【夕刊】「蚊帳の外」にいるのはむしろ韓国
「日本が蚊帳の外にいる」、「韓国こそが朝鮮半島問題をハンドリングする運転席にいる」。これは、韓国メディアからときどき漏れ伝わってくる現状分析(というよりも妄想)ですが、「蚊帳の外」にいるのは、実は韓国ではないでしょうか?
目次
韓国メディアの不思議な高揚感と挫折
「主体思想」と「運転席理論」と「日本蚊帳の外理論」
4月27日に行われた「南北首脳会談」以降の韓国メディアを眺めていると、どうも不思議な自信と高揚感に満ち溢れているように思えてなりません。その理屈は、「韓国こそが朝鮮半島問題の『運転席』に座っている」とする、いわゆる「運転席理論」です。
韓国は1948年の建国以来、自分たちで自分たちの国の在り方を決めるということをしてきていませんでした。いや、有史を眺めても、朝鮮民族自信が「主体的に」国を運営していくということはできず、ただひたすら、周辺の大国の都合に振り回されてきたのです。
こうした歴史もさることながら、韓国人(というか朝鮮民族)の振る舞いを見ている限り、彼らのDNAには「属国根性」が刻み込まれているのではないかと思うこともあります。こうしたなかで出て来た「運転席理論」は、現在の韓国で大いに支持されているようです(『理解に苦しむ韓国の「運転席」理論』参照)。
ただ、この「自分たちが主体になって国の在り方を決めていく」という考え方は、北朝鮮の「主体思想(しゅたいしそう)」と、本質的にはまったく同じでしょう。なぜなら、主体思想も運転席理論も、「主体(主人公)」と「排除される相手」が存在する、という共通点があるからです。
北の主体思想においては、敵視するのは米帝、日帝、南朝鮮傀儡であり、主人公は金日成(きん・にっせい)とその子孫である金王朝一味です。これに対し、南の運転席理論においては、敵視するのは日本、主人公はさしずめ文在寅(ぶん・ざいいん)大統領、といったところでしょうか。
そして、この「運転席理論」には「日本が朝鮮半島問題で蚊帳の外に置かれている」という、いわゆる「日本蚊帳の外理論」がセットで語られるように思えます。その典型的な記事が、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の記事でしょう。
北朝鮮「核試験場廃棄儀式」に韓国記者団8人を招待…ジャパンパッシング露骨化(2018年05月16日07時25分付 中央日報日本語版より)
これは、今月23日から25日にかけて、北朝鮮の豊渓里(ほうけいり)核試験場を「廃棄」する儀式に、韓国の記者団が招待されたものの、日本の記者団は「蚊帳の外」にある、とするものです。これのどこがおかしいのでしょうか?
北のパフォーマンスに付き合わされているだけ
その前提として、この豊渓里核実験場自体、閉鎖したところで意味がない、という点を、中央日報は無視しています。
青山繁晴参議院議員を始め、専門家の多くは「豊渓里核実験場は、使い物にならなくなったから放棄されるだけではないか」と指摘していますが、私もこの見方に同意します。というよりも、豊渓里では山の崩落により使用不能となっているとの報道もあります(たとえば次のBBC記事)。
北朝鮮の核実験場が崩落・使用不可能に=中国科学者ら(2018年04月26日付 BBC日本語版より)
そして、北朝鮮の首都・平壌(へいじょう)に近い場所にも核実験施設があると見られており、今回の豊渓里の閉鎖によって、北朝鮮の核開発能力がなくなるわけではありません。むしろ、明らかに単なるパフォーマンスです。
ただ、重要なのは、「韓国メディアが」日本が蚊帳の外にあると一生懸命に報じている、という事実です。実態は北のパフォーマンスに利用されているだけなのに、「日本憎し」のあまり、現実が見えなくなってしまっているのは、実は韓国の方なのです。
やっぱり「ハシゴ外し」が来た!
こうした中、当ウェブサイトでは一貫して、「板門店宣言」と「南北和解」が演じられたのはまやかしだと言い続けて来ましたが、北朝鮮が南北高官級会談の中止を通告し、韓国を揺さぶりに来ました。
北、「韓米マックスサンダー訓練」を非難…南北高官級会談中止を通知(2018年05月16日07時53分付 中央日報日本語版より)
青瓦台「南北高官級会談の中止、北側の真意を確認中」(2018年05月16日08時21分付 中央日報日本語版より)
記事によれば、米韓軍事訓練の実施を理由にしたものだとしていますが、この展開も、あまりにも予想どおり過ぎます。しかし、中央日報の報道ぶりから判断する限りは、韓国政府・メディアは明らかに動揺し、慌てふためいているようです。
韓国が「運転席理論」、「蚊帳の外理論」の余韻に浸っていたい気持ちもわからないではありません。しかし、実際に韓国が座っていたのは「運転席」ではなく、線路から外れてまっさかさまに落ちていくトロッコか何かだったのではないでしょうか?
また、6月12日にはシンガポールで米朝首脳会談が行われることが決まりました(※といっても、金正恩(きん・しょうおん)が本当にシンガポールに現れるのかどうかは、現時点では定かではありませんが…)。板門店ではなくシンガポールで行われる理由は、あきらかに「韓国外し」でしょう。
こうした「韓国外し」に気付いたのか、韓国政府は6月にカナダで開かれるG7に参加することを調整していると、日本の毎日新聞が先週、報じています。
G7/韓国参加で調整 米朝会談前、南北支援要請へ(2018年5月11日 23時09分付 毎日新聞デジタル日本語版より)
もっとも、毎日新聞の第1報から1週間近くが経過しますが、これ以外に「韓国がG7参加を目指している」とする報道は、現時点までに見当たらず、毎日新聞のいつもの「ガセネタ」なのかもしれません。
いずれにせよ、G7では北朝鮮に対する厳しい対応がコンセンサスとして形成されることは間違いありません。韓国は現在、北朝鮮の核のCVID(※)には同意していませんが、おそらく、日米はG7でCVIDをコミュニケに織り込むことを目指すはずです。
(※「CVID」とは「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)の略称)。
そうなれば、「北朝鮮にCVIDを求めるG7」と「北朝鮮のCVIDに反対する中国+韓国」という構図が出来上がり、しかも、韓国は北朝鮮にハシゴを外された状態におちいります。何のことはありません、蚊帳の外にいるのは、日本ではなく韓国だったのです。
「6シナリオ」更新について
こうした中、当ウェブサイトの人気コンテンツの1つが、「朝鮮半島の将来を巡るシナリオ」です。
現時点では、南北首脳会談直後に掲載した『史上3回目の南北首脳会談と朝鮮半島6つのシナリオ』で示したものを「最新シナリオ」としています。そして、「シンガポールでの米朝首脳会談の結果を見極めてから更新することにしたい」と申し上げて来ました。
ただ、「韓国こそが蚊帳の外」と申し上げたついでに言及しておくと、シンガポールでの首脳会談を待ってから更新するのではなく、やはり現時点で得られる情報をベースに、いくつかの仮定を置いたうえで、近日中(早ければ明日)にでも、このシナリオのアップデートを行ってみたいと思います。
どうかご期待ください。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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< 夕刊の発信ありがとうございます。
< ちょっと困った事になりましたね。韓国にとっては(笑)。やはり米韓軍事演習について、北朝鮮が態度を硬化させてます(やる前から分かってるやろ←ボソッと独り言)。微笑外交はもう終わり、金正恩は般若の形相で一番弱い韓国を猛烈に攻め立てるでしょう。米韓のマックスサンダー演習は11日~25日の予定ですが、それをヤリ玉にして、16日の「南北高官級会談」が中止になりました。韓国政府は「未明に一方的な連絡が来ただけなので確認中。真意が分からない」って。私は真意が分かるよ(笑)。でも米空軍も上からの指示があったのか、最新鋭機は急きょ参加を見送っています。もう、やってもやらんでも同じだもんネ。
< 右往左往している青瓦台の連中の悲壮な顔が見えるようです。もう遅い。韓国はまた一つ、なにか譲歩を迫られる。経済面か。金正恩ならそうするだろう。
< 豊渓里の核実験場廃棄儀式に米、英、中、露、韓の記者を呼んで、日本は外した事から「ジャパンパッシング露骨化」ではしゃいでいた中央日報始め韓国マスコミ、運転席どころか乗車名簿にないぞッ。本当におめでたいというか、脳みそ少ないというか、『韓国が蚊帳の外』というオチでした。
< 新宿会計士様、6シナリオの更新、楽しみにしています。
< 失礼します。