室谷克実さんの韓国論が面白い!
本日は、長年、時事通信の記者を務めた「韓国専門家」である室谷克実氏の講演を紹介したいと思います。私自身も「金融規制の専門家」という立場から、この半島については随分と議論して来ましたが、やはり韓国社会の病巣を「肌身に感じて知っている」という立場の方の見識に触れるのは有益だと、改めて感じます。
目次
室谷克実氏の韓国論
韓国を熟知しているからこその問題意識
先日、こんな動画を発見しました。
室谷克実「崩韓論~韓国崩壊のカウントダウンが始まった」講演篇2017 03 15
リンク先の動画は「日仏共同テレビ局フランス」というユーザーが投稿したもので、おそらく、正規のライセンスであろうと思います。ただ、リンク先動画の公表期限についても定かではないため、どこかのタイミングで視聴できなくなる可能性には注意してください。
室谷さんといえば、1980年代の軍事独裁政権時代から時事通信のソウル特派員として韓国に駐在してきた、日本きっての「韓国通」のお一人でもあります。私は室谷さんの執筆された『悪韓論』(2013年4月)、『呆韓論』(2013年12月)、『崩韓論』(2017年2月)などの著書が書店で平積みになっているのを見たことがありますが、まだ日本国内で根拠のない「韓国礼賛論」がもてはやされていたころから精力的に、この隣国の奇怪さについて指摘してきたという慧眼(けいがん)が素晴らしいと思います。
そして、リンク先の動画は1時間10分少々という、比較的長いものですが、淡々とした室谷さんの話にはグイグイと引き込まれます。ここでは、私の責任で、動画の「見どころ」のごく一部分をピックアップしてみます。
朴槿恵氏の大統領としての責任
室谷さんは動画の中で、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領の弾劾が成立した点については、朴氏自身が先代の大統領などと比べて、特段酷い汚職を行っていたわけではないにせよ、彼女自身の「大統領としての資質」に大きな問題があったと示唆します。具体的には、
- 彼女個人の昔からお気に入りの秘書3人を青瓦台(大統領府)にそのまま連れて行き、秘書官にした
- 大統領に対する全ての行政上の連絡・報告は、このお気に入りの秘書を通じ、文書化したものを提出するように求めていた
- 人付き合いが希薄であったため、人事上の失敗を多く重ねた
という点です。私はこの指摘に、韓国社会の「病巣」を見る思いがしました。というのも、彼女が「人嫌い」であり、かつ、彼女自身が有している人脈も狭かったという事情もさることながら、そうした「大統領の独断」を止める社会風土が韓国に存在しないことが、朴氏の暴走の原因だったともいえるからです。
例えば、2015年春先に韓国で中東呼吸器症候群(MERS)が猛威を振ったことは記憶に新しい点ですが、このMERSの発症を朴氏が知ったのは、最初の発症事例から6日目だったということです。こうした初動の遅れも、朴氏が電話連絡などを受け付けず、全ての行政報告を文書化するという姿勢がもたらしたものであり、朴氏のこうした姿勢を諌める部下がいなかったことも、朴政権の不幸だったのかもしれません。
人事上の失敗
朴氏のこうした姿勢が、韓国の国益を揺るがすほどの失敗をもたらした事例が、もう一つあります。
室谷さんによると、朴氏は自分と親しい人物を重用するあまり、たとえば韓国産業銀行(KDB)の会長(日本でいう「頭取」に相当)にも自分自身の間接的な知り合いである洪起沢(こう・きたく)氏を充てる人事を発令したそうです。
洪氏は朴氏と同じ大学の出身者で、朴氏の個人的友人の配偶者であり、また、経済原論の教授を務めていた人物であるとのことですが、自然に考えて経済学者に銀行経営の実務がわかるはずなどありません。たとえば、KDBが大株主である大宇造船海洋は、放漫経営の結果、2015年の決算で粉飾決算が発覚。日本円にして4000億円を超える損失を計上するなど、大きな不祥事が発生していたようです。
この人物はIBKの経営者としての資質を疑われながらもしばらく会長を務め続けていたようですが、中国が主導して設立された国際開発銀行である「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の副総裁として「栄転」したものの、AIIBでは事実上、更迭され、韓国はそれ以来、副総裁ポストを失ってしまいました。
信頼できない失業率統計
また、韓国社会では、国民の多くが貧しい暮らしを余儀なくされているようです。
社会格差は酷く、たとえば韓国国内の一流企業に就職できた場合、日本円に換算して新卒であっても月給40万円を超える初任給を得ることができる一方、非正規雇用ともなれば、月収は日本円換算で20万円に満たないのだそうです。
実は、私自身も以前、OECDのウェブサイトから失業率の国際比較データを調べたことがあるのですが、韓国の失業率はOECD加盟国の中でも際立って低く、少なくともデータからは韓国で失業者が多いという事実は確認できませんでした。しかし、室谷さんによると、実際には「労働参加率」が低いため、韓国の失業率統計は信頼できないのだそうです。
失業率とは、失業者を労働市場参加者で割って求まる指標です。
- 失業率=失業者÷労働市場参加者…①
- 失業者=労働市場参加者-雇用者…②
米国や日本の場合、失業率を落とすためには、「分子項目」である失業者数を減らすことが政策目標となります。しかし、室谷さんの説明を聞く限り、韓国の場合は失業率を落とすために、「分母項目」である「労働市場参加者」を減らすよう、統計上のインチキを行っているようなのです。
労働市場参加者の数を減らせば、②式より、定義上の失業者数は減少するはずです。
このヒントを得て、私も実際にOECDのウェブサイトをもう一度読み返してみると、確かに「労働市場参加率」(Labour force participation rate)や「雇用率」(Employment rate)などの指標もデータとして存在していることが確認できました。近いうちに、データを一通りダウンロードして分析してみたいと思います。
平和的なろうそくデモという幻想
室谷さんの説明の中で、思わず笑ってしまったのは、
「デモクラシーとデモンストレーションの区別がついていないようにも思える」
という下りです。というのも、どうも韓国国内では、朴前大統領を辞めさせるための「ろうそくデモ」を、「平和的なデモを通じた革命であり、世界のモデルとなった」と、真剣に信じているようだからです。
ただ、「国民が気に入らない政権をデモで辞めさせた」ということが、一回でも成功体験としてインプットされてしまうと、非常に危険です。おそらく、今後も韓国では、「何か気に入らないこと」があったら、国民は「ろうそくデモ」を行って、自分たちの意思を実現しようとするからです。
その意味で、今回の「ろうそくデモ革命」(?)は、決して韓国の民主主義の「先進性」を示すものではなく、むしろ「後進性」を示すものにほかならないと見るべきでしょう。
日本がこれからどう向き合うべきか?
私自身もこれまで、「金融規制の専門家」という立場から、ずいぶんと日韓関係について議論を続けてきましたが、やはり時事通信の記者として、長年、韓国と向き合ってきた室谷氏の議論には、強い説得力を感じました。ただ、これを受けて重要なのは、情報を受け取った私たち日本国民が、この厄介な国とどのように向き合うかについて、コンセンサスを作ることだと思います。
韓国は「日韓合意」を覆す
2015年12月28日に形成された、慰安婦問題に関する日韓合意とは、
- 日本政府が慰安婦問題について、「当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であると認め、
- 韓国政府が設立する財団に日本政府が10億円の資金を拠出し、
- 韓国政府がソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像について適切な対処をし、
- 日韓両国政府が今後、国際社会で相互に批判することを控える、
などの合意です。韓国政府側はこの合意を守っていませんが、日本政府側は既に合意を100%履行済みです。そして、韓国の後任大統領の有力候補者は、ほぼ全員が、この合意を覆すつもりでいるようです。5月9日(火)に行われる大統領選以降、ほぼ間違いなく、この合意は韓国側が反故にすることになるでしょう。
日本はこのことを前提にすべきです。
まずは距離を置くのが正しいのだが…
室谷さんは講演会後の質疑の中で、今後の日韓関係を巡っては、基本的には距離を置くべきだと述べています。この考え方には、私も全面的に賛成したいと思います。ただ、「今後の日韓関係」を巡っては、「とりあえず日本は韓国から距離を置くべきだ」という点については保守派と思しき論客の間で一致しているものの、「そのあと」については、議論が割れている状況にあると思います。
私は、日本としても、単に韓国と距離を置くだけでなく、「釜山に赤旗が立つ」ことを、そろそろ本格的に織り込むべきでしょう。先日も『歴史に沈む韓国』で述べたとおり、これからの朝鮮半島を巡り、考えられる大きなシナリオは、次の6つです。
- 赤化統一シナリオ(その後、中華属国化)
- 赤化統一シナリオ(独立化)
- 中華属国化シナリオ(韓国が北朝鮮を併合)
- 中華属国化シナリオ(韓国と北朝鮮が併存)
- 軍事クーデター(韓国で民政を停止、親日・親米政権)
- 米軍北朝鮮攻撃シナリオ
しかし、どのシナリオが実現するにせよ、日本に必要なことは、ただ一つしかありません。それは、韓国がどのような状態になったとしても、「自分の国の安全は自分で守る」ことに尽きます。
いずれにせよ、米軍による北朝鮮攻撃の可能性に加え、5月9日に予定されている大統領選など、この厄介な半島からは、しばらく目が離せない展開が続きそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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室谷克実氏は慧眼の士であり、韓国記事はユーモアも溢れ私も目にすると読んでいます。
私などがコメントするより、室谷氏の動画でも見た方が良いのでしょうが・・
傍目から見る韓国って、けったいでおもろい国?というより体制ですね。
朴槿惠氏が弾劾され、今度は逮捕もされたし立件されるのでしょうが、法治国家の先進国ではこんなバカげたことありえないです。
その上、韓国の政党、マスコミ、国民、果ては司法までが、熱狂的に朴槿惠氏断罪を支持したわけです。
ですが、その朴槿惠氏を5年前に大統領に選んだのは、今断罪している多くの者たちで、当時朴槿惠氏を大統領に選出し熱狂していたわけですw
今になって朴槿惠氏を断罪することは、朴氏を大統領に選任した支持者にも問われるはずなんですが、そんなことケロッと忘れていますよねw
こんな国民性で国がダッチロールするの致し方ありません。
ところで、次期大統領は文在寅氏が最有力ですが、他の候補全員も反日発言は盛んですけど経済に関しての発言はほとんど聞かれません。
大統領になろうとする者が、停滞している韓国経済をどのように立て直すかは、第一番目の優先課題と思うのですが、そんなことは韓国人有権者にとってはどうでもいいこと何でしょうかw