本日の「速報」です。(なぜか)日本経済新聞も「今月公表される予定の国連安保理専門家パネル報告書」の内容を報じているのですが、そのなかに、北朝鮮が5億ドル相当の仮想通貨窃盗に関わっていた、とする内容が含まれているのだそうです。なぜ日経がこれを報じたのかという論点も大事ですが、それと並んで、これから公表されるパネル報告書の内容については、否が応でも注目せざるを得ません。
仮想通貨のいかがわしさ
「ビットコイン」で有名になったのが、「仮想通貨」です。
これは、分かりやすくいうと、主にインターネット上で「ブロックチェーン」などの技術を活用して取引される「通貨のようなもの」のことです。
私個人的には、この「仮想通貨」という表現は実態を正しく示していないと考えていますし、暗号化技術を使っている通貨の一種であることから、「暗号通貨」などと呼ぶ方が妥当ではないかとも思っています(実際、英語では “criptocurrency” と称されるようです)。
ただ、わが国では「仮想通貨」という名称が一般化し、金融庁などの監督官庁も「仮想通貨交換業者等」などと呼称しているようですので、本稿以降は当ウェブサイトもこれを「仮想通貨」と呼ぶことにしたいと思います。
私がなぜこの「仮想通貨」に注目しているのかといえば、その理由は2つあります。
そのうちの1つは、「仮想通貨」に群がる人たちと、「仮想通貨」そのものいかがわしさです。
仮想通貨そのものが「事実上の市場で激しい値動きをする商品である」という事実に照らせば、本来、これを金融商品取引法(金商法)の網にひっかけて規制するのが筋でしょう。しかし、現時点においては、これらは資金決済法という法律でしか捕捉されておらず、金商法の網はかぶせられていません。
また、よく「仮想通貨取引所」というものがありますが、これは別に金融商品取引法上の「取引所」ではありません。なかにはかなり杜撰な業者も多いらしく、仮想通貨が世の中で大々的に取引されるようになった現代において、信じられないような事件も頻発しています。
仮想通貨の流出事件といえば、当ウェブサイト開設後にも「NEM」(ネム)と呼ばれる通貨が大々的に窃盗されたという事件がありましたし(『【夕刊】580億円窃盗事件:暗号通貨を金商法の対象にせよ』参照)、それ以前にも、2014年にはマウントゴックス社が経営破綻したという事件がありました。
ブロックチェーンという新技術の可能性
ただし、新しいテクノロジーというものは、得てして正の側面と負の側面を併せ持ちます。
ブロックチェーンとは、一種の分散型台帳のようなものですが、分かりやすくいえば、その通貨のすべての取引記録を「ブロック単位」で束ねた電子帳簿のようなものであり、かつ、ブロックを結合する際に固有の値が生成され、取引記録が1ヵ所でも偽造されたら値そのものが変化してしまう、という特徴があります。
このため、取引記録が長くなればなるほど偽造が困難となりますし、また、取引の安全性も高まります。
このブロックチェーンの技術を活用して、世界銀行が昨年8月に発行したのが “Bond-i” (ボンド・アイ、ローマ字のiはイタリック体)だそうです。
世界銀行、世界初となるブロックチェーンを活用したグローバルな債券発行により1億1千万豪ドルを調達(2018年8月24日付 世銀HP日本語版より)
リンク先の記事を読んでも、今ひとつ、どんなテクノロジーが使われているのかはよくわかりませんが、いずれにせよ、何やら凄い債券が発行されたらしい、ということは何となくわかります(ただ、世銀債がブロックチェーンの技術を必要とするほど頻繁に取引されるものとも思えませんが…)。
要するに、ブロックチェーンの技術は、偽造困難な取引記録に活用可能であるということであり、この世から仮想通貨が滅んでも、ブロックチェーン自体はなくならないと思うのです(※ただし、この論点についてはあまり本稿の議論と関係ないので、このくらいにしておきましょう)。
やはり、北朝鮮が盗んでいた!?
ところで、昨年のNEMの流出事件には、どうも北朝鮮が関わっていたのではないかとする疑いがでています。これについては当ウェブサイトでも昨年2月に『【夕刊】暗号通貨窃盗事件続報と犯罪国家・北朝鮮』で取り上げたのですが、その「続報」が、約13ヵ月ぶりに出て来ました。
北朝鮮、仮想通貨5億ドル超奪う 国連報告独自入手【イブニングスクープ】(2019/3/8 18:00付 日本経済新聞電子版より)
日経によると、国連安保理で今月内にも公表される専門家パネル報告書の「全容」が「日経独自取材」により明らかになったのだそうです。報告書には
- 北朝鮮が経済制裁を逃れて外貨を取得する主要手段としてサイバー攻撃を強化している
- 2017~18年にかけ仮想通貨交換業者への攻撃で推計5億ドル(555億円)超の被害が出た
などと記載されているのだとか。
未公表の報告書を、なぜ日経が入手しているのかはわかりません。
ただ、安倍政権に近いと思われる産経新聞に加えて、『【速報】リーク記事?また出た国連北朝鮮制裁パネル報告書』などでも触れたとおり、さしたる取材力もないと思われる(失礼!)某メディアなどもこの報告書の内容を報じているため、この記事の情報源も日本政府による日経へのリークなのでしょうか?
それはともかく、日経が報じた「推計5億ドル」とは、昨年1月に流出したNEM(流出時点の時価約580億円)と金額的にはほぼ整合していますので、おそらくNEMのことを指していると考えて間違いないでしょう。
北朝鮮がなくなって困る国があるのか?
先日の『最大の焦点は「北朝鮮がどれだけ困っているか」』でも申し上げましたが、北朝鮮といえば、次のような行為を行っている国です。
- 日本人拉致
- 覚醒剤・麻薬などの製造
- 強制収容所における北朝鮮人民の人権弾圧
- 国際保険市場における保険金詐欺
- 贋札の製造、使用
- 北朝鮮出身派遣労働者の低賃金・長時間労働
- 核兵器、生物・化学兵器、ミサイルの製造
- 外国で毒ガスを使って要人を殺害
北朝鮮は、世界経済に対して一切の付加価値をもたらさないだけでなく、むしろ、強いマイナス影響を与えている国です(その北朝鮮を事実上、幇助する韓国も、共犯といえるかもしれませんが…)。したがって北朝鮮との国交正常化など言語道断です。
いや、自由と民主と法治と人権を愛する地球市民という立場に立てば、独裁者・金正恩(きん・しょうおん)に対しては、刑事犯として国際法廷の場に引きずり出して裁きを与えるべきだという以外に申し上げることはありません。
この北朝鮮の犯罪リストにサイバー空間でのハッキングによるマネー・メイキングが入るとなれば、まさに北朝鮮は人類の敵です。
そのことを、私は何度でも強調したいと思います。
View Comments (15)
>北朝鮮がなくなって困る国があるのか?
たとえば、この国と武器取引しているかもしてないイラン。民族の正当として、この国を慕っている韓国(文在寅政権だけかもしれませんが。)
民主主義陣営への壁(笑)としたい中国とか。あるみたいです。
トランプさんは「北朝鮮には潜在的な能力がある。」って褒め上げていましたが、たとえ、あったとしても金王朝の下では永遠に発揮できないでしょうね。
世界でも屈指の地下資源を持ち、日本が戦前にいろんな施設を差し上げたにもかかわらず、犯罪以外のなにも生産していないなんて。驚くべき能力ですね。
仮想通貨ですか。
正直、仮想通貨はわからない(笑)
マイニング?掘削?なに?なに?ってな感じです。
でも、こんな私でも一応は理解しようと、昔は勉強した時期はあったのです。
ですが、とうとう理解できずに諦めてしまいました。
今では、東急ハンズで買ったビットコインの玩具をキャバクラで「これが今話題のビットコインだよ、今40万円もするんだぞ」とか、わざと泥を付けて「昨日採掘したビットコインだ」とか言っては遊んでます。
渋谷の仮想通貨バーでビットコイン一枚出して「バーボンくれ」とか言ってみようか…とかも思いましたが、このご時世、バカにしてるのか!と怒られそうなので、できないでいます(笑)
ちなみにネットで出回っているビットコインの写真は小石川の装飾店が特注で作ってくれるそうです(笑)
ところで、仮想通貨には手を出さない方がいいです。
私の結論ですが、仮想通貨を理解しようとしない方がいいという意味です。
あれはプロのファンドマネージャーでも正確に理解してる人は、たぶん、いないと思います。
JPモルガンのダイモンCEOが「ビットコインは詐欺的商品だ、ビットコインを取り扱っているディーラーは首にする」と言ったのは2019年9月のことでした。
この時1BTC/円は45万円でした。
その3か月後、ダイモンCEOはこの発言を撤回しました。
この時、250万円に上がってました。
そして今ではまた暴落して40万円です。
JPモルガンCEOが遊ばれてます。
素人には運用不可能です(笑)
とてもじゃないが、仮想通貨は普通の商品じゃありません(笑)
ってことで本題に入ります。
主さまが話題にされてるコインチェックの550億円NEM盗難事件ですが、あれは北朝鮮が犯人じゃないと思いますよ。
理由は、犯人は闇サイトで他の仮想通貨と交換することで、全額売り抜けたみたいですが、なんとその交換サイトには、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とみられる人物が、札束に囲まれて「Thank you!!!」と書かれた画像が貼られているそうです。
本当に犯人が北朝鮮なら、こんなアホなことはしないですよね(笑)
私は相場が好きなんで、もっぱら最近はビットコインの価格をウォッチするだけですが、思えばいろんな人が昔はビットコインに遊ばれてました。
「ビットコインはバブルだ」と言ってた人は大勢今したが、私は思うんです、経済評論家って本当に無知で無責任だって。
例えば三橋貴明さん。
2017年7月の時点で「バブルだ」と言ってましたがこの時は25万円、12月には250万円にまで上がりましたから、彼がバブルだと叫んで10倍になってます。
彼を信用して慌てて売った人はさぞかし彼を恨んでるでしょう。
ましてやビットコインも空売りができるので、もしこの人の言葉を真に受けて、空売りでもしてたら大変な事になってるでしょう(笑)
また、経済雑誌ZAIで為替の解説をしている陳満咲杜さんのケースでは、2017年9月1日号で「ビットコインはバブルだ」とZAI紙面で言っています。
ですが、この時は、まだ40万円なんです。
よって、この人の予想も大ハズレなわけです(笑)
もっとも、本人たちは外れたとは思ってないでしょう。
だって年末に250万円に上がって、今は40万円に暴落してますから、ほらバブルじゃないかってなもんです。
酷いもんですね専門家って(笑)
あとホリエモンのパターンも酷いですね。
この人は逆パターンです。
この人、ずーと昔から仮想通貨は有望だといい続けてるんですが、2017年12月の1BTC250万円の最高値の時でも、ビットコインは急速に普及するといい続けていました。
投資本も出してます。
そして、今40万です。
でも、暴落した今でも、まだ仮想通貨を奨めています、もう病気です(笑)
本当にこの仮想通貨ってなんなんでしょう。
また最近の動きはおかしいんですよ、なんか誰かが買い支えてるのか、40万円から下がらないんです。
面白いですね。
仮想通貨は少し怖い。
いくら、通貨というのは、信用だって言ったって、信用のない所が発行している通貨なんて、信用ないでしょ。
何言ってるんだろ、私。
カニ太郎様
>「ビットコインは詐欺的商品だ、ビットコインを取り扱っているディーラーは首にする」と言ったのは2019年9月のことでした。
ん?2019年9月・・。未来日?揚げ足取りなら、ごめんなさい。結構真剣に読み込んでいるので。
あっほんとだ(笑)
すいません間違いました。
2017年9月の間違いです。
ネタ元はこれです。https://jp.wsj.com/articles/SB11839847107728024442804583389190421871874
それで、撤回したのがこれです。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-09/P2ALLWSYF01T01
「カニの揚げ足はフライにすると美味しい」 メモメモ
カニ太郎さんへ
"仮想"通貨どころか、
"通貨"自体が理解出来ない
どうして、"通貨"を信じれるのか?
サッパリ分からん
かにたろうさん
お詳しいですね。
仮想通貨はマネロンのためにあるようなものですし、ダイモン社長がいうように、本質は詐偽ですね。金融庁も審議会で仮想通貨は、本質的な価値を有さない旨をいっています。ダイモンさんが発言を撤回したのは、批判や訴訟に対応するのが面倒だからで、心の中では詐偽だと未だに思っているでしょう。実効的なマネロン対策が不可能なように作られていて、猫組長も山口組でマネロンに使った旨を本で書いてますよね。三橋さん(炎上商法は好きではありません。)が25万でもバブルといったのは、私も同じ見解です。金融機関の知り合いに対しては当初から手を出すなと伝えています。詐偽商品に金融機関が手を出すのはコンプラ上大問題ですし、マネロンで多額の罰金リスクも生じます。自分は何年も前からそういう風に執筆物でも勇気をもって書いています。
あと、価格はいずれ25万以下に下がると思います。各国の規制強化により仮想通貨の環境は不可逆的に変わっていますので。
匿名さんへ
仮想通貨も米中対立の戦場ですよね
仮想通貨を普及させたい中共vsFRB
もう後戻りできない闘いだと思ってます
>鞍馬天狗さん
仮想通貨の保有者全員を取引時確認できるならOKですよね。
欧州は、仮想通貨の保有者全員の名簿を交換業者に作らせる方向で進んでますよね。
リストにのっている人以外に対する仮想通貨の送金は認めないなどとすれば、
ある程度は、対策が可能です。
なお、FATF勧告でも、仮想通貨と、電子マネーが、一体として、
virtual assetとして議論されています。
電子マネーにも、取引時確認が義務付けられたり、これから、どんどん規制が強化されると
思います。で、仮想通貨は、外為法の適法性確認義務の規制もかからず、現金等の持出規制も
適用されず、ゆるゆるですが、こういう状態は、もっと厳しくなると思います。
FRBだとか、そういうことをいって、仮想通貨の値上げを画策しようとしている人たちが
いますが、大体そういうひとは、仮想通貨の会社を経営していたり、関係者であったり、
仮想通貨を保有していたりします。
そういう人にのせられて投資で失敗するのは、大体は、一般消費者です。
金融庁も、Fintechとかいって、仮想通貨のバブルを助長し、その後の被害を作った
責任があると思います。
マネロン対策で、二十社近く行政処分などというのも、ほんと、すごいですよね。
鞍馬天狗さんも、もし、仮想通貨をもっているなら、早く売り抜けた方がいいと思いますよ。
短期的にはあがるのかもしれませんが、長期的には、値下がりすると思います。
大体、ビットコインも、いずれは、発行をやめるといっている訳ですし、
マイニングする人がいなくなったら、機能しなくなって、無価値になるんじゃないですか?
規制強化の動きにより、値下がりの時期は、発行停止よりも、かなり前だと思いますが。
そして、仮想通貨を買ったり、促進することで、テロ組織や、北朝鮮や、やくざ等を助けているということを、買う人には、考えて欲しいですね。
ISISも、仮想通貨で組織内の送金をしていましたし、北朝鮮も、韓国の仮想通貨交換業者を
ハッキングして、何十億ももうけたなどと報道されています。
匿名さんへ
>仮想通貨の保有者全員の名簿
が公正で有ると云う担保が有りません
ChineseBoxパラドックスです
出てくる反応が正しく見えても
中身が正しいとは限りません
しかし、北朝鮮が国連に居座り続ける神経はすごいなあといつも感心します。
国際連盟脱退なんぞしでかしたお馬鹿な昔の日本の外交官と気合いが違う。
現在もIWC脱退に喝采を送っている国士様が多いようですが、実態はこのようです。
https://webronza.asahi.com/science/articles/2018122500004.html
りょうちんさんへ
クジラは、良質なDHA、EPAが豊富で、
ヘム鉄、ビタミン、タンパク質の宝庫です
しかも、非加熱で食べれるので栄養を損なわない
レバーなどと違って、過剰症の心配もない
超健康食です
取り上げられないのが不思議ですけどね
参照先が朝日サイトじゃ、どうでもイイ
と思う人の方が多いと思いますよ
よく言われるように、絶滅が危惧されるほど乱獲したのは他ならぬ英米なんだけどね。中でもアメリカの捕鯨は最盛期が1840年代。ちなみにメルビルの『白鯨』は1851年の作。オホーツクや北極海まで進出してたから、遭難した乗組員が択捉に漂着することもあった。
そのヒゲまで無駄にせず、クジラを海の幸と崇める「食文化」の日本と違って、彼らの捕鯨の目的はもっぱら「鯨油」。大昔ならアングロサクソンだって食ってだろうに、当時は腐りやすいと肉は捨てた。
捕鯨船の難破船員の保護や、薪や石炭、水、食糧補給の寄港地を要求したペリー、総領事ハリスらと日米修好通商条約を結んだのが1858年。こうして開国・幕藩体制崩壊へと歴史の歯車は回転し始める。
その60年ほど前にホイットニーが発明した綿操り機の活躍もあり、アメリカ南部では黒人奴隷を使った綿工業が発展。捕鯨業の隆盛はこのアメリカ産業資本を支えるものだった。
では鯨油は何に使われたのか?綿製品の需要が拡大し、工場は昼夜ぶっ通し24時間フル操業。で、この時の「夜間照明用の灯油」に使われたのだ。獣油より質が良かったのでというのだが、これ聞いた時、わたしゃ思わず膝カックンしたね。
だが1860年代には油井がペンシルベニア州で掘り当てられ、石油が鯨油に替わると捕鯨は衰退。エジソンの電灯の普及は1880年代から。ま、要はわたしらが履いてるジーンズ作るために黒船が浦賀にやって来て、めぐりめぐって明治維新になって今に至るわけだ。
一行要約
1.ジーンズが導いた明治維新はロケンロールだ!
https://www.youtube.com/watch?v=AlSjx6F5Pl8
外国から奪わないと成立しない国。