X

輸出管理の本質は「政策対話から3年半逃げる韓国」

韓国側がまたしてもインチキ外交を日本に対して仕掛けて来ています。先ほどの『韓国国会議長による自称元徴用工問題「解決」策が判明』で予告しましたが、本稿ではおもに日本の韓国に対する輸出管理体制適正化措置に焦点を当て、韓国側がいかにウソをついているか、問題の本質は何なのかについて探っていきます。というよりも、答えをいってしまえば、梶山経産相が指摘するとおり、「日韓間で必要な政策対話が3年半」開かれていないという事実がすべてを物語っているのだと思います。

輸出管理適正化と日韓GSOMIA

先ほどの『韓国国会議長による自称元徴用工問題「解決」策が判明』に続き、もうひとつ、「破綻の危機に瀕している日韓関係」から話題を紹介します。

いつも報告しているとおり、現在の日韓関係は破綻の危機に瀕しており、昨年秋口以降に限定しても、じつに多くの懸案が「韓国側から」もたらされています。

日韓間の主な懸案のうち、昨年秋口以降に発生したもの
  • ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)
  • ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日)
  • ③レーダー照射事件(昨年12月20日)
  • ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)
  • ⑤日本による韓国向けの輸出管理適正化措置(7月1日発表)
  • ⑥慰安婦財団解散問題(7月頃)
  • ⑦日韓請求権協定無視(7月19日)
  • ⑧日韓GSOMIA破棄決定(8月22日)
  • ⑨対日WTO提訴(9月11日)

このうち⑤の日本による対韓輸出管理適正化措置については、『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』でも報告したとおり、もともとは韓国の輸出管理体制が甘く、日本側が韓国の輸出管理について信頼できなくなって始めたものです。

その意味で、もし日本がこの対韓輸出管理適正化措置を「撤回する」としたら、そのための条件は、韓国側の輸出管理体制が「信頼できるものだ」と日本政府が判断できる状況になる、ということです。

それなのに、韓国側はこの措置を撤回させるためでしょうか、8月22日に『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(いわゆる「日韓GSOMIA」)の破棄を決定し、9月11日には、日本のこの措置を巡ってWTOに提訴すると発表したのです。

これなど、まさに「瀬戸際外交」の典型例でしょう。

(※もっとも、『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』で説明したとおり、このうちの日韓GSOMIA破棄決定には、「①日本に輸出管理適正化措置を撤回させるため」だけではなく、「②南北統一の障害となる米韓同盟をなくすため」という狙いも含まれているのかもしれませんが…。)

日韓GSOMIA延期が輸出管理につながる?まさか!

こうしたなか、韓国政府が日韓GSOMIAの破棄を事実上撤回したことを受け、韓国国内では「日本が輸出『規制』(※)を撤廃するに違いない」といった観測も流れているようです(※輸出「規制」とは輸出管理適正化措置の誤記のこと)。

これに関連し、今朝の韓国メディア『中央日報』(日本語版)に出ていたのが、こんな記事です。

韓経:日本「韓国、ホワイト国復帰に数年かかる」…青瓦台「長くは待てない」警告(2019.11.27 08:34付 中央日報日本語版より)

中央日報によると、韓国大統領府が22日の「日韓GSOMIA終了猶予決定」に際し、「輸出規制が長期間続くのは許容できない」と述べた、としつつ、これにあわせて26日に毎日新聞が報じた「(韓国の)ホワイト国復帰まで数年かかる見通し」との情報を紹介するものです。

中央日報はこれについて、いわば、日本政府が日韓「GSOMIAと輸出規制を結びつけないという立場を再確認したものだ」、と評したうえで、毎日新聞の報道を引用する形で、韓国が輸出管理上の(旧)ホワイト国に復帰する条件として

▼二国間政策対話が開かれていないなど、信頼性が損なわれていること、▼通常兵器に関する輸出管理の不備、▼輸出審査体制、人員の脆弱さ

の3点を改善する必要がある、としています。

「謝罪騒動」

そのうえで、中央日報の記事では、在韓日本大使館の政務公使の「謝罪」騒動にも話が及びます。これは、

22日の夜、在韓日本大使館の政務公使が韓国外交部に呼ばれ、日本の経産省の発表内容について講義を受けると、外務省次官の代わりに謝罪の意を伝えた

とする内容で、複数の韓国政府関係者はこの「政務公使の謝罪」を根拠に、

日本政府が合意内容を後で変えた

などと批判している、とするものです。

ちなみにこの「謝罪騒動」については、月曜日の時点でわが国の菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官が「謝罪した事実はない」と否定しています(『菅官房長官、「政府として韓国に謝罪した事実はない」』参照)。

しかし、韓国政府側はどうしても「日本が謝罪した」ことにしたいらしく、中央日報にはこんな記事も出ています。

「『GSOMIA発表』直後に日本、『無理なブリーフィング申し訳ない』大使館通じ謝罪」(2019.11.27 08:26付 中央日報日本語版より)

この記事でも、日本政府が日韓GSOMIAの「条件付き終了延期決定と関連した両国の合意内容を歪曲して発表した」などと決めつけたうえで、「在韓日本大使館を通じ謝罪の意を伝えていた」などと述べているものです。

韓国政府としては、どうしても「日本が歪曲した」「日本が謝罪した」ことにしたいようだ、ということは間違いなさそうですね。

このうち、「日本が謝罪した」の部分については、もしかすると「言葉のあや」として、そのように受け止められかねない発言があったのかもしれません。というのも、日本語ではお礼をいうときに、「お手数をおかけして申し訳ございません」などの表現があるからです。

ただ、前後の文脈を踏まえれば、日本側が「ウソをついたことを謝罪した」というのが事実かどうかが重要なポイントですし、なにより、普段からウソばかりついている国に「日本が歪曲した」と言われても、それを信頼しろという方が無理ではないでしょうか。

いつのまにか話をすり替える韓国

さて、昨日は韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に、こんな記事も掲載されています。

日本の対韓輸出規制 「撤回される方向で協議」=韓国外交部(2019.11.26 16:57付 聯合ニュース日本語版より)

これは、韓国外交部の報道官が26日の定例会見で、

  • (日本との輸出管理に関する協議について)双方が真摯に臨まなければならない
  • 関連規制が撤回され、元に戻ることを期待しており、そのような方向で協議が行われることを期待する

と述べた、というものです。

いつのまにか、「輸出管理に関する日韓対話」が「日本の輸出規制撤廃」に話がすり替わっているあたり、さすが「ウソツキ国家」の真骨頂、といったところでしょうか。

では、これについて日本政府はどういう見解なのでしょうか。

これについては昨日、経産省のウェブサイトに梶山弘志経産相の会見が掲載されています。

梶山経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(2019年11月26日(金曜日)10時5分~10時12分)(抄)

Q: 今の点の確認ですが、では日本側が続けている輸出規制の強化について、これの見直しが議題に上るかどうかという点についても、まだ未定という御趣旨でいいですか。

A: 政策対話というのは、以前からずっと続けていたものでありますが、この3年半開かれていないという事実がございます。

政策対話というのは、お互いの輸出体制の確認であるとか、そういうことだと思っておりますので、そういうものが開かれるように課長級で準備会合を開くということであります。

―――2019/11/26付 経産省HPより

※細かい話ですが、「2019年11月26日()」とあるのは、「2019年11月26日()」の間違いでしょう(どうでも良い話ですが…)。

さて、この質問した記者が輸出管理適正化措置を誤って「輸出規制」と連発している点については、「ものごとを正しく報じない」という日本のメディアの問題点を象徴しているようにも思えてなりません(いったいどこの社の記者なのでしょうか?)。

それよりも重要なのは、梶山経産相が「お互いの輸出管理体制を確認するなどの輸出管理に関する政策対話が3年半開かれていない」と述べた、という事実です。

韓国メディアがしきりに報じている「協議」とは、「日本が輸出規制を撤廃するための協議」という意味ではなく、正しくは「日韓が相互に輸出管理体制を確認するために必要な政策対話」のことだと考えるべきです。つまり、韓国政府や韓国メディアの発表内容は、まったく意味が異なるのです。

韓国のインチキ外交は健在!

さて、韓国政府がウソツキ外交を好むことは、当ウェブサイトでもこれまで何度も指摘して来たことです。

もう少し正確に言えば、韓国(や北朝鮮)が好むのは、「ウソツキ外交」「告げ口外交」「瀬戸際外交」ですが、これらに「コウモリ外交」を加えて、「4つのインチキ外交」とでもいえば良いでしょうか。

韓国と北朝鮮の「4つのインチキ外交」
  • ①あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる「ウソツキ外交」
  • ②国際社会に対してロビー活動をして、ウソを交えつつ「相手国の不当性」を強調する「告げ口外交」
  • ③国際協定や国際条約の破棄、ミサイル発射などの不法行為をチラつかせる「瀬戸際外交」
  • ④主要国間でバランスを取る「コウモリ外交」

そして、これらのインチキ外交は、日韓GSOMIA破棄の事実上の撤回に追い込まれた現在においても健在だ、ということは明らかといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (35)

  • 無駄だとわかっていて言いますが、韓国が今やるべきことは、相手が悪いということにして交渉上のマウントを取ることではなく、交渉相手が少なくとも話を聞く気になるところまで信頼関係を回復することです。手前勝手な理屈でゴネればゴネるだけ、日本は「ああ…つくづく話しても無駄な国だ」と思うばかりで、気持ちの溝は広がるばかりです。

    まあ信頼関係の構築に動けば日本に迎合したとして、国内で粛清されてしまうので、その目はまったくないのですが。韓国風に言えば「答えがない」状態です。

    知れば知るほど嫌いになる国。ゴネればゴネるほど孤立する国。ネタがヤバければヤバイほど有効だと勘違いする国。そういう国とお近づきになりたくはないです。朝鮮海峡があと2万kmほど広ければいいのに。

    • 国内向けの強気の姿勢を必死になってるようですが、それで相手に悪い心象を与えるとか考えないのでしょうね

  • 隣国についてトピックを立て続けに取り上げて頂いてふと思ったのですが、ここまで国家が外国に対して堂々と嘘をつく国というのも世界でも珍しいのではと思います。
    例えば、第二次世界大戦時の同盟国だったドイツの場合、隣国はフランスでありオランダでありポーランドでありデンマークでありオーストリアであり・・・と多国に渡りますが、日本の隣国ほどの嘘つき国家がこの中にあるでしょうか?
    もちろん外交の駆け引き上、ちょっとした欺瞞はあるでしょうが、日本の隣国のように度を越した嘘を日常的についているとも思えません。
    やはりあの隣国は特殊なケースに思えます。

  • どのようなものでも、使われない機能や役割は自然と退化します。
    韓国の現政権の元で数年が経過して、厳格に輸出入管理できる人材は一掃されてしまったと推測します。仮に人材が残っていたとしても、緩い規律の元で機能不全(腐敗)を起こしていることは十分に考えられます。

    また、韓国の輸出管理の現状はともかくとして、経産省とすれば一度大変な苦労を経て韓国をホワイト国指定するところまで手伝ったのに、壊されるのはあっという間だった、という無力感があるでしょう。
    心情として、どうせ苦労しても韓国が感謝する事などないし、また無駄になる可能性が高いとなれば、積極的に支援する気にはなれないでしょう。

    これから始まる政策対話が(韓国側から見て)難航することは、自明だと思います。

  • 4つのインチキにこれから言及することがあるならば、文体整理の提案です。
    ・「国際...破棄」を「国際...不履行、蹂躙、もしくは破棄脅迫」
    ・「主要国間...」の前に「自己利益搾取のために」を挿入

    • 思いつくまで時間がかかってしまいましたが、
      ④主要国間でバランスを取る
      は、なんか前向きにに響くので、

      ④主要国間で寝返りながら渡り歩く「コウモリ外交」
      は、如何でしょう。

    • バランスよりずっとよくなったと思います。このようにしてはいかがでしょうか。
      ・自己利益搾取のために関係主要国へすり寄り・寝返り背信行為を繰り返す「コウモリ外交」

  • 11月22日以降の経緯を見ているだけでも、韓国側は、自分に都合の悪い事は一切言わず(3年半も対話から逃げ回っていたのは韓国側!)、隙あらば日本を騙そう、日本の揚げ足を取り、陥れようとする態度がミエミエ。今後韓国が、日本が要求する管理改善を約束した処でそれが実行される保証もない。こんな相手とどうやって信頼関係を築けると言うのか?これ程までに、信頼できない実態が明らかになった状況であれば、その信頼を再構築するためには、1年や2年では無理。最短でも10年くらいはかかるのが当然である。日本の当局者には、原理原則を曲げない骨のある所を見せて欲しい。

  • 現在、日本の輸出管理の規定上「り」地域国は「3年間分のフッ化水素どこやったか」を申請する必要があります。
    課長級だろうが局長級の会合だろうが、韓国はこの部分について説明する必要があります。

    捏造などしたりせず正直なデータを出すかしら?

    「“申し訳ない”けど、こんな捏造データでは韓国の希望どおりにはできませんよ」なんて経産省職員が言ったらば、経産省が「謝罪したぁあああ!!!!」ってブチ切れるんでしょう。

    (韓国との交渉で大切なこと)
    謙譲語は使わない。
    原理原則で対応。
    こちらに不利益となる嘘を言ったら即反論。
    自傷行為をしだしたら、無視。

    ※ほかに何がありますかね。

    • 「表情管理」
      こんなことばがあるだなんて昨日まで知りませんでした。管理しないでいいです、ここならば。

    • 輸出管理の説明会の時のような【張り紙】でしょ。
      ①日英韓国語で【韓国の輸出管理不備是正協議】
      ②協議内容を英語でホワイトボード書き出し
      ③最後にホワイトボードを入る様に記録撮影

      あとは英語版議事録をその場からファックスしたら完璧かな
      この対応ぐらいしないとキリがないと思います。

      • みなさんありがとうございます。

        だんな様にベストアンサーを授与したいと思います。

  • 毎日の更新お疲れ様です。まず確実に射撃レーダー案件と同じ結末になるのではと思います。散々露骨な嘘で引っ掻きまわした挙げ句、南朝鮮の輸出管理見直し協議打ち切りでチョン。ただレーダー案件との決定的な違いとして自己陶酔して勝った気でいられない事で居られないです。不備是正の協議ををまた嘘で打ち切りになると優待待遇は絶望的なおかつ世界的に公開処刑になる。逆に管理範囲拡大されるオチにでも自業自得かな。

  • 英語だといちいち謝らなくてもいい気がします。
    英語で会話できるといいですが。

  • 全体的に問題の在処は日本側にあると思うのです。
    無論、発生原因は日本海の向かい側にあるのですが、今日まで許容してきたことが彼らに経験則を植え付けたこと疑いありません。その点、成功体験に引きずられる傾向に関しては彼の国、我が国のみならず人間に普遍的といえましょう。
    昨年から続く一連の事案において変化したのは日本側であって、半島側は相も変わらず平常運行しているに過ぎません。常に外圧で変化してきた歴史は同じくとも大陸文化的に彼らはそこまで敏感である筈もなければ、今日の混乱を我が身が引き起こしたものと認識しようもありません。
    ここ数年のこと日本は変化してきました。お隣の国としては気付かない、或いは気付きたくなかったでしょうが、事象が起こってからでは仕方がありません。我が国もかつて数十年前は聞き分けがなかった時代さえもありました。
    歴史は繰り返すといえば冷酷ですが、人間が改まる生き物ならそんな箴言も生まれないのです。

  • 新宿会計士さんでも
    ほかの方でも、

    『朝鮮半島のトリセツ』を出版はしてもらえたら是非とも購入したいのですが。

    ・非韓三原則
    ・4つのインチキ
    ・3つの選択肢
    (日本が無理して譲歩、韓国が正常化する譲歩、日韓原則を貫き破綻)
    の目次は必須で。

1 2 3