本日は安倍政権が憲政史上、「連続在任日数」としても史上最長を達成しました。日数を長くやれば良いというものではありませんが、それでも政権が長続きしていること自体、国際社会に対する存在感を高めることにつながるなどのメリットもあります。そんな安倍政権は武漢コロナ禍で支持率の低迷に直面していますが、起死回生策は何といっても消費税など経済問題を焦点に掲げて解散総選挙に踏み切ることではないでしょうか。
ついに8月24日が到来しました
当ウェブサイトでは昨年の『史上最長の安倍政権、次なる焦点は「来年8月24日」』で、「もしも安倍政権が2020年8月24日まで在任した場合、連続在任日数として佐藤榮作を抜いて史上最長に浮上する」と申し上げました。
僭越ながら、当時、この論点に注目していたのは当ウェブサイトくらいでしたが、本日、ついにその日が到来しました。「連続在任日数」で見て、2012年12月26日の第二次安倍政権発足以来、安倍総理は2799日在任し、憲政史上最長の政権となりました(図表1)。
図表1 歴代内閣・連続在任日数(2020年8月24日時点、敬称略)
総理大臣 | 連続在任期間 | 連続在任日数 |
---|---|---|
安倍 晋三 | 2012/12/26~2019/11/20 | 2,799 |
佐藤 榮作 | 1964/11/09~1972/07/07 | 2,798 |
吉田 茂 | 1948/10/15~1954/12/10 | 2,248 |
小泉 純一郎 | 2001/04/26~2006/09/26 | 1,980 |
中曽根 康弘 | 1982/11/27~1987/11/06 | 1,806 |
桂 太郎 | 1901/06/02~1906/01/07 | 1,681 |
池田 勇人 | 1960/07/19~1964/11/09 | 1,575 |
伊藤 博文 | 1892/08/08~1896/08/31 | 1,485 |
岸 信介 | 1957/02/25~1960/07/19 | 1,241 |
桂 太郎 | 1908/07/14~1911/08/30 | 1,143 |
(【出所】首相官邸HP等を参考に著者作成)
「通算在任日数」ベースでは、昨年11月に「史上最長」に
この点、安倍晋三総理大臣自身を含め、日本の歴史上、一度辞めて再び登板したという総理大臣も多いのですが、すでに昨年11月20日時点で安倍政権は通算在任日数ベースで史上最長を達成しています(図表2)。
図表2 歴代内閣総理大臣の通算在任日数(2019/11/20時点、敬称略)
総理大臣 | 在任日数 | 組閣回数 |
---|---|---|
安倍 晋三 | 2,887 | 4 |
桂 太郎 | 2,886 | 3 |
佐藤 榮作 | 2,798 | 3 |
伊藤 博文 | 2,720 | 4 |
吉田 茂 | 2,616 | 5 |
小泉 純一郎 | 1,980 | 3 |
中曽根 康弘 | 1,806 | 3 |
池田 勇人 | 1,575 | 3 |
西園寺 公望 | 1,400 | 2 |
岸 信介 | 1,241 | 2 |
(【出所】首相官邸HP等を参考に著者作成)
ちなみに歴代2位の桂太郎内閣も、あくまでも「通算して2886日」だったにすぎず、現実には第1次と第2次が明治年間、第3次が大正年間(大正元年から2年)と、非常に「細切れ」の政権だったという事実を忘れてはなりません。
- 第1次桂太郎内閣…1901/06/02~1906/01/07(1681日)
- 第2次桂太郎内閣…1908/07/14~1911/08/30(1143日)
- 第3次桂太郎内閣…1912/12/21~1913/02/20(62日)
安倍総理に対する不満と期待
個人的には、安倍政権には昨年10月の消費税・地方消費税の増税を筆頭に、大きな不満もたくさんあるのですが、その一方で、「安倍政権だからこそ実現できた」という法律などについても、かなりたくさんあることもまた事実です。
その意味では、安倍政権には是非とも、悲願の日本国憲法改正を達成していただきたいという思いもありますし、それ以前にNHK解体、財務省解体、消費税法廃止など、日本経済のためにやらねばならないのではないかと思われることは、まだまだ山積しています。
拉致被害者を1人残らず取り返すためには、日本を「北朝鮮に対して軍事侵攻できる」くらいの国にする覚悟は必要でしょうし、中国やロシア、韓国といった無法国家にも立ち向かっていかねばなりません。
こうしたなか、『立憲・国民両民主党の合流と安倍総理健康不安説の関係』を含め、数日前から報告しているとおり、現在、一部のメディアでは、「安倍総理に健康不安が浮上している」、「本日以降、引退する」といった観測報道もしきりに流されていることも事実です。
ただ、このような報道が流れてくること自体、特定メディアや特定勢力が、いかに安倍政権に「倒れてほしい」と思っているかという証拠でもあります。
それに、安倍政権が歴代最長を視野に入れた長期政権となっていること自体、G7やG20などの国際的な会議での日本の存在感を強めることにもつながりますし、ひいては日本の立場を頑強にする要因でもあるので、この点については素直に歓迎したいと思います。
平成は「回転ドア型政治」
なにより、平成の30年余りで、日本は17人も内閣総理大臣が交代しました(図表3)。
図表3 平成期の内閣総理大臣(敬称略)
総理大臣 | 在任期間 | 組閣回数 |
---|---|---|
竹下 登 | 1987/11/06~1989/06/03(576日) | 1 |
宇野 宗佑 | 1989/06/03~1989/08/10(69日) | 1 |
海部 俊樹 | 1989/08/10~1991/11/05(818日) | 2 |
宮澤 喜一 | 1991/11/05~1993/08/09(644日) | 1 |
細川 護煕 | 1993/08/09~1994/04/28(263日) | 1 |
羽田 孜 | 1994/04/28~1994/06/30(64日) | 1 |
村山 富市 | 1994/06/30~1996/01/11(561日) | 1 |
橋本 龍太郎 | 1996/01/11~1998/07/30(932日) | 2 |
小渕 恵三 | 1998/07/30~2000/04/05(616日) | 1 |
森 喜朗 | 2000/04/05~2001/04/26(387日) | 2 |
小泉 純一郎 | 2001/04/26~2006/09/26(1980日) | 3 |
安倍 晋三(一次) | 2006/09/26~2007/09/26(366日) | 1 |
福田 康夫 | 2007/09/26~2008/09/24(365日) | 1 |
麻生 太郎 | 2008/09/24~2009/09/16(358日) | 1 |
鳩山 由紀夫 | 2009/09/16~2010/06/08(266日) | 1 |
菅 直人 | 2010/06/08~2011/09/02(452日) | 1 |
野田 佳彦 | 2011/09/02~2012/12/26(482日) | 1 |
安倍 晋三(再登板後) | 2012/12/26~ | 3 |
(【出所】首相官邸HP等を参考に著者作成)
安倍総理と小泉純一郎元首相を除けば、どの総理大臣も1000日以下で退任しており、そのうち365日以下の政権もたくさんあります。
酷いケースだと宇野宗佑元首相(69日)、羽田孜元首相(64日)と、2ヵ月少々しかもたなかった政権もあります。
また、安倍晋三政権で副総理兼財相として入閣している麻生太郎総理の場合も、政権交代のため、政権自体は358日で終了しています(※もっとも、現在の安倍政権は、安倍、麻生両総理の「連立政権」という性格もあると思いますが…)。
まさに「回転ドア」のごとく、1年やそこらでクルクルと首相が入れ替わるという状態にあったのですが、こうした状態自体、日本の政治的立場を弱めることで、日本の国益を損ねたのではないでしょうか。
「何を達成するか」が重要!
ただし、その一方で、当ウェブサイトとしては安倍政権に「長続きしてもらいたい」と考えているわけではありません。つまり、「政権を維持することそのもの」を目的にしてほしいのではなく、残りの任期でできることに優先順位を付け、全力でそれらに取り組んでほしいと考えているのです。
現在の目下の課題は武漢コロナ・武漢肺炎への対処ですが、安倍総理に求められるのは「防疫上」という視点もさることながら、「経済問題への対処」です。
とくに、昨年の消費増税という、まったく必要がなかった増税を強行したことで、武漢コロナ禍が発生する以前から、すでに日本経済には深刻な打撃が生じていましたし、昨今だとレジ袋有料化に代表される有害な政策、「GoToトラベル」キャンペーンのように実効性に疑問がある政策なども目立ちます。
さらに、自民党内に有力な後継者がなかなか育っていないことも大きな問題でしょう。メディアの世論調査などでは、岸田文雄元外相(自民党政調会長)や石破茂元防衛相らが「有力視」(?)されているようですが、正直、彼らは「論外」であり、悩ましいところです。
あるいは、安倍総理自身が今年の秋口あたりに消費税減税・凍結・廃止などを争点に掲げて解散総選挙に踏み切り、勢いをつけて自民党総裁として四選を目指す、というストーリーには、個人的には大いに期待しているところですが、はたしてどうなることでしょうか。
いずれにせよ、安倍政権の後任も、平成時代のような「回転ドア型」ではなく、じっくり腰を据えて政策課題に取り組む政権であってほしいと思う次第です。
View Comments (13)
消費増税の約束と引き替えに安倍さんは野田政権を退陣させました。
そういう意味で、消費増税は悪夢の民主党の最後っぺだったわけです。
消費増税撤回もしくは消費税減税を実施するには、いろんな工夫が必要になりそうです。
地方自治体からの反対でもあれば、益々困難になるでしょう。
これを避けるためには、
酷税国税部分だけを下げる or なくすという工夫も必要かも知れません。そうした具体案も議論してゆけるといいですね。
当時、野田さんが消費税案と引き換えに解散の手打ちした相手は、安倍さんでなく谷垣さんだったと思います。
当時の印象なんで、間違ってたらごめんなさい。
更新ありがとうございます。
安倍晋三総理大臣、2,799日の連続在位日数新記録到達、おめでとうございます。しかし、長ければ良いというわけでは無いのが辛いところです。
総理大臣は、どれだけ国民に寄り添って国内を平穏に収めたか、国益に合う成果を上げたか、国防・防疫に対処したかーーなどが評価のポイントです。
さて、安倍総理の場合はどれも優良可の優良は取れてますが、経済、特にアベノミクスが中折れの状態である事、特に消費税の減税もしくは撤廃を是非最後にお願いしたいです。
合わせて財務省の解体、巨悪マスコミNHKの廃局、対韓対中姿勢を更に強化し、一歩も引かぬ姿勢で臨んでもらいたい。
まずは秋とも言われる衆議院選挙。寄せ集めの政策なしで、「議員で居たいだけの議員」を、徹底的に減らしましょう。これは我々の課題であります。
更新ありがとうございます。
健康が許せば総裁四選で後継者育成と、まともな人口減少策(仏の様な経済支援)を期待しています。
下記はタイプミスですね。本題に係るので敢えて指摘しておきます。
図表1の安倍さんの連続在任期間は
2012/12/26~2019/11/20ではなく
2012/12/26~2020/08/24ですね
2012/12/26~2019/11/20は誤記でしょうか?
これだと、通算2,521日になります。
どんなことでも1つの事を長くやることの大変さ、大切さは変わらないと思います。
純粋に在籍期間記録更新、おめでたいと思います。
安倍さんには、最後に大仕事「改憲」までの道筋をしっかりとつけてほしいと心から願います。
(安倍さんができなければ、また何年もかかりそう)
本日は安倍首相の病院再訪で永田町界隈が相当慌ただしい様子のようです。
私が知っている範囲では、安倍首相の病院再訪は、昨日の検査結果を聴くためだということでした。個人的には、何か底意のあるマスメディア及び議員連中の間から、事あれかし的で噂話的レベルの観測記事や、リーク(?)を装った与太話が漏れ伝わっているだけではないかと思いたいところです。
しかしこれはやはり、安倍首相をなんとか引きずり下ろしたい謎の勢力(?)が、今の日本には一定数存在していることの顕れであろうとも思います。
長期政権には野党だけではなく、身内の中にも敵が存在するものです。万年首相候補ともされる石○氏とか、あるいはマスメディアがあれこれ邪推しまくってるス○氏とか、それとも最近株が上がってるらしい河○氏とかetc・・・。コレラの人々を獅子身中の虫等と喩えたら怒られそうですが。(笑)
永田町が伏魔殿と称される所以でしょうね。
ただ私は、新宿会計士様が常々書いておられる「選挙とはゴミの中からよりましなゴミを選ぶこと」という主張に、100%同意するものですから、安倍首相以上にましなゴミ(失礼)が今の自民党内に見当たらない現状では、長期政権もやむなしと考えております。
というか、こうした現状を自民党の議員諸氏には大いに憂えて貰わねば、とも考えております。
まあ確かに、安倍首相の退陣を待ち焦がれているのは、国内外の反アベ勢力以上に、首相周辺で「順番待ちしている人たち」でしょう。ですから、いかな史上最長政権といえども、瓦解する時はアッという間だという気もします。政治家であれば、どんなに無能でも一度は首相をやってみたいそうですから永田町界隈にはそんな気流が常にあるはずです。ただこれまでは伏流していたのが政権の躓きとともに地上に現れたのに過ぎないということですね。
安倍政権が長期政権たり得たのは、それまでの短期政権乱立と民主党の無能に懲りた国民が、有能かつ長期安定政権を強く望んだ結果だと思います。それで今までは上手くきていたのですが、一旦現在のような情勢(ツキに見放されたかのように見えてしまう)になると、権勢欲の亡者たちが一斉に蠢きだし、政局が一気に流動化しかけているのでしょう。でもそのような「政変」が国家・国民全体の利益に沿うかは別問題です。
前例に照らせば、国家・国民全体とってはむしろ不利益だったケースが多かった気がします。ですから私は、安倍さんには、ここでバタバタ退陣して欲しくはありません。日本の行く末を見極め、ジックリ準備を整えた上で、これぞと思われる後継者にバトンを渡して欲しいです(誰が最適任かは私にも分からない)。本人も、長期激務による疲労で意欲の減退もあるでしょうが、最低限現在の任期全うまで奮闘して欲しいと思います。ここで辞めては、国家・国民のためにはならないし、本人も有終の美を飾ることができません。
心配しても、私にはどうしようもありませんが、安倍総理の健康問題が心配で心配で仕方ないです。
安倍総理の健康はこの時期、日本だけではなく、アジア情勢にも大きく関与しています。なにかあったら、その衝撃は計り知れないのですよ。
中韓の意を受けていることが隠せていないメディアの関係者、特定野党議員はっきり言うと○○民主党議員ですが、彼らは、中韓の工作員です。彼らが日本の政治を妨害していると考えております。経済問題も大切ではございますが、優先は安全保障です。個人的には、米中戦の勝敗が決するまで、彼らを隔離投獄しておきたいと考えておりますのよ。まあ、本国送還でもよろしゅうございますけど。
>経済問題も大切ではございますが、優先は安全保障です。
まったくです。安全が保証されなければ、経済など笹の小舟のようなものですからねえ。
2011年当時の問題。円高、高い法人税率、高い失業率が1ドル75円→105円へ法人税率も34%→29%へ有効求人倍率は0.83→1.57で解消をされました。
アベノミクスは金融政策が一番の成功だった思います。元国民の敵?日本銀行の白川方明さんはリーマンショックの渦中にあった時ですら金融緩和を拒否し「そんなことをしたらハイパーインフレになる!」と言った趣旨の発言をされていたそうですので。日本銀行が国民の敵からそうでなくなったのが良かったです。是非白川さんには責任を取っていただかなければなりません。
安倍さんは60代で若いのでもう一回くらい総理が出来ると思います。今回は一度、退任されて第二次アベノミクスとして本気で財務省と財政政策を改革する用意ができた時、再登板してもらいたいものです。しかし安倍総理がいなくなった後の、トランプ外交は気がかりであります。
*私も安倍総理の金融政策を高く評価しています。
昔々、中曽根総理が「一度退陣頂いて・・。」との提言に身を引き、復帰が叶わなかったような・・?
個人的には、もう一期、AA体制を続投のうえ「原理原則からブレない後継者」を育成・継承して頂きたいと思っています。
間違っても石破氏なんかが継承者になることのないように・・。
カズ様 コメントありがとうございます。
石破茂さんが世論調査で人気らしいですがどこの国の世論なのか、なぜ人気があるのか疑問に思っています。不自然すぎます。後任になったら自民を辞めた小池百合子さんの歯ぎしりが聞こえてきそうですね。
ともかく石破さんが総理になったら
特定秘密保護法 安全保障関連法 TPP関連法 テロ等準備罪(共謀法)働き方改革関連法 統合型リゾート整備関連法 介護保険改正法 出入国管理法 改正水道法 18歳選挙権 参院定数6増 を再改正して全部、彼の好きな思い入れのある国に便宜を図ってねじ込んで来ると思います。
後継者が誰になるのか、安倍さんの再登板や継続はあるのかも注目したいと思います。