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さすがに無理がある、民意を否定する「枝野内閣」構想

最大野党・立憲民主党の枝野幸男代表は昨日、「菅義偉内閣は退陣させるけど衆院選は実施せず、現行の衆院勢力のまま立憲民主党を少数与党とする『枝野内閣』を暫定的に組閣し、次期衆院選までの間の危機管理に当たるべきだ」、とする見解を述べたのだそうです。民意を堂々と否定する発言には恐れ入りますが、それと同時に一事が万事、自身の言動に一切責任を負わない立場というのもうらやましい限りです(※皮肉です)。

衆院選まで暫定の「枝野幸男内閣」を主張

どうして、こういう発想になるのでしょうか。

産経ニュースの報道によると、立憲民主党の枝野幸男代表は昨日午後の記者会見で、菅義偉政権の新型コロナウィルス対応を批判したうえで、立憲民主党を少数与党とする「枝野幸男内閣」を組閣し、秋までに行われる衆院選までの「危機管理」にあたることが望ましいと述べたのだそうです。

立民・枝野氏、衆院選まで暫定の「枝野幸男内閣」を主張

―――2021.4.2 18:23付 産経ニュースより

要するに、アレです。「人間、あまりにも突拍子もないことを言われると、しばし反応に困るものだ」、ということがよくわかる事例、というわけですね。いったいどこからどう突っ込めばよいのかわかりませんが、まずは深呼吸したうえで、客観的事実として、会派別議席数を確認しておきましょう(図表1図表2)。

図表1 会派別議席数(衆議院、2021年4月1日時点)
会派(略称) 議席数 議席率
自由民主党 278 59.78%
立憲民主党 113 24.30%
公明党 29 6.24%
日本共産党 12 2.58%
日本維新の会 11 2.37%
国民民主党 10 2.15%
無所属 10 2.15%
欠員 2 0.43%
合計 465 100.00%

(【出所】衆議院ウェブサイト『会派名及び会派別所属議員数』をもとに著者作成)

図表2 会派別議席数(参議院、2021年4月1日時点)

会派(略称) 議席数 議席率
自由民主党 113 46.12%
立憲民主・社民 43 17.55%
公明党 28 11.43%
日本維新の会 16 6.53%
国民民主党 15 6.12%
日本共産党 13 5.31%
沖縄の風 2 0.82%
れいわ新選組 2 0.82%
碧水会 2 0.82%
みんなの党 2 0.82%
無所属 7 2.86%
欠員 2 0.82%

(【出所】参議院ウェブサイト『会派別所属議員数一覧』をもとに著者作成)

ちょっと無理がありすぎませんかね?

衆参いずれにおいても自民党が第1党であり、かつ、衆院では自民党が単独過半数を占めています。これに対し立憲民主党は衆参ともに第2党ですが、議席数は衆議院で全体の4分の1弱、参議院に至っては5分の1を割り込んでいる状況です。

しかも、自民党と立憲民主党の議席数の倍率は、衆議院では2.46倍、参議院では2.63倍にも達しています。これで「少数与党内閣」とは、明らかに民主主義の否定ですし、ちょっと無理があるにもほどがあります。

また、政党支持率に至っては、酷いものでは数倍どころではない開きがあります(図表3

図表3 自民党と立憲民主党に対する支持率
メディアと調査日 自由民主党(前回比) 立憲民主党(前回比)
産経・FNN(2/20~21) 39.1% 8.9%
読売新聞(3/5~7) 40.0%(+3.0) 6.0%(+1.0)
時事通信(3/5~8) 23.0%(▲2.5) 4.8%(+1.0)

(【出所】各社報道より著者作成。なお、前回比については判明するもののみ記載している)

産経・FNNで4.4倍、時事通信だと4.79倍、そして読売新聞に至っては、じつに6.67倍にも達しています。メディアの世論調査が絶対的に正しいと申し上げるつもりはありませんが、それにしても民意そのものを無視して、いったいなにをおっしゃっているのかと驚きます。

お気楽な立場ですから…

また、ネットの反応を見ると、「選挙をせずに少数与党に政権を移行させる法的根拠が知りたい。軍事クーデターか?」といったツッコミもありますが、こうしたツイートからも、「反応に困る」という戸惑いをうかがい知ることができる気がします。

なかには、「いくらエイプリルフールだからといって、ちょっと言いすぎではないか?」といった反応を示した人もいたようですが、記事の日付をよく確認してください。枝野さんが発言なさっているのは、エイプリルフールの翌日です。

それとも何でしょうか、立憲民主党の党内では4月1日でなくても365日、いつでもウソをついてよい、といったルールでもあるのでしょうか?

シャレにしてはきつすぎます。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ちなみに枝野氏といえば、「菅」は「菅」でも、10年前の菅(かん)直人元首相のもとで内閣官房長官を務めていた人物ですが、今回の枝野氏の発言を眺めていると、やはり野党の「劣化」を感じずにはいられません。

(※いや、野党がもともとこの程度のレベルの人たちだったのだとすれば、「劣化」という表現が正しいのかどうかは微妙ですが…。)

こうしたなか、個人的に最もストンと腑に落ちるコメントが、「野党は言動に責任を負わなくて良いとでも思っているのではないか」、という趣旨のコメントです。

たしかに「枝野幸男内閣」という発言自体、どうも枝野氏自身が「どうせ実現できないよね」と心の中で思っていて、いわば「ダメ元」で口に出した、という方が実態に近いような気がします。

例の「zeroコロナ」のときにも感じたのですが、何に対しても責任を負わず、文句をつけているだけで良いという立場は、気楽で良いものだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (49)

  • >「枝野幸男内閣」を組閣し、秋までに行われる衆院選までの「危機管理」

    えだのん、寝言を言わずに寝てろ。

  • これだけ無責任な発言しても、たんまり歳費を貰えるなら、国会議員はやめられませんなあ

    国民はしっかり投票して、民意を知らしめるべきです。

  • リード文を読んでエイプリルフールは過ぎてますよ、と言おうと思ったら本文に書いてありました。

  • >何に対しても責任を負わず、文句をつけているだけで良いという立場

    ではなく、そう思っているだけ。

    こんな、”政党政治を否定し、有権者を愚弄する”政治屋をのさばらしてはいけない。

    連合は支持政党を変えるか、自身が解散すべきだ。

  • どんな文脈での発言かが分かりませんが、認知症を疑います。私は医療関係者ではないので妄想です。
    「危機管理」を試してもらうのも思い白いかと... いや予想されるコストが高すぎますね。
    火中の栗を拾ってご苦労されている菅(すが)首相に失礼な話です。

  • 枝野幸男代表、貴方に危機管理が出来る訳無いだろう、東北大震災で経験済みだ。
    これじゃ韓国の政治家と大した変わらないじゃ無いか、立憲は韓国と何処か繋がっているとは見ていたが案の定である。

    人の褌で取らず、堂々と民意を問え。

  • シャドー・キャビネットの組閣ならご自由にどうぞ・・。

    「社会党シャドーキャビネット」(日本社会党1991年)
    「明日の内閣」(新進党1994年)
    「次の内閣」(民主党1999年)
    『絵だのぉ内閣』(立憲民主党2021年)?

    政策理念は?「アンチ自民」
    行動原理は?「アンチ自民」
    存在意義は?「アンチ自民」
    座右の銘は?「アンチ自民」
    *”思考の放棄と同義”・・。

    • 政策理念は?「反日」
      行動原理は?「反日」
      存在意義は?「反日」
      座右の銘は?「反日」
       ではないでしょうか?

      • クマさんのパパ様

        確かに、基本的には【アンチ自民=反日】ですね。

        (本文より)
        >※いや、野党がもともとこの程度のレベルの人たちだったのだとすれば、「劣化」という表現が正しいのかどうかは微妙ですが…。

        *メッキの下に露呈した地金が錆びついて アカく 見えます・・。

  • 「税金ドロボー」以外に、形容する言葉が・・・
    こんな野党第1党が、与党をダメにするわけですな。

  • あまりにも知識不足で申し訳ありませんが
    支持率 8.9% 衆議員議席数率 24.3%
    この乖離の理由は?
    前回選挙後に支持率が低下?
    選挙制度の欠陥?

    •  国民民主の1部と旧民主の無所属が合流した後、順調に(笑)支持率が下がった結果でしょう。
       連合がかなり強力に旧民主勢力の再結集を進めましたが、思惑通りいかなかったようで。

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