本日4本目の記事は、ちょっとした「小ネタ」とともに、インターネット言論空間の負の側面、そしてそれを踏まえた「インターネット上の議論の作法」について考えてみたいと思います。
竹田恒泰さんの「実験」の威力
昨日、大人気インターネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』のなかで、出演した竹田恒泰さんが国民民主党の玉木雄一郎共同代表のツイートを取り上げ、「いいね」の数が少ないと指摘。そのうえで、竹田さんは即興で、適当にツイートした内容に、どれだけの「いいね」がつくかを検証しました。
その結果が、非常に面白いことになっています。ツイートしたのは番組放送中の8時42分のことでしたが、その瞬間から「いいね」のカウンターが面白いほど上がって行き、あっという間に数千を突破。昨日22時時点では13,000件を超える「いいね」が付いています。
これに対して、番組内で竹田氏が言及した玉木雄一郎氏のツイートに付された「いいね」は、5月21日の投稿から丸3日経過した、昨日22時時点で、4,000件弱に過ぎません。
方や公党の代表者が資料の写真を添付して投稿したコメントで、方やインターネットで人気のコメンテーターが「適当に」流したコメント。「いいね」の数で、3~4倍もの差がついているのです(しかもおそろしく短期間で)。おそらく、これがインターネット言論空間の実情なのでしょう。
ネット上のフェイク・ニュース
インターネット空間は未成熟
もちろん、インターネット言論空間が常に正しく、マス・メディアや野党議員が常に間違っている、などと短絡的に考えるべきではありません。
非常に多くのアクセスを集めるウェブサイトの中にも、フェイク・ニュースを堂々と垂れ流すものが存在します。以前、『フェイク・ニュース・ブログを批判する!』でも申し上げましたが、某まとめサイトで、『【速報】 河野太郎閣下、韓国との断交を決意!!!!』というタイトルの記事が掲載されたことがありました。
これは相当に悪質なフェイク・ニュースです。そして、この手の間違った情報を垂れ流すウェブサイトには、誤報・捏造の常習犯である朝日新聞のことを批判する資格などありません。それとともに、まとめブログサイトなどを読むときには、細心の注意が必要だということを、改めて強調しておきたいと思います。
また、フェイク・ニュースの疑いが出てきた話題が、もう1つあります。それは、当ウェブサイトでも『加計学園「問題」めぐるマスゴミ・クーデターを許すな!』のなかで紹介した、「netgeek」というウェブサイトに掲載された次の話題です。
【加計学園問題】朝日新聞、2015年2月25日の首相動静を削除(2018年5月22日付 netgeekより)
これは、朝日新聞が2015年2月25日の首相動静を、2018年5月22日になって、突如として削除した、とする指摘です。ただ、「あいあい」様から当ウェブサイトに頂いたコメントによると、そもそもこのnetgeekの記事の信憑性には、かなりの疑義がある、という指摘があるそうです。
仮にnetgeekの記事自体が捏造であったとすれば、netgeekにも同様に、朝日新聞を批判する資格はありません。この点については、netgeek側から何らかの説明があるかどうかを待ちたいと思います。
インターネット上の議論の作法
もっとも、仮にnetgeek記事が捏造だったとしても、私自身は『加計学園「問題」めぐるマスゴミ・クーデターを許すな!』を取り消すつもりはありません。というのも、私が記事を執筆した時点で、netgeek記事の取扱いについては次のような判断を下し、ウェブサイト上、明示しているからです。
「ただし、この「2015年2月25日の首相動静が削除された」、「削除されたのは2018年5月22日である」、という2つの情報については、残念ながら私が直接、確認したものではありません。よって、以下の議論は、netgeekの指摘が正しいという前提を置きたいと思います。」
そして、仮にnetgeekの記事が間違いだったと判明すれば、必要に応じてnetgeekを批判する記事を執筆したうえで、オリジナルの記事には「追記」という形でその内容を明示する、という形を取りたいと思います。
ただし、このような話は、別にいつ発生してもおかしくありません。なぜなら、当ウェブサイトではインターネット上の未確定情報を集めて記事を構築することが多いため、その未確定情報が結果的に間違っている可能性は、常に存在するからです。
そこで、私は、政治経済評論を行うに際して、「確認できた事実関係」、「確認できていない事実関係」について、きちんと交通整理し、適切な仮定を置いて議論すれば良いと考えています。つまり、未確定情報を取り上げる際、常に、「もしこの情報が事実だったとすればこうだ」と議論すれば良い話です。
『加計学園「問題」めぐるマスゴミ・クーデターを許すな!』もそのように執筆したつもりですし、今後も当ウェブサイトでは、未確定情報をベースにした議論をやめるつもりはありません。
黎明期から成長期へ
ところで、インターネット空間は黎明期にあります。当然、「自信満々に報じられた記事」が間違っている、という可能性は、いくらでもあるでしょう。では、これを「誰かが取り締まる」のが正しいのでしょうか?
私は、そうは考えません。むしろ競争原理に委ね、いい加減な情報ばかり垂れ流すウェブサイトが自然淘汰されるのを待つのが良いと思います。
先ほどのnetgeekの例でいえば、仮に当ウェブサイトで引用した記事が虚偽だったとすれば、今後、当ウェブサイトではnetgeekの記事を前提に議論を組み立てることは控えようと思うようになります。当ウェブサイトを含め、多くのウェブ評論サイトからの信頼を失えば、結果的にnetgeekは読者を失います。
現在はインターネット空間の黎明期から成長期に差し掛かっています。多くのウェブサイトが雨後の竹の子のようにニョキニョキ立ち上がり、あるウェブサイトは成長しますが、あるウェブサイトは淘汰され、消滅していきます。
こうしたなか、「フェイク・ニュース・サイト」が一時的に人気を博することはあっても、長い目でみれば消えていくはずです。もしくは某スポーツ新聞のように、アクセスする側が「フェイク・ニュース」のネタサイトだとわかってアクセスするならば、それはそれで良いでしょう。
つまり、インターネット空間の議論の作法とは、「いま議論している内容は何をベースにしているのか」を常に明らかにしつつ、「この情報が事実ならば、このような結論を導くことができる」、という具合に、適切な仮定と思考過程から結論を導くことで読者を説得することにあるのです。
おりしも、最近、再び当ウェブサイトへのアクセス数が増えており、このペースで増えていけば、近いうちに1ヵ月あたりPV数が20万件を突破する可能性すらあります。そうなって来ると、当ウェブサイトとしても手放しでは喜べません。いままで以上に、責任が重大になって来るからです。
いずれにせよ、適切な緊張感をもちつつも、当ウェブサイトとしては、論拠を明らかにしながら議論を組み立てていくという姿勢を維持したいと思います。
引き続きご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますと幸いです。
View Comments (1)
< 4回目の更新ありがとうございます。
< 半年前ですが、竹田恒泰さんの講演を拝聴しました。会場は満員、整理券方式でしたが外は寒いのに、会場は凄い熱気でした。明治天皇の玄孫であられますが、『そんなに言うほど大したもんじゃないです』とのこと。雑誌等で見られる軽妙な、かつシャープな弁舌でした。当時、森友がピークだったので、ご本人から『あの幼稚園には2回保護者対象の講演をしました。その後、小学校が出来るから名誉校長にならないか、と打診がありました』のくだりで、会場がドヨメキました(笑)。
< 多分、首相夫人の次に声がかかったんだろうと。『引き受けていたら、もう今頃この場に居れない』と更にトークを盛り上げました。『いいね』の数が見る見る上がる、というの分かります。話が(内容も)抜群に上手い。さすが明治天皇の玄孫だ(笑)。
< 「未確定情報」、インターネットの世界は自由空間なのだから、当然あります。それに惑わされているようじゃダメでしょう。いろいろ選別は自分でしないと。net geekも嘘ばかりとは思いませんし、もしブラフばかりなら、他のいい加減なサイトと同じく、淘汰されます。ここに来られる方なら、釈迦に説法ですが。
< 失礼します。