先ほどから似たような話題ばかり続いて申し訳ありません。10月1日から消費税等の合計税率が10%に引き上げられ、複雑怪奇な軽減税率制度が導入されたことで、いろいろとおバカな議論が巻き起こっているようです。先ほどの『増税と「外国人が国債売りで金利暴騰」のトンデモ理論』に続き、もう1本、消費税の軽減税率制度を巡って、あまりにもバカらし過ぎる話題を紹介したいと思います(なお、ここでいう「バカ」とは暗に財務省にも向けられている単語ですよ!)。
イートイン「脱税」は脱税ではなく制度の問題
10月1日に消費税の税率が引き上げられるとともに、軽減税率の区分が設けられたことに伴い、新たに発生した問題が「イートイン脱税」だそうです。
この「イートイン脱税」とは、「イートインコーナー」を設けているコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで問題になる行為ですが、同じ商品(たとえばサンドイッチだの、弁当だの)を購入した店内で食べる場合には10%、持ち帰る場合には8%の税率が適用されます。
国税庁が公表する『消費税の軽減税率制度に関するQ&A』によると、イートインで食事をさせるために顧客に販売した食品(弁当等)は軽減税率の対象とはなりません(Q41)が、
- 持ち帰りも店内飲食もどちらも可能な商品を販売したときには、顧客に対して店内飲食化持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の対象となるかどうかを(レジ係が)判定する
- この意思確認は営業の実態に応じ、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」などの掲示をして意思確認を行うなどの方法で差支えない
などと記載されています。
同じQ&A(Q1)によると、そもそもどの飲食料品が軽減税率の適用対象となるかについては、その取引(つまり販売)が行われる時点で判定されます。
したがって、顧客がレジに食品を持ってきた時点で、その顧客から「イートインで食事するつもりだ」との申し出がなければ、実務的には「持ち帰り」を前提として8%の税率が適用されるものと考えて良いでしょう。
というよりも、そもそも論として、制度を作る側が複雑な税制を作れば、必ず抜け穴を突く人が出て来ます。脱税されるのが嫌ならば、あまり複雑すぎる制度を作るのはいかがなものかと思いますし、イートイン「脱税」が横行するならば、それはむしろ制度を作った財務省の側の問題点でしょう。
参考:日本の敵・財務省
(【出所】『財務省について』)
いや、実際の経済社会は複雑ですから、取引の実態に応じて、「イートインなら10%」、「テイクアウトなら8%」という税制の振り分けができない場合があるのは当然ですし、このあたりの手当てをしないままで軽減税率を導入してしまった以上、このような問題が出て来るのは当たり前すぎる論点なのです。
よって、そもそも経済社会の実態に合わない制度を無理やり入れた時点で、それを「脱税」あるいは「犯罪」などと呼ぶにはかなりの無理があります。極論すれば、むしろ消費税の軽減税率こそが、「税の公平性」「税の簡素性」などの原則に反した違憲立法ではないでしょうか?
「140円を脱税して書類送検」?まさか!
こうした「イートイン『脱税』」については、消費税増税直後からツイッターなどで話題になっていましたが、大手メディア『FNNプライム』にも取り上げられたようです。
“イートイン脱税”!? 持ち帰りの消費税8%で会計し、イートインで食べたら法的に問題は?弁護士に聞いた(2019年10月2日 17:00付 FNNプライムより)
FNNプライムによると、「持ち帰りと嘘をついてイートインで食べる」行為を「イートイン脱税」、それを取り締まる人を「イートインポリス」と呼ぶ、としています。
ただし、「イートインポリス」といっても、べつに警察官のことではありません。レジで8%の軽減税率で会計を済ませたあと、それをイートインで食べている人を見つけて、それをレジに通報する人のことだそうです。物好きな人がいるものですね(苦笑)
ただし、FNNプライムはこうした「イートイン脱税」を巡り、「常習的に行う場合は、詐欺の可能性が高くなる」とする弁護士の見解をあわせて紹介しているのですが、この点については大いに違和感があります。
実際のところ、店の側としては、べつに税率が8%だろうが、10%だろうが、あまり関係ありません。消費税は最終的に国に支払われるからです(※といっても、簡易課税を適用している場合はこの限りではありませんが…)。
ということは、やはり罪状は「詐欺」ではなく「脱税」でしょう。
当然、捜査機関は警察ではなく国税庁ですし、国税庁の職員がコンビニエンスストアのレジの横に張り付いて、税抜700円の弁当に適用される税金が70円なのか、56円なのかを監視して、差額の14円を脱税した回数が10回だったとして、「140円を脱税した!」などと書類送検するのでしょうか?
何やら意味が分かりません。
財務官僚が作れば支離滅裂に
ところで、古今東西、あらゆる税は、可能な限り平等で、可能な限りシンプルであるべきです。
ここで「平等」とは、「同じくらいの所得の人であれば同じくらいの税を負担する」という原則ですが、これは「同じ日本に住んでいるのに、出身地や身分によって税金が差別されるようなことがあってはならない」、という意味であって、所得水準(=担税力)に応じて税率を変えることは容認されると考えて良いでしょう。
ただ、意外と軽視されているのが「シンプルさ」です。
日本には「租税特別措置法」という「伏魔殿」のような税法が存在していて、所得税や法人税などの例外規定が大量に盛り込まれており、かつ、これらは毎年のようにコロコロ変わるので、税理士業界やシステム業界などは特措法の変更に悩まされています。
しかし、本来、税金の計算は「子どもでもわかるくらいにシンプル」であるべきです。
消費税の場合同じで、シンプルに税制を作り込むならば、たとえば
- 食品、飲料、生活雑貨その他の生活必需品は一律軽減税率(ゼロ%)
- 消費税は特定品目に対してのみ課す
といった具合に、可能な限りわかりやすく作るべきでしょう。
こうしたなか、ちなみに先ほど紹介した国税庁のQ&Aを冷静に読み込んでいると、軽減税率制度に関しては、もはや「意味不明」を通り越して「支離滅裂」です。
たとえば、「食品」に該当すれば軽減税率が適用されますが、販売されているものが「生きている状態」の家畜や魚だったら、どうなるのでしょうか。
これについてQ&Aでは、牛、豚、鶏などの動物は「食品」には該当しない(Q2)一方で、魚は「食品」に該当する(Q3)としています。その理由は、牛、豚、鶏などについては生きている状態だと「販売時点で食用ではないから」ですが、魚は「食用だから」、だそうです。
この点、あまりにも意味不明過ぎて、一読して乾いた笑いが出てきてしまいました。
やはり、財務官僚という者たちは、超一流大学を卒業し、「超難関」と呼ばれる国家公務員試験(旧・国家上級試験/国家Ⅰ種試験、現・国家総合職試験)を受かってきた受験秀才なのだと思いますが、受験秀才が実務を考える能力に優れているわけではないという典型例でしょう。
それどころか、なまじっか頭が良いばかりに、「日本は増税が必要だ」という結論を決めつけて、それに合致する材料を集めて来てもっともらしく仕上げ、さらには国税調査や予算分配、審議会の人選などを通じて政治家や学者、日経新聞などを支配し、誤った理論を堂々と垂れ流し続けているのです。
財務省「消費増税で日本経済をぶっ壊す!」(2019/09/09 09:09付 当ウェブサイトより)
その意味では、日本の官僚機構とは、軍部が暴走して誤った戦争に突っ走った戦前と、本質的には何も変わっていないのかもしれませんね。
やはり、日本が必要としているのは「消費税のさらなる引き上げを通じた財政再建」ではなく、「政治家を上回る不当に大きな権限を持ち、まったく必要のない増税をゴリ押しする財務省を日本から排除すること」以外にはないのです。
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いつも楽しく読ませていただいております。
本文に「極論すれば、むしろ消費税の軽減税率こそが、『税の公平性』『税の簡素性』などの原則に反した違憲立法ではないでしょうか?」とあります。
このうち、「税の公平性」については日本国憲法第14条第1項に規定がありますが、「税の簡素性」については憲法の裏付けが無いように思われますが如何でしょうか?
(課税要件明確主義を指しているのであれば日本国憲法第84条に規定があります)
一般論としては、おっしゃる通りである(シンプルイズベスト)と思いますが、日本の租税法としては、法律が複雑になることに対し足枷は無いように思われます。
また、本文に「日本には『租税特別措置法』という『伏魔殿』のような税法が存在していて、所得税や法人税などの例外規定が大量に盛り込まれており」とあります。
しかし、例えば、有価証券に対する課税は租税特別措置法がないとできない事(昔は課税されていませんでした)など、もはや租税特別措置法は特別措置とは言い難い、本法に近い、根幹を成すものも含まれております。
ですので、租税特別措置法を十把一絡げに評価する書き方はよろしくないと思われます。
重箱の隅をつつくがごとき指摘、失礼いたしました。
海外ではイートインする場合でも会計時にテイクアウト専用容器に詰めて販売したりしてるみたいですね。
イートン脱税を発生させないためには、①会計時に「持ち帰り用」と記載のある袋に詰める。②一度、店外に出て再入店して貰う。などの方法もありなのかな?・・と思います。
私もここがわからないのですが、どなたか教えてください。
レジを通る時にはテイクアウトしようと思っていたので税率8%でした。しかし、そのあと店内を見て回っているうちにお腹がすいてきたので、イートインで食べていくことにしました。
これは、脱税になるのでしょうか。少なくとも会計時点で犯意はありませんよね。
そうか、そのような場合は、もう一度レジに行って、2%の税金を支払えということなのでしょうか。
でも、カズさんご指摘のように、一度店を出たような場合、あるいは、もっと時間を置いて翌日の再来店でイートインコーナーで食べた場合はどうなるのでしょうか。もっと思いつきました。別の店のイートインコーナーで食べたらどうなるのでしょうか。
隠居爺 様
これ、わかる人いるんでしょうか? (^^;
私も教えて欲しいですが、要は、会計時にはイートインかどうか未来が確定してないという話ですね。
逆にイートインで会計してから急用を思い出してテイクアウトしても差額は戻ってきません。
店員にしてみれば、会計処理と実際が違っても常識的な範囲なら何も言わず勝手にしてくれ、というところじゃないでしょうか。
日本は料金箱と取れたて野菜を置いておけばちゃんとお金を払ってくれる国ですから、きっと問題にはなりません。
ピークを過ぎたソフトエンジニア さま
>日本は料金箱と取れたて野菜を置いておけばちゃんと
>お金を払ってくれる国ですから、きっと問題にはなりません。
一般農家に損害を与えるようなことはできませんが、相手がこんな複雑な税制で国民に迷惑をかける日本政府や財務省となれば話は別です。
今後脱税をしても見逃されるようであれば、私などは率先して周囲にも脱税を勧めようと思います。
隠居爺 様
お気持ちはわかります。
ただ、子供たちに会計時のルールを教える時には下手な事が言えません。
そうすると、親もルール通りに行動するしかありません。
決して軽減税率の肩を持つわけじゃありませんが、ここを下手に歪めると例に挙げた「料金箱」が成立する社会ではなくなってしまうような気がしますし、難しい所です。
家で利用するパン屋さんや和菓子屋さんは出来立てをお店で食べられるための席がありお茶のサービスもあります。
買ったパン、和菓子の内、お店で食べる分だけ税金違う?
ピザ屋で店内で食べてお持ち帰りもするとかお店が大変になりますよね。
ホームパーティーでデリバリー頼んでそのお店の人も招待したら調理し始めちゃった。とかも実際にありました。
隠居爺様
消費税法では、以前より、事業者の意思の方向性で課税関係が変わる事があります。
その場合、消費税法基本通達11-2-20などにより、取引時の“状況”により行う事とされております。
この“状況”は、かなり広い範囲を指しており、取引の以前から取引年度末までを指します。
よって、消費税法の慣習に従うのであれば、会計時に持ち帰りで8%会計した場合、イートインで食する事も認められますし(取引時を状況としているケース)、レジに2%追加で払うことも認められますし(取引後を状況としているケース)、後日2%追加で払うことも認められます(取引年度末を状況としているケース)。
ただし、“社会通念上”、飲食物提供者の飲食設備で飲食したとされない場合は、軽減税率の適用になります。
本題に関係ありませんが、本文中に「軍部が暴走して戦争に」という言葉がありましたが、実際の史実を追ってみると、暴走したのは政府やマスコミで軍部は逆に抑えようといています。
有名なのは「重慶政府を相手にせず」と言った近衛首相や松岡全権大使が止めたにも関わらず連盟脱退を決めた内田外務大臣、上海事変で南京に進撃したとき、南京一番乗りの競争をさせたマスコミ等例は多くあります。
軽減税率は、財務省ではなく、公明党の仕業です。
低所得者対策なら、給付付き税額控除の方が適切。
軽減税率は、高所得者が食品を買う際に優遇する為のもの。
公明党関係者に、高額食品好きな人が多いのでしょうか?
麻原彰晃もメロン好きだった。カルト宗教団体共通の性質か?
イートイン対策の決定版は、モールのフードコートだろう。
テーブルや椅子は、モール所有であって、店が用意したものではない。
公園前の店で買って、公園のベンチで食べるのと、構造的には同じ。
ベンチは公園管理者所有であって、店が用意したものではない。
新宿会計士さま、更新ありがとうございます。
>日本の官僚機構とは、軍部が暴走して誤った戦争に突っ走った戦前と、本質的には何も変わっていないのかもしれませんね。
これは正にその通りです。軍も巨大な官僚機構で、本質的に国のためよりも組織のため、特に自分達が裁量できる予算枠を拡大することが目的化していましたし現在の自衛隊もその点はさほど変わりません。
むしろ現在の自衛隊で旧軍よりも拙いと感じるのは、それでも旧軍は戦争するのを前提としていましたから、実際に戦闘を行う作戦部隊でずっと最前線に立って務めた人間もちゃんと将官としていましたが、現在の自衛隊は極めて少数を除き将官にまで昇進する人は早目に作戦部隊から軍政畑(要するに幕僚監部)に移動して現場を離れた人ばかりという人事構造になってしまっています。ですから、例えば海上自衛隊の場合、護衛艦の花形であるイージス艦やF-35Bを積める軽空母化の改装話で喧しいヘリ空母いずもなどの艦長らを務める人はほぼ確実に将官にはなれず一佐(旧軍で言えば大佐)止まりで退役となるわけです。
ということで、軍部が暴走したのは軍部は巨大官僚機構だったからですよ。
利口な(つまり答えのある問題には強いが、賢いとも道徳的とも限らない)人材を集めた官僚機構は、本来の目的(国民や国家への奉仕)を忘れて組織防衛を目的とする組織へと簡単に堕落し、組織としてより多くの予算や権限を握ることが目的化して国家を滅亡の道へと導くのです。正に新宿会計士様がいつも書かれている「国民の敵」に官僚機構はなってしまうのです。
国税庁のQAを確認したどころ、イートイン脱税が横行した際に、国税庁からペナルティーを喰らうのは申し出を怠った消費者ではなく、適切に申し出させなかった小売事業者になるとのことです。軽減税率は最早、国家を挙げた盛大なギャグとしか思えません。
どうも、国民みんなで示し合わせてイートイン脱税するのがいいかもしれませんね。
みんながスピード違反をしているのを承知で警察も捕まえませんよね。そんな具合にしてしまえばいいような気がします。
結局、何年か経てば落ち着くところに落ち着くのでしょうね。いくら目くじらたてたってそのイートイン脱税ですか?完全にはなくならないと思いますね。先日こちらのカフェでテイクアウトと言いながらしっかり店内で食べてるジイさんがいましたな。レジのネーさん(おばさん)に「あの人テイクアウトって言ったのにあそこに座って食べてるよ」と言ったら、「もうレジ打っちゃったし、こんなに混んでていちいち注意してられない」ということで、つまらんこというなと言わんばかりに睨みつけられました(苦笑)。とは言いながらも基本的に多くの人は守ってますね。日本人は律儀な人が多いから、その傾向がさらに大きいかもしれませんね。その傾向の上で時間がたてばコンビニのイートインスペースなどはだんだん使われなくなってなくなるかもしれませんね。どなたか書いておられましたが、イートイン対策はフードコート方式が一番だと私も思います。そうすればレストランや食堂に入って食事する以外はすべてテイクアウトになるやも!?
さて、今日は寒いのでこれからイートインで昼飯食べてきます(オフィスで食べられたらテイクアウトなのですがねぇ)。
フードコートも軽減税率の対象にはならないという説明をしているサイトがありました。
みんなで無視して税金を払わないようにするのが一番いいような気がしますが、ダメですか?
上から目線の批判は受け付けません。キッパリ
隠居爺様
隠居爺様は脱税ジャア無かった節税を
奨励している様に見受けられます。
私は子供の頃から法律はやぶったらあかんと
思っていました。正直に言います。
但し、例外が3つ有ります。
タチション、スピード違反、脱税ジャアナカッタ節税。
人生は喜劇のヨウナモノと思っています。
脱税ジャアナカッタ節税シテ人生の最後を楽しみたいと
思ってます。
持論ですが、10%まで軽減税率は必要ありませんでした。
消費税の軽減税率もそうですが、私が不公平に思うのはふるさと納税です。これも税の「税の公平性」を著しく逸脱するものではないでしょうか?
だって同じ稼ぎでも、できる人とできない人、やる人とやらない人で納税額が違うって不公平です。
こんなことやれば、泉佐野市のような市が出てきても不思議じゃないです。
一刻も早くふるさと納税はやめるべし。
制度はシンプルな方がいいってのはそのとおりだと思うのです
軽減税率って、たしか低所得者の負担を軽減するためのものだったと思うのですが、買うときにあれは8%、これは10%みたいなややこしいことをするんじゃなくて、収入の少ない人には確定申告のときに持ってきたレシートの合計額から2%返金とかしちゃダメだったんでしょうか?
・・・割り勘するときも「幹事さんは税金戻ってくるから多目に払ってね」みたいなことになっちゃうかもꉂ(ˊᗜˋ*)
そうじゃなくても、お財布がレシートでいっぱいになるからダメですね(T_T)
じゃあ、マイナンバーカードに紐付けておけば、レシート無くしても大丈夫になるんじゃないかな |q'д')ハッ!!
ついでに買った店の情報も吸い上げとけば、脱税とか見つけやすくなったりして・・・・・ そういえば、あたしは、作ってなかったのです _| ̄|○ il||li
うん、もう軽減税率でいいですm(_ _)m
>受験秀才が実務を考える能力に優れているわけではないという典型例でしょう。
しかしながら、官僚という人種は、自己の責任逃れについては、悪魔的な才能を発揮します。鬼才揃いといっていいでしょう。
彼らは、基本として国会答弁で揚げ足を取られないこと、国会の場で責任を回避することを主眼にして仕事をします。だから、法律の条文が( )や、但しとかで、非常に使い勝手が悪いものになります(特に行政法や商事法)。しかし、官僚は自分が責任を問われ難くなるから、分かっていてこういう法案を作成するのです。法律が分かり易かったら、それは野党にも法案が分かり易くなることを意味するので、国会審議で突っ込まれます。また、法律を分かりにくくすれば、施行令や施行規則への委任が増えて、官僚の権限も増大します。特に行政法が、戦前から施行令・施行規則への委任だらけなのも、実質的権力を官僚が握るためです。
官僚を敵視すれば、解決する問題でもありませんが。それは、前回の政権交代でも明らかになりました。