昨日から本日にかけて、わが国を含め、さまざまな国の領空が侵犯されたようです。そう、赤い軍服を着てひげを生やした「あの男」に!―――というのはどうでも良い話として、本稿では「バレンタインの日」(Barentain-no-hi)、「ホワイトデー」(Howaito-Deh)に並ぶ、「日本三大奇祭」の最後を飾る、12月24日ないし25日の「イチゴのショートケーキ+チキン」という謎のコンボについて、少々考察を加えておきたいと思います。
ついに、米軍が動いた!
本日は、いくつか深刻な話題を紹介したいと思います。
まずは本日最大の話題です。
Tracking Santa
The North American Aerospace Defense Command is responsible for tracking every flight over the U.S. and Canada. They’re so serious about their job that not even Santa gets a free pass when he delivers his gifts on Christmas. Find out how do they accomplish this amazing feat.
―――2018/12/25付 US air forceより
記事は昨年の米国空軍の公式ウェブサイトです。
アメリカ合衆国とカナダの上空のすべてのフライト追跡に責任を持つ北米空域防衛司令部(NORAD)が、サンタクロース氏の領空侵入に対して警戒態勢を敷いているとする記事です。
じつは、NORADがサンタクロース氏の飛行を追跡するのは毎年の伝統行事であり、サンタトラッキング専門のウェブサイトも開設されているのですが、唯一の欠陥は、ちょっとウェブサイトが重たすぎることです。
チキンの謎
…という話は、わりとどうでも良いとして、もうひとつ、深刻な話題を紹介しておきたいと思います。
例年12月25日(またはその前日である12月24日)に、日本ではチキンを食するという謎の奇祭があります。
調べていくと、これはどうも某世界的な巨大フライドチキンチェーン店が1970年代に日本に進出した際、大々的にテレビCMなどで宣伝したことを受けて根付いた習慣である、というのが定説になっているようです。
そういえば、『チョコレートが食べたい?この奇祭をどうやって乗り切るのか』でも速報したとおり、「女性が男性にチョコレートなどの特定贈答物(英語で “Obligation Chocolate” もしくは “Giri-Choko” )を進呈する奇祭」を日本語で「バレンタインの日」、英語で “Barentain-no-hi” と称します。
また、その返礼として、男性が女性に対して、2月14日に受領した特定贈答物に対し、市価で3倍の贈答物を送る日本発祥の奇祭のことを「ホワイトデー」、英語で “Howaito-Deh” と呼ぶことが一般的とされています。
じつは、12月24日ないし25日にチキンを食するという奇祭は、この「バレンタインの日」「ホワイトデー」と並んで、ほぼわが国独自の習慣らしく、だいたい1970年代に定着したという共通点があるため、当ウェブサイトではこれを「日本の3大奇祭」と呼ぶことにしています。
※なお、本当かどうかは知りませんが、英語で “white” には形容詞の「白い」以外にも、名詞で「白人」の意味がある、という話を、英語圏に詳しい人から聞いたことがあります。間違っても「ホワイツ・デイ」 “White’s day” などと称したりしないほうが安全でしょう。
イチゴのショートケーキ
さて、12月24日ないし25日の奇祭として、忘れてはならないのは、「イチゴのショートケーキ」を食す、という習慣です。この日のために、全国で飼育されているイチゴが屠られ、また、野生のイチゴも猟師によって狩り尽くされるため、一時的に日本からイチゴが姿を消す日としても有名です(ウソです)。
たしかに、一面の雪景色を思わせる純白の記事に赤いイチゴが映えるショートケーキは、ちょうどこの季節のイメージにピッタリであり、チキンやシャンメリーとともに、日本人には人気がある商品であることは間違いないでしょう。
【参考】イチゴのケーキ
(【出所】韓国大統領府HP)
ただ、考えてみれば、これも変な習慣ですね。
というのも、イチゴはもともと春先から夏場にかけての作物であり、冬に収穫されるようになったのは、ハウス栽培が一般化した1960~70年代ごろのことと考えられます(このあたりは国会図書館の『レファレンス協同データベース』などにそれらしき記載があります)。
ということは、12月24日ないし25日に、イチゴのショートケーキを食する習慣が根付いたのも、おそらくは先ほどと同様、1960年代ないし70年代以降ではないかとの仮説が浮かぶのですが、これについてもまだ検証作業が終了していないのが心苦しいところです。
クリスマスって何者ですか?
ちなみにクリスマスの起源には諸説あるようですが、「キリスト教とはまったく何の関係もない」、ということについてはどうやら間違いないようです。
といっても、これは某キリスト教系大学の教授の受け売りなのですが、
- もともと、西欧文明はキリスト教とゲルマンとローマの混成物である
- クリスマスはゲルマン民族の冬至の祝いである
- クリスマスツリーの起源はゲルマン神話の主神・オーディンを祀る樫の木である
ということなのだそうです。
この説明が本当なのかどうかはわかりませんが、あくまでも個人的な体験を申し上げると、著者はユーロ圏が発足する前の1990年代のクリスマス期にギリシャを旅した際、ギリシャではクリスマスを祝う習慣がまったくなかったことが、強く印象に残っています。
というのも、ギリシャで信仰されている宗教は、キリスト教のなかでもゲルマン的な要素が入っていないとされる「東方正教会」だからです(もっとも、最近だと西欧などの影響を受けて、ギリシャにもクリスマスの習慣が根付きつつあるようですが…)。
ですので、キリスト教国でもないわが国で、一見するとキリスト教と関係がありそうでまったく無関係な「チキンとケーキの日」に変換したうえでこれを祝うというのは、べつになにもおかしな話ではありません。
ちょうど、聖人ウァレンティヌスの祝祭(英:St. Valentine’s day、仏Le jour de la Saint-Valentin)と偶然同じ2月14日を、ウァレンティヌスとは無関係にチョコレートの奇祭「Barentain-no-hi」に換骨奪胎するようなものでしょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ちなみに、12月26日はボクシング・デイ(Boxing Day)とされ、英語圏の諸国(英国、オーストラリア、香港など)では、クリスマスの日に働かなければならない人たちのための休暇、と位置付けられているそうです(12月26日が日曜日の場合は翌・27日)。
「ボクシング・デイ」といっても、スポーツのボクシングとは無関係であり、一説によると貧しい人のために寄付を募った箱(Box)を開ける日、という意味だとも聞きます。
ただし、個人的には、12月26日といえば、12月24日から25日にかけて大々的に販売され、売れ残ったケーキだの、チキンだのといった商品を、比較的お手頃に手に入れられる日と認識している次第です。
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金正恩のクリスマスプレゼントは、無かったようです。
サンタコスは、似合いそうだったのに。
キリスト教が関連する話題は山のようにあるのですが,このサイトの過去の記事を関連が深そうなものの項目だけ列挙します。
1. 韓国のキリスト教の特殊性と,政治との関係(これだけで,かなりの長さになるので調べてきて下さい)。
2. アメリカにおけるキリスト教を基礎とした人権意識の高さ。ウイグルでの人権侵害でアメリカ人が激怒しても,日本人は何も感じない理由の根底がここにあります。それが,対北朝鮮でも適用されることに注意しましょう。
3. ヨーロッパにおけるイスラムの拡大と政治の変化。
4. 中東問題
5. ヨーロッパ各国のキリスト教の現状の相違と,それが起因する国民感情の微妙な関係。
6. カトリックへの中南米やアフリカの圧力の拡大。
キリスト教国,イスラム教国から見ると日本は謎の国に見えるようで,彼(彼女)らの視点から日本を観察すると面白いですよ。欧米で,日本のクリスマスを奇異そうに紹介しているニュースとか。日本の常識,世界の非常識,とよく教わりました。
P.S. 北朝鮮はアメリカの脅しが効いたのか,それほどのクリスマスプレゼントはなさそうで,少し大人しくなっているように見えます。
追伸です。上の記事,ミスタイプが多くすいません。想像して読んで下さい。
7. 日本のキリスト教の特徴。
韓国のキリスト教の特徴はネットで検索してもらうと記事も多く,いろいろなことがわかると思います。でも,日本のキリスト教の解説は,現在が関係するためか,あまり明快な解説が見つかりません。以下,私見がかなり入っていますので,差し引いてお読み下さい。
江戸時代以前のキリスト教は現在にほとんど影響を与えていないので割愛します。明治時代のキリスト教は「上からのキリスト教」でした。つまり,海外留学組とか,欧米の援助でてきたミッション系大学の卒業生などからキリスト教が広まり,信者もアッパーミドル以上の階層が主流で,庶民にはあまり広まりませんでした。第2次世界大戦直前でも,庶民の信徒は少ない反面,政府や軍の中枢部には結構多くの信徒がいて,大戦中もキリスト教が禁止されることはありませんでした。ドラマの「鬼畜米英」とか叫んでる姿を想像してはいけません。ただ,当時の文部省は,宗教令で,キリスト教の宗派をカトリックと,プロテスタント1派だけに統合して,戦争遂行に協力させる政策を取りました。戦前までは多くの宗派がありましたが,それを支えていた外国人ミッシュン達は帰国してしまったため,この統合は意外とすんなり進みました。このプロテスタントが日本基督教団です。おかげで,いろんな宗派の教義が混在していますが。
戦後,福音派の諸教会はすぐに日本基督教団から分離しました(そのため,残った日本基督教団はリベラル系とみなされています)。戦後は大衆の教徒も増えましたが,戦前からの影響は強く残っているように見えます(はっきり言うと,お金持ちの信徒が多い)。
他方,韓国のキリスト教は,戦後,独立機運とともに成長し,貧しい民衆を中心に信徒を集め,プロテスタンとだと福音派が主流です。独立運動が反日と結合したため,反日がキリスト教の教義に中に取り込まれているようにも見えます。あと,韓国の土着の慣習も,多く,キリスト教に中に取り込まれています。統一教会(世界平和統一家庭連合)なんかは,国際的にはキリスト教と呼んでいいかどうか微妙です。
難しいことはおいといて、イチゴショートは何故かワクワクするのです♪
チョコがたっぷりのブッシュドノエルやブルーベリーソースかけたレアチーズも良いのです♪
七味さま
イチゴだけのミルフィーユも、年寄りには、食べ易くて良いです。
まあ、記念日作って特定のものを食べるのは日本の奇習ではありますが、土用の丑の日などにも見られる日本の伝統であるとも言えますね。平賀源内が発明したなんて説もあるくらい。
問題としては食品の大量投棄が生じることですかね。
私はまあ面白い風習だなと思って適当に楽しんでます。
>平賀源内が発明したなんて
丑の日には頭に「う」の付くものを食べるという風習は昔からあったようです。
尤も鰻と梅干を一緒に食べてはいけませんが・・・
最近米国ではmerry chlistmasと言わずにhqppy hoiday と言おうなんてことになっています。
多様化社会の影響でキリスト教徒以外も増えているから、それらの人々の宗教に忖度して、と言う事らしいです。
これは日本人の感覚としてはちょっと素直に受け入れない=忖度し過ぎな気がします。
案の定(大統領を始めとした)キリスト教徒からは、merry chlistmasと言って何が悪いという反撃が出ています。決してお互いの宗教を「認め合おう」という方向には行かないでしょう。
キリスト教徒以外もmerry chlistmasをきっかけに、キリスト教への理解が進むと言う面があると思いますし、ムスリムの人たちのラマダンなんてものもムスリム以外が体験してみても良いと思います。
イスラム教についてはラマダン以外で思いつきませんでした(汗)
無視するよりも、「良く判らんが、俺達にも祝わせてくれ」くらいのファジーな感覚で許容し合う方が理解が進むと思うのですがね。
そうでないとキリスト教徒以外にはサンタクロースが来ないことになってしまいます。
ラマダンは、夜にドカ食いするので太るという話を聞いたときは、断食の意味ねえじゃんと思いましたw
Happy holidays!
バンコクに1人で居ると、Xmasも忘れてしまいます。
私の日々の行動範囲にはイチゴのショートケーキは有りません。
今日の朝食はチキンの唐揚げにチャレンジです…
タナカ珈琲さま
バンコクでクリスマスの習慣は、有るんでしょうか。
クリスマスツリーはアパートの一階に飾って、
プレゼントの品物?が大小合わせて30個程置いて有ります。
誰が持って帰るんでしょうね。
日本と同じで宗教は横に置いて、クリスマスだけを愉しんでいると、想像します。
来年はタイのお嬢さん達と食事会の予定があるので聞いてみます。
昨晩の夕食は卵焼きご飯屋さんの( 名前はあるんでしょうが、私は知りません)
40才ぐらいのお嬢さんは赤い帽子を被って居ました。Xmasは意識するんでしょうネェ。
日式の飲み屋さんは、昨年はメリークリスマスと盛大にやってますね。
今年は大人しく室内でクリスマスソング、ナットキングコール&モーツァルトの夜の女王等を
深夜まで聞いて居ました。チキンが無かったのが気掛かりです…
近所には大きなキリスト教の病院が有ります。
タナカ珈琲さま
間違いなく、タイ観光局の回し者ですね(笑)。
奇祭と言えば
変装して身元を隠した人がゴミを撒き散らす
渋谷ハロウィン騒動なんてのもありますね
今の日本では この奇祭ハロウィンの方が動くお金が多いそうです。
いつもとは打って変わって、完全に非モテ層のブログですね!
元々、特定の食べ物を特定の日に食する文化は、数多く日本ではありますからね
お正月の餅、1月の七草粥、3月の雛あられ、5月の柏餅、9月の月見団子、12月冬至の南瓜…。
そしてそれらの起源は日本古来、中国伝来、神道、道教、仏教とゴチャゴチャです。
これらの下地が有ったからこそ三大奇祭(W)も動機、宗教性等に関係なく、話に乗る事が出来る。
これが日本らしさと思います。
しかし無条件に受け入れているわけではないという点が更に日本らしい点で、たとえば朝鮮の犬を食う習慣は頑として受け入れていません。いわば受入検査付きといったところでしょうか。
これら島国根性と笑いたい人はほっといて、自分に心地良い習慣で且つ公共に迷惑をかけない習慣であればこれからも、受入検査付きで受け入れる事が日本らしさを維持する事だと思います。
良いと思えば受け入れる。
だからキリスト教禁教で西洋書籍が制限される江戸時代に
オランダ語が分からない人々により解剖書が訳される。
医学を学ぶ塾で医学者、言語学者、教育者、軍事技術者が
学んで時代を変えていく。
そしてアジア圏では唯一母国語で殆どの学問を教育できる
環境が出現した。
僕は、日本の「ええかげんな所」好きです。
日本の医学は、大阪系(適塾)と江戸系(順天堂)と
東京系(帝国大学+海軍系イギリス医学)
に分かれているものの、皆翻訳で教育してますから。