一般人の情報発信

一般人が気軽に情報発信できる時代がやってきました。一昔前からすれば隔世の感がありますが、良いことばかりでもありません。そこで、「一般人が情報発信する時代」特有の注意点について、考察してみたいと思います。

一般人が情報発信する時代

ブログ主「新宿会計士」は、現在、小規模ながらも会社をもち、顧問先からのお問い合わせに回答しながらも、普段は自分自身の専門分野に関する資料を作成して過ごしています。また、マイナーな某専門誌に原稿を書く仕事をいただいたりすることもあります。このため、最近は「文章を書く」ことに抵抗がなくなりつつあります。

ただ、こんな私も1年前までは某企業に勤務しており(※勤務先の名前や業種は明かせませんが)、「一般のサラリーマン」でした。私自身が「ブログ」と出会ったのは10年以上前のことですが、平凡なサラリーマンであった自分自身が、これほどまでに「情報を発信する立場」になるとは、夢にも思わなかったのも事実です。

そして、「社会人ブロガー」(自分自身の仕事を持ちながら、趣味でブログを運営している人)の中には、セミプロ級、あるいはプロフェッショナル級のPV数を獲得している人も出現しつつあります。こうしたブロガーは、一昔前だと成り立たなかった仕事であるといえるでしょう。いわば、一般人が情報発信する時代が到来したのです。

ブログで横行する不法行為

ところで、「ブログを使って商売をするにはどうすれば良いか?」というウェブサイトは数多く存在します。「アフィリエイト」や「広告」のように、きちんとした手段で「金を稼ぐ」分には問題ないと思いますが、中には不正まがいの手段でPV数を水増しする、といったウェブサイトもあるようです。要するに、誰も閲覧していないのに「多くの人が閲覧した」かのように見せかける手法であり、詐欺の一種です。

私自身は数年前から大手ブログサイトの「アメブロ」「楽天ブログ」でブログを運営していましたが(※「楽天ブログ」側は事情があって現在は無期限休刊中)、その時から気になっていたのが、「ブログを見てもいないのに全く関係のないコメントを打つユーザー」です。

「スパム・コメント」を打ち込む行為自体、一種の不法行為ではないかと思いますが、アメブロの場合は、次のユーザーが2014年秋から2015年春頃にかけ、スパム業者として猛威を振るいました。

  • リサ ~ニート城を買う~
  • なみ☆念願のハワイ在住達成☆
  • えり17歳でヨーロッパ30ヶ国制覇?
  • きさ☆51ヶ国訪問中
  • 洋子☆主婦の貧乏脱出物語☆

ユーザー名はまだほかにもあったかもしれませんが、とりあえずこんなところにしておきましょう。これらのユーザーには次の共通点があります。

  • 同一のIPアドレスであること
  • ブログの内容と関係のない、当たり障りのないコメントを打ち込んでくること
  • 自分自身のブログへの誘導を図るものであること
  • リンク先ブログでは詐欺的なメルマガに登録させようとすること

私自身、アメブロ運営中には、これらのユーザーのスパム・コメントに悩まされ、コメントの承認制の導入を余儀なくされたこともあります。もっとも、アメブロの取り締まりが強化されたからでしょうか、最近これらのコメントは減っていますが…。

いずれにせよ、自分自身は他人様のブログにスパム・コメントを打ち込むような不法行為に加担しないようにしたいと考えています。

てっとり早く目立つためには?

もう一つ、誰でも情報発信ができる時代に考えなければならないことがあります。それは、「突拍子もないことをやって目立つ」という行為です。

2013年夏頃の話です。コンビニエンスストア大手「ローソン」の加盟チェーン店で、店員がアイスクリームを販売する冷蔵ケースに入り込んで写真を撮り、これをウェブ上に掲載した、という事件がありました。

コンビニ店員がアイスの冷蔵ケース内で寝転ぶ写真、Facebookに ローソンが謝罪、FC契約解除(2013年07月15日 14時06分付 ITメディアより)

これを受け、ローソン本部は「加盟店従業員の不適切な行為についてのお詫びとお知らせ」という広告をウェブサイトに掲載。事件が発生した店舗とのフランチャイズ契約の解除、当該従業員の解雇、全社員と全国の加盟店への指導・徹底などを柱とした再発防止策を公表しました。

コンビニエンス・ストア・チェーンの場合、個人が相手の商売ですから、風評被害が広まってからでは遅いという事情もあります。その意味で、この不適切な行為が行われてからローソンが声明文を出すまで、24時間も経過していないという点は、賞賛に値するでしょう。

問題は、この従業員のほうです。冷蔵庫に入り込むという行為は、おそらく「軽い気持ちで」やったのではないかと思います。しかし、自分の行為によって自分自身が解雇されただけでなく、勤務先にも迷惑をかけたのですから、「軽はずみな」行為の代償というには重すぎます。

そして、2013年夏頃、これと類似の事件は全国各地で発生しました。

【炎上まとめ】アイスケースに冷蔵庫……頻発する店内での不適切行為による炎上事案まとめ(2013年8月24日付 ロケットニュースより)

では、なぜこのような事件が相次いだのでしょうか?

「素人」の情報発信

実は、2013年頃といえば、スマートフォンが急速に普及し、一般人が写真を撮って、それをツイッターやフェイスブックなどの「情報拡散ツール」に投稿するインフラが整い始めた時期です。つまり、旅先の風景や食事の写真などを、気軽に撮影してSNSなどに投稿することができるようになり、それとともに、「少しでも目立ちたい」と思う「やんちゃ行為」が増えたのだ、と考えると、つじつまが合います。

一昔前だと、一般人が有名になるのは難しかったのが実情です。たとえば若い無名な歌手が自分の歌を全国に配信するのは「夢のまた夢」でした。仮に才能があったとしても、全国で有名になるためには、まずは東京・大阪などの大都会に出て、オーディションに出て、そこで認められ、ようやくメジャー・デビュー…、と、血の滲むような努力をしなければなりません。

しかし、現代社会では、別に才能などなくても、「他人がやらない突拍子もないこと」をやれば、「有名になること」はできます。極端な話、ツイッターなどのウェブサイトに、「これから悪いことをする」シーンを投稿すれば、多くの人からのアクセスが得られるでしょう。

ただ、「素人の情報発信」の怖さは、「つい軽い気持ちで」それをすることができてしまう、という点にあります。そして、2013年夏頃に頻発したように、不法行為で会社から訴えられ、学生なら通っていた学校を退学になり、社会人なら勤務先を首になるなど、社会的にも大きなダメージを負うことになります。

情報発信は規制すべきか?

では、こうしたことを防ぐために、情報発信は規制しなければならないのでしょうか?特に、多くの人に伝わる情報は、一定の資格のあるジャーナリストらが独占的に担うべきなのでしょうか?

私はそうは考えません。

もちろん、「情報発信の素人」が気軽に情報発信すると、時として深刻な事態が発生することもあります。しかし、だからといって、誰もが情報発信できる状態を規制してしまうと、せっかく芽生え始めた自由な言論空間が死んでしまうことになります。

情報発信を一律に規制するのではなく、「ネットとの付き合い方」をきちんと学ぶことのほうが重要です。

たとえば、1920年代に自動車が大衆化した際には、交通事故が相次いだはずです。しかし、少しずつですが各国で道路交通法が改正され、運転マナーも向上し、交通事故件数も減少しつつあります。それと同じで、「誰もが情報発信できる」時代に応じて、「情報発信のマナー」を啓蒙し、教育していくことが重要でしょう。

読者の方の参考になるかどうかはわかりませんが、私自身がブログを運営する上で、一番気を付けていることを紹介します。それは、「とくに必要性がない限り、一般人・企業等の実名は出さない」、ということです。たとえば、

「私は●●会社に勤めていて、隣の席の●●さんのことが好きです」

という具合に、企業名・個人名が特定されるような情報を書くことは控えるべきでしょう。私自身、昔の友人のエピソードをブログに紹介するときにも、必ず仮名にしています。

ただ、逆に言えば、公になっている情報(たとえば国会議員・省庁幹部・大企業経営者、あるいは著名人など)については、報道・公表されている内容をベースにしている限り、実名を挙げたうえで批判するなどの行為は許されます。また、マス・メディア各社については、彼ら自身が「ジャーナリズム」を名乗っている以上、実名入りでバンバン批判して良いでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. ゾンデイ より:

    マスゴミや、その他ジャーナリストといわれる、人たちは、正義の
    味方をきどり、政府やブログを書く人を、ヘイトなどと言って攻撃しますが、いざ自分の不祥事を、例えばセクハラや、ねつぞうの記事を批判されると、病火病を起こしたり、法的手段に、訴えるなど、言論統制をします。さういふ、候補者が、約1名いるのでは、ないでせうか、わらい

    1. Shinjukuacc より:

      いつもコメントありがとうございます。
      朝日新聞社の元記者である植村隆は、自らを批判する記事を執筆したジャーナリストの櫻井よしこ氏と、出版社である新潮社を、「名誉毀損」で提訴しているようですね。ジャーナリストであれば、法廷の手段を使うのではなく、ジャーナリズムで正々堂々と反論したら良いのに、それができないということは、朝日新聞系のジャーナリストとは所詮、その程度の能力しかない、ということかもしれません。

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