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NHKがN国党念頭に「法的措置」のナンセンス

これぞまさに「国民の敵」でしょうか。産経ニュースによると、NHKの総局長が24日、「NHKから国民を守る党(N国党)」が政党要件を満たしたことを念頭に、「誤った理解を広めるような行為や言動については厳しく対処したい」と述べたそうです。一種の言論弾圧宣言でしょうか。NHKは視聴者に支持されているわけでもないくせに、曲がりなりにも選挙で選ばれた政党に対して「法的措置」とは呆れます。

NHKが「厳しく対処」

昨日の『N国党をどう見るか NHKと「国民の敵」論』のなかで、今般の参議院議員選挙に当選した「NHKから国民を守る党(N国党)」の立花孝志代表が「スクランブル放送化と引き換えに改憲に賛同する」と発言した、という話題を紹介しました。

これについて、さっそく、NHKが反応しているようです。

NHK放送総局長 政党要件満たしたN国に「誤った理解広めれば厳しく対処」(2019.7.24 18:41付 産経ニュースより)

産経ニュースによると、NHKの木田幸紀放送総局長は24日、「受信料制度やその公平負担について、誤った理解を広めるような行為や言動については、きちんと対応し、明らかな違法行為は放置せず、厳しく対処したい」と述べたのだとか(※下線部は引用者による加工)。

いったい何様なのでしょうか、この人物は。

そもそも論として、NHKは「国民(視聴者)に支持された結果、存在している組織」ではありません。あくまでも、放送法第64条第1項の規定に基づき、テレビなどの「受信設備」を設置した人から、なかば強制的に受信料を徴収することで成り立っている組織です。

放送法第64条第1項

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

NHKの場合は、極端な話、誰1人として見なくなったとしても、日本からテレビ設置者がいなくなくならない限りは、この放送法第64条第1項の規定に従って、受信契約を強要することができます(放送法の規定が「契約をしなければならない」になっているのがポイントです)。

通常だと、「買う人がいなくなればその会社は倒産する」という仕組みで成り立っていますが、NHKの場合は「視聴者の不視聴による倒産」が法的に実現しないという意味で、わが国が採用する自由主義経済の仕組みに明らかに反しています。

立花氏が率いるN国党が、政党要件を満たしたうえに国会に議席を得たこと自体、NHKの在り方に納得していない国民が一定数以上は存在している証拠です。

NHKにお笑いやクイズ番組は要らない

先ほどの産経ニュースの記事によれば、木田総局長は、次のように述べたそうです。

  • 視聴者に公平に負担してもらう受信料を財政基盤としているからこそ、暮らしを守る情報や、多様な番組を作るのが公共メディアとしての社会的使命
  • 受信料を支払っていない人は見られない有料スクランブル化は、NHKが果たすべき公共的役割や機能を根本から毀損する恐れがある
  • 公共放送の役割や受信料制度の意義について、十分ご理解いただけるよう、今後もしっかり説明していきたい

では、この木田氏のいうNHKの「公共的役割」とは、いったい何でしょうか。

じつは、この「公共的役割」という用語について、NHKはあまり具体的なことを主張していません。その理由は定かではありませんが、「公共的役割」の定義を追求していくと、NHKが現在行っていることが、明らかに「公共的役割」に反している部分が多々あるからではないでしょうか。

NHKの番組を調べていくと、ニュース番組や天気予報などは理解できますが、理解に苦しむ番組が含まれています。たとえば、アニメ番組やクイズ番組、あるいは大河ドラマなどは、民間のコンテンツ作成業者にでも提供できるものであり、果たしてこれをNHKがやる必要はあるのか疑問です。

あるいは国会中継については、NHKはしばしば特定の議員の質疑を打ち切ってニュースを入れる、ということをやります。「公共的役割」と言いながら、これだとNHK自身が特定の政治的主張を持っていると疑われても仕方がありません。

だいいち、「公共放送」とは、いったい何なのでしょうか?

「国営放送」というのならば、職員の給与水準は国家公務員並みに引き下げられるべきですし、「国営ではなく民間放送だ」というのならば、それこそ独立採算でスクランブル化すべきです。

公的な組織というわけでもなく、民間の組織というわけでもない。

両者の「良いところ取り」するNHKには、ガバナンスにも深刻な欠陥を抱えていると言わざるを得ません。

「厳しく対処」、これって言論弾圧では?

さて、産経ニュースによれば、この木田総局長という人物は、こんなことも述べています。

放送法や受信規約にのっとって適切に業務を行っている以上、法に照らして明らかな違法行為には厳しく対処したい/具体的内容は検討中だが、厳しく対処する。いろいろな可能性が出てくる

この「明らかな違法行為」が何を指すのかはわかりません。

暴力団関係者などの反社会的勢力が一般人を脅すときに、具体的なことには何も言及しないというテクニックを使いますが、まさかNHKの総局長がそんな手を使って来るとは、意外です。

ただ、もしNHKが自分たちを批判する勢力を「厳しく対処する」と言い始めたのならば、これは明らかにNHKによる言論弾圧のたぐいであり、絶対に許されません。むしろ、NHKと断固として戦おうとする人を増やす効果しかないでしょう。

それよりも強い違和感を抱くのは、NHKの姿勢です。

昨日も申しあげたとおり、立花孝志氏について、当ウェブサイトとしては現時点で確固たることを申し上げることはできませんし、「N国党は素晴らしい政党だ」とも、「N国党はポピュリスト政党だ」とも決めつけることはしません。

しかし、1つの確固たる事実を申し上げるならば、N国党は正当に実施された国政選挙で法律に定められた条件に従い、国会に議席を得るとともに政党要件を満たしたのですから、「有権者に選ばれた国政政党である」、といえます。

それを、正当に実施された選挙で選ばれたわけでもなく、正当な経済活動を通じて消費者から選ばれたわけでもないNHKが、「法的措置」を議論するとは、おかしな話です。とりわけ、産経ニュースの記事の末尾に掲載されている、木田総局長の次の発言には首をかしげざるを得ません。

与野党同席の場合、選挙結果や国政への参加の状況などを踏まえて、報道機関の自主的な編集権に基づいて判断する」。

この「報道機関の自主的な編集権」、聞こえはよいですが、言い換えれば、「国からも視聴者からも監視されずに、やりたい放題やる」、という意味ではないでしょうか。

こんな仕組み、放置するわけにはいきません。

そして、その弊害は各所に出ています。ここではその具体例として、世耕弘成経産相が発信された、こんなツイートを紹介しておきましょう。

先刻当省玄関でNHKがカメラを向け韓国意見書についてコメントを求めたので「精査中」と回答。/ちょうどいい機会のなので「NHKは輸出規制という言葉を使わず、今回の措置の正確な表現で、専門家の世界でも使われている『輸出管理』という言葉を使うべき」と指摘しておいた。報道で使われるだろうか?(2019/07/24 12:05付 ツイッターより

例の「韓国に対する輸出管理の運用見直し」を巡って、世耕氏はNHKに対し、わざわざ不正確な表現を使っていることについてチクリと指摘したのだそうですが、これもNHKの報道を監視する仕組みがないことの裏返しといえます。

いずれにせよ、今までのようにやりたい放題やるということであれば、やはり、「そんなNHKでも視聴したい」と思う人たちだけから受信料を徴収する方式に切り替えねばなりません。

また、それとは逆に、広くあまねく受信料を負担させるという仕組みを維持するならば、NHKが「誰もが認める公平な放送を行う放送局」であることを強制的に担保する仕組みが必要であり、あわせてNHK職員の人件費やNHKの受信料などについても大幅に引き下げるべきでしょう。

無理は続かない

もっとも、NHKがいくら受信料を強制的に集めようとしても、しょせん、無理なことは続きません。いつも当ウェブサイトで申し上げていますが、基本的に有権者や消費者が選択していない組織が大きな権力、社会的影響力を持つことは、社会正義に反するからです。

  • 選挙で選ばれたわけでもない官僚が偉そうにすること。
  • 選挙で選ばれたわけでもないマスコミ記者が国民の代表を騙ること。
  • 選挙で多数を得ていない野党が国会審議を妨害すること。

を許しておけば、民主主義国としての基盤が徐々に浸食され、いずれ日本の民主主義が機能しなくなります。

ただ、私たち日本国民は、官僚、マスコミ、野党議員らに良いようにされるほど愚かではありません。マスコミの偏向報道が通用したのは、今から10年前、2009年8月に実施された衆院選が最後であり、2012年12月に再び自民党への政権交代が発生して以来、野党は劣勢を挽回できていません。

このこと自体、日本国民が2009年の政権交代をしっかり反省したという証拠です。反省していないのはマスコミと野党の方でしょう。

そして、もう1つ、絶対に無視できない社会的変化があるとすれば、インターネット化が急速に進んでいる、という点です。

テレビをダラダラ見るよりも、新聞をバサバサ読むよりも、自分でインターネットに接続し、自分で情報を取りに行くことの方が、遥かに知的好奇心を刺激されますし、楽しいです。また、結論を押し付けてくる新聞やテレビと違って、インターネット空間では、自分自身で情報を発信することも許されています。

無名なただの中小企業経営者が運営するに過ぎない当ウェブサイトに、1日10万PV前後のアクセスがあるというのも、人々が知的好奇心を刺激する場を求めている証拠ではないかと思うのです。

もちろん、現時点でN国党を無条件に支持するつもりはありませんが、それでも、「少なくない有権者がNHKにNOを突きつけた」という事実の方が重要であり、もしN国党が期待に反して何もしてくれなかったとしても、次回の国政選挙では、自民党候補のなかにNHK改革に言及する人が出てくるかもしれません。

いずれにせよ、私自身も有権者の1人として、立花氏がこの6年でどのような仕事をするのか、期待半分、不安半分で見守ってみたいと思います(※もっとも、私自身は比例区でN国党ではなく、和田政宗氏に投票していますが…)。

新宿会計士:

View Comments (28)

  • NHKは殆ど視聴していないのですが、仕方なく受信料を口座振替で支払っています(泣)
    私も、今回の参院選ではN国党に投票しませんでしたが…
    今後の、彼らとNHKとの戦いを精査し、次回の選挙を見据えていきたいですね。

  • 毎日の更新お疲れ様です。NHKの独断性は異常ですが民放ニュースも似たり寄ったりですね。当家にはテレビはDVDやゲーム用でネットでニュースを拝見してます。NHKがたまに契約を迫ってきますがアンテナがないでしょで追い返してます。まあかなり遅い夜間に来るのは迷惑ですがね❗

  • 年々芸能人が増えてます。
    受信料が芸能人を芸能プロダクションを食べさせてます。
    本職のピークを過ぎた芸能人の意見をなぜ貴重な時間を割いて聞かないといけないのか?→見なくなる。

    NHKと新聞とってたらそれだけで9000円ぐらい?
    昔と違い、ケータイやプロバイダーにも払ってます。
    高い。

    とにかくNHKはコスパ悪いです。

  • おはようございます。

    NHKに関しては、選挙前に小生のブログに私の意見をアップしており、その際、この新宿会計士様の読者コメント欄でも紹介させていただきましたが、まだご存知ない方もいらっしゃるかと思い、再度ご紹介いたします。よろしければお立ち寄りください。

    それにしても、N国党に対するNHKの高飛車、高圧的な姿勢にカチンと来てしまいました。自分を省みる姿勢のなさは、まるで南北朝鮮ですね。

    「NHKを見ない自由」のない国日本
    https://ameblo.jp/fuchi-902/entry-12460253241.html

  • 私は以前からNHK が大嫌いです。2004年の不祥事の時、不払い運動に参加しました。いずれ払うつもりでお金は用意していましたが数年続けたのです。ところが集金人の昼夜を問わずの取り立てに腹が立ち、今日に至ります。罪悪感はありませんが、妻が嫌がります、ご近所に恥ずかしいと。私はもうしばらく待てと言い続けています。立花孝志さんのYouTubeは最初から見ています。信念を持って皆のために戦ってくださる、頭が良く度胸満点の男、これからも体に気をつけて頑張ってください。あんなに反対していた妻も選挙に行って2票投じてきました。私も諦めなくて良かったです。この十数年の鬱積が少しは晴れました。

  • 毎日の更新ありがとうございます。 
    既得権益の塊である、電波利権は、親中・従北勢力の浸透先と重なっています。
    電波利権を守るために、電波オークションを提唱する原英史さんや和田まさむね議員は狙われるのでしょう。電波は国民の大事な共有財産なので、親中・従北の反日勢力に都合よく利用されるのは正しくありません。
    主要国と同様に電波オークションにより、新規参入をはかり、既存放送局にも国民財産の利用料を応分に負担いただく必要があります。衛星放送のスクランブルを見ればわかるように、NHKのスクランブルは技術的には相当前から対応できます。民間の有料放送と同様に国民に選択自由を回復すべきと思います。 その際にはNHKは分割いただき、衛星放送のパッケージと同様にコンテンツを必要に応じて選べるようにしてもらいたいです。、報道や社会番組は、反日NHK(異民族と主体派制作 親中・従北番組)と、保守NHK(日本民族と保守制作 偏向なし番組)も選択できるようにして、局員も分けてもらいたいですね。エンタメやスポーツとかは、1民間有料放送局として、運営すれば良いでしょう。 

  • ワンセグの受信端末も受信料を徴収できるという判決については記憶に新しいところですが、ネット配信など後出しじゃんけんになる可能性のあるものは、少なくとも最初に「受信設備に該当しない」と明文化しておくべきと思います。

    そもそもアンテナを設置せずにテレビを置き、地上波を含まないコンテンツを見ていても、テレビを持っていれば「受信設備」です。疑問を持たない人はほとんどいないと思いますが、放送法に従えば受信料は発生します。
    それが実際にワンセグ携帯に拡大されたので、次はテレビを持たない層が増えた時にネットを狙い打ちする意図が見え隠れします(一応隠していますので)。

    仮に今、ネット配信を受ける設備(PC等)があるだけで受信料が発生するなどと言い出したら国民全員大反対ですので、裁判で負けないための明文化がどこかでできるのではないでしょうか。
    NHKが今言っていることなど全く信用できません。

    放送法をなんとかできるのが一番いいのは確かですが、次点ではNHKの受信料が発生しない受信設備の選択ができてしかるべきです。
    一つの選択がスクランブル放送ですが、これからは従来の「テレビ」の分類がもっと曖昧になります。
    しかたないので「NHK受信料が発生しない受信設備」の定義をするしかないのかなと思っています。

    • 自分で気になったので訂正しておきます。
      アンテナのないテレビは受信設備とみなされるか、という命題は受信不可能なので原則として否です。
      よって「放送法に従えば受信料は発生します」という表現は間違いでした。
      ただし、改めて調べてみましたが、結論はグレーゾーンです。どちらに転ぶか予断を許しません。

  • 日本国憲法第五十一条 [両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。]
    この条文により、古くは国会議員の嘘発言で貶められた為自殺した医師の遺族が起こした訴訟も、近くでは高須クリニックの嘘の風評を議員が発言した件も罪に問えなかった。
    捏造偏向協会NHKのおエラ方は憲法も知らずに?知らないフリして、民意で選ばれた国会議員に対して言論弾圧する、狂気の圧政者。

    NHKは放送法を錦の御幡にしてゴロ巻いてる。確かに悪法と言えども法は法、ならば現行法の土俵で戦わず、法改正に動けば良い。
    今の放送法の元は昭和25年に制定された。今から70年程前からの古びたカビの生えた現行法。世間の実情や国益にそぐわない点も多々出て来ている。今や人々はスマホで自由に情報を閲覧して、災害情報や選挙関連情報も得ている。公共放送云々以前にNET時代に放送の必要性そのものに疑問符が付く。
    今まで長期に渡り法改正に手を付けなかったのは、NHKにネガティブキャンペーンを遣られる事を恐れて来た、選挙恐怖症国会議員の怠慢その物。
    憲法でさえ改正が取り沙汰される昨今、悪法に近い腐敗法に成って来た放送法改正は待った無し。

  •  何時も興味深い論評を有難うございます。

     さて、NHKの木田総局長が

     ・受信料を支払っていない人は見られない有料スクランブル化は、NHKが果たすべき公共的役割や機能を根本から毀損する恐れがある

     とおっしゃっているのですから、受信料を払わなくてもNHKを視聴できると言うことですね。
     NHKが受信料の徴収を中止すれば徴収コストがかからなくなり、NHK-視聴者がwin-winになりますね。 

     

    • 追記です。
       木田総局長の上記の発言は、むしろ、受信料を徴収すること自体が「NHKが果たすべき公共的役割や機能を根本から毀損する恐れがある」と問わず語りに示しているのではないでしょうか。

    • スクランブルはいつでも簡単に外せますよね。

      だから、受信料を支払っていない人にも見せてかまわない、あるいは見てほしいような番組は、その時だけスクランブルを外せばいいだけなんですが。

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