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立憲民主党の提案、果たして「譲歩」といえるのか?

本稿はショートメモです。以前から当ウェブサイトでときどき取り上げている、立憲民主党と国民民主党の合流を巡って、両党の対立点である「政党名」「政策の一致」という2点のうち、前者については立憲民主党が金曜日、「譲歩」する姿勢を示しました。ただ、譲歩するにしても、そのやりかたがよくわかりませんし、また、「政策の一致」については依然として拒絶しているようです。立憲民主党のこうした姿勢は、相変わらず、有権者をバカにしているとしか思えません。

「ともに民主党」?政党大喜利

最大野党である立憲民主党と、野党第2党である国民民主党の両党を、当ウェブサイトではひそかに「ともに民主党」と呼んでいることは、ここだけの話です。そんな両党が現在、統合するの、しないのでもめている、という話題は、当ウェブサイトとしても、以前からなかば冷ややかに眺めてきました。

これに関連して、たとえば『「速やかに回答せよ」立憲民主党の高圧的で無礼な提案』などでは、まことに僭越ながら、末尾に「政党名大喜利」と称して、次のとおり、謹んで新党名の提案をさせていただいた次第です。

政党名大喜利大会
  • 残党
  • 民主党
  • 旧民主党
  • 共に民主党
  • 新党もりかけ
  • やっぱり民主党
  • 帰ってきた民主党
  • 立憲国民野合民主党
  • 新党コロナよりさくら
  • 議員としての生活が一番
  • 新党#宇都宮の#ギョーザ
  • 民主民進希望立憲国民民主党
  • 枝野幸男と玉木雄一郎と仲魔たち

また、これら以外にも、読者の皆さまからは「元祖民主党」だの、「どうせ民主党」だの、「立件民主党」だの、ハッシュタグ(#)を付した「#民主党」だの、果ては「悪夢の民主党」だのといった心ない(笑)提案が相次ぐなど、私たち一般国民のレベルとしては、生温かく見守ろうという機運が生じている気がします。

朝日系サイト、「政権担当能力欠如」を暗黙の裡に認める

ただ、政権担当能力が欠如している人たちを、いくら寄せ集めたとしても、結局は政権担当能力が生じるはずなどあり得ません。こうしたなか、先日の『旧民主党系の政治家に政権担当能力なし=アエラドット』では、こんな記事を紹介しました。

古賀茂明「立憲と国民の合流がもたつく理由」

立憲民主党と国民民主党の合流話がもたついている。<<…続きを読む>>
―――2020.7.28 07:00付 AERA.dotより

リンク先記事では、両党が合流したあかつきには、「政権を取ったら『仕事ができる』民間人を財務、経済産業、経済財政担当などの閣僚に任命することを宣言する」、などと提案されているのです。

言外に、この記事を執筆したご本人が、立憲民主党や国民民主党に「仕事ができる政治家がいない」、すなわち「政権担当能力がない」ということを認めてしまっているのです。「旧民主党系に甘い朝日新聞系のウェブサイト『アエラドット』ですら、両党を見放したのだ」、と言えなくもないでしょう。

立憲民主党側が「譲歩」したのか?

さて、各種報道によれば、両党の合流がもたついている最大の理由は、両党で新党名で合意できていないことに加え、政策のすり合わせが行われていないことにあるようです。

とくに、国民民主党側が「党名は民主的に決めるべきだ」、「消費税や憲法など、基本的な政策についてすりあわせるべきだ」と主張しているのに対し、立憲民主党側は「新党名は立憲民主党、略称は民主党、これ以外は認めない」、「具体的な政策は合流後にすり合わせる」、などと主張し続けていました。

あくまでも個人的には、国民民主党の方が「政党の本来のスタンス」としては正しいと思うのですが、この点はさておき、党名と政策について合意が取れなければ、話は進みません。

こうしたなか、立憲民主党は5日になって、新党名の決め方については「新党の代表者とともに記名投票方式で決めてはどうか」と提案したのだそうです。

国民民主党との合流協議で新しい党名の決め方について提案 福山幹事長

福山哲郎幹事長は国民民主党との合流協議で5日午後、新しい党名については投票での決定とする考えを表明。代表選挙で代表候補者が提起し、有権者は代表者名と党名を連記する方式で決める案を国民民主党の平野博文幹事長に提示したと述べました。<<…続きを読む>>
―――立憲民主党HPより(※記事日付不明)

これまでの高圧的な態度を少しだけ軟化させた格好ですが、それでも、福山哲郎幹事長の発言は、控え目に申し上げてもやはり支離滅裂です。しかも、リンク先記事を読んでいくと、こんなくだりもあります。

代表選挙の投票の環境を整えるためには新党参加者、つまり代表選挙有権者を確定する必要があり、綱領や規約が決まっていないことを理由に新党への参加を判断しかねるといったことを避ける必要がある」。

要するに、譲歩できるのは「党名を代表とともに記名選挙で決める」という部分までであり、綱領や政策を決めるつもりはない、と言い放っているのと同じであり、まさに政党としての理念も政策もかなぐり捨て、単なる「選挙互助会」であるという正体を、みずから露呈した格好だ、ともいえるでしょう。

国民民主党・玉木代表の姿勢はブレず

さて、これに対して国民民主党側はどのような見方を示したのでしょうか。

玉木雄一郎ぶら下がり会見2020年8月7日(金)

【記者】冒頭、幹事社から1問だけお伺いします。きょう立憲民主党の福山幹事長から新たな提案があったが、その受けとめと、これによって国民民主党から求めていた条件・提案というのは満たされたとお考えかお聞きしたい。<<…続きを読む>>
―――2020/08/07付 国民民主党HPより

リンク先は1万文字を超える長文ですが、正直、全文を読むのはウンザリします。

ただし、要点をかいつまんで申し上げれば、玉木代表としては「政党名を投票に付すという点については前進だが、その方式には疑問があるほか、綱領の制定、消費税や憲法などに関する政策などにおいて具体的な進展はない」、という点に不満を述べた、というものです。

以降、記者と玉木代表のやり取りが延々続くのですが、質問をしている記者の方もあまり頭がよろしくないのか、正直、質問が要領を得ていないように思えてなりません。個人的には、読んでいて思わずイライラしてしまいました。

なお、べつに玉木氏を擁護するつもりはありませんが、リンク先記事を読んでいてイライラしてしまう理由は、玉木氏の答え方ではなく、記者の質問の仕方の方に大きな問題があるように思えてなりません。というのも、質問している記者の質問の理解力が、本当に低いからです。

この手のイライラするやり取りは、安倍晋三総理大臣や菅義偉内閣官房長官の質疑でも見られます。正直、記者団と政治家の質問のやり取りが不毛なのは、日本の記者のレベルが低すぎる、という問題もあるのでしょう。

いずれにせよ、玉木氏の姿勢は、「立憲民主党側から提案された投票方式については疑問がたくさんある」、「綱領や政策などの一致が見られないと合流は難しい」という点でブレておらず、この点については玉木氏の側に理があると考えてよいでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もっとも、国民民主党の側にも、やはり「やんごとなき事情」というものはあります。それは、現在のままで解散総選挙を迎え、野党の選挙協力が成り立たなければ、壊滅的な打撃を受けて政党消滅の危機に瀕してしまう(かもしれない)、という点です。

玉木氏のように、ある程度地盤がしっかりとしている人物であれば、まだ良いです。

しかし、前回の総選挙で「希望の党」の推薦を得て、時流に乗って当選したような候補は、次回の総選挙で勝てるという保証はなく、それだけに立憲民主党との合流により自身の議員としての地位を守ろうとするニーズが強いはず。

立憲民主党側としても、もし両党合流が成立しなかったとしても、当落線上の議員に対し、個別に切り崩しを図れば、何人かは立憲民主党側に寝返るかもしれない、という点を期待していても不思議ではありません(もちろん、立憲民主党側の最大の狙いは国民民主党の「金庫」だと思いますが…)。

ただし、当ウェブサイトとしてべつに国民民主党を支持するつもりはいっさいありませんが、今回の両党合流騒ぎについては、明らかに国民民主党の側に分があると考えていますし、立憲民主党側の主張・要求は高圧的、傲慢かつ理不尽でもあります。

あえて国民民主党側にエールを送るならば、「消費税、憲法」などの基本的な理念を国民に訴えかけるとともに、「国会で与党の足を引っ張ることでしか成果をアピールすることができない」という、立憲民主党のような情けない政党にはならない、という決意を、ぜひとも示していただきたいと思う次第です。

まっとうな政治活動を続けていれば、そのうち良いこともあるでしょうから。

新宿会計士:

View Comments (25)

  • 立憲は金が無いから、時間が経てば経つほど譲歩するんじゃないかな。
    玉木氏は嫌いだけど、解散が無いことを祈って、辛抱する方が良いと思います。

  • この手の議事録には、是非ともメディア名と記者名の記載をお願いしたいところですね。
    こちらのメディア峻別の参考にしたいです。

  • 立憲民主党が国民をバカにしているのか、あるいは立憲民主党自体がそもそもバカなのか、後者であるような気がしてなりません。無論、記者が低能なのは単なる事実ですから、言及するまでもありません。

  • 党名ねぇ。

    "立憲民主、国民民主の合流協議に衝撃!? マック赤坂氏が略称「民主党」を登録済み" (zakzak 2020.7.18)
    マック赤坂氏が「民主党」として国政選挙に候補者を立てれば面白いことになりそうです。

  • 更新ありがとうございます。

    党是、党の方針という背骨の所を決めずに、党名など後からで良いはず。憲法や消費税をどうするかを先にハッキリさせてよ。そこが後回しなんて、有り得ない。

    国民民主党にもどうしようもないのがいるし、前回の総選挙で「希望の党」の推薦を得て当選した候補は、勿論次回危ない。なんとか自身の議員の椅子だけは守りたいはずで、合同しなければゴロッと寝返り打つかも(笑)。普段から何もしてないから、ダラダラ何も決められないクズ野党(嘲笑)でした。

    まあ、時間かけてやってくれ。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (というより、もはやSFまたはホラーの世界なので)

     もはや、日本の野党は、支持者と一緒になって安倍総理の悪口を言い合
    うことで、何かしている気になっているのではないでしょうか。いっその
    こと、(SFぽい話になりますが)AIに政策を決めてもらって、それを
    その通りに実行すると言った方が、党内対立がない分、良いのかもしれま
    せん。(もっとも、すでに外国政府に政策を決めてもらっているのかも、
    しれませんが)

     駄文にて失礼しました。

    • 引きこもり中年様 鋭い(笑)!

      >もっとも、すでに外国政府に政策を決めてもらっているのかも、しれませんが

      私は、立憲民主党に中国共産党の意思を感じます。これは、彼らの主義主張に共鳴しているのではなく、完全なコントロールだと思います。ハニトラ?

  •  そもそも立憲民主党ってこだわるような名前なのでしょうか。枝野代表が政治生命を憲法にささげてきたという評価は寡聞にして存じ上げませんし、一番詳しい(解釈だとか歴史の理解などではなくオベンキョーの丸暗記として)のがクイズ王ではないかというお寒い顔ぶれ。
     まともな政策は出せないので、与党もハッキリさせがたく責任追及し放題な国防や皇統における憲法問題を突いて票を捻出したい、飼い主のために9条を死守して国防力を抑え込みたいなどの思惑があると想像はしますが。

     また何かの間違いで政権とれちゃったら、立憲と冠する以上は、解釈でペンディングさせてきた上記等を手始めにかたっぱしから違憲状態のモノを修正確定してまわらなければならなくなるキャッチが至極難しい超上級者向けブーメランなのですが、とる気がないから良いのかな。

     ……あ、その時また改称すれば良いのか。

    • 農民様 マーキング?

      >そもそも立憲民主党ってこだわるような名前なのでしょうか。

      • 心配性のお姐さま
         5文字で済む話でした _(:3」∠)_
         党名変えてマーキングしてまた変えちゃマーキングしてって盛りの犬猫よりタチ悪いですね。民進党の名前も臭い付けされてしまったかと思うと台湾に申し訳ないです。

      • 心配性のおばさん 様
        農民 様

         「尿」の代わりに「民」でマーキングする。その名も「立『犬』民主党」!
         名誉代表は徳川綱吉公ですね。

        • とある福岡市民様
           となると英語名はDogism Democratic Partyで略称も彼らの意向通り引き続きDPですかね。マニフェストは大久保一帯を整地して野犬保護施設を造る…とか?これは獣医師家系の玉木氏も納得。

  • 国を挙げてどころか世界を挙げての非常時緊急時に、仕事をするでもなく一番の話題が名前決めとか
    悠々自適の隠居無職で初孫が出来たおじいちゃまみたいで実に微笑ましいですね(笑)
    うらやましい限りです。あーうらやましい。
    早く次の選挙日にならないかな。

  • 政党名大喜利大会って(笑)、野党ネタなんて斜めに読もうと思っておりましたのに、笑ってしまったじゃありませんか。

    妥当な線では「共に民主党」なのでしょうけど、私が受けたのが最初の「残党」でした。他は欄外の「どうせ民主党」とかですかしら(笑)。

    政党名で遊ぶなぞ、悪趣味ではありますが、そもそも、政策の協議そっちのけで合流なぞ、そちらのほうが悪趣味ですわね。そもそも、彼らに票を入れた有権者の皆さんはどう見ているのかしら、このドタバタを。

  • 既出でしたら申し訳ありません。

    「羊党」なんていかがでしょ。

    どんなに素晴らしい理念、
    どんなに素晴らしい綱領、
    どんなに素晴らしい政策、

    でも、中身は「狗」ですわな。

    見掛け倒し以外の何者ではないかと。

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