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年末の鈴置論考と「2020南北クーデター」への警戒

昨日は、「フライドチキンとイチゴのショートケーキを食べる日本の真冬の奇祭」の日でしたが、この日を過ぎると、わが国では一気に年末年始モードに突入します。ということは、今年1年を振り返るとともに、来年についての展望を考えるうえで、ちょうど良い時期でもあります。当ウェブサイトとしての「展望」は別途近日中に掲載したいと思っているのですが、本稿ではそれに先立ち、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が昨日『デイリー新潮』に寄稿した展望レポートについて、紹介したいと思います。

今年も鈴置論考で勉強しました

鈴置高史氏といえば、日本を代表する優れた韓国観察者です。

思えば今年1月、旧『日経ビジネスオンライン』(現・『日経ビジネス電子版』)に連載されていた大人気連載シリーズ『早読み深読み朝鮮半島』が、唐突に最終回を迎えてしまうという衝撃的な展開で始まりました(『あまりに惜しい鈴置説の「最終回」 鈴置先生に感謝します』参照)。

当初、「まさか、これで鈴置論考が読めなくなってしまうのか?」と心配していたのですが、ただ、非常にうれしいことに、これは杞憂に終わりました。というのも、「鈴置論考」はその後、『デイリー新潮』に連載の場を移したからです。

現在は鈴置氏の最新論考を『鈴置高史 朝鮮半島を読む』のページでまとめて読むことが可能ですし、また、鈴置氏は不定期ながら『デイリー新潮』以外にもいくつかのオピニオン誌に寄稿されているほか、BSフジ『プライムニュース』などのテレビ番組にも出演されています。

私たち日本にとって最も近く、また、最も面倒臭い隣人である朝鮮半島が、今後、混迷の度合いを深めてくると考えられるなか、鈴置論考は今後とも私たち日本人にとっては貴重な指針になってくれるのではないかと思います。

本質は「反日」でなく「反米」

年の瀬の鈴置論考

さて、例年、日本の3大奇祭のひとつである「チキンとケーキを食する奇祭」の日付が終了すると、街は一気に歳末モードに突入しますし、それと同時に、世間も「年末年始モード」に様変わりです。今年1年の動きを振り返るとともに、来年のテーマについての方向性を探るにはちょうど良い時期でもあります。

こうしたなか、昨日はこんな鈴置論考が掲載されました。

2020年の朝鮮半島 「帰らざる橋」を渡り始めた韓国 南北クーデターの可能性に注目(2019年12月25日付 デイリー新潮より)

6000文字を超える長文論考です。

ですが、いつもながら論旨は明快で、客観的証拠も満載された、非常に読みやすい文章です。

おりしも12月24日に中韓首脳会談や日韓首脳会談なども開かれたため、これらに関する記載もあるのですが、タイトルに「2020年の朝鮮半島」とあるとおり、どちらかといえば「来年を展望する記事」という位置付けでしょう。

あえて当ウェブサイトなりに要約すると、「文在寅(ぶん・ざいいん)政権はもうすっかり、『反米政権』としての本性を現した」、というものであり、全体を貫いているのも「離米従中」というテーマでしょう。

共通の敵を失い、離婚寸前

論考の最初に来るのは、『共通の敵を失い、離婚寸前』という一節です。

当ウェブサイトでは今月初め、『「日本は韓国に譲歩するべきである」論の盛大な勘違い』のなかで、文正仁(ぶん・せいじん)大統領補佐官が「中国の核の傘」に言及した、とする話題に触れました。

この「中国の核」について、鈴置論考では、文正仁氏の発言は「文在寅大統領の本音を語っている」という点に加え、以前、ドナルド・J・トランプ米大統領も北朝鮮包囲網で米国に協力する国を列挙した際、韓国を除いたという話題をもって、「米韓は離婚寸前」と評します。

では、なぜ「米韓は離婚寸前」になっているのか。

それは、米国が中国と北朝鮮を敵としているのに対し、韓国は台頭する中国を敵に回したくないし、北朝鮮も文在寅氏にとっては和合の対象だからです。

鈴置氏は、これについて指摘します。

ことに米中の覇権争いが露骨になった2018年以降、中国から『米国と別れろ』と脅されています。米国との同盟は不要どころか『危険物』になったのです。

そういえば、完全に属国扱いでしたね!

この鈴置氏の記述、拙稿で恐縮ですが、『「米国を裏切る韓国」の姿、中韓首脳会談から明らかに』でも触れた、中国政府の韓国に対する扱いが露骨に「属国に対するもの」になってしまっているという話題とも整合しているように感じます。

中国の韓国に対するますます高圧的になる態度は、韓国が国を挙げて「離米従中」を進めている証拠でしょう。

鈴置氏が挙げる証拠は、これだけではありません。

この文正仁氏が「音頭を取る」形で、「米国に対する嫌がらせ作戦」が展開されており、これらはおもに日系人でもあるハリー・ハリス駐韓米大使に向けられているのです。たとえば:

  • 10月18日、ハリス米大使の公邸に左派の学生ら19人が侵入した
  • 12月13日、左派の運動家は糾弾大会を開き、ハリス氏を侮辱するパフォーマンスを行った

といった具合です。

本題は米韓同盟消滅

「米韓同盟消滅」、そう簡単にいきますかね?

ちなみにこの12月13日の集会のスローガンは「ハリスを追放せよ」に「在韓米軍は要らない。出て行け」だったのだそうですが、これは鈴置氏の名著『米韓同盟消滅』の記述と見事に整合する動きです。

ただ、鈴置氏がいう「米韓同盟消滅」には唐突感もあります。それがすんなりと実現するのかと問われると、私たち日本人のあいだには「思わず戸惑ってしまう」という人が多いのではないでしょうか。

実際、こうした戸惑いは、私たち日本人だけでなく、当事者である韓国人のあいだでも発生するはずです。というのも、韓国は朝鮮戦争以来、一貫して米韓同盟により守られてきたからであり、仮に米韓同盟が本当に消滅してしまえば困ると感じている人は多いはずだからです。

このあたり、「文在寅一派」が「米韓同盟消滅」を目的のひとつに置いていることは、どうやら間違いないにせよ、どうやって「親米派」と折り合いを付けるつもりなのか、やや疑問であることは確かです。

こうした疑問に対しては、しかし、鈴置説のなかに、ちゃんとヒントが用意されています。というのも、文正仁氏の「中国の傘」発言を巡って、鈴置氏は、

文正仁氏の「中国の傘」発言には米国に対する当てつけだけでなく、韓国国民に対して「米韓同盟がなくなっても大丈夫だ」と安心させる効果がある

という趣旨の指摘をしているからです。そのうえで、

――「出て行け」と言えば出て行くのですか、米軍は。
鈴置:韓国政府が仕掛けるのは反米集会などの嫌がらせだけではありません。制度的にも米軍撤収の準備を進めています。韓国軍の戦時の作戦統制権を引き渡すよう求め、米国に呑ませ済みです。

として、文在寅氏が任期の終わる2022年5月までに戦時作戦統制権返還を実現させようとしている、と述べているのです。

当たり前ですが、戦時作戦統制権を相手国に渡せば、米国はメイン部隊を引き揚げると考えて良いでしょう。実際、米軍に駐留して欲しがっている国は、ロシアを脅威に感じているポーランドを筆頭に、全世界に存在しているからです

もちろん、在韓米軍が居なくなっても同盟が続く、つまり「駐留なき安保」論を唱える人もいるのですが、米韓同盟には自動介入条項(韓国が他国から攻められたときに自動的に米国が群を送って韓国を守るとする条項)が存在しません。

また、「駐留なき安保」かつ「自動介入条項がない軍事同盟」の場合でも、同盟国が攻め込まれた場合は、他の同盟国の米国に対する信頼を維持するために、米国は自動介入条項がなくても介入することが一般的です。しかし、鈴置氏は

これだけ露骨に韓国が『離米従中』に走った以上、その懸念は薄れます。同盟国は『韓国は不実だったから見捨てられた』と考えるからです。むしろ米国は『裏切り者の末路』を示すことができるのです。

と述べ、仮に在韓米軍が撤収すれば、それによって事実上、米韓同盟が終焉すると示唆しているのです。

保守の政権打倒運動は?

では、米韓同盟消滅を、保守側はただ見守っているだけなのでしょうか。

鈴置氏は、次の各点から、「保守の政権打倒運動が成功する可能性は低い」と見ています。

  • 文在寅政権の任期はまだ2年半も残っている
  • 弾劾して罷免するための原動力となる、国民的な反政府感情の高まりは見られない
  • 大統領と近い法相一家のスキャンダルが発生しても政権支持率に顕著な落ち込みは見られない
  • そもそも保守・中道政党の議席を足しても、弾劾に必要な3分の2の議席に届かない

もちろん、2020年4月の総選挙で保守政党がどこまで躍進するかという問題もありますが、鈴置氏はこれについても、「比例代表議員の比率を増やした選挙制度改革」が成功すれば、与党の左派政党「共に民主党」にとっては有利に働くと見ています。

そうなると、残るはクーデターです。

この点、「今の韓国の軍部にクーデターを敢行する根性はない」というのは、鈴置氏が以前から繰り返している説明とも整合しますが、改めてこれに関する鈴置氏の説明を読むと、次のとおりです。

  • 韓国では過去に2回、軍事クーデターが成功しているが、いずれも独裁政権が倒れた直後であり、北朝鮮に対する懸念から国民が不安になったときだったが、当時と比べ、今は北朝鮮に対する敵愾心と警戒心が極度に薄れている
  • たとえ軍事力を行使するクーデターといっても、「軍人の根性」に加え、名分と共感が必要である

もっとも、鈴置氏は「世の中に『絶対はない』」という当たり前の事実を持ち出したうえで、文在寅氏に近い前法相の曺国(そう・こく)氏に検察の捜査の手が伸びている点に着目し、

『検察だけが左派と闘っている』以上は『軍も立つ』可能性を完全には否定できない

と述べているのです。

北朝鮮情勢:追いつめられる金正恩?

さて、少し飛びますが、今回の鈴置論考では、北朝鮮情勢についても次のような記載があります。

鈴置:金正恩(キム・ジョンウン)委員長の焦りが目立ちます。米国が主導してきた経済制裁の2019年末までの解除を求め、ミサイルは撃ちまくるは口頭では脅すは、挑発の度を高めています。

いわゆる「瀬戸際外交」ですね。

では、なぜ金正恩(きん・しょうおん)が挑発を強めているのでしょうか。

当ウェブサイトでも『「米国を裏切る韓国」の姿、中韓首脳会談から明らかに』などでたびたび報告しているとおり、12月22日で出稼ぎ労働者の送還期日が到来してしまい、本当にこれらの労働者全員が送還されれば、年間5億ドルと推計される外貨収入が途絶えてしまうからです。

どんな「悪の組織」にもいえることですが、資金源を断たれれば、その組織は干上がるしかありません。

さらに、金正恩が現在行っているミサイル発射などの明らかな瀬戸際外交は、おそらく日米両国などからは、北朝鮮が苦しい証拠だと見透かされているのではないでしょうか。

――だから必死でミサイルを撃つなど挑発している……。
鈴置:でも、それは逆効果です。北朝鮮が逆上するほどに、米国や日本は『制裁の効果はあがっている。これを続けて行けば北朝鮮は音を上げるぞ』と考えるからです。

では、なぜ北朝鮮は瀬戸際外交をやめないのか。

鈴置:体制崩壊への恐れから、冷静な判断ができなくなっているのだと思います。制裁が続けば外貨準備が枯渇する。すると食糧を輸入できなくなり政権への批判が高まる――との恐怖です。

案外、このあたりが北朝鮮の行動の真相なのかもしれませんね。

(※以上の議論が、論考のタイトルにもある「南北クーデター」のことでしょう。)

距離を置くのが鉄則

さて、以上までで鈴置氏の論考の前半と末尾を紹介したのですが、これ以外の部分についても読みごたえは十分ですので、続きは是非、直接、鈴置氏の記事でご確認いただきたいと思います。

それよりも、今回の鈴置論考を読んで、やはり嫌な気持ちになりました。

というのも、韓国では左派政権が「反日」ではなく「反米」としての本質を表しつつあることに加え、朝鮮半島国家が常に国内の争いに外国勢力を巻き込むという歴史を思い出してしまったからです。

もしその意味で、このまま左派がすんなりと韓国の「中華属国化」ないしは「北朝鮮への赤化統一」を達成すれば、それはそれで、ケースによっては「核武装した経済大国である統一朝鮮」の出現を懸念しなければなりません。

また、もし韓国国内の保守派が左派に対し、なすすべもなく敗北していきそうになった場合には、韓国の保守派が軍部と結託して軍事クーデターを起こすかもしれませんし、外国勢力(とくに日本)に擦り寄ってくるかもしれません。

つまり、韓国の左傾化・赤化が完了すれば日本にとっては軍事的な脅威、韓国国内で左派と右派の争いが発生すれば、例の「朝鮮半島の混乱に巻き込まれる周辺国」という嫌な歴史の繰り返し、というわけです。

さらに、米国がマレーシアで殺害された金正男(きん・しょうだん)の長男である金漢率(きん・かんそつ、あるいはKim Hansol)氏を匿っているといううわさも聞きます。金正男の息子ということは、金日成(きん・にっせい)の曾孫、金正日(きん・しょうじつ)の孫、ということでもあります。

ということは、金漢率氏が金正恩の後釜として金氏朝鮮の国王(?)に即位したとしても、事実上の世襲王朝国家「金氏朝鮮」である北朝鮮にとって、金正恩を排除したとしても、「国体」(?)は護持されるわけです。

仮に金漢率氏が米国の保護下で米国流の民主主義を叩きこまれているのだとしたら、米国は北朝鮮を自分の思い通りの国に作り替え、その資金を日本に出させる、ということくらいはやりかねません。

というよりも、朝鮮半島秩序再編に際しては、「表向きは統一費用を韓国に負担させるという形にしつつ、韓国を経済的に焦土化することを裏の目的として、米国主導でやや強引に南北朝鮮の統一を行う」という離れ業を米国が仕掛けるかもしれません。

もっとも、もしトランプ氏がそこまで考えているのだとしたら、「悪いことは言わない、下手に朝鮮半島情勢に関わるのはおよしなさい」と言いたい気持ちでいっぱいですが…。

新宿会計士:

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  • 以下は私の想像で,裏付けとなる根拠はないのでSFだと思ってお読み下さい。
    過去,いろいろな国で,軍が国の実権を持っている時代には,軍にエリートが集まっていました。単に武器を持っているだけでは国政は担えず,エリート官僚を抱えていないといけないのです。北朝鮮軍にも多くの頭脳エリートが集まっているはずです。でも,どの部門で働いているのでしょうか。1つの可能性として,核開発部門とか,ミサイル開発部門などにエリートが集中していて,配分される予算のおこぼれを着服して生活している可能瀬があります。もしかすると,この部門が空軍・力軍・海軍の他の部門より強い権限を持っているかもしれません。そうだとすると,いくら,非核化したほうが北朝鮮の経済発展のためによい,と分かっていでも,利権の関係で非核化はできないわけです。そこで働いているエリート達に,もっと待遇のよい魅力的な仕事を提供できればよいかもしれませんが。
    昔,旧ソ連邦が崩壊したとき,優秀な科学者達は,海外の大学や研究所に職を得ていました。ただ,北朝鮮の研究レベルだと,それはちょっと難しいかも。韓国も科学研究では,まだまだですし。ただし,中国の科学研究の水準は既に日本を超えていますので,日本が中国に飲み込まれる危険性は常にあります。

  • 鈴置論考に現実が追いつくには、もう少し時間がかかるようですね。
    私は、韓国から米軍が、完全撤退する事は考えにくいという立場です。朝鮮半島は、南北共に不安定な状態が進行すると思いますが、どうなるかは読めません。
    私は、北朝鮮の平和的な非核化は有り得ないと思いますので、空爆支持です。

  • 更新お疲れ様です。
    いよいよ朝鮮情勢がきな臭くなってきましたね。行橋市市議会議員の小坪氏が兼ねてからおっしゃっていたように、シーレーンの強制変更が起きる可能性があります。
    韓国は役に立ってるか良く分からないブルーチームの防波堤でしたが、無くなったら無くなったで、日本の弱点である部分(原発銀座)が最前線になります。
    現在、国内の反対派の猛反発で憲法9条初め、防衛に関する法整備が遅れに遅れています。本来であれば超党派を組んで法整備に当たるべきなのに、このままで日本は大丈夫なのか、危惧しております。
    海外では憲法は時代に合わせて改正していくのが常識なのに、日本はGHQ(左翼論者の敵)から押し付けられた憲法を変えてはいけない!という謎の圧力があり、改正議論が遅々として進みません。
    一般の人たちも「憲法は変えちゃいけないんだよな」が半ば常識のような発想になっており、末恐ろしいです。
    それこそ、近隣国のスパイ工作が実っている証なのかもしれません。

  • 韓国が強い意志をもって「離米従中」を進めている
    とは思えないのですが。「そうなったらいいな」
    程度なんじゃないですか?

    日韓GSOMIA破棄も現金化も先延ばしだし、
    米韓同盟もそのまま、ケソン再開もTHAAD撤去も
    できていない。結局口先だけで、脅されれば
    ヘタレるという実績を積み重ねてきたという感じ。

    今、仮に日米中朝が韓国について話す機会があれば、
    「口先だけの信用できない奴」という認識で一致
    するのではないかと思います。

  • 更新ありがとうございます。

    昨日も少し触れましたが、鈴置氏の論考は恐るべきものです。韓国は反日ではなく反米、離婚したのではなく、米国に捨てられた(笑)。なかなかの観察です。

    しかしあれだけ日米に助けてもらい、大国の一角一番端っこに入れてもらいながら、属国になりますかね?私はその辺の韓国人の考えがよく理解できません。

    またクーデターの件は、特に北は無理、と思ってました。よほど腹の座った将官、軍閥がいるならともかく、見た感じ誰もいなさそう。

    しかし、外貨が枯渇するなら話は別です。十分な食糧、豪奢な特権無ければ米国CIAかなんかの、「囁き」に首肯する軍人は居るでしょう。それが隷下の部隊、1万人もいれば金正恩の断首は可能です。

    韓国の文も前後して殺られたら、日本も眺めているだけではすまない。大火が来ますね。さ、憲法改正、軍備を強化と。

  • 南北朝鮮とも、過去の成功(?)体験に頼る余り、方向転換ができないように思います。
    北はもちろん核廃棄詐欺で時間を稼げた経験から、夢ひとたびということで瀬戸際外交を繰り広げているのでしょう。南は今まで横車が通っていたことを今後も続くことを前提として考えているように見えます。

    双方に共通の失敗点は、同じ手口はそうそう何度も通用しないということを予測できていないところでしょう。一般民衆だって学習するのです。いかに相手国の政治家を懐柔したとしても、民衆に担がれた民主政権はその学習に逆らうことを続けられません。民主主義不在あるいは未熟な南北朝鮮にはその辺りが実感として理解できないのかもしれません。

    北は非人道的で共存不可能ですが、方向性は理解できます。瀬戸際外交を繰り返すにしても、脅迫のグレードを上げなくては効果がないことに気付いていて、核の小型化とミサイル開発というハイリスクハイリターンな賭けに出ています。もちろんこれを座視することは出来ず、国として潰さなくてはなりませんが、理性的な悪人の行動として頷けるものがあります。

    南は、今まで日米が苦々しくもそのわがままを大目にみてきたことを、自国の高い価値故であるとする誤解が、道を違えた出発点になっていると思います。日米の寛大さは韓国の地政学的存在価値によるものでしかなく、その価値も北の弾道弾の遠距離化によってもはや意味が無くなっていることに気付かず、「民族の核」だとか密かに悦んでいるところなど、状況が見えないにもほどがあります。北のように交渉ネタをグレードアップさせることもなく、単純に座り込んで成果が落ちてくるのを待つその態度は、周辺国の軽侮を買うだけです。日米が韓国を見捨てることはない(ただし韓国は見捨てることができる)と漫然と考えるその怠慢が、国を滅ぼすことになりかねません。非理性的な愚者の行動と言わざるを得ません。

    新宿会計士様はトランプ大統領が南北朝鮮に介入することを考慮されていますが、私は米のプレゼンスが縮小することは、日本にとって良いことではないと考えます。(韓国にとっては「良いことではない」でなく国難と言えるでしょうが)米国が火中の栗を拾ってくれるのなら、非常にありがたいことです。

    米議会は駐韓米軍撤退を良しとはしないとは思うのですが、米国有権者がこの極東の泥仕合にうんざりして、「あとは日本にまかせて引き上げようぜ」という方向に進みそうな懸念が頭から離れません。

  • まず、typo

    >韓国が他国から攻められたときに自動的に米国が群を送って韓国を守るとする条項

    軍の誤変換ですね。まあswarmみたいな感じなのは確かですがw

    緻密な計画による「軍のクーデター」は無くても、個人的な感情による暗殺は起こりうるでしょう。
    なにしろ国民的な感情で大統領を弾劾してしまうお国柄ですから。
    実際に殺されたり、家族が殺られた事件など枚挙に暇がありません。
    トランプ・金正恩会談の時に、文大統領が米国のSPに物理的に掣肘されるシーンがGIFにまでなって暴露されていましたが、他国のSPに体を触れられるなど、韓国の警護はどうなっているのかとw

    それに暗殺者やテロリストを英雄視する民族性もあります。

  • 対北軍事面が主題の論考なので触れてないだけかもしれませんが
    日韓間のレジスト輸出許可など歯牙にもかけぬ感じですかね鈴置氏。
    少なくともこの記事内容に影響があるほどのことではない、また主題にするには優先度が劣る、と。

  • クーデター勢力が親米で国を憂いてのものとは限らないと思います。
    もっとくだらない。個人や小集団の恨みによるクーデターで、結果更に反米、親北のしょうもない政権が出来上がるような気がします。

  • こんにちは。

    >ケースによっては「核武装した経済大国である統一朝鮮」の出現を懸念しなければなりません

    こちらの会計士さんのお言葉、その通りだと思いますし、警戒もすべきだとも思います。
    ただ、彼の国の歴史を俯瞰するに、李朝ももちろん、古代より一貫して凄惨な内ゲバ体質が深く浸透している国柄です。
    現代でも、南半分だけでも内ゲバテイストが徐々に濃厚になりつつあり、これが統一などとなれば、南北だけに収まらず、四分五裂してもおかしくないんじゃないでしょうか。
    楽観論と思われるかもしれませんが、半島史を真摯に読むと、実に下らぬことで一族皆殺しの内ゲバを年中やっており、あの直情的な民族性を考えるに、そっちの可能性も大きいのではないかなと。
    内ゲバが加速するよう、我が国が手出しをすることは禁物ですし、そういった目的・技量・組織も現在ないでしょうけど、内ゲバ(内戦)激化となった場合も、過度に同情せず、避難民対策を厳しくやってほしいものです。

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