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月曜の韓国メディアの反応と「ウソツキ国家への対応」

今朝方の『GSOMIA後の文在寅氏は「水に落ちた犬」なのか?』でも予告しましたが、先週末の日韓GSOMIAの「終了通告の効力停止」(?)を巡って、さっそく、韓国メディアにはいくつかの続報が出ています。当ウェブサイトの予想に反し、韓国メディアは「わが国が譲歩したのだから、日本でも『強制徴用問題』(※自称元徴用工問題のこと)で基金案に応じるはずだ」、などという意味不明な論調の記事を配信しているようです。とことん、現実が見えていない国だと言わざるを得ません。

月曜日の韓国の反応

予告どおり、先週末の韓国政府による『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(いわゆる「日韓GSOMIA」)の「終了通告の効力停止」については、本日はその続報を紹介していきたいと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

最初に、昨日の『韓国政府、「安倍は良心の呵責はないのか!」と逆ギレ』の補足です。

ちなみに韓国といえば、レーダー照射事件の例を持ち出すまでもなく、『ウソツキ外交』の国です。聯合ニュースによると大統領府は、『日本政府が誇張した発表をしたことに対し、外交ルートを通じ日本側から謝罪を受けたと説明した』のだそうですが、これもどうせウソではないかとの疑念を抱かざるを得ません。

この答え合わせをしておきましょう。

韓国政府のこの発表内容、日本政府からは即座に否定するコメントが出ていたようです。

「謝罪があった」という青瓦台の発表に…日本外務省「そのような事実はない」(2019.11.25 08:02付 中央日報日本語版より)

中央日報からの孫引きですが、読売新聞は24日、この「日本政府が事実と異なる発表をしたとして韓国政府が抗議したところ、日本から外交ルートから謝罪を受けた」とする韓国政府の発表を、匿名の外務省幹部が「そのような事実はない」と述べた、と報じたそうです。

「読売新聞の報道が事実ならば」、という前提が付きますが、日本の外務省が速攻で否定したというのは非常に良い方向への変化でしょう(韓国側に配慮するあまり、韓国政府のウソを否定しないという悪しき慣習からは、早く脱して欲しいものです)。

正直、韓国政府のメディア、韓国政府幹部などから出てくる情報については、ウソが非常に多いと思います。そして、ウソの情報を流して日本の世論などを揺さぶるというのは、「ウソツキ外交」の典型的な手口であり、韓国の常套手段と見るべきでしょう。

こうした「ウソツキ外交」に対抗するためには、その都度、「韓国政府の発表はウソである」と言い続けるしかありません。できれば発言者(今回は鄭義溶=てい・ぎよう=氏)を名指しして、その者のメンツを徹底的に叩き潰すくらいがちょうどよいと思います。

日本が譲歩?まさか!

さて、すでにいくつかのメディアに報じられているとおり、来月末、中国・四川省成都(せいと)で行われる日中韓首脳会談の機会に、日韓首脳会談が開かれる方向で調整が進んでいるそうです。

こうしたなか、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)には、こんな記事が掲載されています。

韓日首脳、来月中国で「3大難題」協議か(2019/11/25 09:00付 朝鮮日報日本語版より)

朝鮮日報は、この日韓首脳会談で「▼GSOMIA、▼日本の経済制裁、▼強制徴用賠償」という「3つの難題」の解決策を話し合うとされる、などとしたうえで、

これに関連し、日本からは『3品目の輸出規制』を解除する案、韓国からは徴用賠償問題解決に向けた『1+1+α』案が示されている

と報じています。

はて、いったい何を言っているのでしょうか?このメディアは。

総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』でも報告したとおり、そもそも日本政府が7月に発表した、韓国に対する輸出管理の適正化措置は、「経済制裁」ではありません。

また、「強制徴用賠償」とは自称元徴用工の問題ですが、これは韓国が昨年秋口以降、日本に対して仕掛けているさまざまな不法行為のひとつであり、かつ、現在の日韓関係において、最も大きな対立点でもあります。

この自称元徴用工問題を巡る、日本政府の主張は明白です。

それは、「国際法を守れ」、です。

朝鮮日報は康京和(こう・きょうわ)韓国外交部長官(※外相に相当)が23日、名古屋で茂木敏充外相と会談したあとで、

韓日輸出当局間の会話を開始することにした。この対話を通じ、輸出規制問題が解決され、韓国が日本のホワイト国に戻されるようにしたい

と述べた、と報じているのですが、その一方で茂木外相側が「旧朝鮮半島出身労働者問題について、現金化が行われれば、日韓関係がさらに深刻になる」としたうえで、「韓国側の責任で、国際法違反の状態を早急に是正する」よう強く求めたという点については言及がありません。

「1+1+α」案が有力?まさか!

こうしたなか、朝鮮日報の記事には続きがあります。

  • 両国は徴用賠償問題についても外交ルートを稼働させるとみられる
  • 解決策としては、文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が今月5日に表明したいわゆる『1+1+α』案が有力となっている。韓日企業(1+1)と国民の自発的募金(α)で日本企業の徴用賠償金を肩代わりする案だ。

「基金案が有力」(!)

朝鮮日報のこの記事を書いた人物は、2015年12月の日韓慰安婦合意で自分たちが何をやったのか、よもや忘れてしまったとでもいうのでしょうか?

だいいち、「1+1+α」構想に賛同しているのは、自民党内では河村建夫・日韓議連幹事長くらいしか思いつきません。なぜそんな代物が、自称元徴用工問題の「解決策として有力」だといえるのでしょうか?

正直、日本企業がただの1円であっても不当な不利益を被る案は、日韓請求権協定に照らしても許されませんし、何より日本国民が許しません。自称元徴用工問題を解決するためには、「韓国側が全面的に国際法を守ること」以外にあり得ないのです。

また、朝鮮日報は、次のようにも述べます。

シン・ガクス元外交部第1次官は『徴用問題と輸出規制問題はコインの両面のようなものだ。徴用賠償の解決策の輪郭が見えなければ、日本が輸出規制を簡単に解除することはなく、結局『GSOMIA一時猶予』合意にも影響を与えることになる』と指摘した。

くどいようですが、「輸出規制」ではなく輸出管理適正化措置であり、自称元徴用工問題と輸出管理適正化措置はまったく別次元の問題です。なにが「コインの両面」ですか。

そして、信じられないことに、この記事に出てくる申珏秀(しん・かくしゅう)氏とは、こんな認識を示しておきながら、元駐日大使なのだそうです。

韓国社会で「保守系」とされる朝鮮日報が、こんなレベルの低い記事を平気で掲載してしまうあたり、自称元徴用工問題は「解決」からほど遠いものと思わざるを得ません。

中央日報が文在寅氏を絶賛?

さて、当ウェブサイトでは『GSOMIA後の文在寅氏は「水に落ちた犬」なのか?』のなかで、文在寅氏が今後、韓国国内からも外国からも、非常に厳しい立場に立たされることになる、と予想したのですが、月曜日の時点で中央日報はこんなコラムを出しています。

【コラム】文大統領、適切な地に足をつけた(2019.11.25 09:40付 中央日報日本語版より)

執筆者は「シン・ヨンホ論説委員」とありますが、当ウェブサイトの予想に反し、このコラムは文在寅氏の今回の決断について、「傷は深い」としつつも「韓米関係で最悪を避けた」などと評価しています。中央日報あたりはもっと文在寅氏を叩くのかと思っていたのですが、やや意外な感じがしました。

もしかすると、今後の韓国メディアは、韓国政府が発表した、

今回の韓国政府の決定は韓日GSOMIA終了通知の効力を中止したものに過ぎず、韓国政府としては、いつでも日韓GSOMIAを終了することができる

とする与太話を、真剣に信じるつもりかもしれませんね。

そして、自称元徴用工問題で日本が一切譲歩しないのを見て、再び焦り、日本に対して「なぜ我々が譲歩したのに日本は譲歩しないのか?」などと「逆ギレ」する、という展開が、何となく見えてしまうのは私だけではないでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いつも当ウェブサイトで議論しているとおり、日韓関係には、究極的には

  • ①韓国が国際法や約束をきちんと守る方向に舵を切ることで、日韓関係の破綻を避ける
  • ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける
  • ③韓国が国際法を破り続け、日本が原理原則を貫き続けることで、日韓関係が破綻する

の3つの選択肢しかあり得ません。

ところが、今回の日韓GSOMIA問題は、事実上、この3つでいうところの①のパターンに最も近いものであり、日本政府・日本国民としても、韓国に対して原理原則を一切捻じ曲げなくて済んだという経験をしてしまったわけですから、今後ますます②の選択肢を取る可能性は低くなっています。

もちろん、朝日新聞あたりは②の選択肢を強く主張しているようですが(たとえば11月23日付の『(社説)日韓情報協定 関係改善の契機とせよ』など)、このような主張は、現在の日本ではすっかり少数派に転落したのではないかと思います。

いつもの結論ですが、今後の日韓関係は①か③しかあり得ない、とだけ申し上げておきます。

新宿会計士:

View Comments (50)

  • GSOMIAは何時でも終了出来るニダ。
    ホワイト国に戻して、全ての輸出規制を解除するニダ。
    日本は首脳会談をして、徴用工判決問題を解決する誠意を見せるニダ。
    全てが実現しない場合は、日本に全て責任があるニダ。

    ですかね。

  • 今回の騒動について、日本国内メディアでも韓国を評価しているものがありました。
    GSOMIAと輸出管理を「リンク」させた韓国の手練手管
    https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/112200115/
    見方を変えれば、韓国政府が圧倒的に有利な交渉だったと判断できるというのは興味深い。
    ただし、これはGSOMIA破棄に至った前後関係、因果関係を無視した場合に言えることで、世界展望〜プロの目と銘打つには、物足りないように感じます。
    日経ビジネスのスタンスもいまいちわかりかねますが。

    • とろ様
      日経ビジネスの記事の紹介、ありがとうございました。
      武貞秀士氏はテレビでもよくお見かけし、結構鋭い分析をするな、さすが専門家だな、と思っておりましたが、今回はトンデモ予想?をのべられてますね!
      なわけねーじゃんwww!よくもまぁこんなひん曲がった予想が出来るもんだ…正直あきれます!
      また現状認識も間違っている所が多く、もうこの人(と日経金儲け第一主義記事)の意見はナナメに聞く事にしますw

    • 記事を拝見させていただきました。

      この方の論説の是非はともかく、なかなか興味深いですね。

      >韓国はGSOMIA破棄と輸出管理をリンクさせることに成功した

      個人的にも実はここが気になっていましたので、同様の考え方をする人がいたのだと思いました。

    • 韓国は日本と違い負け戦の撤退戦が実にうまいです。今回も世間には真相が判らないようにややこしい手続きをもってGSOMIAを自動延長にもってゆき、日本が今までに主張していたことを今回向けにことさらパッケージにして同時に発表することにより、あたかも日本側が譲歩したような演出に成功しています。

      日本は前々から輸出管理について「対話」を求めていますし(外交上の協議と対話の違いなど一般人に区別がつく筈がない)韓国側から求められればGSOMIAに関係なくNOと拒否する理由がない。またいつでもGSOMIA失効を言い出せるとは嘘ではないけれど、それは2020年期限の更新に対してであり、今回の2019年分は自らの破棄宣言の停止により自動延長されており、その分の撤回を可能とは日米共に許していないし合意文書にも記されていません。

      斯くの如く巧妙に但し書きを省略したり関係しないことをパッケージにして発表することにより、専門家でさえ騙されるのですから、韓国国民はGSOMIA延長と引き換えに日本が譲歩したのだと思い違いするのは当然でしょう。

  • 韓国が公式に文句を言う場合、駐韓日本大使を呼び出して、という場面が必ずありますから、まあ、韓国が文句を言った、日本が謝罪した、なんてのは全て飛ばしでしょう。
    問題はその後だと思いますね。
    当時の世耕大臣は、説明会を協議だと主張した韓国に対し、発言を撤回しない限り二度と対話をしない旨、抗議しました(今回、謝罪がないのに、対話を再開させるのは、日本側の譲歩だと思います)。
    今回も同様に、発言を撤回しない限り、韓国側が期待する12月の首脳会談に応じない、経産省の対話開始もご破算、といった対応が出てくることを期待したいと思います。

  • 次から次へと嘘をついて…
    未確認情報ですが、WTO提訴取り下げるという話も「そんなことは言ってない」みたいな
    ことを韓国政府側が言い始めてるそうです。

    …なんかもう疲れたから、パーフェクトストームでいいんじゃないですか?

  • 1+1+a案で合意したところで解決しないのは明らかなのに、まだ妄言をはく人々の頭が理解できない‼️大統領が合意したところで解決にならないと宣言した国なのに

  • 朝鮮日報の本国語版によると、韓国政府は謝罪はなかったという日本の報道をさらに否定したようですね
    謝罪していないなら日本政府が公式に否定してくるはずだがそうしていないという点を根拠に挙げていました

  • 更新ありがとうございます。

    文喜相議長の「韓日企業(1+1)と国民の自発的募金(α)で日本企業の徴用賠償金を肩代わりする案」なんですか?それは?

    その前に上皇陛下に謝罪しなさい。日本企業が何故、偽タカリ屋の自称徴用工の賠償をせねばならんのか?65年の日韓基本条約で解決済みって、何べん言わせるか。

    そんなもの韓国内での話だ。何でも好きなようにやればいい。日本は関知しないが、蒸し返して言うな。

    喉元過ぎたら、直ぐ調子のいい事を言う!「この対話を通じ、輸出規制問題が解決され、韓国が日本のホワイト国に戻されるようにしたい」ホワイト国返り咲きは無いの!康外交部長官。その下に落とすゾッ。規制ではない!勝手な解釈を韓国民にするな。

      • 非野阿礼さま
        こいつが、韓国に謝ったんじゃないですかね。
        後は韓国に有る、日本風居酒屋が謝ったとか、店の名前が日本だったとか。

  •  小生は当初、韓国がGSOMIAに関して日和ると思っていました。ところが、11/22が近づいても、一向に態度を変えない文在寅大統領とその仲間たちを見ていると、「こいつらなら、国を潰すことに抵抗は無いのかも」と思い、やはりGSOMIA破棄かと考え方を改めました。

     まさか、こんなギリギリで日和るとは予想できませんでした。

     他の韓国watcherよりも有利な立場いながら、小生もまだまだ勉強不足を痛感させられました。

     駄文にて失礼します。

    • 韓国在住日本人様

      いつも読者投稿楽しみにさせて
      いたたいております
      韓国にいながら予想できないほど
      斜め上をいく政権ということで
      しょうか

      以前の投稿での国旗のけんですが
      私がよくソウルに行っていた頃
      あちこち国旗だらけでここまで
      しないと愛国心は生まれないのか
      と思っていましたが今はあまり
      見かけないとのこと、変わって
      いくのですね
      もう一つ、私が行ってたころに
      目立っていたのは路上生活者?や
      電車内での物ごいでした
      貧富の差がすごいのだなと感じ
      たことを覚えています

      韓国の冬は厳しいのでご自愛
      下さいませ

    • 韓国在住日本人さま
      韓国が日和ると言ってたのは、韓国在住日本人さんだけだと思います。
      韓国人の外交は、内政をそのまま外交しますから、自分側の利益しか考えずに、亡国となるのだと思います。
      国の未来よりも、自分の未来の方が大事でしょう。

      •  匿名 様

         「弱い犬ほどよく吠える」を直訳すると、약한 개는 잘 짖는다(弱い犬はよく吠える)となります。

         韓国では別の言葉で「빈 수레가 요란하다(ビン スレガ ヨラナダ)と言います。日本語にすると「空の容器は音が高い(騒々しい)」となり、意訳して「口先野郎」とか「口から生まれる」という意味になります。

         駄文にて失礼します。

        • 似たような意味の言葉はあるんですねー
          でも自分たちがそうだという自覚がないのかな
          説明ありがとうございました

    • 米の圧が想像以上だったのでしょうか。
      今は北、中国の事があるだろう と。

      しかし、米は自分のタイミングが来たら、
      韓を無慈悲にバッサリ切り捨てそう。(妄想)

  • 「日本政府も”1+1+a案”はいいんじゃないでしょうか。但し”1+1+a”の各項は韓国側のことですがね」くらい言ってやれば良いのにと思ってしまいます。
    まあしかし、成功・失敗は別にして、こんなことで周辺を振り回すのはある意味すごいことだと思います。
    日本政府ももっと厚顔になったらいいのにと思います。

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