本稿は、「小ネタ」です。今朝の『北朝鮮の断交宣言を「受けて立った」マレーシアの気概』では、北朝鮮という国が意外と「外交上手」ではない、という仮説を提示したのですが、その一方で北朝鮮と韓国の「内紛」については、見過ごすことができません。これに関連して本日、ちょっとした興味深い話題を発見しました。韓国が日韓関係改善を狙っていることを北朝鮮が批判したというのです。
2021/03:21 14:30追記
記事ジャンルの設定を間違えていましたので修正しております。
日韓関係改善に向けた韓国のメッセージ
日本で安倍晋三総理大臣が辞任し、菅義偉政権が発足してから、早いもので半年が経過しました。この菅政権を巡っては、さまざまな評価があり得ると思いますが、とくに外交政策に関しては、菅政権は安倍政権のそれをそっくりそのまま継承していると考えて良いでしょう。
こうしたなか、韓国は昨年秋口以降、急に日本に対して「融和的な」メッセージを発信し始めました。昨年11月に、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領に近いとされる朴智元(ぼく・ちげん)国家情報院長や金振杓(きん・しんひょう)韓日議連会長らを日本に派遣するなどしたことなどは、その典型例です。
また、文在寅氏自身が新年記者会見で「日韓慰安婦合意は国同士の公式な約束」と位置付け、3月1日の演説で「日本との対話の準備はできている」と述べたりするなど、日韓の和解に前向きなメッセージを続々と発信しています。
ただし、日本政府の側は、こうした文在寅氏らの呼びかけに現在のところ応じていませんし、また、「次期駐日大使」として赴任するために今年1月22日に日本に入国した姜昌一(きょう・しょういち)前国会議員は、現在のところ、入国から2ヵ月が経過するにも関わらず、ステータスは「次期大使」のままです。
この点、茂木敏充外相が留任したこともさることながら、菅総理自身が安倍政権下で内閣官房長官を務めていたという事情もありますので、政権交代したことを理由として日本が外国に対する態度を急に変えるということは考え辛いものがあります。
これに加えて、とくに2017年5月の文在寅政権発足以降、日韓関係を一方的に破壊して来たのは韓国の側ですので、韓国がその原因を除去することなしに日本政府が態度を変えることはあり得ません。
韓国の真の意図は「日韓関係改善」ではない
実際、文在寅氏の日本に対する「呼びかけ」には具体的な行動や提案がなにも伴っていません。
たとえば、日韓関係を巡る「一丁目一番地」である自称元徴用工判決問題を巡っても、「2018年10月と11月の大法院判決を無効化する特別立法措置」などを講じようとする機運は見られませんし、それどころか日本企業の資産売却に向けた手続も停止されていません。
この点、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏は、文在寅政権の姿勢を「猿芝居」と喝破していますが(『鈴置論考で読み解く、2022年韓国大統領選の前哨戦』等参照)、日本政府も同じ見解であることを信じたいところです。
ただし、ここで重要なのは、韓国が日本と本気で「関係改善」する意思があるかどうか、ではありません。
その「意図」にあります。
鈴置説などをベースに判断するならば、文在寅氏が唐突に日韓関係「改善」を言い出した理由は、政権交代に伴う対話の機運への期待もさることながら、おそらくは日本との関係改善をダシにして、北朝鮮との対話の取っ掛かりにすることにあったのではないかと思います。
たとえば、今年7月の東京五輪に関連し、北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)(あるいはその影武者?)の東京訪問と「日韓/米韓/日朝/米朝/南北」の首脳会談を実現させることができれば、それを端緒に南北関係の打開にもつながる、というわけです。
そのような期待感を持つこと自体、とてもまともな感性とは思えません。
だいいち、金正恩自身は日本人拉致事件に関する重要な参考人ですから、もし金正恩が日本に入国すれば、日本の捜査当局としては日本人拉致犯罪の真相解明の絶好の機会でしょう。そのように考えるなら、金正恩(?)とやらがノコノコ日本にやって来るとも思えません。
ハシゴを外す北朝鮮
いずれにせよ、文在寅氏が「日韓関係打開」を言い出した理由は、おそらくは本気で日韓関係改善を意図したからではありません。本当の目標は、文在寅氏自身が任期1年少々を残すなかで、ご自身が大統領退任後に逮捕されないよう、ご自身の危機を回避することにあるのでしょう。
これに関して大変に興味深い記事を、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に発見しました。
対日関係改善目指す韓国政府を批判 北朝鮮メディア
―――2021.03.21 09:55付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、北朝鮮の対外向け週刊紙『統一新報』が21日付の記事で、「日本に韓日関係改善の意思がないにも関わらず、韓国政府が韓日関係の改善に躍起になっている」と批判したのだそうです。
なかなか面白いですね。
北朝鮮のことですから、韓国政府が日韓関係改善を言い出した本当の理由について、おそらく見抜いているのでしょう。言い換えれば、北朝鮮としては日韓関係改善をダシに南北関係改善を狙うという文在寅政権の意図を「許さない」、ということでもあります。
「ハシゴを外す」とは、こういうことを言うのでしょう。
View Comments (26)
これは、
”そんなまだろっこしい事をやっている余裕はない。すぐ、食糧・石油を送れ!”
という、金一味の断末魔の叫びだと思います。
農家の三男坊様
同感。
そろそろ春窮ですし、ねー。
去年は台風3つ、直撃してたもんね。
妄想です。
文大統領は、中韓工作員です。
北朝鮮は、南北統一の条件として、日韓協定の破棄を命令しています。
今回の発言は、日本をコントロールできていない、文政権への叱責です。
自分も同じ妄想に取りつかれました
だんな 様
その可能性もありますね。
その場合、日本が取るべき策は別稿でも書きましたが、
”協定に基づき日本が与えた経済協力金を北朝鮮の分も含めて、利子(物価上昇率を考慮して年利20%)をつけて(11.32兆ドル位?)一括返済したら話を聞いても良い。”ぐらいを言うべきだと思います。
そのうちの0.1兆ドルぐらいを北朝鮮に復興支援として恵んでも良いと思います。
もちろん①完全な非核化(CID)②拉致問題の完全解決③半島の併合は合法と宣言する
が条件です。
その上で、1945年以降の日本の資産の使用料を年利20%で南北朝鮮からとれば収支は整うと思います。
脱字がありました。訂正します。
×①完全な非核化(CID)
〇①完全な非核化(CVID)
元々縄梯子なので、よく燃えそうDEATH(デス)。
私は「文大統領は対日関係改善に本気である」と日本に思わせるための援護射撃ではないかと感じます。
多分裏で繋がっていると思いますので。
日本の親韓政治家は今こそ文大統領と話し合うべきだと言い出すかも知れません。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、韓国と同じく、自分は間違えない存在と自惚れそうなので)
北朝鮮としては、「「韓国は、自分が仲介人となって日本から北朝鮮に金を引っ張ってくる」と言っているが、トランプ前大統領の時の米朝首脳会談の時と同じく、騙そうとしているのではないか」と、考えているのでないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
調子良かった経済が色々な要因、分析力の甘さから
いよいよヤバくなってきたと気づいたからかなと。
土地バブル崩壊、不良債権はもとより
そもそもまともな産業がない。
面白くなってきました^ ^
北朝鮮のために日韓関係を改善する(素振り)を見せたムンジェインが北から批判される...w
理屈より感情で口が動いてしまうのでしょう。これが半島でありこれが韓国でもある
更新ありがとうございます。
日本に対して文大統領が宥和的な態度に出て、「日本との対話の準備はできている」と述べてます。しかし具体策がな〜んにも無い。
対話と言っても、ただテーブルを挟んで椅子に座っているだけなら、会わずとも良し。そんな無駄な時間は無い。日本が納得出来る供物を持って来い。どうせ何にもネタ切れで、何かタカろうとするだけだろ?もうその手は通じない。支持率も下がって来たし、あと14か月持ちませんネ。
結局、韓国は保守系だろうが進歩系だろうが、誰がやってもセオウル号(嘲笑)、沈没して庶民が泣き恨むだけ。頭のネジが緩んでいるから、治し様が無い。
北朝鮮は韓国の弱腰を突く。それだけで韓国は北朝鮮を気にして、また日本叩きを始める。ホントに関わりたくない民族だ。
来年の韓国大統領選挙に金正恩が立候補し当選した場合も、想定しておかないといけないと思います。
> 日本との対話の準備はできている
開店準備中なのか, お休みなのか? なんとなく違和感を感じる日本語です.
朝鮮語だと, どんなニュアンスになるんでしょうか?
その言葉の後に隠れた言葉があります。
「対話の準備はできている。(あとは日本が手土産もってやって来れば、対話してあげないこともない)」