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日経の最新調査、「韓国は日本人が3番目に嫌いな国」

韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、「日本人にとって韓国が3番目に嫌いな国だ」とする日経新聞の調査結果が紹介されていました。これを韓国メディアが気にしているというのも意外な話ですが、中央日報が論評抜きでこの日経の調査を伝えているあたり、日韓関係に不気味な転換点が近づいているような予感がしてならないのです。

対等な関係が理想的ですが…

普段から当ウェブサイトで報告しているとおり、個人的には、日本は平和を愛する国として、できるだけ多くの国と対等で未来志向の友誼を結ぶべきだと考えていますし、そうすることで、日本は「海洋国家」として、より一層発展していくことができると思っています。

ただ、それと同時に、相手国が日本との「対等で未来志向な関係」を望んでいないのだとすれば、私たちの側がいくら臨んだとしても、「相手国との対等な友誼を結ぶ」のは無理な相談です。なぜなら、外交とは相手国があってのものだからです。

さて、日韓関係における友好の在り方を巡っては、以前から説明してきたとおり、わが国にはだいたい次の3つの考え方があるようです。

日韓友好論の3類型
  • ①対等関係論:日韓両国は対等な主権国家同士として、お互いに尊重し合い、ともに手を取り合って、未来に向けて発展していけるような関係を目指すべきだ。
  • ②対韓配慮論:日韓両国は対等な関係だが、過去の一時期に不幸な歴史もあったことを踏まえ、日本がある程度、韓国に配慮することで、「名よりも実を取る」ことを目指すべきだ。
  • ③対韓追随論:日韓友好はとても非常に大切であり、韓国が「もう良い」というまで過去の不幸な歴史を反省し、謝罪し続けるべきだ。

といっても、この①~③は、当ウェブサイトとしての主張として申し上げているのではなく、あくまでも「日本国内にこのような考え方がある」、というだけの分類に過ぎません。

現在ほど韓国に対する知見がなかった時代だと、この①~③を巡っては、純粋に①を主張する人が多かったのではないかと思いますし、実際、少なくない政治家、経営者、官僚、知識人らがこの「幻想」に染まっていたのではないかと思います。

ただ、古くは1965年の日韓国交正常化以前に韓国との国交正常化交渉を担当していた外交官から、最近では自称元徴用工判決に直面する日本企業関係者に至るまで、どうも韓国が「日本との対等で未来志向の関係を望んでいないのではないか」と気付く人が増えたのではないでしょうか。

支持を失う「対韓配慮論」

こうしたなかで、「やっぱり韓国との友好関係は必要だ」と思う人が次に支持した理論が、②であり、さらには③です。

ときどきテレビの報道番組やウェブ評論サイトなどに出てくる外務省OBの方々には、この②や③の考え方を真顔で信じ込んでいる人がかなり多数いらっしゃるようです(※あえて実名は挙げないでおきましょう)。

このうち③に関しては論外ですが、②に関しては、理解できないわけではありません。

頼む、これっきりだから、ここはわが国のメンツを立てるために日本が頭を下げてほしい」。

このように頼まれたら、

ではわかりました。本当にこれっきりですよ!

とばかりに、韓国に譲歩して来たというのが、日韓外交史の実情だったのではないでしょうか(その典型例のひとつが、河野洋平が1993年に発表した、いわゆる『河野談話』でしょう)。

ただ、韓国が「これっきり」にすることはなく、実際に『河野談話』などは、「日本政府が(従軍)慰安婦問題を公式に認めた証拠」として独り歩きしている状況にあります。

日韓関係は、一事が万事、この調子です。

ただ、近年、韓国側からの日韓友好に反する非合理な行動が相次いでいます。とくに、一昨年秋口以降、韓国側から仕掛けられてきた「日韓友好に反した非合理な行動」のうち、主なものに絞っても、次のような事件がありました。

  • ①旭日旗騒動(2018年9月頃~)
  • ②自称元徴用工判決問題(2018年10月30日、11月29日)
  • ③レーダー照射事件(2018年12月20日)
  • ④天皇陛下侮辱事件(昨年2月頃)
  • ⑤日本による韓国向けの輸出管理適正化措置(昨年7月1日発表)
  • ⑥慰安婦財団解散問題(昨年7月頃)
  • ⑦日韓請求権協定無視(昨年7月19日)
  • ⑧日韓GSOMIA破棄通告(昨年8月22日)
  • ⑨対日WTO提訴(昨年9月11日)

このうち⑤を除く各項目については韓国が日本に対して仕掛けて来たものですが、⑤だけは例外的に日本が韓国に対し、積極的に講じた措置です。ただ、日本政府がこの措置を講じるきっかけを作ったのは韓国ですので、やはり究極的には韓国の行動がすべての原因であるといえます。

こうした出来事を通じて、少なくとも現在の日本で「日韓両国は台頭で未来志向の関係を築いていくことができる」と信じている人が多数派を構成しているとは思えません。

(※なお、『真の親日派とは、文在寅氏その人だ』や『「ビバ文在寅」!あなたこそ真の親日派だ』でも議論したとおり、日韓関係の破壊に邁進する文在寅(ぶん・ざいいん)政権こそが、「真の親日派」だと個人的に思っていることはここだけの話です。)

日経調査で「韓国嫌い」が3位に浮上

韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、こんな記事が掲載されていました。

「韓国、日本が嫌いな国3位」(2020.01.12 09:00付 中央日報日本語版より)

これは、日経新聞が1月10日に公表した『数字で見るリアル世論 郵送調査2019』とする記事に掲載されていた「韓国への好感度」について、「好き」前回より8ポイント減の14%、「嫌い」が5ポイント増の66%だったとする話題を紹介する記事です。

この日経調査は日経リサーチが2019年10~11月に全国の18歳以上の男女を無作為に抽出して郵送で実施し、55.9%(1677件)の回答を得たとするものですが、中央日報が注目しているのは、次のポイントです。

  • 嫌いな国は1位が北朝鮮(82%)、2位が中国(71%)、3位が韓国(66%)、4位がロシア(53%)だった
  • 昨年の調査でも韓国が「嫌い」とする回答は3位だったが、今年は韓国に嫌悪感を持つ人の割合は61%から66%に上昇した
  • 好きな国は米国、フランス、英国がそれぞれ69%で同率1位だった

ほかにも、改憲への賛否や「次の国会議員選挙で投票したい政党」などに関する回答もあるのですが、これらの詳細については正直、日経電子版の原文のページを見た方が早いと思います。

「嫌韓世論」はほかの世論調査とも整合

ちなみに内閣支持率は39%と、先ほどの『マスコミさん、「桜を見る会」での倒閣に失敗か?』の調査結果とはずいぶんと違いますが、この日経の世論調査は、日経とテレ東が共同で毎月実施している電話世論調査とは調査方法も設問もまったくの別物ですので、べつに不自然な点はありません。

ただ、韓国に関する感情が非常に悪化しているらしい、という点については、そのほかのさまざまな調査と整合していることもまた事実です。

たとえば、昨年12月の『【速報】「韓国に親しみ感じない」が初めて7割を超過』でも紹介したとおり、内閣府が公表する『外交に関する世論調査』では、史上初めて「韓国に親しみを感じない」等の回答が7割を超えるなど、対韓感情がこの1年で急速に悪化していることが確認できます。

また、『ネセサリーロスで読む 日経世論調査と日韓関係の未来』でも触れましたが、日経の他の世論調査では「関係改善のためには日本が譲歩することもやむを得ない」という回答が21%だったのに対し、「日本が譲歩するぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」が69%に上った、ということもありました。

こうしたなか、当ウェブサイトとして密かに抱いている仮説のひとつが、「日本人は『サイレントクレーマー』である」、という議論です(これについては少し古いのですが『「日本人はサイレント・クレーマー」という恐怖』などでも議論しています)。

やたらと感情的な隣国と異なり、日本人の多くは奥ゆかしく、インターネットがここまで普及するまでは、「あの国は嫌い」などと言い放つ人はさほど多くなかったのではないかと思います。しかし、どうも日本人には、相手に対して「あなたのことは嫌いだ」と言わずに静かに離れていく、という性質があるようなのです。

そして、これらの世論調査結果は、日韓国交正常化以来の50年余り、日本が韓国に対して我慢に我慢を重ねてきた、その堪忍袋が静かに満タンになっているのではないか、という仮説の正しさを裏付けているように見えてならないのです。

いずれにせよ、個人的には日韓関係はこれから「二番底」「三番底」があり得ると思いますし、状況次第では日韓関係がさらに疎遠になったり、日本から韓国に対する経済制裁が適用されたりする可能性もあると見ています(これらについては次の記事でも議論していますので、適宜ご参照ください)。

日韓関係はまだ「最悪期」に非ず(1)経済制裁論(2020/01/04 05:00付 当ウェブサイトより)
日韓関係はまだ「最悪期」に非ず(2)日韓断交論(2020/01/04 10:00付 当ウェブサイトより)
新宿会計士:

View Comments (42)

  • お隣と親しくできれば、それに越したことはありませんが、
    お互いに嫌いなら無理につき合う必要はありません。
    どこかで会ったら形式的に挨拶するくらいで十分です。
    彼の国さんの場合、「あらやだ、知らない間に孤独死してたのね」でもいいではありませんか。

  • ソウル五輪の時に友好国の為に、何らかの形で出動する事があり得ると身構えていた空挺隊員は李明博の時に死んでしまい、ハゲ親父🐧に生まれ変わりました。🐧

    また、友好関係に二番底・三番底が有ったとしても、直ぐに底が抜けるので奈落に向って真っ逆さまでしょう。🐧

    考えて見たら、元寇からまだ750年しか経っていません。🐧
    なのに、重ね重ねの無礼・集り・強請・詐欺・良民虐殺・強姦・国際条約無視・国際法無視………。🐧
    先方の言い分に合せるなら、元寇からの分を考慮して西暦3270年迄は恨逃との友好は考える必要は無いと考えます。🐧

  • 文在寅政権の政策はデタラメなので,まともに見ていると腹が立つことも多いでしょう。ただ,嫌韓もいきすぎると,政権交代後に禍根を残す恐れもあります。
    韓国の歴史教科書の改訂で,北朝鮮政権を正当化して韓国の地位を自ら下げるようなことをするようですが,そこまですると,韓国の人達も「韓国の歴史教科書はウソだらけだ」と気付くでしょうか。楽しみなところです。でも「韓国は世界から尊敬されている大国だ」と信じたい気持ちは分かります。「日本は経済大国だ」と日本人も信じていますから。韓国に関しては,今後,米中どちらに付くのかを見極めてから対応しないといけないでしょう。
    ところで,令和2年になってから北朝鮮が静かになって,話題に上る頻度も減りました。10日の中央日報日本語版の「中国の対北朝鮮警告…「核に固執すれば幹部・家族を処罰」(2)」というニュースに大切な情報が書いてあります。
    (中朝間の合意)文書は「朝鮮は直ちに核兵器を放棄しなくてもかまわず、今後新たな核実験をしないということを行動で見せる場合、中国の(対北朝鮮)支援は直ちに増強することを担保する」と明らかにした。また「朝鮮が制裁から抜け出した数年後から条件が熟す場合、順に改革を実施し、最終的に朝鮮半島の非核化要求を実現することを(中国は)要求している」と、北京側の北核解決ロードマップを整理している。(中略) 弁公庁の文書に書かれている対北朝鮮措置は、隠密な経路で中朝間で履行されたり平壌側に渡された可能性が高い。対北朝鮮制裁にもかかわらず忍耐モードに入った金正恩委員長の背後には中国の贈り物が置かれているとみられる。北朝鮮が核を持って持ちこたえる場合に言及して「朝鮮の幹部とその家族に対する処罰のための過酷な特別措置を一方的に施行する」と警告する中国弁公庁の文書の最後の部分が苦い後味を残す。
    以上にように,中国がしっかり北朝鮮を制御しています。2018年の中朝合意では「今後10年間にわたって約10兆円を中国が北朝鮮に援助」することになっていました。この援助は2019年春にはアメリカの圧力で停止されましたが,2020年1月から復活しているかもしれません。記憶力のよい人は2018年に「アメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合,日本は北朝鮮復興のために1兆円援助する」というアメリカとの合意があったことを覚えていると思いますが,それよりずっと金額が多いですね。

    • 愛読者様

      「政権交代後」が韓国の政権を差しているとしたら、
      文大統領が押し進めていた検察改革に対する立法が完了し、
      政敵を葬る事が可能となり、かの国の政権交代は難しいこととなりました。
      対立する検察官の左遷もさっそく進んでいるようです。

  • 更新お疲れ様です!

    >こうした出来事を通じて、少なくとも現在の日本で「日韓両国は台頭で未来志向の関係を築いていくことができる」と信じている人が多数派を構成しているとは思えません。

    「日韓両国は台頭で未来志向の関係を築いていくことができる」

    ではなく

    「日韓両国は対等で未来志向の関係を築いていくことができる」

    ですね。

    >(※なお、『真の親日派とは、文在寅氏その人だ』や『「ビバ文在寅」!あなたこそ真の親日派だ』でも議論したとおり、日韓関係の破壊に邁進する文在寅(ぶん・ざいいん)政権こそが、「真の親日派」だと個人的に思っていることはここだけの話です。)

    私も「真の親日派」だと思っていたのですが、ふと思ったのですが、「真の日韓関係正常化推進派」が適切ではないかと思うのです・・・ちょっと長いのですが。

  • 「嫌い」なのではなくて、価値観どころか議論の方法論?まで異なるため合意の形成どころか意志の疎通が不可能だから、「無駄な事はしない」の方が少なくとも私の場合は近いですね。

    個人的には中国(大陸)の人とか、中国系・台湾系米国人との接触が何回も有ったのですが、価値観に違いがあってもほとんどの人は議論の手順はほぼ一致していて、迷惑を被った事も皆無では無いものの、解決は出来たのです。ですが、それも出来ない相手というのが(日本人にも:親族にまで居たので洒落にならない)間違いなく存在していて、そういう人とはどんなに議論しようとしても無意味でした。個人間でもそうなのに、国内での合意形成が必要となる国レベルでは、もうお手上げでしょう。

  • 私は「嫌韓」です。
    今回の調査を含めて、韓国に対してネガティブな感情を持つ回答は7割程度、ポジティブな回答は2割程度が、大体の傾向だと思います。
    今回の調査では、中国とロシアを嫌う%は減少し、韓国を嫌う%は上昇しています。
    是非はともかく今年は、習近平主席が来日しますので、中国に対しては、ポジティブに動くと思います。
    オリンピックもありますが、韓国がディスカウントジャパンを行なっております。引き続き開催期間中にも行うことが予想されますので、韓国に対してはネガティブに動くと思います。これで、徴用工の現金化が有れば、もっとネガティブに動くでしょう。
    今回調査での、中韓の差は5%しか有りませんので、次回の調査で入れ替わり朝鮮半島が、ワンツーとなる可能性が高いと思います。
    韓国に対する好感度の底は、北朝鮮と同程度だと思います。
    日韓関係の底も、北朝鮮関係と似たような関係になる事かも知れませんね。破綻とはそういう事?

  • ニューヨークタイムズ日本事業所こと朝日新聞社が、リベラルぶってどっちもどっちという喧嘩両成敗論理を使って慰撫活動に熱を上げそうな予感がします。日本のジャーナリズムはアメリカコンプレックスがひど過ぎて、実際能力も低いようですが、NWT,WSJ,WPからの書き写して悦に入る態度が治りません。

  • 韓国が第1位で無い事が意外です。
    現在の文在寅氏その人のやり方を見る限り、日本人で嫌韓ではない人がいるというのには違和感を感じます。

  • 更新ありがとうございます。

    韓国が嫌いな国の3位。えっ嘘でしょ。1位じゃないの?1位が北朝鮮(82%)、これは国家として承認してません。2位が中国(71%)。分からない事もないが、3位が妥当。韓国(66%)が最悪アワードでしょう(笑)。

    昨年も3位とは、いったいどんな日本人に聞いているのやら。嫌いの4位がロシア。これも定位置ですね。私はドイツも好かんです。あと中米とアフリカの一部も好かんです。

    好きな国に米仏英がスリートップ。台、豪、NZ、タイ、マレーシア、ベトナム、加、、アレ?環太平洋だわ(笑)。

  • 私の中では、半島国家(北と南)が嫌いな国1位です。

    中国やロシアは、嫌らしい国ですが交渉できないわけではありません。
    更に、中国(共産国家ではなく土地)には長い歴史と史書があり、ロシアには芸術と学問における天才がいる点で一定の評価をしております。

    半島には、何も価値を感じるところがない。それどころか、日本の将来に害をなす。
    これが正直な感想です。

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