精力的な安倍外交

本日も2本目のエントリーです。安倍晋三総理大臣は19日から3日間、ニューヨークを訪問し、13人もの要人と面談。さらに22日午後(=日本時間23日午前)には、現職の日本の総理大臣として初めてキューバを訪問しました。キューバといえば米国の「裏庭」にある共産主義国家です。この「安倍外交」をどう考えるべきでしょうか?

相変わらず精力的な「安倍外交」

国連総会に出席するためにアメリカ・ニューヨークを訪問していた安倍晋三総理大臣が、また精力的に外交を展開されています。今回、安倍総理が訪米中に会った相手は、ざっと数えて13人です(図表)。

図表 2016年9月の国連安倍外交
相手国会談相手日付
アフガニスタンガーニ大統領9月19日
米国オバマ大統領(※ただし「立ち話」)9月20日
バイデン副大統領9月21日
クリントン・大統領候補9月19日
英国メイ首相9月20日
イランローハニ大統領9月21日
ウクライナポロシェンコ大統領9月20日
カタールタミーム首長9月19日
コロンビアサントス大統領9月19日
トルコエルドアン大統領9月21日
パキスタンシャリフ首相9月20日
国連潘基文事務総長9月20日
トムソン国連総会議長9月19日

(【出所】外務省ウェブサイト

とりわけ、9月初旬、訪問先のロシア・ウラジオストクでロシアのプーチン大統領の年内訪日で合意したばかりなのに、安倍総理はニューヨークでロシアと敵対するウクライナのポロシェンコ大統領と会談しています。

日・ウクライナ首脳会談(2016/09/20付 外務省ウェブサイトより)

ロシアとの関係改善を志しながらも、ロシアにとって最も都合が悪いウクライナの大統領ともきちっと面会する―。安倍外交、非常に「したたか」ですね。また、さりげなく、中国との密接な関係で知られるパキスタンや、中東と欧州の間の要衝に位置するトルコとも、首脳会談を行っているのがポイントでしょう。

なお、今週の「真相深入り!虎ノ門ニュース」の中で、独立総合研究所の元社長で参議院議員の青山繁晴氏が、大統領候補の中でヒラリー候補とだけ面会したことを厳しく批判されていますが、私はこの意見に、単純には同意しません。なぜなら、外務省ウェブサイトによると今回の面談は「ヒラリー氏が元国務長官の立場で表敬訪問した」ことで実現したものであり、必ずしも大統領候補の片方に「肩入れした」とは言えないからです(もちろん、「外務省の発表を信じるなら」、という前提で、ですが…)。

キューバ訪問の実現

その安倍総理は、ニューヨークから足を延ばし、「カリブ海の共産主義国」・キューバを訪問しました。

安倍晋三首相がキューバ訪問 北朝鮮問題で協力要請 革命の“カリスマ”カストロ前議長とも面会(2016.9.23 09:01付 産経ニュースより)

日本にとって、本来ならば米国の「仇敵」であるキューバを訪問することは、日米同盟を危うくしかねない行為です。しかし、うまい具合にオバマ大統領自身が今年の3月にキューバを訪問して「和解」を演じており、「信義則」に照らしても、日本の首相がキューバを訪問することに全く問題がありません(※ただし、オバマ大統領のキューバ訪問には米国内からかなりの反発もありましたが…)。

オバマ米大統領、歴史的なキューバ訪問開始(2016年03月21日付 BBC日本語版より)

「価値観」を共有しない国と仲良くすること

この一連の安倍外交をどう見るべきでしょうか?

安倍総理が今回、一連の訪問により面会した相手は、イランの大統領、カタールの首長、トルコの大統領、そしてキューバの国家元首など、明らかに日本のような「自由民主主義国家」とは異なる価値観の国の首脳が大勢含まれています。いわば、「価値観」を共有していない国と仲良くすること自体、本来であれば「疑問だ」という声が上がって当然でしょう(もっとも、日本のマス・メディアはレベルが低いためでしょうか、こうした声自体聞きませんが…)。

しかし、こうした安倍外交、実は極めてしたたかです。というのも、「遠交近攻」という外交の基本原則を、きっちりと抑えているからです。日本にとって目下の課題は北朝鮮による核開発と日本人拉致問題の解決であり、さらには中国の膨張主義的な軍事行動の抑止にあります。こうした中、中国の友好国であるとともに北朝鮮の核兵器を購入する潜在的な候補国でもあるパキスタンの首相に、直接、きちんと会っておくことは有益でしょう。

もちろん、日本は「自由・民主主義」「人権尊重」「法治主義」という価値を信奉する国であり、こうした価値を共有できない国とも、ある程度のおつきあいは必要です。なにより、キューバは伝統的に北朝鮮とも友好関係にありますし、このキューバと日本が関係を深めれば、北朝鮮に対する強い牽制にもつながります。その意味で、「中国や北朝鮮が嫌がること」をするのは、非常に正しい行動です。

もちろん、昨年暮れの「日韓慰安婦合意」のように、私にとっては「頭では理解できても感情的には到底支持できない」という政策もあるのも事実です。しかし、日本と全く価値観を共有していない国であっても、日本の「国益」(軍事的安全と経済的利益)の最大化に寄与するならば、首脳同士が会談し、日本が援助を行うなど、仲良くするというのは非常に良いことに違いありません。私は今回の安倍総理の行動を全面的に支持したいと思います。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告