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インドネシアとのスワップに喜ぶ韓国

本日は、2本目の記事として、私が先月上梓した『インドネシアとの通貨スワップはどうなった?』の続編を緊急で配信します。

インドネシア・韓国のスワップ

韓国人は「狂喜乱舞」?

私は先月、『インドネシアとの通貨スワップはどうなった?』という記事を当ウェブサイトに配信しました。その中で、「韓国は3月にインドネシアとの通貨スワップ(BSA)の契約満了を迎えるが、その更改に成功すれば『これで安泰だ!』と大騒ぎし、失敗すれば『インドネシアとのスワップなどなくても韓国の金融は盤石だ』と豪語するだろう」と「予言」しました。

果たして、韓国は昨日、インドネシアとの通貨スワップを延長することに「成功」していますが、これに関する韓国メディアに掲載された記事を眺める限りは、「狂喜乱舞」という感じではありません。私の「予言」は外れてしまいました(笑)

韓国とインドネシア 通貨スワップを3年延長(2017/03/06 16:11付 聯合ニュース日本語版より)
韓国-インドネシアの通貨スワップ、3年延長へ(2017年03月06日16時39分付 中央日報日本語版より)

いずれの記事も、事実関係を淡々と掲載しています。ちなみに「朝鮮日報日本語版」は聯合ニュースの記事をそのまま掲載。「ハンギョレ新聞日本語版」には現時点でニュースすら出ていませんでした。

事実誤認を伴うメディア

ただ、記事を眺めていると、事実誤認がいくつかありました。まず、聯合ニュースの記事では

現在、韓国の通貨スワップ協定の規模は米ドル基準で1222億ドル(約13兆9000億円)となっている。2国間では中国と560億ドル、アラブ首長国連邦(UAE)と54億ドル、マレーシアと47億ドル、オーストラリアと77億ドル、インドネシアと100億ドルの通貨スワップ協定を結んでいる。

と述べていますが、私自身の調査では、この下りには事実誤認があります。というのも、UAEとのスワップの起源は、昨年10月12日までだったからです。私の調査によれば、現時点で韓国が外国と締結しているスワップ協定は図表1、すでに失効しているスワップ協定(抜粋)は図表2のとおりです。

図表1 韓国が外国と締結しているスワップ協定
相手国 締結日 失効日 韓国ウォン 相手国通貨 米ドル換算
オーストラリア 2014/2/8 2020/2/22 9兆ウォン 100億豪ドル 約76億ドル
マレーシア 2017/1/25 2020/1/24 5兆ウォン 150億リンギット 約34億ドル
インドネシア 2017/3/6 2020/3/5 10.7兆ウォン 115兆ルピア 約86億ドル
中国 2011/10/10 2017/10/10 64兆ウォン 3600億元 約524億ドル
(合計) 88.7兆ウォン 約721億ドル

図表2 韓国が外国と締結していたスワップ協定(抜粋)
相手国 締結日 失効日 韓国ウォン 相手国通貨 米ドル換算
UAE 2013/10/13 2016/10/12 5.8兆ウォン 200億ディルハム 約54億ドル
日本 2005/5/27 2013/7/3 30億ドル相当の韓国ウォン 30億ドル相当の日本円 30億ドル

(最大時で300億ドル)

2006/2/24 2015/2/16 100億ドル相当の韓国ウォン 100億ドル 100億ドル
2011/10/19 2012/10/19 300億ドル相当の韓国ウォン 300億ドル 300億ドル

ただ、図表1、図表2に示したスワップの中で、韓国にとって「本当に役に立つスワップ」は、オーストラリアとの100豪ドル(約76億米ドル相当額)のスワップと、既に失効した日本とのスワップ(30億ドル相当の日本円、100億ドルの米ドル)のスワップだけです。それ以外のスワップは「ソフト・カレンシー」とのスワップばかりで、いざというときに役に立たないものばかりであるというのが実情でしょう。

スワップにもいろいろ種類がありまして…

また、聯合ニュース、中央日報いずれも、「通貨スワップ」について「自国通貨やドルを受け取る契約」だと述べています。

通貨スワップは外国為替危機のような非常状況が起きた場合、自国通貨を預けて相手国通貨やドルを借りることができる契約だ。」(中央日報)

通貨スワップは、金融危機時に相手国に自国の通貨を預け、相手国通貨や米ドルを受け取る取り決め。」(聯合ニュース)

いえいえ、違いますよ(笑)

ここで、改めて図表1と図表2を眺めてみると、既に失効した日本とのスワップを除き、韓国と外国とのスワップは、ずれも自国通貨同士のスワップです。少なくとも現在、韓国と外国との間では米ドルで受け取るスワップは存在しません。

別格だった日本とのスワップ

余談ですが、図表1、図表2を改めて眺めてみると、日本が韓国に対して提供していたスワップは、他の国とのスワップと比べ、明らかに別格です。というのも、日韓スワップは、米ドルや日本円を提供するスワップであり、米ドルにしても日本円にしても、国際的なハード・カレンシーだからです。

いずれにせよ、現在の韓国の外貨ポジションは非常に脆弱であり、いつ、通貨危機が再来しても不思議ではありません。経済界の皆様には、韓国とのポジションについて、慎重に対応することをお願いしたいところです。

 

新宿会計士:

View Comments (1)

  • テョンはオーストラリアとのスワップも「ドルとのスワップ」と思い込んでいたりしてw

    だってオーストラリア「ドル」じゃん?もしかしてオーストラリア・ドルをアメリカ・ドルと一緒だと思ってたりしてwww