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イラン司令官殺害:トランプは対イラン開戦を望むのか

週末、米軍がイランで最高指導者であるハメネイ師に続いて「尊敬されている」(?)とされる人物であるカセム・ソレイマニ司令官を殺害したというニュースが大きく報じられています。これについて現時点におけるおもに英米メディアの報道をざっとまとめるとともに、いくつかの興味深い話題とともに、米国がイランとの戦争を欲しているのかどうか、私たち日本にとって示唆されることは何かについて、簡単に触れておきたいと思います。

米軍ドローンがイラン精鋭部隊の司令官を殺害

すでにいくつかのメディアで大きく報じられていますが、イラン革命防衛隊の精鋭部隊である「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官が3日、訪問先のイラク・バグダッドで米軍の空爆により死亡し、また、その事実については米国防総省が認めたそうです。

Qassem Soleimani, Powerful Iranian Commander and U.S. Foe, Is Dead(米国時間2020/01/03(金) 12:06付=日本時間2020/01/04(土) 02:06付 WSJより)
Qasem Soleimani: US kills top Iranian general in Baghdad air strike(2020/01/03付 BBCより)
Qasem Soleimani death: The response options open to Iran(2020/01/03付 BBCより)

これについてBBCは「ソレイマニ司令官はイラン国内できわめて人気が高い国家的英雄」と見られていたとしており、また、WSJはソレイマニ司令官がイランの最高指導者であるハメネイ師からは「生きた殉教者」などと呼ばれていたほどだとしています。

これらの報道によれば、ソレイマニ司令官はレバノンまたはシリアからバグダッドに到着し、イランが支援しているイラクの民兵組織関係者と一緒にバグダッド国際空港を出ようとしたところ、車列が米軍のドローンの空爆による直撃を受け、ソレイマニ司令官を含む複数名が死亡したそうです。

では、なぜソレイマニ司令官が狙われたのでしょうか。

WSJによると、中東において米軍に多大な犠牲が出た原因が彼にあるとして、米国からは「中東における宿敵」とみなされていたそうであり、実際、米軍のイラク派兵部隊の元司令官だったデイビッド・ペトラウス氏が2008年にロバート・ゲイツ国防長官(※当時)に宛てた書簡のなかで、

(ソレイマニ氏は)真に邪悪な人物だ

と表現していたのだそうです。

トランプ氏は追加攻撃を示唆

今回のソレイマニ氏の襲撃について、米国防総省は3日、

米軍はドナルド・J・トランプ米大統領の指示によりカセム・ソレイマニを殺害した。これは在外米国市民を守るための断固たる予防措置だ」、「今回の措置はイランによる潜在的な攻撃計画を防止することを目的としている

など述べているそうですが、これにはさらに次のような続報があります。

ドナルド・J・トランプ米大統領は土曜日夜(=日本時間の日曜日早朝)、次のように述べたそうです。

Iran is talking very boldly about targeting certain USA assets as revenge for our ridding the world of their terrorist leader who had just killed an American, & badly wounded many others, not to mention all of the people he had killed over his lifetime, including recently hundreds of Iranian protesters. He was already attacking our Embassy, and preparing for additional hits in other locations. Iran has been nothing but problems for many years. Let this serve as a WARNING that if Iran strikes any Americans, or American assets, we have targeted 52 Iranian sites (representing the 52 American hostages taken by Iran many years ago), some at a very high level & important to Iran &  the Iranian culture, and those targets, and Iran itself, WILL BE HIT VERY FAST AND VERY HARD. The USA wants no more threats!
―――2020/01/05 07:52付 ツイッターより

(※これについては最初のツイートのみ埋め込んでおきます。)

トランプ氏の英文を意訳し、箇条書きにしておきましょう。

  • わが国は、米国人などを殺傷して来たイランのテロリストらを排除してきたが、イランは大胆にもこれに対する復讐として、米国の資産をターゲットとした攻撃を加えて来た
  • 彼(=ソレイマニ氏)は米国市民だけでなくイラン人の抗議者らをも殺害して来たし、わが国の大使館を攻撃して来たし、さらにほかの施設などに対する攻撃も準備していた
  • イランは長年、問題以外の何物でもなかった
  • 私は警告したい、もしイランがアメリカ人、あるいはアメリカの資産に対して攻撃を加えるならば、我々はイランの52ヵ所の地点に対して攻撃をする用意があるが、これらのうちいくつかはイランとその文化にとって、非常に重要なものだ」
  • 「52」とはもう何年もイランによって人質にされている52人の米国人の象徴だ

何やらトランプ氏の強い決意が伝わって来ますね。

ニューヨークタイムズは「山本五十六以来の成果」

さて、その一方で米国メディアのなかには、今回のスレイマニ氏の殺害を「山本五十六の殺害に続く成果だ」、などと述べているものもあります。

As Tensions With Iran Escalated, Trump Opted for Most Extreme Measure(2020/01/04付 ニューヨークタイムズより)

1月4日付けのニューヨークタイムズは

General Suleimani, who was considered the most important person in Iran after Ayatollah Khamenei, was a commanding general of a sovereign government. The last time the United States killed a major military leader in a foreign country was during World War II, when the American military shot down the plane carrying the Japanese admiral Isoroku Yamamoto.

と述べています。いちおう、意訳しておきましょう。

スレイマニ氏はイランの最高指導者であるハメネイ師に次ぎイランで最も重要な人物と見られていた。アメリカ合衆国が外国の主要なリーダーを殺害したのは、第二次世界大戦中に米軍が日本の山本五十六大将を殺害して以来のことだ。

はぁ、そうですか。そりゃどうも。

米国から見て80年前の日本は現在のイランのようなものなのでしょうか。

米国はイランとの全面戦争に突入するのか?

その一方、WSJによると、イランでは即日、強い反発が生じ、数千人の市民らがソレイマニ司令官の死を悼んで抗議を行うとともに、米国に対して復讐を誓ったそうです。

Thousands March in Iraq for Iranian Commander Killed in U.S. Strike(米国時間2020/01/04(土) 18:39付=日本時間2020/01/05(日) 08:39付 WSJより)

いわば、米国とイランの全面衝突の様相を呈して来ました。

ハメネイ師に次いで「尊敬されている」(?)とされているスレイマニ氏を米国が殺害したことは、どうも米国がイランに拳を振り上げさせることを狙っているようにも見えますし、トランプ氏のツイートも、イランを煽っているようにすら見えるからです。

米・イラン関係はトランプ政権下で急速に悪化していて、たとえば昨年4月には米国がイランの革命防衛隊を「テロ組織」に設定し、これに対抗してイランが米国を「テロ支援国家」と宣言する、という応酬もありました。

イラン、米は「テロ支援国家」と宣言 テロ指定に対抗(2019年4月9日 2:49付 AFPBBニュースより)

どうも米国は、イランとの戦争を欲しているように思えてならないのです(※それも、あわよくばイランが米国に対して攻撃することをきっかけに、です)。

もっとも、米・イラン戦争が開戦するかどうかは、米国が国際社会(とくに欧州と日本)の支持が得られるかどうかという問題にも掛かっていますが、次の記事によれば、欧州の一部は今回の米軍の作戦に対して懸念を表明したとして、マイク・ポンペオ米国務長官が「失望」を表明したそうです。

Pompeo Says Europe Should Rally to Support U.S. After Strike(米国時間2020/01/04(土) 17:51付=日本時間2020/01/05(日) 07:51付 WSJより)

WSJによると、ポンペオ氏はソレイマニ氏の殺害後、欧州各国、中国・ロシア、さらにはパキスタンなど近隣国の外相と電話会談を行ったとしつつ、とくに欧州の一部の国(というか、フランス)が米国の行動に懸念を示したのだとしています。

これに対しポンペオ氏は欧州各国(とくに英、仏、独の3ヵ国)こそ米国を支持すべきだとFOXニュースのインタビューに答えたとしています。

アメリカ版もりかけ問題も吹き飛ぶ

さて、トランプ大統領としては、今回のイランに対する攻撃によって、昨年暮れからの弾劾裁判騒動(アメリカ版「もりかけ問題」、あるいはアメリカ版「桜を見る会」騒動)を完全に吹き飛ばす効果を得ることができたのではないかと思います。

実際、次のWSJの記事によれば、米国ではすでにイラン攻撃に向けた立法措置の必要性の議論が米議会では始まっているとのことです。

Lawmakers Call for Debate, Legal Justification Before Any Possible Iran War(米国時間2020/01/03(金) 18:17付=日本時間2020/01/04(土) 08:17付 WSJより)

こうしたなか、思わず笑ってしまったのが、WSJに日本時間の昨日夜に掲載された、こんな記事です。

Congress Returns With Impeachment Trial Questions Unresolved(米国時間2020/01/05(日) 07:00付=日本時間2020/01/05(日) 21:00付 WSJより)

タイトルでもわかりますが、「大統領弾劾問題がまったく解決しないままで議会が再開される」、というものであり(※ “impeachment” が「弾劾」です)、「弾劾問題」がWSJなど米メディアの狙いどおりに展開しないことに対する悔しさが滲んでいるように思えるのは、あながち気のせいとは言い切れないでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

極めて手前味噌で恐縮ですが、当ウェブサイトでは昨年暮れの『韓国に対する経済制裁を議論する』のなかで、トランプ氏が大統領選の年に何らかの軍事行動を取る可能性があるのではないか、と報告しました。

といっても、昨年暮れの時点で申し上げたのは、

東京オリンピック(7月24日~8月9日)・パラリンピック(8月25日~9月6日)の終了直後から大統領選(11月3日)までの短い期間で北朝鮮攻撃を決断すること

でしたので、タイミング、攻撃ターゲットについてはいずれも予測を外した格好ですが、それでもイランに対し、攻撃を匂わせながら譲歩を迫るという米国なりの強権的な姿勢を久しぶりに見た気がします。

もちろん、米国が仮に英、仏両国の賛同を得たにしても、国連安保理で拒否権を持つ中国とロシアが無条件に米国のイラン攻撃に賛同するとも思えませんので、「国連安保理の承認をもとに米国がイラン攻撃に踏み切る」という可能性はさほど高くありません。

だからこそ、米国としてはイランを挑発して、イラン側からの攻撃を誘発するような声明を出したのではないでしょうか。

いずれにせよ、今回のイランの事例については、近未来における米国の北朝鮮攻撃などのパターンを予測するうえで、なかなか興味深いものでもあります。

というのも、「イラン」を「北朝鮮」に置き換えると、

トランプ氏が「北朝鮮が米国人であるオットー・ワームビア氏を殺害したこと」の報復として、独裁者である金正恩(きん・しょうおん)の妹である金与正(きん・よしょう)を殺害し、そのうえで

「これ以上米国市民の生命や財産に危害を加えるなら、北朝鮮の52ヵ所を1ヵ所ずつ攻撃する」

などと北朝鮮を挑発し、北朝鮮の軍事行動を誘発する

というイメージに見えてしまうからです。

今年も中東情勢からは目が離せない展開が続きそうです。

新宿会計士:

View Comments (29)

  • 強大なアメリカには相手が報復に出ることを恐れて何もしない選択肢はないだろう。それじゃあまるで日本だ。

  • イランは、2015年の核合意を破棄しウラン濃縮の制限をしないと宣言したようです。
    イラン、「第5段階」発表…核合意の制限を事実上全撤廃へ
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200106-00050095-yom-int
    アメリカは、イランの攻撃待ちの様子。
    イランが攻撃すれば米国は反撃とトランプ氏
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200106-00000008-kyodonews-int
    両国とも引く様子は、見られず。
    このままなし崩しで開戦まで行きそうな雰囲気。
    アメリカが、イラン、北朝鮮と二面で戦争をするかは、分かりません。少なくともイラン開戦に関しては、日本は部外者扱いされていますね。
    北朝鮮と開戦する時は、日本とも相談すると思いますが、在日米軍の派遣について了解しろかもしれません。

  • 自己認識ではイランは腐っても大国。
    彼らのプライドを粉々にした米国の今回の行動は明らかに悪手です。
    日本はアメリカに一言言って批判を行うべきですね。
    それも今直ぐに。

    このままではキリスト教とムスリムの宗教絶滅戦争に至る可能性

    • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

      文章を作成中に送信しました。

      自己認識ではイランは腐っても大国。
      彼らのプライドを粉々にした米国の今回の行動は明らかに悪手です。
      日本はアメリカに一言言って批判を行うべきですね。
      それも今直ぐに。

      このままではキリスト教とムスリムの宗教絶滅戦争に至る可能性すら有ります。
      明らかにアメリカの今回の行動は聖戦の対象ですよ。
      それとも日本人も無制限貴賎の別なく殺し会う宗教絶滅に加担しますか。
      十億単位でヒトゴロシが必須ですが。

      以上です。駄文失礼しました。

    • ソレイマニは、破壊工作を行なっていた実働部隊の司令官ですよ?
      イラクのデモ隊を実弾で制圧したのも、12月に米軍基地の襲撃が出たのもほぼ確実に同氏の配下の部隊によるもの。
      米国の情報機関なら、より詳細にその動向を把握していたことでしょう。
      であるならば、工作部隊の指揮権を一手に握るソレイマニを前兆も無く葬り去ったのは決して悪手ではない。
      わざわざ回りくどい手段でイラクに手を回してるイラン如きが、報復など踏み切るはずがない。
      国内向けのアピールですよ。

    • イラン革命防衛隊はイランの関東軍と化していたのではないかと。
      ハメネイもロウハニもコントロール不能なレベルまで。
      アメリカの今回の作戦もこのようなイランの国内事情を踏まえての事かと。
      ある意味イラン外交の撹乱要因が除去されたともいえます。
      私の勝手な想像ですが。

      • 私もその見方に賛成です。ソレイマニは次期大統領候補と目されていましたから、これまで以上に過激な反米政策、中東各国への介入政策に走って、国が破滅することを懸念した勢力が「アメリカに暗殺してもらった」ことは十分考えられると思います。
        ハメネイはもともと学識的には大したことがなく最高指導者としての適性には常に疑問符がついています。そのために革命防衛隊へ過度に依存してきた部分があります。ソレイマニの殺害はハメネイにとって打撃であると同時に強すぎる味方から解放された側面があります。

  • イランは古代ペルシャ以来,長く続く高度な文明を持った国家であり,石油のみならず,製造業などでも高い経済水準にあります。国民の教育水準も高いです。科学技術水準も高く,過去数回,人工衛星の打ち上げにも成功しています。したがって,基本的なICBM技術は有していると考えてよいと思います。核保有国となれば,北朝鮮とは比べものにならないくらい,世界に大きな影響を与える国の1つになるはずです。
    欧米とは価値観を共有しないシーア派イスラム国家です。イスラム教徒の中で,シーア派は国際的には少数派で,イラン以外でシーア派が主流な国は,隣国のイラクとアゼルバイジャン,バーレーンくらいだったと思います。他の,トルコ,パキスタン,マレーシア,カラール,シリアなどはスンニ派が主流です。レバノン,イエメン,クウェートは1/3くらいがシーア派がと思います。インドも1/4くらいがシーア派で隣のパキスタンとは宗派が異なります。シーア派とスンニ派は基本的には対立関係にあります。
    ホメイニ師の革命以来,原理主義が国是であるところが最大の特徴です。ホメイニ師の指導したイラン革命以前は親米派のパフラヴィー朝が統治していたので,イラン革命以来,歴史的にアメリカと激しい対立関係にあるわけです。
    現実問題としては,イラク,シリア,アフガニスタンが不安定な状態でイランと戦争するのは,アメリカにとって負担が重すぎるのと,ロシアがイランを支援するのは明白なので,本格的な戦争は無理ではないかと思います。ただ,トランプ氏が結構バカなので何とも。

  • ラ○ール石井などが、桜を見る会の追求中に某芸能人が逮捕されたことに対し「陰謀論」を唱えました。
    アメリカでもウクライナ問題が桜を見る会のような様相を呈しており、本件で吹っ飛んでメディア的には「陰謀論」的な流れでしょう。
    そうではないと信じたいのですが、仮に1万歩譲ってウクライナ問題を覆い被すために米国が戦争を仕掛けているとすると、まずはメディアが襟を正す必要があります。
    つまり、最高権力者は、メディアの下らない揚げ足取りを払しょくするために暴挙にでる可能性があるってことです。
    オールドメディアの方々は国内外問わず、自分たちが間接的に戦争をけしかけている可能性を熟考すべきです。

  • 欧米が中東を理解することはできないと思います。宗教というより、それ以前の文化的に彼らを理解できない気がいたします。根本的なものが大きく違っている。それは、アメリカと開戦した日本の比ではない。

    なぜって、明治維新以降の日本は、欧米列強に準じようと国家建設、教育を進めてきたからです。
    欧米文化の根本を否定する中東とは、そこが異なります。

    なにが言いたいのかというと、ソレイマニ氏殺害の意味が、欧米と中東では異なるということです。
    欧米から見ると彼は敵陣営の軍人に過ぎませんが、中東側からいうと宗教というより文化の象徴ということになります。少なくともイランのハメイニ師サイドはそうしようとしていますね。

    気を付けなくてはならないのは、中東という地域は宗教や文化で繋がっているということです。
    やり方を間違えると、アメリカはイラン一国だけでない中東全体を相手にしなくてはならなくなります。

    さて、Web主様はアメリカがイランの開戦を誘っているとみてらっしゃいます。
    たしかに、中東の同盟国、イスラエルやサウジアラビア?や、アメリカの権益を守るためには、イランという国家を潰す必要がある。イランだけとの戦争だけであるなら、戦争の費用は世界中のユダヤ財閥から出ると思いますし、現時点では賛意を表明していないフランスも自国の権益のためには賛成に回ります。
    だけど、中東全体となるとどうでしょう。

    そして、中国。中東で戦端が開かれ、アメリカの主力がそこに注がれた間隙を突いて、中国は香港を始めとした国内を武力制圧し、台湾侵攻をするでしょうね。中国を中途半端のまま、中東と戦端を開くのは、とても危ういと思います。中国もその戦争に引き込んでしまえばよろしいのですが、頼りの日本はいまだこの体たらくですしね。

    • いつも拝見しております。おばさんの事、大好きですゎ!こぶしが効いてよく勉強してます。

      • 北島四郎様 恥ずかしゅうございます(恥)。

        >こぶしが効いてよく勉強してます。

        アメリカvs中東戦の心配は早速、他の方に論破されてしまいました。でも、なぜか嬉しい。
        でもでも、イランがアメリカの誘いには乗らないとしても、ゲリラ戦に入る心配は払拭できません。
        アメリカの同盟国イスラエルにとって、イランはすぐそばの脅威ですが、同じくアメリカの同盟国、日本にとって、中国対応がお留守になるのは心配ですから。

  • 「山本五十六以来」は余計な言及でしたが、軍の司令官が国外に居る事はかなり異様な事。そして民間人でも無い司令官がマンマと暗殺されてしまうのは実に無様な事。武装闘争に軍が暗躍して他国に内政干渉し、革命の輸出を軍事的にやって居た決定的証拠なので【「偉人が殺害された」でどこまで「軍人が外国に客死」を隠蔽出来るか】でしょうか、その辺りはイラン人の「武人」概念や米イラン双方のプロパガンダ合戦の帰趨かも知れません。
    「偉い人」として偶像化をするにはやはり「軍司令官が何やら海外で工作中」がトゲとして抜けない。嫁と新婚旅行中でもあるまいに。ボリビアで客死したキューバのゲバラを思い出します。ゲバラを殺したのは現地ボリビア軍でしたけれど。キューバはゲバラ殺害で動きませんでした。その点カストロは知恵者でした。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     アメリカのトランプ大統領にとって、自身の再選戦略が全てです。ただ
    し、問題はそれが他の国に見透かされていることです。トランプ大統領が
    対イラン開戦をするかは、その再選戦略次第ですが、他の国の協力を得る
    ためには、再選戦略とは関係ないとの体裁を整える必要があるのではない
    でしょうか。

     駄文にて失礼しました。

  • 米国VS中東、もしくは米国VSイスラムの戦争、といったご心配の声が多いようですが、
    決してそうはならないと思います。
    革命後のイランは完全に異端の国です。宗教的にはシーア派原理主義でスンニ主体の周辺国は敵、
    民族・文化的には、ペルシャ対アラブの構図で、やはりアラブとは敵対的。
    もし開戦になっても、近隣アラブ諸国(サウジクウェートUAEバーレーンオマーンエジプトetc)は全て米側、
    カタールは微妙、イラクシリアは心情的にはイラン側ですが国内がたがたなので大した事はできんでしょう。イランの味方はレバノン(コッズ子分のヒズボラが軍事的に実質支配)くらいか?

    そう言えばだれか逃げ込んだ人がいたような、、

  • 山本五十六と聞いて、当時の日本も似たよう経過をたどり、自滅せざるを得ない状況に追い詰められていったんだなと思いました。今、国内政治的に苦境にあるトランプは、太平洋戦争を始めたF・ルーズヴェルトの顰(ひそみ)に倣った積りなのでしょう。ですから、イランには、当時の日本のように自暴自棄にならず、賢く対応してくれるよう望みたいですね。戦争で利益を得る少数の者以外は、誰も戦争なんて望んではいません。日本にとり米国は同盟国ですし、イランは古くからの友好国です。

    幸い、今回のトランプの決断に対しては、米国内外共に反対が多いようなので、イランが自重し少し時間をおけば、これ以上トランプも無理押しできないでしょう。イラン指導部が大局観を持ち、戦闘モードに入った国民を宥めることができるか否かにかかっていると思います。

    それにしても、今回殺害されたイラン司令官の名「ソレイマニ」は、多分ヘブライ語ではソロモンと呼ばれる名でしょうが、そのソロモンの意味は「平和な人」だそうです。仮に、これを契機に米・イラン間戦争が始まれば、後世、ソレイマニ戦争と呼ばれるかも知れません。何という皮肉でしょうか。

    • 山本五十六戦犯(戦争犯罪者の意味では無く敗戦の責任者と意味)説というのがあります。

      いくつかそういう本も出ています。
      特に戦争中大和ホテルで安穏としていたのに、あっさり暗殺される最期は滑稽としか言い様がないですね。

      • 山本五十六については、日米の実力差を知りながら身を挺して開戦に抵抗する訳でもなく、狂信に取り憑つかれた急進派に押し流され、真珠湾攻撃の先棒を担ぎ、その後は大した活躍もせず、それでいて自分だけ勝手に戦死し惨めな敗戦を見ることもなくと、酷な言い方をすれば無責任男です。なので、彼の死には日本の戦意をくじく以上の意味はなかったと思います。それに対し、ソレイマニは大勢に引きずられるのではなく、引きずる側だったようですから、今後上手く事態が進展すればイランの穏健化につながる可能性はあるでしょう。とはいえ、イランの民衆は彼を殉教者とみなしているようなので、どう転ぶか分かりません。当分、目が離せませんね。

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