民主主義を信じる

本日2本目の記事です。当ウェブサイトではコメント自由とさせていただいているのですが、ときどき、ヘンテコなコメントが湧くようです。

現実的改憲論

拉致問題解決と

日本国憲法が成立し、施行されてから、すでに70年以上が経過します。この憲法を巡っては、「護憲派」と呼ばれる人たちからは「平和憲法」と絶賛される一方で、保守派を中心に、さまざまな欠陥があるとの指摘が絶えません。

私自身は、このようなウェブサイトを運営しているため、世の中からは「保守派」あるいは「ネトウヨ」と思われているようです。しかし、意外に思われるかもしれませんが、日本国憲法について私は、良い部分もたくさんあるため、全否定すべきではない、と考えています。

具体的にどこが良くて、どこが悪いのかについて、言いたいことはたくさんあります。ただ、これについて話し始めるときりがありません。「現実的改憲論」について詳しく知りたいという方は、今年1月に執筆した『改憲議論の前に:現実的改憲論の勧め』という記事あたりを参照して下さると幸いです。

ところで、昨日は当ウェブサイトにシャープな意見を寄せて下さる「歴史好きの軍国主義者」様から頂いたコメントを基に、『拉致事件の解決は、「情けない」では進まない!』という記事を掲載しました。

私の勝手な理解ですが、「歴史好きの軍国主義者」様と私は、アプローチが違うだけで、「日本国民は日本人拉致問題を自分たちの問題と位置付け、何としてでも解決するという意思を持たねばならない」、という点については、おそらく意見の一致を見ているのだと思います。

しかし、この記事に対して、今度は匿名のコメント主様から、こんなコメントを頂きました。

ここのブログ主の間違いは民主主義を過信していることだ。だが、現代のようなフニャフニャな日本国民に国家を運営することなど出来ない。ここは天皇陛下御親裁による天皇陛下を中心とした大日本帝国の復興を目指すのが正しい。今すぐ日本国憲法を無効し、国会を解散させなければならない。

ここでは文法の間違いなどをあえて修正せず、原文のまま転載しております。このコメントのどこが問題なのでしょうか?

当ウェブサイトへの悪口は結構。民主主義の否定は「?」

このコメント主様は、自信満々で、「ここのブログ主」(つまり「新宿会計士」)は「民主主義を過信している」と批判されています。

たしかに、民主主義とは非常に脆弱なシステムです。考えてみれば、あの「ナチス・ドイツ」も、第一次世界大戦後にドイツで成立したヴァイマール共和国の民主的なシステムを通じて選ばれた政党です。また、現代の韓国のように、どうも大統領になってはならない人物が大統領に選ばれてしまう国もあります。

その意味で、私が「民主主義を過信している」というご批判については、どうぞご自由に繰り広げてください。この点については1つの意見として承ります(ただし賛同はしません)。しかし、「現代のようなフニャフニャな日本国民」という下りについては、少し日本国民のことをバカにし過ぎではないかと思います。

「天皇陛下御親裁」、「天皇陛下中心の大日本帝国」とありますが、まことに失礼ながら、コメント主さんは大日本帝国憲法の原文をお読みになったことはありますか?

大日本帝国憲法では「天皇親裁」、あるいは「天皇独裁」だったと勘違いする人は多いのですが、これは大いに間違いです。確かに天皇には非常大権(第8条第1項)が与えられていましたし、見た目は非常に強大な権限が集中していた(第4条)ような錯覚もあります。

しかし、実際には帝国議会の力はかなり強く、法律を作るためには、すべて事後的に帝国議会の承認が必要です(第8条第2項、第37条)。そして、現実に明治、大正、昭和の3代の天皇が、帝国議会を停止して自分の思うままに政治を行ったという実例はありません。

大日本帝国憲法は民主主義、法治主義の塊

もちろん、現代的な価値観から見れば、大日本帝国憲法にはさまざまな欠陥があります。たとえば「内閣」という言葉が出て来ませんし、三権分立の仕組みも未成熟です。

しかし、帝国臣民は「法の定める範囲での自由」(第22条、第28条、第29条)を享受していましたし、私有財産制も確立しており(第27条第1項)、さらには帝国議会は衆議院が選挙制とされており(第35条)、衆議院解散という規定(第45条)も大日本帝国憲法時代から存在していました。

さらに、極端な話、天皇や政府、帝国陸・海軍ですら、帝国議会が作成する法律や予算に縛られていたのです。ということは、現代の日本が日本国憲法下で採用する、自由・民主主義・法治主義については、すでに大日本帝国憲法下で存在していたのです。

日本国憲法下では、男女同権、基本的人権の不可侵、門地・信条などによる差別の禁止などが織り込まれているのですが、その日本国憲法がすんなりと日本人に受け入れられた理由は、ベースとなる自由、民主主義、法治主義の考え方が大日本帝国時代から存在したためだと考えて良いでしょう。

そして、憲法を停止し、国会を解散するという考え方だと、選挙によらないで大統領を引きずりおろした、未成熟などこかの国とやっていることはそっくりです。

当ウェブサイトにコメントを下さるのは結構ですが、そのようなレベルの低いコメントだと、当ウェブサイトを訪れて下さる他の読者の方々から一瞬で論破されるか、もしくは「単なる釣りコメント」と認定されて無視されるのが関の山だと思います。

ワープもボーナスステージも存在しない

ところで、私はいくつかの評論サイト、個人ブログなどを愛読しているのですが、そのなかでいたく共感したのが、次の下りです。

誰だっていまの日本の状況を知れば、どれだけ酷い状況であるのかと暗澹たる気持ちになったりもするでしょう。ですが、どれだけ焦ろうと、物事は一足飛びでは進まないのです。現実の世界ではワープもボーナスステージもありません。一つ一つ積み上げていくしかないのです。

この文章は、『パチンコ屋の倒産を応援するブログ』というブログサイトの6月3日付の記事に出て来たものですが、たとえが秀逸だったので、無断でこちらに拝借した次第です。

私自身は、サラリーマンだった約8年前から大手ブログサービスでほそぼそとブログを続けていたのですが、起業したこともあり、自分自身の会社のウェブサイトを開設しているレンタルサーバーを流用する形で、2016年7月にこちらの「独立系ビジネス評論サイト」を立ち上げました。

しかし、実際に運営してみると、自分が思っていたよりもかなり早い段階で、毎月10万件を超えるページビュー(PV)を頂くサイトにまで成長しました(ちなみに先月のPV数は16.5万件でした)。写真もほとんどなく、文字ばかりで構成されているウェブサイトであるにも関わらず、です。

インターネットを通じて正論を言い続ければ、そのうち、確実に世の中が良い方向に変わる、という「手応え」を感じているのです。あるいは、それだけ人々が「評論に飢えている」という証拠でしょう。

私自身、当ウェブサイトの議論が、決して「ハイレベル」であるとは思いません。人間ですから知識には限界がありますし、私自身もバランスが取れていない部分はありますから、議論が独り善がりになってしまうこともあるに違いないからです。

ただ、当ウェブサイトの役割とは、管理人である「新宿会計士」が話題を提供し、それに対して「自分はこう思う」という意見を持っていただくことでもあります。その意味で当ウェブサイトは単なる「触媒」に過ぎません。

こうした「既存の新聞・テレビ」とはまったく違う情報チャネルが増えていけば、世の中は確実に良い方向に変わっていくでしょう。それを後押しするのは人々の力であって、一部の扇動家の力ではありません。

重ねて申し上げますが、読者の皆さまは、当ウェブサイトの主張に賛同して頂く必要はまったくありません。有権者一人ひとりに変化を呼び掛け、その結果、日本が良い方向に変わっていくのであれば、それが私の望みだからです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. りょうちん より:

    戦前戦中の日本は、ファシズムの嵐に翻弄された暗黒時代だったというのは、GHQの「眞相はかうだ」のような
    プロパガンダに乗っかったアホ極まりない言説ですね。
    全部、軍部を悪者にしてほっかむりをした、当時のマスゴミ・国民の原罪ですよ。
    検閲なんぞするまでもなく戦争を煽った新聞、神国日本の勝利に浮かれて提灯行列に勤しんだ一般国民と
    制度の問題ではなくて、健全な民主主義を構成するためのまともなマスコミの不在と、ものの考えられない国民の側の問題だったのに。

    1. むるむる より:

      主権が民衆にあって独裁制を許さずとも戦争へと駆り立ててしまった民衆の過ちなのは間違いないですね。
      当時日本は確かに孤立していましたし英米ソ連に囲まれて植民地にされるか闘うかの二択ではありましたが当時の政治家が耐える事を選択できる民衆の冷静な支持があればまた展開は変わったかもしれません。

      まっ歴史にifはありません。今の日本を今日より良い明日にする為に議論し選択するだけです。

  2. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。
    < コメントが遅くなってすみません。「匿名」さんの『ここは天皇陛下を中心とした大日本帝国の復興が正しい』という所は会計士様にお任せします(よく、相手されましたネ。あ失礼)。会計士様の論説で間違いないです。
    < さて、『フニャフニャな日本国民に国家を運営する事などできない』とのお言葉、何をヌカスかとの思い収めて、お聞きします。貴方は日本国憲法を読んだ事がありますか?大日本帝国憲法は?大日本帝国憲法は当時の列強諸国と比べても、なんら恥じる事のない憲法です。そのわずか10年ほど前、いや直近まで明治になってもチョンマゲの男が普通だった国ですよ。人に情報を渡すには、飛脚か出来立ての郵便しか無かったんですよ(もっとも旧の東京市内は1日10便以上あったとか。朝、友人に今晩呑みに来い、といえば昼過ぎに返信が来てた。ま、それは脱線です)。
    < そんな時代に法治国家の憲法を持ってたから、日本国憲法にもすぐ親しみ、今の日本国がある。フニャフニャな国民とは言うてる貴方らだけじゃないの?日本人は賢明で頑張り屋です。まじめに取り組みます。半島、シナ大陸ら失礼ながら劣等民族とは違います。そういうご趣旨のコメントはココでは叩かれるだけ、ご自分でサイトでも作って偶に来る方に付き合って貰いなさい。   以上。

  3. もう生理的にムリ より:

    コメントを取り上げるのはいいのですが、結果として人格否定・門前払いの様な流れが出来てしまう事になってしまうことを危惧します
    私のコメはおそらく低レベルですが、このブログの存在と記事にコメを書くことは自分的には自分の為にも意義があると思っています
    その際には何の制限もなく自由に書けることが大前提だと思います
    新宿会計士様にはその意図は全くないと思いますが、もし記事などでコメントについて取り上げるならば
    ・極々頻繁に取り上げここに書くとすぐ記事で取り上げられるという状態にする
    ・賛否両方のコメを取り上げその記事では両者の考えを斟酌する
    などされた方がいいのでは、と本当に老婆心ながら書かせていただきます
    専門性のある記事や鋭い視点での記事を見られる貴重な場ですので、先鋭化・馴れ合いといった雰囲気にならずに長く続いていただける事を望みます
    本当に余計なお世話な蛇足※失礼いたしました

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