今朝の『菅義偉氏の出馬宣言と、「菅義偉政権」に期待すること』で取り上げきれなかった論点(小ネタ)を紹介しておきたいと思います。菅義偉内閣官房長官が昨日行った自民党総裁選への「出馬宣言」で、記者会見の最後の方に、一部では非常に有名な(?)東京新聞の某女性記者による要領を得ない質問に対し、菅氏が見事に切り返す局面が見られました。
菅氏についても是々非々で
菅義偉内閣官房長官の自民党総裁選への出馬については、昨日の『菅義偉氏の出馬宣言を「全文そのまま」転載します』、今朝の『菅義偉氏の出馬宣言と、「菅義偉政権」に期待すること』で相次いで取り上げました。
当ウェブサイトとしては、菅義偉氏を政治家として100%盲信するつもりはありませんし、昨今の武漢コロナ禍を筆頭に、内外に山積する国政上のさまざまな課題を、「菅義偉総理大臣」が完璧に解決してくれるとも思っていません。
ただ、すでに申し上げたとおり、菅氏の肉声は安倍晋三総理大臣のような華やかさには欠けますが、どこか泥臭くも、叩き上げの実務家・仕事師として、国政の舵取りを担うという覚悟が示されており、菅氏の人柄が出ているという感想を抱いたのもまた事実です。
当ウェブサイトはこれまで、「安倍政権のやることは100%正しい」というスタンスに陥らないように気を付けてきたつもりであり、とくに昨年10月の消費税・地方消費税の増税をはじめとする失政については批判してきたつもりです。
「あの記者」の長すぎる質問
こうした姿勢については、「菅義偉総理大臣」、あるいは「菅義偉内閣」がなすであろうさまざまな政策についても、是々非々で議論していきたいと思う次第ですが、その一方で、菅義偉氏という人物には、安倍・麻生両総理などにはない魅力があることもまた事実でしょう。
そのエピソードのひとつが、昨日の記者会見の場での、こんなやりとりです(動画の44:40~)。
問題のくだりは、次のとおりです(途中の「すいませんが時間の関係で簡潔にお願いします」は、進行役からの注意喚起です)。
質問者:東京新聞の●●と申します。えっと、まぁ、今日、長官の会見の状況を見て、ま、これまでとかなり違っていろんな記者さんを指されているなと感じました。私自身が3年間、長官会見を見続けているなかで、非常にやはり心残りなのが、やはり都合の悪い、不都合な真実に関しての追及が続くと、その記者に対する質問妨害や制限というのが、長期間にわたって続きました。これからですね、総裁になったときに、各、若手の番記者さんが朝も夕方も頑張ると思います。その都度、ま、今日のこの会見のように、きちんとその番記者さんの厳しい追及も含めてそれに応じるつもりはあるのか、また首相会見、安倍さんの会見ですね、えぇ、台本通りではないかと、劇団、えぇ、劇団みたいなお芝居じゃないかという批判もたくさん出ておりました。今後首相会見でもですね、単に官僚が作ったかもしれないような(※すいませんが時間の関係で簡潔にお願いします)すいません、はい、答弁書を読み上げるだけでなく、長官自身のことば、生のことばで、事前の質問取りもないものも含めて、しっかりと会見時間を取って答えていただけるのか、ま、その点をお願いいたします。
菅義偉:限られた時間のなかで、ルールに基づいて記者会見というものは行っております。ですから早く結論を質問してくれれば、それだけ時間が浮くわけであります。
質問者の質問、文字起こしすると500文字近くに達している長文ですが、あまりにも長すぎることを逆手に取った「見事な一本勝ち」、といったところですね(笑)。
超一流の切り返し
さて、世間的には一部メディアを中心に、この女性記者を「政権を舌鋒鋭く追及している」などとして絶賛する意見もあるやに見受けられますが、正直、当ウェブサイトの見立てでは、主観的意見と客観的事実を混同し、聞きたいことをきちんと整理しないままで質問をしているようにしか見えません。
ただ、これも「わざと頭の悪い質問を投げかけることで相手を苛立たせ、失言を導き出す」という、非常に下劣な戦略に基づいているのだとすれば、これに苛立たずに見事に切り返すというのは、ひとつの見どころでもあります。
その意味で、非常に皮肉なことですが、菅義偉氏を超一流のスポークスマンにしたのは、この東京新聞の某氏を含めたマスメディア関係者による悪質な質問の数々に対する見事な切り返しという繰り返しだったのかもしれません。
また、総理に就任すれば、立憲民主党や日本共産党を含めた特定野党の議員による揚げ足取り的な質問に耐えなければならないなど、非常に後ろ向きで非生産的な仕事をこなしていく必要もあります。
しかし、昨今のインターネット化社会において、国会中継や記者会見の様子については、マスメディアの「切り取り」なしに、SNSやブログサイトなどを通じて私たち一般国民が直接視聴できるようになりつつあります。
「菅義偉総理」におかれては、是非、揚げ足取りの質問には注意しつつ、すべての会見を国民に向かってオープンにしていただきたいと期待する次第です。
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なるほど。官房長官経験はこれからの総理を目指す人にとっては必須の経験になるやもしれませんね。
とすると、菅総理大臣の官房長官は誰になるかというのは非常に気になるところです。
河野太郎さんを期待しているのですが、ちょっと煽り耐性に不安が残ります。
逆に修行の為と考えれば、ぴったりかも。
河野大臣は、女系天皇推しであり、靖国参拝も否定的な人です。やっぱり蛙の子は蛙で総理にはふさわしくない人だと思いますよ。
とし2051 様
G 様
河野氏の先日の女系天皇容認発言は、あくまで男系を強く存続させる努力をする前提で、その上でどうにもならないのであれば女系天皇を認める、という議論もありうるのではないかという趣旨の発言です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a953fdfeb9e06c11f91091339f076db76552bcb1
*ソースが動画なので、朝日新聞の記事になってしまうのはご容赦ください
河野氏の皇統に関する考え方は、下記ブログ記事からそれほど今も変わっていないと思います。
https://www.taro.org/2016/10/皇室の危機を回避する.php
「女系天皇推し」は明らかな語弊や一部メディアのミスリードがあると思うので、すみませんがご指摘させていただきます。
なお、その上でGさまが河野氏が女系天皇を推していると考えるのであれば特にそれを否定するものでもありません。
追記
河野氏は、靖国神社への閣僚参拝を明確に否定しているのは確かに事実です。
個人的には河野氏の言ってることは一理はあると思いますが、反発を覚える気持ちも理解できます。
https://www.taro.org/2004/11/2004年11月29日号2.php
上記、Gさまと併記してしまいましたが、実際はとし2051 様に宛てたものです。
大変失礼致しました。
河野さんは女系天皇だけでなく選択制夫婦別姓に関しても以前から容認すると明言してましたからね。
選択制であろうと夫婦別姓なんて許せば外国人が日本人の配偶者を装って不法滞在するのを摘発困難にして、この国の安全保障を危険に曝すだけだと河野氏は思い至らないのですかねえ。
G様へ
はい…
一国の宰相が身につけなければならない必須の技能が、メディア対応であることは間違いないのでしょうね…
官房長官職が首相ヘの道のりに必須だとは思いませんが、メディア対応が徹底的に訓練される職務であることは間違いないのでしょうね…
質問に仮装した自己主張でしたね。
イキることなく笑顔での見事な切り返しで、会見場も和やかな感じがしました。
東京新聞の記者の質問を見て、ビジネスにおけるコミュニケーションにおける伝えたいこと、聞きたいことを簡潔かつ具体的に整理してから話すという基本ができておらず、話がやたら長いが何が言いたいのか不明瞭という一番悪い例になっているなと思いました。新聞記者ってビジネスのコミュニケーション能力が最低でも第一線で活躍できる業種なんだなぁと。
haduki様
政治家は失言しないよう、気を付けていると思うのですが、マスコミも当然ビジネスコミュニケーションのトレーニングを受けるべきですね、同意いたします。
河野太郎大臣はアメリカの政治家の自伝を読んで発言内容に注意しているとブログにあったように思います。
東京新聞●●氏のあまりの馬鹿な質問(?)に、菅氏も思わず苦笑い。質問の意図もわかりにくいし、菅氏も回答しているのかディスってるだけなのか、微妙な言い回し。いつもどおりで、安心しますね。
まあ、ある意味ご指摘の通り台本通りともいえます。
本文では伏せ字にしたのに、タグに思いっきりフルネーム...
ケロお様
私は医者ではありませんが、某記者についてはある種の病に掛かっているのではないか、と疑っています。
発言の内容が散らばり、自らの考えを簡潔に述べられない症状が出ていると思います。
基本的な国語知識が無い方であれば、知識不足による結果だと判断できますが、記者会見での質問を任せられる人物が、基礎的な国語能力を習得していないとは、さすがに考えられません。
受け答えが簡潔明瞭で、菅々しく思いました。
曖昧でない答弁には好感が持てます。
カズ様
>菅々しい
なんか、いい表現ですね!
サスガースー!に匹敵しそうな感じです。
菅菅しい。
これは、良い表現。
彼女は、何らかの精神病だと思います。
だんな様
K狂病ニカ?
更新ありがとうございます。
新聞記者やテレビ記者は、何故一国の偉い方(或いは各地方でも)と、タメで話し出来るんだろう。
◯◯番とかいう担当が張り付いているが、揚げ足取ったり失言狙うような者に、まともにくだけた話や本音等、言えるはずが無い。
勿論記者上がりで政治家秘書になったり、芸能人並みテレビ出演者(政治評論家など)とか居ますが、今や情報入手の方法が増えて、シロウトの国民も額面通りには受け取りません。
自社の骨髄に染み込んだ「国民を誤誘導する」「反体制こそメディアの特権」「社会を不穏な空気に落とす事こそ与えられた使命」を信じる連中が新聞記者(産経新聞等は当てはまらないが)。
やはり、いつも話に出る『記者クラブ制度』はすべての段階で無くすべきだと思う。政界、官公庁、民間企業、諸団体等すべて。
記事が欲しいメディア、或いは逆にアナウンスして欲しい事は、審査後事前登録でメッセージを送信すれば良い。「◯◯の件に付き発表する。◯時に集まってくれ」と。クラブ用記者の溜り場である部屋など用意する必要も無い。ほんっとに、メディア・記者は能無しで社会悪だと思う。
>聞きたいことをきちんと整理しないままで質問をしているようにしか見えません。
これは、この記者に限ったことではなくオールドメディア全般の傾向だと思っております。ニュース番組のコメンテーターも事前にテーマーは告げられていると思われますのに、自身の発言の段になると明らかに考えながら発言していると見られることが度々。それも、上手くまとめられればよろしいのですが、発言の最初と最後があきらかに矛盾しているなど、もう公共の電波への冒涜です(笑)。
>「わざと頭の悪い質問を投げかけることで相手を苛立たせ、失言を導き出す」
同じ質問を繰り返す、メディアや特定野党が作戦だというのであれば、有権者に対する彼らの申し開きを聞きたいものです。自らの調査によらず、政治家の公務を妨害し揚げ足取りをすることで、どう有権者の生活に資しているつもりなのかと。
まあ、質問したところで、半島ばりの意味不明の悪口雑言を聞くことになるのでしょうが。
それにしても、世の中はオールドメディア主流の情報発信の時代ではありません。記者クラブや記者発表の形をそろそろ変える時代ではありませんかしら?
おそらくですが、東京新聞の某記者用に返答は用意しているのでは。恒例ですから。
いつも散々質問という名の主張を投げつけられていたので、こんなの返すのは簡単でしょう。
これが首相になると、国会でやられるのですが、良いトレーニングになってそうです。