日経誤報記録のアップデート

本日は、私が昔から記録し続けている「日経の誤報履歴」についてのアップデートを行うとともに、メディアと広告の関係に関する私の考え方について、少しだけ触れておきたいと思います。

誤報の日経

私自身、新聞・テレビのない生活に入り、既に10年近くが経過しようとしています。日本経済新聞の定期購読は2008年7月に取りやめ、しばらくはコンビニエンスストアで朝刊だけ購入していたのですが、相次ぐ誤報に嫌気が差し、2010年1月20日(水)号を最後に、コンビニでの新聞購入すらやめてしまいました。ただ、定期購読を終了してから9年、毎朝の購入を終了してから6年半以上が経過しますが、日常生活で困ったことは全くありません。

ところで、日本経済新聞の場合、誤報の多さには定評があります(図表)。

図表 日本経済新聞の誤報・誤報疑惑のごく一例
時期日本経済新聞の誤報内容備考
2005年2月「三井住友FGと大和証券グループ本社、経営統合へ」現実には、むしろ両グループの提携は2012年4月に解消された
2006年7月「昭和天皇がA級戦犯の靖国合祀に不快感を示す―『富田メモ』」日本経済新聞社が設置した「富田メモ研究委員会」は富田メモの信憑性を認めているものの、その客観性がきわめて疑わしい
2008年10月「時価会計凍結へ」「有価証券の保有目的区分変更の緊急避難的な容認」を日経記者が勘違いしたと思われる大誤報
2012年10月「自民党の安倍晋三総裁、国債の日本銀行直接引き受けを提案」日本銀行は2013年4月にQQEを開始したものの、「国債の日銀引受」は現時点に至るまで実現していない
2013年5月「オリックス、保有するマネックス株売却 資本提携を解消」結果的に翌年(2014年4月)、静岡銀行に株式が売却されたが、時期が全く異なる。
2013年9月「FRB議長、サマーズ氏指名へ最終調整/副議長にブレイナード氏」現実にはジャネット・イェレン副議長(当時)が議長に就任し、副議長にはフィッシャー氏が就任

ただし、このうち、「オリックス、保有するマネックス株売却 資本提携を解消」については、必ずしも「誤報だった」とは断定できません。実際に、オリックスはこの記事からほぼ1年後に、保有する株式を静岡銀行に売却しているからです。

静岡銀がマネックスの筆頭株主に、オリックスは全株売却(2014年 04月 2日 18:34 JST付 ロイターより)

もともとの日経の記事は、

「売却では、株式を大量に売買する際に市場への影響を抑える「ブロックトレード」と呼ぶ時間外取引の手法を使う。仲介役の金融機関にいったんまとめて売り、その後、機関投資家に売却する。海外で企業のM&A(合併・買収)を積極的に手がけるマネックスは、海外投資家を含めた安定株主づくりを目指す。」

と記載されていて、売却予定時期については明示されていません。実際には株式会社静岡銀行がオリックス株式会社から「市場外の相対取引により」マネックスグループ株式会社の株式を取得しています。しかし、報道がなされたのが2013年5月で、実際に株式の譲渡が行われたのは翌年4月7日でしたから、事実上、「オリックス社内で売却を検討していたのを日経の断定的報道によりむしろ妨害された」という可能性はあるでしょう。

ただ、現実に静岡銀行がマネックスグループの株式を取得したのは、「純投資目的」というよりはむしろ資本提携目的であることから、記事の内容のうち「機関投資家に売却」の下りが誤っていると見るべきでしょう。

広告費のインターネット・シフトは続く

私の「政治・経済評論」も、アメブロ/楽天ブログから独自ドメインのサイトに移転して、ほぼ一か月が経過します。ただ、マス・メディア(新聞・テレビ)の報道の問題点を指摘し続けるというスタンスを変えるつもりはありません。こうした中、本日は、私が楽天ブログ時代から注目しているデータの一例を紹介したいと思います。

2013年(平成25年)媒体別広告費(広告図書館ウェブサイトより)

リンク先の記事では、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体を「マスコミ四媒体」と呼んでいます。「無断転載禁止」と記載されているため、当ウェブサイトに図表そのものを引用することはできませんが、リンク先のウェブサイトが必ずしも連続性のあるものでもないため、あくまでも「参考情報の一つ」くらいの位置付けで良いと思います。詳しくはリンク先の記事を直接ご参照ください。

一つだけ傾向が明らかだとすれば、「マスコミ四媒体」はいずれも「少しずつ相克国費に占めるシェアが減少しつつある」、ということです。これに代わって近年、急伸しているのは「インターネット広告費」です。

実は、当ウェブサイトも、運用費を賄うために、何らかの広告を張り付けようかと検討しています。ただ、広告を張り付けるにしても、その目的は、あくまでも当ウェブサイトで情報を無料で提供することにあり、読者の方の閲覧を妨害する目的などありませんし、また、「ぜひ広告をクリックしてください」などとお願いするつもりもありません。そして、自分自身、インターネット広告というものの威力を「実感」してみたい、という希望もあります。

そして、このことを突き詰めて考えると、インターネットの出現により、情報の提供方法と、その対価(代金)の徴収方法が大きく変わるという「革命的な瞬間」に、我々はまさにいま、立ち会っているのかもしれません。

いずれにせよ、不定期の掲載となるかもしれませんが、「広告とメディア」というテーマについても、これから当ウェブサイトで、じっくりと考えてみたいと考えております。

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