「安倍・文ソファ歓談写真」は「ウソツキ外交」の象徴
今月4日にタイ・バンコクで開かれた「ASEAN+3」首脳会合の控室で、日韓首脳がソファに腰かけて「歓談」したとされる話題については、当ウェブサイトはかなり早い段階で、「歓談の様子を写真に収め、あることないことウソを交えて勝手に発表するという、韓国政府の常套手段であるウソツキ外交の一環だ」と考えて来ました。おそらくこの考え方は正しいと思います。ただし、日本政府は外務省を筆頭に、今回の局面ではこうした韓国政府の「ウソツキ外交」に引っかからない賢明さを見せているようです。
韓国政府、日韓首脳「歓談」を絶賛自画自賛中
「ASEAN+3」会合に参加するためにタイを訪問していた安倍晋三総理大臣が韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と「歓談」したとされる話題については、『【速報】日韓首脳が「歓談」』で第一報を掲載したとおりです。
あらためて振り返っておくと、韓国政府側はこの「歓談」について、即座に次のような内容を発表しました。
- 日韓首脳「歓談」は11分間、非常に友好的な雰囲気で行われた
- 両首脳は韓日関係が重要だという点で一致し、両国間の懸案は対話を通じて解決すべきとの原則を確認した
- 文在寅氏は「必要ならより高位級の協議をする案も検討してみよう」と提案し、安倍首相も『あらゆる可能な方法を通じて解決案を模索する努力をしよう』(と応じた)
(【出所】韓国メディア『中央日報』(日本語版)2019.11.04 13:30付『文大統領-安倍首相、4カ月ぶり11分間の単独歓談…青瓦台「友好的・真摯な雰囲気」』など)
また、この「歓談」を巡り、韓国政府はその後も「約13ヵ月ぶりの日韓首脳の接触」などと成果を強調しているらしく、たとえば次の中央日報の記事によると、文在寅大統領自身もタイから帰国後の5日、SNSで「対話の開始になり得る意味のある接触をした」などと自画自賛しているようです。
文大統領「安倍首相と対話開始になり得る意味ある接触」(2019.11.05 15:55付 中央日報日本語版より)
さらに、韓国政府に近いと思われる韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)も、日韓首脳「歓談」の翌日にはこんな社説を掲載しています。
[社説]韓日首脳「サプライズ歓談」、固く閉ざされた「対話の門」開くか(2019-11-05 08:19付 ハンギョレ新聞日本語版より)
ハンギョレ新聞はこの社説で、今回の日韓首脳「歓談」について、
たとえ短い出会いだったとしても、両首脳が手を取り合い、「対話を通じた解決法」の模索に共感したことは、今の両国関係に照らしてみた場合、意味が大きい。
と歓迎したうえで、
- 韓日両国はこれから、強制徴用問題から始まり貿易、軍事協力問題にまで拡がった対立を解消するための高位級対話に乗り出してほしい。
- 今回は両国首脳がこれ(※「対話再開の必要性」)を確認したのだから、直ちに外交当局間の実効性ある協議が後に続かなけれならないだろう。
- 歴史問題で認識の差を縮めるのが難しいのであるのなら、まず日本は貿易報復措置を、韓国はGSOMIAの終了決定を撤回するのも一つの案である。
などと述べ、「日韓両国政府に対して」ただちに行動せよ、と注文を付けています。
状況その他に照らし、きわめて不自然
ただし、この「歓談」、非常に不自然です。
まず、事前に日韓両国政府から何らかの会談がなされるという話は一切ありませんでしたし、「歓談」の場にいたのは安倍総理、文在寅の両氏とそれぞれの通訳のみで、しかも各メディアが報じた「歓談」の様子を撮った写真は韓国大統領府が提供したものしか存在していないからです。
【参考】韓国大統領府による日韓首脳「歓談」の写真(※クリックで拡大)
(【出所】韓国大統領府)
この写真を巡っては、「首脳控室では写真撮影が禁止されていて、写真班が排除されていたため、両首脳がソファに座っている姿は韓国大統領府関係者が個人のスマートフォンで撮影した」とする指摘がインターネット上で散見されます。
このうち「写真撮影禁止」という点については、当ウェブサイトとして裏を取ったわけではありませんが、「スマートフォンで撮影した」という下りについては、たしかに韓国大統領府が発表している写真は通常の報道発表写真と比べてやや不鮮明です。
このことから、「写真撮影班が排除されている密室で、韓国政府関係者がルールを破って勝手に控室の中の様子を写真に撮影し、インターネットで公開した」とする仮説は、説明としては非常に辻褄が合っています。
さらに不自然なことをいえば、日韓両国政府の発表内容も食い違っていて、たとえば「両国が新たな高位級協議の開催で合意した」といった話は、日本政府側からはまったく出て来ていません(『菅官房長官、食い違い理由は「韓国側に聞いてほしい」』参照)。
それどころか、当ウェブサイトではすでに日韓首脳「歓談」の翌日に気付いていたのですが、日本政府はこの日韓首脳「歓談」の様子を外務省ウェブサイト等に掲載すらしていません(『今のところ「なかったこと」にされる日韓首脳「歓談」』参照)。
以上より、当ウェブサイトではかなり早い段階で、「これは首脳控室という密室で文在寅氏が安倍総理との友好を演じるために、無理やりソファに座って『歓談』した様子を写真撮影し、虚偽の会談内容を発表したものではないか」、などとする仮説を提示して来ました。
そして、日本政府が一貫して、韓国政府の虚偽の発表内容を否定し続けていて、首相官邸や外務省がこの「歓談」を「なかったもの」として扱っていること自体、日本政府が韓国の「ウソツキ外交」にひっかからない知恵を付けて来た証拠ではないでしょうか。
主要メディアもこれを報じ始めるが…
そもそも論として、韓国や北朝鮮が自国が困った立場に置かれた際に取る行動は、まったく同じです。具体的には
- ①あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる「ウソツキ外交」
- ②国際社会に対してロビー活動をして、ウソを交えつつ「相手国の不当性」を強調する「告げ口外交」
- ③国際協定や国際条約の破棄、ミサイル発射などの不法行為をチラつかせる「瀬戸際外交」
などの行動であり、文在寅氏が安倍総理に対して仕掛けた日韓首脳「歓談」もまさに①の「ウソツキ外交」そのものではないでしょうか。
ただ、わが国の外務省がこの日韓首脳「歓談」をなかったことにしているという点については、少しずつ、報じるメディアが出現し始めました。そのひとつが、中央日報の次の記事です。
青瓦台は「ソファ対話」の写真載せたが…日本外務省ホームページからは「文」排除(2019.11.07 09:41付 中央日報日本語版より)
中央日報は日本の外務省、首相官邸のいずれのホームページにも、例の「ソファ写真」が掲載されていないという事実などを指摘したうえで、毎日新聞の記事などを引用したうえで、日韓の温度差が「11分間対話」後も続いていると述べているのです。
ほかにもいくつかのメディアがこの「外務省のウェブサイトなどで『なかったこと』にされている」という事実を指摘しているのですが、当ウェブサイトにいわせれば、正直、各メディアはむしろ韓国政府のウソの発表に振り回され、先走りし過ぎていたのではないかとすら思えます。
河村建夫氏、「文喜相氏が謝罪の手紙」
さて、「不確実な情報に振り回されるな」という点でもうひとつ紹介したいのが、「文喜相(ぶん・きそう)国会議長による上皇陛下へのお詫びの手紙」です。
これは、日韓議連の河村建夫幹事長が昨日、BSフジ『プライムニュース』に出演し、文喜相氏が「上皇陛下に謝罪の手紙を出した」と発言したものです。
詳しくはBSフジ『プライムニュース』のページに公表されているハイライトムービー『2019/11/06 『韓国の国会議長が謝罪 ▽ トランプ政権と中東』【後編】』(9:05~)でその下りを確認することができます(※ただし、リンク先動画は数日経過すると視聴できなくなりますので、ご注意ください)。
この河村氏の発言については、すでにいくつかのメディアが取り上げているようであり、調べた限りだとFNNプライムを筆頭に、産経ニュース、中央日報などに関連報道があるようです。
ただ、河村氏の発言からは、「いつ、どのような形で、何について謝罪したのか」といった要素が一切欠落しています。また、個人的な印象で恐縮ですが、私自身は河村氏を人間として信頼できないので、日韓議連幹事長という立場で韓国を一方的に擁護するあまり、ウソをついた可能性すらあると思います。
現時点では河村氏が「思わず口走った」可能性が高いと見るのが正解でしょうし、仮にこれが事実だったとしても、文喜相氏が上皇陛下や天皇陛下、日本国民などに対して「公の場で」謝罪したわけではないという点については間違いありません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
本日はこれら以外にもまだいくつか取り上げておきたい記事があるのですが、ちょっと長くなりそうですので、いったんここで切りたいと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
右側(上席とされる)を通り越して中央にどかんと座る安倍総理に左から擦り寄る文大統領って構図は上下関係に厳しいとされる韓国としては大丈夫なのですかね〜
それだけが心配笑です。
でっち上げを思わず騙ってしまうのは、日韓議員連盟の特徴なんですかねえ。
文喜相議長は、早稲田での講演の内容やこれまでの発言を見ると、とにかく思いついたことを嘘でもなんでも喋りまくってしまうタイプのようですし、
日本の河村議員も似たようなものなのかもしれませんね。
宮内庁がきっぱり否定してくれないですかね。
文議長の上皇陛下に対する手紙に関して、菅官房長官が承知していないとの事です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191107-00000517-san-pol
だんなさま、
有難うございます。よい流れですね。
これ、恐らく河村かわではなく、文喜相議長の嘘でしょうね。
せっかくですから、大ごとになった後に嘘だと判明し、河村さんの政治力に大打撃があると良いですね。
だんな様 バッサリでございますわね(笑)。
KBSニュース(韓国語)”‘ムン議長、アキヒト前日王謝罪手紙’日報道は誤報”
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=k&Seq_Code=340467
河村さん。成仏をお祈りいたします。
写真を拡大してみると、安倍首相に、眼鏡をかけたおっさんが揉み手をしながら陳情している場面にしか見えんのだが・・・
韓国国内でも、この歓談写真は、文大統領の日本への擦り寄りと見られており、ネガティブな反応です。
文大統領が「もう日本に負けない」と言った時に韓国人は、喜んだんだろうと想像します。
その当人が、日本に擦り寄る振る舞いをすれば、国民が怒るのも無理は有りません。
それが原因かどうかは、わかりませんが、支持率が下り42%になったとの報道もありました。
文政権は、袋小路の突き当たりか、崖っぷちに立たされた状態に見えます。
ゆっくりと高みの見物が、出来るかもしれませんね。
押すなよ、押すな、絶対に押すなよ。
文議長が手紙に関して否定しました。
ちょっと前に見たような光景ですね。
文大統領が、安倍首相と歓談した事を、韓国人が見ていた気持ちと、共通点があるような気がします。
河村さん、手紙の証拠を見せないと、国民は納得しませんよ。
ロイターで読みましたが、バンコク歓談の方は、米国務次官補スティルウェルが「心強い兆候」とかコメントしてるらしいですよ。
このスティルウェル国務次官補、東アジア太平洋担当の空軍上がりの元パイロットだそうですが、親日家って情報、信用していいんですかね。
経歴読んでると、確かに三沢基地に3年勤務してますが、韓国にも3年、中国にも3年勤務してるんですよね。
しかも、韓国語と中国語は堪能なのに、日本語だけは挨拶程度しかできないなんて、どう見ても中国よりじゃないですか?中国名まで持ってるし、信用できませんよね。
そういえば、このスティルウェルって名前、私はすぐステルヴィオを連想しましたよ。
去年の秋のG1マイルチャンピオンシップの優勝馬ですね。
しかし、この馬は信用できませんよ、今年は3回走って、人気になるも一度も連に絡んでませんから。
ゆえにスティルウェル国務次官補も、なんとなく土壇場で日本を裏切る気がします。
今年のマイルチャンピオンS(11/17)にステルヴィオが出走すれば、いい試金石になるんですが、体調不良のようで今年は出走しないようです。
まあ、いずれにしても、GSOMIAがどうなるのか、今のところ私にはサッパリ予想もつきません。
手紙を送るなんて 皇室の政治利用と言えますね。まるでヤマモト何某が手紙を渡そうとした件を連想しちゃいます。
文喜相さんは、上皇陛下にお詫びの手紙を送ったと
口から出まかせをいったのではないでしょうか。
この人、以前、
当時の天皇陛下に訪韓の仲介を頼まれたと嘘を言っていますし。
当時国会で問題になり、宮内庁が、
「陛下が面会した記録はありません」と回答したと
記憶しています。
この人(も)、嘘を言うのが悪いことだという意識がないのだ
と思います。
河村さんが真に受けただけ。
河村さんは愚鈍な印象です。ちょっとボケていますね。あくまで印象です。
このソファーの写真、カウンセラー(安倍総理)と相談者(ムンジェイン)みたいに見えたりした
文「ここのところずっと家の中(国内・朝鮮半島)がうまくいってないんですよ」
安「はい・・・」
文「家族に立て続けに問題が起こったり、近所に住む兄(金正恩)との仲も険悪になる一方で・・・」
安「ええ」
文「そのせいか家の商売(外交全般)の方も芳しくなくて」
安「・・・なるほど」
文「この先、私どうしたらいいもんかなと思いまして・・・」
安「やはりこういう時は・・・最初の原則(国際法遵守)に立ち返るのが重要だと思います」
文「!」
会談に至るまでの誘導や報道発信の手口が洗練されていて惚れ惚れとします。
おそらく共産圏の国に価値感が似ているのでしょうがロシアとも中国とも違い世界でどこも類似のない独自の外交手法は新宿会計士様がおっしゃるようにまさに象徴的と言えるでしょう。
好き嫌いを抜きに芸術点の高さに驚きました。
そもそも密室で会うこと自体脇が甘いよね。何を言われるかわからないし言った言わないの話になるのは誰にもわかる。アベちゃん大丈夫?