以前、『日本との争いを欲する韓国の歪んだ情動』のなかで、参議院の山東昭子議長が、今年11月に日本で開かれる「Ｇ２０国会議長会合」への韓国の文喜相国会議長に対する招待状を駐日韓国大使に託した、という話題を紹介しました。Ｇ２０は輪番で議長を務める必要があるため、今年６月に安倍総理が大阪Ｇ２０で文在寅韓国大統領を招待したように、日韓関係がいかに悪くとも、相手国を招待しないというわけにはいかない、という事情があることは理解できます。そこで、山東議長におかれては、是非とも安倍総理の「８秒間の固い握手」に倣っていただきたいと思う次第です。

いつもの８つの不法行為

韓国が日本に対して仕掛けている不法行為としては、時系列として見るだけで、たとえば

• ①旭日旗騒動（昨年９月頃～）
• ②自称元徴用工判決問題（昨年10月30日）
• ③レーダー照射事件（昨年12月20日）
• ④天皇陛下侮辱事件（２月頃）
• ⑤慰安婦財団解散問題（７月頃）
• ⑥日韓請求権協定無視（７月19日）
• ⑦日韓ＧＳＯＭＩＡ破棄（８月22日）
• ⑧対日ＷＴＯ提訴（９月11日）

といった項目がありますが、いずれも韓国が一方的かつ非合理的・非友好的なものばかりです。

このなかで④の「天皇陛下侮辱事件」とは、韓国の文喜相（ぶん・きそう）国会議長が今年２月８日に米ブルームバーグのインタビューに応じ、天皇陛下（現在の上皇陛下）のことを

「戦犯の息子」「日王」

などと蔑んで発言したうえで、あわせて自称元慰安婦らに対する謝罪を求めたという、とんでもない事件のことです。その「主犯」である文喜相国会議長自身が、来月初旬、Ｇ２０国会議長会合に出席するため、日本にやってくるのだとか。

「天皇謝罪要求」の韓国議長が来日へ　１１月４日の議長会議出席、発言後初めて（2019.10.11 18:36付　産経ニュースより）

これを、どう考えるべきでしょうか。

天皇陛下侮辱事件

国民から深く敬愛される上皇陛下

議論の前提として、私たち日本国民には当然のことかもしれませんが、上皇陛下と皇室がいかに国民から深く敬愛されているかについて振り返っておきましょう。

『国民とともに歩まれた天皇陛下に感謝申し上げます』でも報告しましたが、上皇陛下は平成の30年間を通じて私たち日本国民とともに歩まれ、日本国民から深く敬愛されているお方でもあります。

とくに平成３年の雲仙・普賢岳噴火に伴うお見舞いを皮切りとする、災害の被害に遭った被災者に対するお見舞いとご視察を通じて、多くの国民と触れ合われ、未曽有の大災害であった平成７年（1995年）１月17日の阪神・淡路大震災では、１月31日に皇后陛下とともに被災地に入られています。

さらに、個人的に深く印象に残っているのは、何といっても平成23年（2011年）３月11日の東日本大震災と、それに続く福島第一原発事故などの悲惨な事故の数々です。

国民の多くが激甚災害に加え、菅直人首相（当時）一味の驚くべき無能ぶりに打ちひしがれているなかで、上皇陛下ご自身がテレビカメラの前に座り、直接、私たち国民に向かって語りかけられたことは、本当に忘れることはできません。

東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば（平成23年３月16日付　宮内省ＨＰより）

揺らがない皇室

上皇陛下は今年４月30日に天皇としての役割を全うされ、国民の代表である安倍晋三総理大臣と会われたことで、御譲位になられ、平成が幕を閉じました。

そして、およそ200年ぶりの御譲位ということもあり、翌・５月１日には、さっそく街中が天皇陛下の御即位と令和改元を人々が祝い奉るという明るい雰囲気で満ち溢れたのも非常に良い話だと思います。

まさに、皇室と国民は一体のものとしてともにあるのです。

また、今年は皇歴2679年だそうですが、言い換えれば、わが国の公式の歴史上、万世一系の皇統が2679年、126代続いている、ということでもあります（※もっとも、さすがに「紀元前660年に神武天皇が御即位された」という話は考古学的にはありえないとされていますが…）。

しかし、実在がほぼ確実視されている雄略天皇（獲加多支鹵＝わかたける＝大王）、あるいは継体天皇から起算しても、皇室は少なくとも1400～1500年は「父系」で連綿と続いているのであり、さらには権力と権威を分離するという叡智により、いまや皇室の権威はゆるぎないものとなっているのです。

昭和天皇や上皇陛下のお人柄が優れているという事情もありますが、それと同時に、皇室の権威というものも、たった１回戦争に敗けたくらいで揺らぐようなものではありません。

天皇侮辱がいかに日本国民を激怒させたか

以上の議論は、天皇陛下御即位の一連の行事をボイコットすると述べた日本共産党（『日本を貶めるために日本共産党などと結託し始めた韓国』参照）などのごく一部の勢力を除けば、私たち日本国民にとっては当然の話です。

ただ、韓国の「天皇」という存在のことを根本的に理解できないらしく、日本国民が「天皇侮辱」に対してどう反応するかを本質的に読み誤っているとしか思えません。

じつは、韓国の政治家による「天皇侮辱」には、先例があります。

いうまでもなく、その人物とは、「保守政治家」とされていたはずの李明博（り・めいはく）元大統領です。

李明博元大統領は大統領在任中の2011年10月に、当時の日本の野田佳彦首相とのあいだで、総額700億ドル（！）という非常識に高額の日韓通貨スワップ協定を締結。

その直後の同年12月に京都で行われた日韓サミットで、いきなり慰安婦問題を蒸し返し、さらに翌年８月には島根県竹島に不法上陸したうえで、天皇陛下を口汚く侮辱したことでも知られています。

実際、2011年から2013年までの３年間について、毎月の日本人の韓国入国者数を取ってみたところ、2012年８月を境に、韓国に入国した日本人の人数が激減していることが確認できるでしょう（図表）。

図表　2011年～13年における日本人の韓国入国者数

（【出所】韓国観光公社公表データをもとに著者作成）

最近でこそ、日本人入国者数は少し持ち直して来ているようですが、それでも2018年までの統計でいえば、日本人入国者数はピーク時の2012年の約352万人を上回っていません。

ここ10年間の日本人の韓国入国者数

• 2009年…3,053,311人
• 2010年…3,023,009人
• 2011年…3,289,051人
• 2012年…3,518,792人
• 2013年…2,747,750人
• 2014年…2,280,434人
• 2015年…1,837,782人
• 2016年…2,297,893人
• 2017年…2,311,447人
• 2018年…2,948,527人

（【出所】韓国観光公社公表データをもとに著者作成）

もちろん、2015年の場合は中東呼吸器症候群（ＭＲＥＳ）の大流行という特殊要因もあるため、2013年以降の日本人入国者数の激減の理由がすべて李明博元大統領による天皇陛下侮辱発言にあるとは申し上げません。

ただ、とくにアベノミクスで日本経済が堅調になったはずの2014年から2017年までの４年間、韓国に入国した日本人が年間200万人台前半に留まったことについては、日韓関係の悪化が当時から深刻化していたのではないかとの仮説を裏付けるデータのひとつであることは間違いなさそうです。

何しに来るんですか？

文喜相発言と、公式謝罪のなさ

ところで、文喜相国会議長の発言については『転載自由：文喜相「日王戦犯」発言事件を巡る証拠付きリスト』にまとめたとおりですが、問題となった最初の発言について再掲しておきましょう。

South Korea Lawmaker Seeks Imperial Apology for Japan Sex Slaves（2019年2月8日 18:33 JST付　Bloombergより）

あらためて皆さまに直視していただきたいのですが、ここで米Bloombergは記事タイトルに “Sex Slaves” 、つまり「性的奴隷」とハッキリ書いている、という事実です。

慰安婦問題は外国では「日本の天皇の軍隊が朝鮮人女性を性的奴隷として使役した問題」だと認識されいてる証拠であり、私たち日本国民が、あたかも「朝鮮人女性を拉致して性的奴隷として使役した悪辣な民族」であるかのごとく、外国メディアで取り扱われているのです。

私たち日本国民はこの問題を巡ってもっと怒らなければなりません。

怒りを向けるべき対象は、そもそも慰安婦問題を捏造した朝日新聞社だけではありません（※朝日新聞はこの慰安婦問題だけをもっても廃刊に値するメディアだと思います）。このウソを堂々と全世界に向けて発信する、文喜相国会議長を筆頭とする韓国の政治家らに対しても、同様に向けられるべきでしょう。

そして、インタビュー記事で文喜相国会議長は、

「日王は戦争犯罪における最大の犯人の息子として、５月に退位する前に、慰安婦たちに謝罪を伝えるべきだ」

とハッキリ述べています。

昭和天皇のことを「戦争犯罪における最大の戦犯」、上皇陛下のことを「日王」「戦犯の息子」と呼んでいることは、しっかりと記憶に留めておきましょう。

しかも、文喜相国会議長は、自身のこの極めて無礼な発言について、上皇陛下と天皇陛下、そして日本国民に対し、ただのヒトコトも謝っていません（『悪い冗談？日韓関係破壊した張本人が「突破口を開く」の怪』でも触れたとおり、鳩山由紀夫元首相には謝ったそうですが…）。

もしこの人間が日本にやってきたとすれば、日韓関係をさらに悪化させることに寄与したとしても、日韓関係を改善させることに１ミリでも役に立つとは到底思えません。また、彼を相手にする政治家がいるとしても、せいぜい立憲民主党か日本共産党の議員くらいではないでしょうか。

何をしに来るのか？

さて、今回、この文喜相国会議長なる人物は、いったい何をしに日本にやってくるのでしょうか？

すでに『日本との争いを欲する韓国の歪んだ情動』の冒頭でも紹介したとおり、最大の目的は、今年日本で開催される「Ｇ２０国会議長会合」に参加するためです。

この会合自体、Ｇ２０サミットなどとセットで毎年持ち回りで開催されているらしく、今年の議長国が日本であることから、韓国の国会議長だけ招かないというわけにもいかないようであり、今回の招待状もやむなく渡したのでしょう。

ただし、山東昭子参議院議長は駐日韓国大使に文喜相国会議長宛の招待状を手渡すに際し、「文喜相発言」を巡っては「はなはだしく無礼で、受け入れられないものである」としたうえで、「文議長自身の発言が招いた現状に関する認識や現状打開のための対応策」を求めたのだとか。

ちなみに驚くべき話ですが、この文喜相国会議長自身が、韓国の国会議員でつくる「韓日議会外交フォーラム」の名誉会長も務めているそうです（『悪い冗談？日韓関係破壊した張本人が「突破口を開く」の怪』参照）。

日韓の議員外交を木端微塵に破壊した張本人が「韓日関係の突破口を開く」というのも、悪い冗談以外の何者でもありませんが、言い換えれば、韓国側では天皇陛下を侮辱するという行為がいかに深刻なことであるかについて、まったく理解されていない、という証拠でもあるのです。

是非「７秒握手」で出迎えてください

さて、文喜相国会議長がどのツラを下げて日本にやってくるのかは知りませんが、ここでひとつ、重要な「前例」があります。

それは、ほかならぬ安倍晋三総理大臣です。

安倍総理は今年６月に大阪で開かれたＧ２０サミットで、来日した文在寅（ぶん・ざいいん）韓国大統領を「８秒間の固い握手」（※皮肉ですよ！）で出迎え、「安倍・文在寅会談」はその８秒間で終わりました。これこそが現在の日韓関係を象徴しているといえるでしょう。

ちなみに安倍総理が会談した相手国については、当ウェブサイトでは６月28日の時点の情報を『Ｇ２０も初日が終了、安倍総理の会談相手をまとめておく』において記していますが、韓国などを除くほとんどの招待国の首脳と会談を行っていることが確認できます。

ということは、文喜相国会議長を出迎えるであろう山東昭子参院議長（あるいは大島理森衆議院議長？）も安倍総理に倣い、ぜひとも「固い握手のみ」で出迎えていただきたいところです（※もちろん、個別会談なしで）。

握手する時間は…、そうですね、７秒間くらいでいかがでしょうか？