本稿では『18ヵ国プラスアルファ、安倍総理が会談した相手国は?』などの続編として、G20サミットについて、「安倍総理が誰と首脳会談を実施したか」という観点から、現状の情報をまとめておきたいと思います。具体的には、G20や招待国などのなかで、「是非、安倍総理が首脳会談を実施して欲しい相手国」を26ヵ国特定したのですが、そのうち、外務省ウェブサイト上、安倍総理が昨日22時時点で会談を実施したと確認できた国は16ヵ国、実施していない国は10ヵ国です。
G20集合写真と個別会談
現在、大阪で開かれているG20サミットは、G20としては日本が主催する初の会合です。
6月28日に、安倍晋三総理大臣は参加した各国の首脳を迎え、集合写真を撮影しました。
大阪G20 記念写真(※クリックで拡大)
(【出所】G20ウェブサイト)
また、G20の全体会合だけでなく、個別に首脳会談も行われています。
今回のサミットに参加したのは、G20諸国と招待国8ヵ国・9機関のトップです(ただし、メキシコは例外としてアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が欠席し、マルセロ・ルイス・エブラル・カウサボン・メキシコ外相が代理出席しています)。
国の数でいえば、EUを「国」に含めれば28ヵ国であり、当ウェブサイトではこの28ヵ国のうち26ヵ国と首脳会談を行うべきだと申し上げて来たのですが、念のために大阪市ウェブサイトから、今回のサミット参加国、参加機関について再掲しておきましょう。
G20メンバー国…20ヵ国
- G7諸国:日米英仏独伊加+EU
- BRICS:ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
- 地域有力国:アルゼンチン、オーストラリア、インドネシア、メキシコ、南アフリカ共和国、サウジアラビア、トルコ
- (その他:韓国)
招待国・招待機関…8ヵ国/9機関
オランダ、シンガポール、スペイン、ベトナム、ASEAN議長国(タイ)、AU議長国(エジプト)、チリ(APEC議長国)、セネガル(NEPAD議長国)、国連(UN)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)、国際労働機関(ILO)、金融安定理事会(FSB)、経済協力開発機構(OECD)、アジア開発銀行(ADB)、世界保健機関(WHO)
特定した26ヵ国中、個別首脳会談を行った相手国
ここでは、当ウェブサイトが「是非、首脳会談を実施すべきだ」と考えている相手国は、G20のうち「G7」「BRICS」「地域有力国」の合計18ヵ国(※)と招待国(8ヵ国)の、合計26ヵ国です(※当たり前の話ですが、ここに日本自身は含まれません。また、EUは「国」にカウントしています)。
ここで、この26ヵ国昨日夜22時時点で外務省ウェブサイトに掲載された情報をもとに、首脳会談の実施状況をまとめておきましょう(図表1)。
図表1 昨日22時時点の首脳会談の実施状況
相手国 | 会談日時・時間 | 形式 |
---|---|---|
米国 | 6/28 08:35~約35分間 | 首脳会談 |
英国 | 6/28 11:05~約20分間 | 首脳会談 |
フランス | 6/26 17:20~約90分間 | 都内での個別首脳会談 |
ドイツ | 6/27 09:50~約15分間 | 首脳会談 |
イタリア | ||
カナダ | ||
欧州連合(EU) | 6/27 11:45~約40分間 | ワーキングランチ |
ブラジル | ||
ロシア | ||
インド | 6/27 13:50~約20分間 | 首脳会談 |
中国 | 6/27 19:36~約130分間 | 首脳会談と夕食会 |
南アフリカ | ||
オーストラリア | 6/27 17:50~約30分間 | 首脳会談 |
アルゼンチン | 6/27 14:25~約15分間 | 首脳会談 |
インドネシア | 6/28 短時間 | 集合写真時の立ち話 |
サウジアラビア | ||
トルコ | G20後に会談予定 | 都内での個別首脳会談 |
メキシコ | ||
オランダ | ||
シンガポール | 6/28 17:25~約10分間 | 立ち話 |
スペイン | 6/28 14:50~約15分間 | 立ち話 |
ベトナム | ||
タイ | 6/28 16:15~約20分間 | 首脳会談 |
エジプト | 6/27 16:40~約15分間 | 首脳会談 |
チリ | ||
セネガル | 6/27 12:45~約10分間 | 立ち話 |
(【出所】外務省HP)
実質、あと4ヵ国
この26ヵ国のなかで、現時点で会談が行われた国・会談が確定している国は16ヵ国であり、会談が行われていない相手国は次の10ヵ国です。
- G7のなかではカナダ、イタリア
- G20(G7と韓国以外)のなかではブラジル、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、メキシコ
- 招待国のなかではオランダ、ベトナム、チリ
ただし、次の産経ニュースの報道によれば、この10ヵ国中、南アフリカ、ブラジル、ロシアの3ヵ国とは29日に個別首脳会談が持たれるほか、G20終了後の7月1日にベトナムと会談が行われるそうですが、サウジアラビアとの会談は記事の時点で調整中としています。
安倍首相、G20で19カ国・機関の首脳と会談へ 韓国の文大統領とは見送り(2019.6.25 21:30付 産経ニュースより)
ということは、今回の参加国の中で、首脳会談・立ち話などがまだ行われていない国、まったく未定の国は、サウジアラビア、メキシコ、イタリア、カナダ、オランダ、チリの6ヵ国です。
ただし、イタリアとカナダはそれぞれ今年4月に安倍総理が相手国を訪問しての首脳会談が行われていますので、最悪、今回のG20で首脳会談が行われなかったとしても、そこまで大きな問題になるとは思えません。
ということは、この6ヵ国中、まったく首脳会談の予定が決まっていない(あるいは首脳会談の予定が報じられていない)国のなかで、注目すべきはサウジアラビア、メキシコ、オランダ、チリの4ヵ国だといえます(図表2)。
図表2 昨日22時時点でまだ首脳会談を行っていない相手国
相手国 | 会談日時・時間 | 備考 |
---|---|---|
イタリア | 4月24日に実施済み | 安倍総理が相手国を訪問 |
カナダ | 4月28日に実施済み | 安倍総理が相手国を訪問 |
ブラジル | 6月29日午前に実施予定 | 産経ニュース報道 |
ロシア | 6月29日午後に実施予定 | 産経ニュース報道 |
南アフリカ | 6月29日午前に実施予定 | 産経ニュース報道 |
ベトナム | 7月1日に実施予定 | 産経ニュース報道 |
サウジアラビア | 実施に向け調整中? | 皇太子が代理出席 |
メキシコ | (未定) | 外相が代理出席 |
オランダ | (未定) | |
チリ | (未定) |
(【出所】著者調べ)
とくに、サウジはイランとの関係で重要ですので、安倍総理には何とかしてサウジの皇太子と話をしていただきたいと思いますし、オランダ、チリとの首脳会談は立ち話でも良いので実施して欲しいところです。
また、メキシコについては会談が見送られるのは避けたいところではありますが、どのみち大統領自身が欠席しており、外相が代理出席していますので、安倍総理ではなく河野太郎外相が「日墨外相会談」をやるのかもしれません。
(※なお、「代理出席」という意味では、サウジアラビアの場合も厳密には国王ではなく皇太子がやって来ているため、「代理出席」と言えなくもないと思いますが…)。
G20で2回目の日米印3ヵ国会談
さて、日米といえば、4月の安倍総理訪米、5月のトランプ氏の国賓訪日に続き、今回、3ヵ月連続での首脳会談実施の運びとなりました。日米両国が、かつてないほど強く結びついていることは、間違いないでしょう。
もちろん、日米間には貿易協議などの様々な問題がありますし、また、日米同盟は非常に片務的なものであり、将来にわたり、さまざまな課題があることも否定できません(『「イラン攻撃中止に日本が関与」説を提示してみる』等参照)。
しかし、その一方で日米両国の関係は意外な深みが出ています。その象徴が、「日米印」「日米豪」といった、日米を基軸にした複数国の首脳・閣僚級・高官級会談です(「3ヵ国会談・協議」、あるいは「4ヵ国会談・協議」など)。
「米国を入れて3ヵ国で会談をしている相手国」という意味では、少し前までは韓国でしたが、最近はインドやオーストラリアが増えています。実際、今回のG20では前回のアルゼンチンでのG20サミット(2018年11月30日)に続き、2回目の日米印首脳会談が行われました。
日米印首脳会談(令和元年6月28日付 外務省HPより)
ほかにも、昨年11月13日には日米豪3ヵ国での首脳会談が行われましたし(外務省HP『日米豪首脳会談』参照)、閣僚級、あるいは高官レベルでの協議も実施されています(たとえば昨年11月15日の『日米豪印高官級協議』など)。
今回のG20でも「安倍外交」を余すところなく示しており、心強い限りだといえるでしょう。
View Comments (6)
インドネシア 6/28 短時間 集合写真時の立ち話
これは、映像を見ても分かるように、
会談に入れるべきではないと思います。
ぁ様
インドネシアを数に入れたのは、主様の深謀遠慮かと予想します。全て終わった時に立ち話すら無かったのは…と言う伏線(笑)
そして韓国メディアは謎の上から目線で、格下の国ですら立ち話での会談はしたのに、韓国は…安倍はけしからん…と言う流れ(笑)
サウジは次回の議長国ですし、今回の取りまとめも兼ねて一番最後の会談になるんじゃないですかね
あっ!(その他:韓国)括弧で括られてしまった(汗)
こういう観点から整理してもらうと「国益」という立場から長い時空を含めて最大限の努力をしている日本と、メンツだけど重視し、アリバイ証明的証拠を残そうとする彼の国の差が歴然としてきますね。河野さんも、あの会議により、議長である総理が議長としても日本国総理としても立ち話すら意味がないことを示す仕事をし、ボールの所在が相手にあることを再確認し、かつ、相手の「メンツ?」も満たす仕事をしました。良い連携かと。皇室も新たなソフトパワーを持ち、上皇陛下と異なるスタイルを出しており、これからの困難な時代にあっても、危機感はの対応にチカラを与えてくれています。
「憲法9条を日本に押し付けたアメリカがご都合主義で今度は改正しろて勝手すぎる」
旨主張する人々は、米国民主党と米国共和党の違いを理解してるのでしょうか?
〔参考〕
憲法9条を日本に押し付けたのは米国民主党。自国憲法に「9条」は無いのにっ
米国共和党は、日本が一人前の国になることを望んでます。
https://ta9as1.web.fc2.com/fkadaTakmi.html