で中国陣営を引っ掻き回すための駒としての利用方法を考えて貰いたいと思うのです♪

    •  以下、とくに七味さんへのレスポンスってわけでないです。
       七味さんのコメント読んで、ふと思ったことをつらつらと。

       近代以降、列強の東アジア進出によって、朝鮮が自らを位置づける拠り所であった華夷秩序は崩壊しました。
       いまの韓国はそのようなパラダイム変化を無かったことにして、中国という父の下に嫡男の朝鮮があり、ヨソの子の日本を兄代わりに面倒みてやってたという自画像に未だにしがみついている。

       世界の仕組みが、中国が支配する地図から欧米列強が支配する地球儀にシフトしたことで、アメリカが日本の兄、その日本の弟が朝鮮という構図に変わってしまった。
       到底受け入れられない事実から目を逸らし続けてきた三半世紀の歴史。
       民主化したはずなのに国際的になんとなく浮いている半世紀の歴史。
       (「半万年の歴史」とか、「半」が好きみたいなので。まぁ、そういうとこなんでしょうけど)

       そもそもが、元や清といった野蛮人でさえ中華の覇権を握ったことがあり、化外の日本までもが主要都市を含めた一部地域を支配下においたことがあるのに、朝鮮は支配されてきただけで支配したことがない。
       このコンプレックスはかなり強烈なものだと思います。
       実際には朝鮮も日本人として中国東部を支配していたのですが。これがまた気に障る。

       日本に併合されて中国本土に攻め入ったときの高揚感は、それが朝鮮国の名のもとでなかったとしても、民族的にかつてなかったほどの恍惚に満ちていたのではないかと思います。
       それが日本の敗戦でパーになってしまった。
       日本の植民地扱いで戦後裁判の法廷からはからくも逃れたものの、日本が負けて空白化した半島は、進駐するアメリカ軍と南下するソビエト軍の陣取りゲーム盤。
       併合云々よりも、期待していた中国支配のポジションが得られなかった。
       この悔しさというか、怒りというか、糠喜びというか、期待値への裏切り。
       朝鮮の全額賭けた日本が負けた。
       負けるなら中国に逆らう気なんかなかったのに、どうしてくれるのか、責任取れと。

       適当に書いておりますが、韓国が日本を言うとき、それは日本への歪んだ感情以前に中国への憧れと恐れがあり、そうでない日本へのコンプレックスが強く働いているのではないかと思っています。
       自分たちが恐れる中国を攻めた(しかもやり切れなかった)日本が憎い。
       さらに、中国をやっつけるわけでもないのに味方せよというアメリカが負けたらどうなるか。
       日本がアメリカに負けたせいで、アメリカが中国の経済台頭を許したせいで、また中国の属国かよ。ふざけろ日本、死ねアメリカ。

       そんな心理現象じゃないのかなと。
       想像上のストーリーです。

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