通信と放送の融合・補足論点

月曜日に掲載した『「上念貴明」への警告』という記事の中で、少しだけ触れた論点があります。それは、「通信とテレビ放送の融合」です。これについて、もう少し深く考えてみたいと思います。

既得権益というマス・メディア

なぜか続報が出てこない「放送改革」

安倍政権は現在、放送法第4条第1項の改廃と電波オークション制度の導入を目指しているようです。今週月曜日に掲載した『「上念貴明」への警告』という記事の中でも紹介したとおり、第一報は次の共同通信の記事です。

政治的公平の放送法条文撤廃/党派色強い局可能に(2018/3/15 09:40付 共同通信より)

(※余談ですが、共同通信は「党派色が強い放送局が出現するかもしれない」などと述べていますが、むしろ「党派色が弱い放送局」というものがあるのなら、その具体的な放送局名を教えてほしいと思います。)

しかし、この「放送の自由化」という論点について、共同通信のほかは読売新聞が少し記事にしたくらいであり、ほとんどのメディアがスルーしています。また、昨日はおなじ共同通信が、これについて、ごく短い記事を配信しています。

放送の規制、全廃方針(2018/3/22 18:38付 共同通信より)

強いて言えば、これが「続報」といえなくもありませんが…。

では、なぜマス・メディアがこの「放送規制改革」について、報じようとしないのでしょうか?その理由はおそらく、独占に守られた放送局と、その放送局と資本関係にある新聞社にとって、これが非常に都合が悪い情報だからだと思います。

そして、自分たちにとって都合が悪い論点については、徹底的に黙殺して「なかったこと」にするのは、日本のマス・メディアの常套手段です(たとえば、朝日新聞が「従軍慰安婦問題」を捏造した際も、第一報から実に30年も、朝日新聞は真実から目を背け続けてきたという事例があります)。

ただ、マス・メディアの皆さんが勘違いしている点が、1つあります。それは、「報道しない自由」を駆使し、マス・メディアの皆さんにとって都合の悪い事実を「なかったこと」にするというテクニックは、もはや過去のものとなった、という点です。

ウェブ評論サイトは、まさに「雨後の竹の子」状態

考えてみればわかりますが、インターネットがここまで普及した以上、テクノロジーが後退することはあり得ません。ウェブ評論サイトの立ち上げには、初期投資はほとんど必要ありません。実際、今や日々、新しいウェブ評論サイトが、それこそニョキニョキと立ち上がって来ています。

かくいう当ウェブサイトも、約1年半前に、私がウェブ評論活動を本格化させるために立ち上げたものです。コストはレンタルサーバー代と年間のドメイン手数料くらいなものですが、レンタルサーバー自体は実名で運営している会社のウェブサイトと兼ねているため、コストは限りなくゼロに近いといえます。

さらに、アフィリエイトができ、かつ、無料で運営できるブログも、たくさんあります。ここ数年で、そうしたウェブサイトは非常に充実し始めています。サラリーマンがアルバイト感覚で、ブログを執筆して収入を得るということも夢ではありません。

あるいは、おカネ儲けと関係なく、純粋に「自分が書きたいこと」、「自分が主張したいこと」を自由に書きたいという動機で、ブログなり、ウェブサイトなりを開設している人もいると思います。つまり、「100%完全な独立系ウェブ評論サイト」の出現、というわけです。

ところで、放送法の規定では、国家権力や特定企業とは独立に、情報発信をすることを目的とする組織がNHKです。しかし、現実の社会には、わざわざ天下の高給取り集団であるNHK様に頼まなくても、独立系のウェブ評論サイトが大量に出現し始めているのです。

NHKの存在意義は、もはや完全に失われたと言っても良いでしょう。

テレビ産業の補足論点

テレビでYouTubeが視聴できる時代に!

ところで、読者の皆様の自宅には、テレビはありますか?

残念ながら、私自身は、自宅にも職場にも、テレビを備え付けていません。ただ、近所に家電量販店があって、テレビコーナーに行けば、大画面で高画質のテレビ映像が流されているのを見ることができます。たまに見ると、本当に薄くて大画面で、しかも美しい映像が流れていて、感心します。

私の記憶だと、1990年代はまだブラウン管テレビが主流でした。しかし、2000年代前後から徐々に薄型テレビが普及し始め、いまやすっかりブラウン管テレビは姿を消しました。飛行機で出張に出掛ける際にも、機内でも薄型テレビが備え付けられていますし、空港の待合室にも薄型テレビがあります。

ところで、先日の『「上念貴明」への警告』を執筆して以来、気になって調べていたところ、テレビにYouTubeなど、インターネットの動画サイトを映し出す方法があるようです。考えてみれば、ゲーム機をテレビにつなぐことができるわけですから、PCを接続することができたとしても不思議ではありません。

さらに、最近は「ネット対応テレビ」(いわゆる「スマートTV」)も発売されているらしく、これらのスマートTVには、YouTubeアプリがデフォルトでインストールされているのだとか。こうなると、PC操作に疎い人でも、気軽にYouTubeをテレビの大画面で視聴することができます。

地上波で流される『捏造ステーション』などと揶揄されている某番組の代わりに、YouTubeで『真相深入り!虎ノ門ニュース』などを視聴する人が増えれば、間違いなく、日本は変わります。時代は私たちの想定よりも、はるかに先を進んでいるのです。

リモコンキーも既得権益

ただ、テレビのリモコンを見ると、「1~12」というキーが割り当てられていて、自動的に地上波がデフォルトで映るような設定になっているそうです。

これについては、どうやら「一般社団法人電波産業会(ARIB)」なる組織が、リモコンキーIDの規格を決定しているようなのですが、この組織の役員を見ると、NHKやTBSなど、放送産業の人間が在籍しているようです(ただし、このあたりの経緯や事情については、もう少し調べてみたいと思います)。

しかし、考えてみれば、リモコンキー自体、別に「1~12」と割り当てる必要などないはずです。極端な話、電話機や電卓と同様、「0~9」の10個の数値を並べ、3ケタの数値を打ち込んでチャンネルを指定する方式でも良いのではないでしょうか?

あるいは、もっと踏み込んで言えば、「1」を押せばYouTube、「2」を押せばニコニコ動画、という具合に、ユーザーがリモコンを好きにカスタマイズできるようにすれば、さらに利便性は上昇するはずです(もっとも、私が知らないだけで、すでにそのようにできるテレビが出現しているのかもしれませんが…)。

情報独占を打ち破られることは脅威?

テレビ業界がもう1つ勘違いしている点があります。それは、本格的な多チャンネル時代が到来した場合、今までのテレビ業界の慣習が、どんどんと打ち破られていく、ということです。スマートテレビが本格的に普及しはじめれば、こうした動きは加速するでしょう。

現状、なんだかんだ言って、テレビの影響力はいまだに甚大です。「安倍(総理)が何か悪いことをしているに違いない!」といった印象操作を行えば、それにコロッと騙されてしまう、いわゆる「情報弱者層」と呼ばれている人たちは、いまだに一定数、存在しているからです。

しかし、すでにインターネットが視聴可能なテレビが出現してしまった以上、地上波テレビは今後、容赦なく、これらインターネットとの競合に晒されることは間違いありません。リモコンキーの独占を守っていれば、その進行を遅めることはできるかもしれませんが、止めることは不可能です。

しかも、YouTubeなどのアプリは、どんどんと進化しています。そうなれば、現在は「情報弱者」であっても、地上波テレビにはないコンテンツを見ることで、地上波離れが広がっていくであろうことは、想像に難くありません。

視聴者の側の心構え

「正解」がないのがインターネット

ただ、こうしたインターネット化の流れを手放しに喜んでよいのかといわれれば、それも微妙です。

まず、インターネットの特徴は、「誰もが情報の受け手になれる」だけでなく、「誰もが情報の発信者になれる」、という点にあります。言い換えれば、まさに『「上念貴明」への警告』でも指摘したような、問題のある情報発信者が出現してしまう、ということです。

いや、少し前に『フェイク・ニュース・ブログを批判する!』で指摘したとおり、堂々とフェイク・ニュースの類いを載せるウェブサイトが横行しています。もちろん、ちゃんと読めば、すぐに「フェイク・ニュースだ」とわかるものが多いのですが、「ウソをウソと見抜ける力」が必要なのが、インターネット利用上の注意点です。

いわば、「正解」がないのがインターネットの特徴です。ユーザーは、自分が必要とする情報を、それこそ情報の洪水のなかから探り当てなければならないのです。

「正解」を押し付けるマス・メディアよりマシ

一方、新聞やテレビなどのマス・メディアについては、報じられている内容については無批判に「正しい」という前提で接している人が多かったと思います。新聞もテレビも、「誰もが気軽に情報発信する媒体」ではなく、いちおう、プロの目で情報が選別されているという「安心感」があったからです。

ただ、私に言わせれば、インターネット時代になって、むしろ新聞やテレビこそが、フェイク・ニュースを垂れ流しにしていたということが、一般人に知れ渡ってしまいました。つまり、新聞やテレビが、時としてウソや著しく偏った情報を「正解」として押し付けていたのです。

私は、インターネットがすべて正しく、マス・メディアがすべて間違っていると申し上げるつもりはありません。インターネットにもウソの情報はありますし、マス・メディアが正しい情報を流すこともあるからです。むしろ重要なことは、「自分が受け取っている情報が、正しいのか間違っているのか」という点を、自分自身で判断する力を養うことです。

その意味で、これからの世の中は、「正解がない情報を、みずから取捨選択していく能力」を養うことが、何よりも重要なのだと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

なお、当ウェブサイトでは、極力、「主観的な意見」と「客観的な事実」を分けて書くようにしていますし、「正解」を押し付けないようにしていきたいと思います。私の理想は、読者コメント欄でさまざまな方がさまざまな情報を付け加え、それにより、記事が完成していく、という姿でもあります。

当ウェブサイトの読者コメント欄は、本文に対する賛同意見、反対意見を問わず、どなたでも自由に書き込んで頂くことができますので、是非、ご利用ください。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 非国民 より:

    産業とはいれかわるものだ。昔は大映とかの映画会社が繁栄した。有名な俳優が出演してそれが人気だった。やがてテレビがでてきたときは映画会社の人は安物の映画みたいのに勝てると思ったが、最終的には映画会社がつぶれた。映画は映画館にいかないとみられないし値段もそれなりだったからね。テレビはNHKを除くと無料だったからコスト差は歴然。今、テレビがインターネットで駆逐されようとしている。仮にテレビがマスゴミと呼ばれるほど堕落していなくても、もうテレビ産業は昔の映画産業と同様にだんだん衰えてくる。もちろん、映画同様、完全になくなりはしない。ただ、その産業から得られる利益がどんどん小さくなる。今は高給なテレビ局の職員もやがてはふつうの給料になり、さらに一般より低くなる。下手すると、電波利権は返上するからテレビ局から撤退したいというテレビ局も現れるかもしれない。実際、地方のテレビ局は儲からなくて困っているからね。

  2. めがねのおやじ より:

     < 毎日の更新ありがとうございます。
     < 新しいウェブサイトが毎日の如く生まれてます。それはここの「政治経済金融」に関わらず、政治、世相、事件、宗教、世界問題などもっともっとカテゴリーは細分化していますが、見ていて(毎日開いてチェックしている訳ではないが)本当に玉石混交です。『いいこと書いてんな~』と思ったら次の日は駄作、よく見ればヨソからコピペしてたとか、あります(文出を明らかにしろ)。ウェブサイトで為になるかどうか、読み応えがあるかどうかを見分ける方法が一つ。『どれぐらい続くか』です。評論では1か月ぐらいで精根尽きたのか更新無くなったり、古いままで捨て置かれたのもあります(ちゃんと止めるなら処分しなさい!)。だいたい不定期にUPし、行数も短いのは、すぐポシャル傾向にありますね。ご自分の趣味にやられる分には結構ですが、ハッキリいって、淘汰されていく。述べるネタ数、自分の引き出しが少ないんでしょう。だから私も頭で判定して「こりゃダメ、見ないでOK」となる。
     < YOUTUBEも同じでどっかから切り取ってきた映像、コメントもどっかで聞いたことある内容、、全部ヨソからのパクリ。100%だめとは言わないが、出どころぐらい明記しなさい。
     < しかし、それでも今のメジャー系のテレビ、新聞の偏向報道よりもマシかな。公器の電波を使い、日本中に宅配ルートを持つ新聞の嘘、偽りの垂れ流しよりはいいです。江戸後期の「かわら版」から現在に至るまで200年以上メディアの王様だった新聞、速報性と視覚に訴える事ができる唯一だったテレビ。でも確実に力を失い、市民にソッポ向かれている。社員平均1,500万円超の高給など与えていた方がおかしい。勘違いするよ。年収500万円の仕事だとすれば、目立ちたがりで収入命の馬鹿者は集まらず、もう少しマシな方向へ行くのではないか。いずれにしても、もう手遅れ、『衰退産業』ですが。
     < ま、ウェブ言論とYOUTUBEあるいは新しい電波法改正による自由なメディアに期待しましょう!

  3. オールドプログラマ より:

    政治的公平性の削除に賛成です。もっと党派性を出すべきです。自民党テレビ、立憲民主党テレビのように各政党のテレビ、政府のテレビ、トヨタテレビのような企業のテレビ、個人のテレビ等があるべきです。いわばテレビのインターネット化です。時間を分割して放送すれば費用の負担を下げられます。放送は規制が多すぎます。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

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