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「日本が韓国の真の友人なら韓日スワップを締結せよ」

米韓為替スワップ:本当の危機は「コロナ後」に到来か』などでも報告したとおり、韓国国内でとりあえずは外貨資金繰りが安定したためでしょうか、韓国メディアではこのところ、「韓日通貨スワップ待望論」が姿を消していました。しかし、本日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、「困難な時に助け合うのが真の友人であり隣国だ」、「通貨スワップ締結など経済的な共生協力を始めるのがよい」、とする主張が掲載されているようです。

朝鮮半島生命線説

真のエネミーは、「朝鮮半島生命線説」

先日の『中央日報「韓日は争いをやめ協力しなければならない」』などを含め、当ウェブサイトでは常々、

日韓関係において私たち日本人が本当の意味で警戒しなければならないのは、『用日派』と呼ばれる韓国国内の勢力と、これに呼応して日本の国益を韓国に売り渡そうとする『対韓配慮論者』と呼ばれる日本国内の勢力である

と申し上げています。

何度も繰り返しで恐縮ですが、日本国内には「朝鮮半島生命線説」とでもいえば良いのか、

①朝鮮半島が日本の敵対勢力に入れば、日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす。②だからこそ、日本は万難を排して朝鮮半島を『日本の勢力』や『日本の友好国』に引き留めておかねばならない

とする考え方が存在しています。

この考え方のうち、①の部分については、ある程度はそのとおりだといえるでしょう(100%同意するものではありませんが…)。地理的に近い朝鮮半島が日本にとっての敵対的な国になれば、そのこと自体、日本にとっては非常に厄介だからです。

しかし、②の部分については、当ウェブサイトとしては敢えて異論を唱えさせていただいています。

日常生活でもそうですが、相手に「弱み」を見せながら交渉事などできっこありません。外交もこれと同じで、相手から「日本は最終的にわが国を敵に回したくないはずだ」と足元を見られれば、相手は最初から日本を舐めてかかります。

「隣国を援助する国は滅びる」と喝破したのはマキャベリだったと記憶していますが、そもそも論として隣国とは交易など、お互いにとってメリットのある付き合いをすれば良いのであって、デメリットがメリットを上回るような付き合い方をしてはなりません。

もちろん、韓国が「日本との約束を守ってくれる国」に変わってくれるのであれば、日韓関係を今以上に深化させることは悪い話ではありません。しかし、外交において、「相手を自分の望むように変えられる」と考えること自体、傲慢というほかありません。

この点で、「韓国が日本との約束を守らないのなら、韓国に日本との約束を守ってくれる国になってもらえば良いじゃないか」、「韓国に親日的な政治家が出現するよう、支援すべきじゃないか」、といった、「日韓友好ありき」の論説には、違和感しか抱かないのです。

隣国同士ですから、日韓間では人的交流はそれなりに存在していますし、サプライチェーンでの結びつきを急に断つことも難しいため、どこかのまとめブログなどと異なり、当ウェブサイトとしては「いますぐ日韓断交すべきだ」などとする極論を唱えるつもりはありません。

しかし、それと同時に日本は幸いなことに「海洋国家」であり、海を通じて全世界の友邦と直接つながることができるという国でもあります。決して「韓国や中国、北朝鮮、ロシアだけと付き合わねばならない」、ということはないのです。

したがって、今後の日本の国家戦略は「約束をちゃんと守り、お互いを尊敬してともに発展して行けるような関係」を、いかにして全世界に増やしていくかに尽きるのだと思いますし、その過程で「約束を守らない、相手国に敬意も払えないような国」との関係を薄めていくことが必要なのだと思います。

中央日報「コロナ危機で韓日は手を握れ」

少し前置きが長くなりましたが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、こんな記事が出ていました。

【リセットコリア】コロナ危機に対応するため韓日が手を握るべき

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で地球村が深刻な危機を迎えている。米国・欧<<…続きを読む>>
―――2020.04.27 08:35付 中央日報日本語版より

「リセットコリア」シリーズは、ときどき中央日報に掲載されるシリーズですが、今回の論考の末尾には「権泰煥(クォン・テファン)/韓国国防外交協会会長」という署名が入っています。

この権泰煥(けん・たいかん)氏という人物、調べてみると、朝日新聞に3月14日付の『(Question)日韓関係の悪化、安全保障への影響は 権泰煥氏』という有料会員限定記事などでも登場しているようですが、普段、いかなる思想をお持ちの方なのかはよくわかりません。

ただ、中央日報の記事を読んでみると、まことに残念なことに、「量産型(?)」の旧態依然とした「用日論」だといわざるを得ません。そもそも、権泰煥氏の議論の前提条件部分において、現状認識に重大な誤りがいくつも含まれているからです。該当する部分を要約すると、

  • 新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大で地球村が深刻な危機を迎えており、これに加えて金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の健康不安説が連日報じらているにも関わらず、韓日関係は深刻な危機状態だ
  • 強制徴用賠償判決をめぐる葛藤が日本の韓国向け輸出規制や韓日GSOMIA破棄問題など、安全保障、経済分野に広がっており、専門家による両国関係をこれ以上放置すべきでないとの懸念にも関わらず、韓日両国はコロナ対策でも消極的な感情対立を続けている

といったところでしょうか。

勘違いが大量に含まれた、謎の記述

そもそも論として、2018年10月と11月に韓国の最高裁に相当する「大法院」が相次いで日本企業に命じた、自称元徴用工への損害賠償判決は、1965年の日韓基本条約に基づいて構築された日韓関係をひっくり返すものであり、法治国家としては断じて許すことはできません。

また、自称元徴用工問題や(従軍)慰安婦問題などを含め、日韓間にさまざまな「歴史問題」が浮上していることは事実ですが、それらの大部分は韓国側が一方的にでっち上げたものであり、日本は戦争の「加害者」であるどころか、むしろ「名誉棄損」という韓国側の犯罪の「被害者」の方です。

さらに、「日本の韓国向け輸出『規制』」とあるのは、日本政府による韓国向けの輸出管理適正化措置の誤りと思われますが、これは内容的にもタイミング的にも、韓国に対する何らかの報復として講じた措置ではありません(『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』等参照)。

それなのに、「日韓GSOMIA」(※)の終了を通告するなど、輸出管理上の問題を安全保障分野に飛び火させたのも、一方的に韓国の側です(もっとも、『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』などで触れたとおり、韓国側はGSOMIA破棄を撤回していますが…)。

(※日韓GSOMIAとは『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』のこと。)

ホンネは「韓日通貨スワップ」

信頼回復の主語が間違っている

つまり、権泰煥氏の主張は、そもそも前提条件の部分が誤っているのです。

もちろん、本来であれば武漢コロナウィルス危機は人類共通の問題であり、日韓両国だけでなく、最大の加害国である中国、被害国である米国や欧州諸国などとも連携し、ウィルスの抑え込みと治療法の確立、ノウハウの共有などを図るのが理想的です。

しかし、それと同時に、こうした国際協力をするためには、その前提として、お互いに対する信頼が存在していなければなりません(ついでにいえば、中国のように情報を隠す国の存在は、国際社会の相互信頼を傷つけます)。

権泰煥氏の文章に、「コロナ対策で消極的な感情対立を続けている」とあるのも、単純にこれまでの韓国政府の振る舞いに対し、日本政府側で彼らに対する信頼が失われ、あえて積極的に防疫協力をするという状況にない、というだけの話にしか見えません。

それなのに、やはり、前提条件部分で誤っているためでしょうか、権泰煥氏はこんな主張をします。

困難な時に助け合うのが真の友人であり隣国であり、現時点で重要なのはお互いの信頼回復だ。信頼回復には韓日首脳の決断が重要となる。両首脳は葛藤と対立をここでやめなければいけない

…。なんだかツッコミどころだらけですね(苦笑)

というよりも、この短い文章に、すでにおかしな点が2つも含まれていますが、そのひとつは、「主語がおかしい」という点です。

そもそも先ほどから強調しているとおり、権泰煥氏が主張する「韓日の葛藤と対立」構図を作った原因は100%、韓国のみの側にあります。だからこそ、「信頼回復」が必要だとしても、その主語は「韓日首脳」ではなく、

文在寅(ぶん・ざいいん)大統領

であるべきでしょう。

「真の友人は韓日通貨スワップを提供する」

また、権泰煥氏の主張のおかしな点は、もうひとつあります。それは、「困難な時に助け合うのが真の友人」という記載です。

そもそも論として、日本が困難な時に、韓国から大々的に助けられたという記憶はあまりありません。

記事文中に「韓国政府が飛ばしたチャーター機に日本人が便乗させてもらった」という記載もあり、これについては感謝すべきでしょうが、ただ、過去の危機(たとえばリーマン・ショック時や欧州債務危機時)では、日本が韓国に助けられた、という話は、寡聞にして存じ上げません。

いや、むしろ世界的な金融危機のドサクサに紛れ、韓国は自国通貨を安く誘導し、それを一種の「補助金」として産業競争力を不当に嵩上げし、日本の産業を潰しに来たほどです(『日韓通貨スワップこそ、日本の半導体産業を潰した犯人』等参照)。

そのうえで、権泰煥氏は、こんなことを言い出します。

コロナとの戦争を終結できるよう情報共有やワクチン開発など防疫協力はもちろん、通貨スワップ締結と企業関係者の迅速な入国の保証など経済的な共生協力を始めるのがよい。北朝鮮への対応と韓日米の安保協力とホルムズ海峡派兵部隊の連携、さらには米国の同盟政策の変化などに対する戦略的な協調も必要だ。コロナ以降への対応も求められる

…。

おそらく、これが権泰煥氏の「ホンネ」といったところでしょうか。

もっとも、「真の友人ならば韓日通貨スワップを提供するはずだ」、との主張、言い換えれば、「韓国が日本の信頼を踏みにじってきたことを踏まえると、日韓両国は『真の友人』とは言えないので、日韓通貨スワップを提供する義理はない」、ということになりそうですが…。

胸に手を当てて考えてみなさい

さて、権泰煥氏の主張を眺めてみると、どうも氏は典型的な「用日派」なのですが、それと同時に極度のご都合主義者でもあります。とりわけ、次のような記述を読むと、これまで散々、日米の信頼を踏みにじってきた韓国が主張してよい内容とは思えません。

今年は韓国戦争70周年を迎える年だ。(略)韓米同盟と共に韓日米安保協力の役割を再認識する契機にしなければいけない。今後の韓半島平和体制定着のためにも日本の役割は重要だ。(略)自由民主主義と市場経済という価値と戦略的利益を共有する隣国として、同盟国の米国はもちろん中国を含む域内の協力で韓日が共に新たな道を模索する必要がある。今はもう韓日が共に危機を機会にする真のパートナーにならなければいけない。

日米両国が主導する「自由で開かれたインド太平洋戦略」に頑なに参加しようとしない時点で、韓国は、日本はもちろん、米国とも「真のパートナー」である資格はありません。

とくに、米国の同盟国として、米国に国を守ってもらっておきながら、米国にとっての目下最大の仮想敵国である中国におもねってみたり、北朝鮮に対する経済制裁の緩和を世界に働きかけてみたり、と、韓国の振る舞いはどう考えても米国の同盟国のそれではありません。

権泰煥氏のような主張をする人たちに、あえて「上から目線」で偉そうにきついことを申し上げます。

胸に手を当てて、自分たちのこれまでの行動をよ~~~く振り返ってみなさい

と。

関わらない

もっとも、今月実施された韓国の国会議員総選挙では、与党「ともに民主党」やその友党・衛星政党などが、3分の2近い議席を得て圧勝しました。そうなると、少なくとも権泰煥氏のような「用日派」的な思想は、韓国政府内では少数派になっていく可能性が高そうです。

もちろん、コロナショックなどで一時的に日韓両国政府が協力できる分野で協力するという可能性はありますし、北朝鮮情勢などの不確定変数もありますが、それでもコロナ騒動がある程度終息した時点で、日韓間の信頼関係が戻るとも思えません。

いずれにせよ、もし韓国が日本との信頼回復に踏み出さないのならば、日韓両国は通貨スワップなどで経済・金融関係を深めるのではなく、むしろ日本としては韓国に積極的に関わり合いにならず、国を挙げ、関係を少しずつ疎遠にしていく方向で努力すべきではないかと思う次第なのです。

新宿会計士:

View Comments (94)

  • サプライチェーンの緩やかな撤退や技術供与の延期・中止など徐々に距離を取るべきでしょうね。
    ブログ主様の

    引用
    どこかのまとめブログなどと異なり、当ウェブサイトとしては「いますぐ日韓断交すべきだ」などとする極論を唱えるつもりはありません。
    引用終了

    に賛成です。
    まとめブログあるいはまとめる元になった掲示板でも日本はアメリカと通貨スワップを結んでいるという誤解がいまだにアップされるのは、お隣のことを笑えません。

  • スワップが、みたいな主張を韓国がまだできてしまうということは、日本の怒りがぜんぜん伝わっていないということです。

    私も日本政府が正しい対応を今後してくれると信じたいですが、私も、会計士さん、このサイトの読者も含めて確証バイアスに陥ってないか心配です。

  • 取り敢えず突っ込んでおきますね♪
    (ノ*・ω・)ノ*□□ ヨイショ

    >コロナとの戦争を終結できるよう情報共有やワクチン開発など防疫協力はもちろん、
    2国間でやっても仕方ないのでWHOを通じるなりして多国間でやりましょう (^o^)

    >通貨スワップ締結と
    新宿会計士さんが突っ込んでるので省略なのです

    >企業関係者の迅速な入国の保証など経済的な共生協力を始めるのがよい。
    まずは防疫ですね。そこがちゃんとできてから考えましょう。日本は、国内の移動すら制約しないといけないくらいで、まだ外国の人の流入を考える段階に来ていません。
    (*_ _)人 イマソレドコロジャナイノ
    フリフリ ヾ(・д・。)マタネー♪

    >北朝鮮への対応と韓日米の安保協力と
    日本より前に、まずは米韓関係をしっかりしてください♪米軍の駐留費をちゃんと払うのはその第一歩として必要だと思いますよ。
    (・∀・)つ$

    >ホルムズ海峡派兵部隊の連携、
    派遣することにしたんじゃなかったっけ?調整相手は日本じゃなくて、米国と中東各国ですよ
    ヽ(・_・ )( ・_・)/アッチダヨ

    >さらには米国の同盟政策の変化などに対する戦略的な協調も必要だ。
    えっと、米韓関係と日米関係を別々にやればいいんじゃないのかな?だいたい米国の同盟国は、日韓の他にもいっぱいあるので、2国間の協調に意味があるのでしょうか?
    (。´・ω・)?ヨクワカラナイ

    >コロナ以降への対応も求められる
    同盟とかにコロナ前とか後って関係あるのですか?何が言いたいのか良くわからないのです。??
    ( ๑´•ω•)ワカンニャーイ

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     そもそも論ですが、国際社会において真の友人なぞ、存在しません。

     駄文にて失礼しました。

    • >>中年さま
       おっしゃる通り、国家に「友人」は必要ないですし、友人関係になれません。
       あれほど力があるアメリカでさえ、ヨーロッパ諸国が常に賛成側になってくれているようには見えませんし。

       国際情勢云々で変わりますし。アメリカはかつて、イランやイラクと友好関係にありましたし、アルカイーダもアメリカが育てた組織だったのですし。

       粘着するアイルランドを完全無視し、ヨーロッパとも距離を置く、人口6300万程度の「小国」イギリスの立ち回りなど参考にしたいところです。小国のほうが外交がうまい、とも言われますが(※韓国除く)。

  • 「武漢肺炎騒動が終息するまでに、韓国が息を終えている」に一票。

  • 唖然!「困難な時に助け合うのが真の友人」

    この期に及んで、まだそんなこと言う?

    これ以外の言葉が思い浮かばない。

    • 韓国の本音は「(韓国が)困難になったら(日本が)いつでも助けてくれる」べきといったところじゃないでしょうか?一方的な依存性。「助け合う」という言葉で日本に「助けたことへの見返りを求めるな」と言ってるわけです。

  • 真の友人なら震災お祝いとか放射能五輪とか言わない。
    明確に敵なのに言うことがアホらしすぎる。

  • 表題の問い掛けに対し、日本からの回答は以下の通りかと思います(笑)

    ・朝鮮半島南半分は友人ではありません。況してや「真の友人」なんて言葉は有りません。
    (北半分は言うまでも無いし、南半分の日本に於ける現在地は「敵性国家」の位置付けかと思います。)
    ・過去に接点があった忘却の彼方に位置する知り合いです。
    ・別の意味でDVな方なので近づかないでください。※敢えてリ○カブ○とは言いません(笑)

  • だいぶ苦しい状況のようですね。ただ、ブラフかもしれないので、とりあえずレイズしときましょ🎵

    • 陰謀論者さま
      ずっとレイズしてればば、リミットが無いから、必ず勝てますね。

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