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「慰安婦問題のICJ提訴」を言い出した「元慰安婦」

「反日種族主義」著者「論文にぐうの音も出ない韓国」』などでも触れたとおり、米ハーバード大の教授の慰安婦に関する論文で、韓国が国を挙げて大騒ぎしています。こうしたなか、自称元慰安婦のひとりが慰安婦問題を巡り、「対日ICJ提訴」を言い出したようです。もちろん、国際社会が常に公正な裁きをするわけではない以上、「国際社会の場で決着をつける」というのにリスクもありますが、敢然と立ち向かうことを恐れるべきではありません。

いわゆる慰安婦問題

当ウェブサイトで常々指摘してきたとおり、「いわゆる慰安婦問題」とは、だいたい次のような問題のことを指すようです。

①戦時中、②日本軍が組織としての正式な意思決定に基づき、③朝鮮半島で少女のみ20万人を拉致し、④戦場に連行して性的奴隷として使役した問題のこと」。

ただし、『「反日種族主義」著者「論文にぐうの音も出ない韓国」』などを含め、当ウェブサイトでは何度となく記載してきたとおり、この①~④については、いずれも具体的な証拠が一切ありません。端的に言えば、韓国側の「捏造」、というわけです。

というよりも、自称元慰安婦自身が証言をコロコロ変えているという事実に加え、実際に日本軍が慰安婦を募集する業者に出した通達、慰安所に関するさまざまな客観的資料に基づけば、実態は金銭を得て活動する、いわゆる「売春婦」だったと考えて良いでしょう。

もちろん、彼女らの中には、貧しさのあまり親によって事実上「売られた」ような人たちがいたことは否定できませんし、そのような人たちが「自らの意思に反して働かされた」という意味では、あながち間違っているわけではありません。

しかし、もしそうだったとしても、その責任は、日本政府にも日本国民にもありません。生活のためなのかどうか知りませんが、娘をそのような業者に売った親が一番悪いのです。

そして、この慰安婦問題がここまでこじれた理由のひとつは、日本側にもあります。1993年、当時の官房長官だった河野洋平が出した「河野談話」を筆頭に、この慰安婦問題という与太話を明らかに否定しようとしなかったからです。

いずれ決着をつけねばならない

しかし、それ以上に罪深いのは、国を挙げてこの問題を政治利用してきた韓国政府、韓国の市民団体でしょう。私たち日本人は、この者たちによって全世界において、名誉と尊厳を不当に傷つけられ続けているからです。

いちおう、日韓両国政府の間では、2015年12月の日韓慰安婦合意によって、この問題は「最終的かつ不可逆的に解決」したこととされています。

しかし、個人的な気持ちを申し上げるならば、やはり「日本が第二次世界大戦中に朝鮮人少女たちを強制連行し、性的奴隷として使役した」とする与太話をいつまでも放置しておくことは、日本人の1人としては耐えられないことでもあります。

職業柄、英米の金融・経済系のメディア(Financial Timesやthe Wall Street Journalなど)をよく読むのですが、これらのメディアの報道では、たいていの場合、次のように記述されています。

so-called comfort women, who were kidnapped by Japanese imperial army and forced into being wartime sexslaves

現実に、韓国の市民団体はウソの碑文とともに世界の主要都市に慰安婦像を設置しまくっていますし、そのことによって現地の日本人の子女が学校などでイジメの被害に遭っているという事例も聞こえてきます。

やはり、私たちの国・日本が「国家たる」のであれば、韓国が国を挙げて仕掛けて来ている慰安婦プロパガンダとは敢然と戦うべきであり、国際社会を巻き込んで、韓国が国を挙げて主張している「慰安婦問題」とやらが事実無根の捏造であるという事実を認めさせる必要があるのです。

その意味では、アカデミズムの場で、日本人ではない人たち(たとえば米国人など)が慰安婦問題のウソに言及してくれたときには、その内容に応じて、日本も国を挙げて支援するのが望ましいのではないかと思う次第です(なんでも支援して良い、という話ではありませんが…)。

国際社会を巻き込むことは、良いことか、悪いことか

さて、ここでいう「国際社会」に、国際司法裁判所(ICJ)などの場が含まれるかどうかを巡っては、さまざまな議論があるところです。とくに、当ウェブサイトでも読者コメント欄で、「ICJに幻想を抱くべきではない」、「ICJが『正しい判決』を下すとは限らない」、といったご指摘をいただくことがよくあります。

これについては、まったくご指摘のとおりでしょう。

「ICJに提訴すれば日本の主張が認められ、韓国のウソが露呈するに違いない」といった楽観論を抱くのは非常に危険ですし、また、国際社会を騙すような屁理屈が大好きな韓国のことですから、さまざまな悪知恵で日本を貶めようとするに違いありません。

ただ、それでも当ウェブサイトとしては、機会があればアカデミズムの場だけでなく、ICJを含めた国際社会の場を巻き込んで、この慰安婦問題を検証する機会を持つべきだと思いますし、「誤審」を恐れるあまり、ICJを避けるべきではないと思う次第です。

自称元慰安婦が「ICJ提訴」を提唱

こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、今朝、こんな記事が出ていました。

李容洙さんが立ち上がった…セミナーでハーバード大学教授の慰安婦妄言に反論

―――2021.02.16 06:26付 中央日報日本語版より

「ハーバード大学教授の妄言」とは、『詐欺師は誰よりファクトを嫌う…慰安婦の不都合な事実』などでも取り上げた、例のハーバード大学のJ・マーク・ラムザイヤー教授が展開した「慰安婦=売春婦」論のことを指しています。

これを「妄言」と決めつけるあたり、中央日報も客観的な報道の仕方を知らないと言わざるを得ないのですが、この点は敢えてスルーしたいと思います。

それよりも、この記事の主眼は2点あります。

ひとつは、「自称元慰安婦が17日、ハーバード大アジア太平洋法学部学生会の主催するオンラインセミナーで証言する」というものです。証言だけでは証拠にならない以上、何度証言したところで、意味があるとは思えませんが、そこはまだ良いとしましょう。

もうひとつが、この人物が16日午前、プレスセンターで慰安婦問題をICJに提訴することを韓国政府に求める記者会見を開く、ということです。

何をどう訴えるつもりなのかは知りませんが、国際社会の場で慰安婦問題の真実を明らかにするというのは、むしろ日本にとって望ましいことでもあります。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

また、この「慰安婦」、『性奴隷説否定に韓国系団体「韓国の研究を無視するな」』でも紹介したとおり、「韓国・大邱市の事業でトイレが2つある80平米の住宅に転居する」という話題でも出てくるなど、「知る人ぞ知る人物」でもあります。

あるいは、『相次ぐ韓国の自爆、日本が「エサ」与えなくなったから』でも取り上げたとおり、自称元慰安婦の支援団体の元代表でもある尹美香(いん・びこう)国会議員との「内紛」でも出て来た人物でもあるため、記憶にあるという人も多いでしょう。

いずれにせよ、事実を述べただけでここまで大騒ぎするという事自体、慰安婦問題がいかにいい杜撰なウソに基づいて主張されているかという証拠であるという言い方をしても良いと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • いつも勉強させていただいております。
    ICJの提訴自体できるものならやってみろと言いたいです。
    とはいえ、ICJの資格は国家のみ。韓国がICJに慰安婦について訴えることはできないでしょう。基本条約により個人への補償は韓国政府が行うべきことだと、本当はわかっているでしょうから。
    竹島についても同様ですね。自分たちの非をわかっているために威勢のいいことをいうだけ言って、法廷には立たないでしょうね。

    • chiyu様

      >自分たちの非をわかっているために威勢のいいことをいうだけ言って、法廷には立たないでしょうね。

      私もそう思います。
      韓国政府を引くに引けない状況にすべきですね。

      日本政府がこの元戦時売春婦のお誘いに対して、何かしらの強めのコメントを出すと良いと思います。
      すると、韓国民が大騒ぎするでしょうから、韓国政府としても何かしらのリアクションを起こすのではないかと期待します。

  • 慰安婦さんがICJ提訴を韓国に要求してくれるとの記事にこれはありがたいことだなというのが率直な感想。
    もし韓国側から提訴してもらえれば、日本は自動的にそれを受けますから間違いなく裁判になります。

    勝ち負けについて心配は要りません。今まで、韓国がうまいこと国連の名を騙った報告書的なものはありますが、日本に対等な発言権のある裁判の実績はありません。そこは、日本の総力をかけて、正当な言論で裁判を戦い抜けばいいのです。

    韓国の議論を見てると、最初から主権免除の是非について論じてるのですが、そもそもICJにおいては、まず主権免除の例外にしなければならない顕著な被害があったかどうかが争点になります。というかそこが争点になるように裁判を日本が誘導するのです。韓国は河野談話とか言い出すでしょうが、さすがにそれで韓国の立証責任が一切免除されるということはないでしょう。河野談話そのものもそこまで具体的なものではありませんし。

    日本にとって、韓国の偽慰安婦たちのその証言の矛盾を指摘する機会はありませんでした。敢えて韓国に配慮して控えてた風があります。ただ、裁判になればもう遠慮は要りません。「その時期に日本軍はいなかった」「その場所には慰安所はなかった」といったものから、残ってる資料からそんな慰安婦が居なかった立証もするでしょう。立証出来なかったのではないのです。敢えて一切立証してこなかっただけなのです。

    万一負ける可能性があるとしても、だからといって裁判を避けていては慰安婦問題は解決しません。もちろん慰安婦問題をそのまま日韓を疎遠にする懸案として残しておきたいというのならわかりますが。

    • G様

      まず「性奴隷」の立証は、韓国政府がすべきですよ。

      それができなければ、日本の勝ちです。

    • G 様へ
       第二次大戦中に、ドイツ軍がイタリア国内とギリシャ国内で実行した、民間人虐殺と民間人強制連行・強制労働事案について、ドイツ政府とイタリア政府が争った国際司法裁判所の2012年判決を読むと、国際司法裁判所においても、世界各国の裁判所(特定国の裁判所を除く。)と同様に、最初に、詳細な証拠調べにより綿密な事実認定を行っていることが分かります。
       したがって、仮に、ソウル中央地裁の慰安婦判決が国際司法裁判所で争われた場合、韓国政府が「①戦時中、②日本軍が組織としての正式な意思決定に基づき、③朝鮮半島で少女のみ20万人を拉致し、④戦場に連行して性的奴隷として使役した」ことを立証するに足りる証拠を提出することは、不可能だと思います。そんな証拠があるなら、とっくの昔に発表しているはずだからです。
       韓国政府が従来から証拠として主に挙げているのは、「河野官房長官談話」、「国連人権委員会クマラスワミ報告書」に加えて自称元慰安婦の証言ですが、いずれも物証の裏付けは無く、国際司法裁判所の裁判官を納得させることはできないと思います。
       また、国際司法裁判所2012年判決は、ドイツ政府に主権免除が適用されることを認め、その理由として、「主権免除規則は手続的性格であり、その効力はある国家の裁判所が他の国家に関して裁判権を実行してよいかを決定することに限定される。この規則は手続の原因となった行為が適法か違法かという問題には関係がない。」と述べています(同判決第92項・93項参照)。
       更に、国際司法裁判所2012年判決は、この裁判と同様の事案で主権免除を否定した裁判所はイタリア最高裁判所のみで、英国、カナダ、ポーランド、スロベニア、ニュージーランド、ギリシャの最高裁判所等や欧州人権裁判所は主権免除を認めていると述べています(同判決第96項参照)。
       ソウル中央地裁の慰安婦判決は、端的に言えば、イタリア最高裁判所判決と国際司法裁判所におけるイタリア政府の主張を全面的にパクったもので、オリジナルな主張は全く有りません。
       以上のことから、結論として、国際司法裁判所で争った場合、韓国政府が勝訴する可能性はほぼ0%と言って良いため、韓国政府が国際司法裁判所に決着を委ねる可能性は全く無いと思います。

      (参考)国際司法裁判所2012年判決   http://justice.skr.jp/stateimmunity/stateimmunity_majority.html

  • 日本政府としては、その反訴だけでなく、
    韓国による竹島不法占拠問題も提訴してほしいところです。

    …最近になって思うのは、所詮朝鮮は中国の属国にしか過ぎない、
    強欲なやくざが中国、そのちんけな手下が朝鮮という構図。
    だから親分の手前キャンキャンと喚き散らすのだろうと。

  • もし、K国がICJ提訴を行い、もし、不幸にして公平な裁きが行われずに日本側が負けたとしても、慰安婦は性奴隷というのが世界共通認識となってしまった現在では日本は失うものは実質ありません。K国による100%捏造の話にICJを通して世界に例え数パーセントでも事実を知らしめるだけでも価値はあると考えます。
    なのでICJ、結構な話と思います。ただ、政府・外務省が今の体質だと不安が残ります。

  • 「いずれ決着をつけねばならない」
    決着って何だ?と、解決しないと気が済まない悪い所だと思います。
    ICJで何かを争っても彼らが守るのは「自分に都合の良い事」だけですので、日本が勝訴すれば決着がつくと考えているなら、それは間違いです。
    韓国人、朝鮮人は、解決させないで、永遠に日本に謝罪させる事が目的なので、決着がつくのは「日本が負けた時」だけです。
    この問題の構造から、日本として決着がつくのは「韓国人、朝鮮人」が、いなくなる事しかありません。

    • 御意。
      問題があれば解決しようとせずにはいられないのは日本人の悪癖です。

      • 阿野煮鱒さま
        ICJで何らかの判決が出たとして、それに韓国が従うと考える人の感覚が、理解できなくなってます。
        お薬飲んだ方が、良いかもしれません。

        • だんな さん

          韓国政府が韓国民に「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、〜」とやる為にはICJの判決はひとつの手とする考え方はある程度理解出来ます。

          ただ、反日卑日侮日憎日教育を受け、原始的エネルギーに満ち溢れ、感情的である事にかけては世界一かも知れない韓国人が従うかが疑問です。

  • ICJの仕組みは知りませんが、国家免除の是非以前に被害事実の確認からしっかり求めねばなりません。
    仮に韓国がICJへの提訴を行うのであれば、日本はこの件への反訴(これまで虚偽の申し立てにより貶められてきたこと)と共に、竹島や仏像などを韓国が不法に占拠・占有していることを訴えるべきですね。韓国は受けないでしょうが、「勝手な主張をするときだけ国際機関を利用し、都合の悪い時は逃げ回る韓国」という事実を世界に知らせるいい機会です。
    同時に、ライダイハンやコピノ問題などで韓国を訴えるよう、各国に働き掛けるべきですね。

  • これアメリカが慰安婦否定で日韓問題を解決しようとしてるから慌てて爪痕残そうとしてるんですかね?鈴置論考が欲しいです。

  • で、肝心のイ・ヨンス氏ですが、
    彼女の過去の証言から、強制連行された訳ではなく家出少女だった説もあるようです。
    事実が明るみになれば、「歴史の騙り部」として名を遺すことになるのかもですね・・。

    *韓国側は、被害の立証責任を果たせるのでしょうか? 門前払いとか・・。

  • 更新ありがとうございます。

    楽観視する訳ではありませんが、韓国はICJにこの個人の件を国際法廷に出す事はしないでしょう。ビビリですから(笑)。いや、やるならやって貰ってもいいんですよ。

    いろんな考え方の人が居る、ロビーが上手いなど、韓国を優勢に持って行こうとする勢力もあります。しかし、日本が徴用工でICJへと言うと知らん顔、無視。何という卑劣な連中でしょう。

    河野談話?そんなもん話にならない。事実を積み上げるだけ。韓国は被告人の訴えだけだ。何の確たる証拠も無い。時系列に分析するだけでメチャクチャな話です。ハーバード大学のラムザイヤー教授がタイミングよく本を刊行してくれた。そう、彼女らはビジネスとしての、商売としての売春婦なんです。今、婆アが、広い家でいい暮らししてるそうですね(嘲笑)。

  • 国際法廷と言うのが我が国の裁判所などと同じように、法的見地のみから判決が下されると思うのは甘いのじゃ無いでしょうか。
    そもそも日韓の間で共通の法律があるのでもなく、国際法などと言う法体系が整備されている者でもありません。
    あればこんなに揉めることも無いのです。
    なので国際的な立ち位置や、国力、袖の下から美人局まで何でもありで、結果がすべての様な気がします。
    そうすると、有る事無い事執拗に繰り返す朝鮮人のロビー活動と、我が国外務省の無能さを考慮すると、「提訴するなら望むところだ」なんて言ってられないと思うのですがね。

    • 全くその通り
      2002年ワールドカップ手法を見ると何でもあり。勝てば良い手法
      韓国(中華圏で良いかも)を甘く見てはいけません

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