立憲民主党の退潮とリベラル・オールドメディアの限界
個人的に立憲民主党が「リベラル政党」だとは思いませんが、その立憲民主党が今般の衆院選で得票を積み上げることができなかったという事実については、注目しておく価値があるかもしれません。こうしたなか、『みんかぶマガジン』というウェブサイトが2日、立憲民主党の存在感が低下していると指摘する記事を配信しています。なかなかに、興味深い指摘です。
衆院選で立憲民主党が躍進したのはタナボタ
あと1ヵ月もしないうちに、今年は終わりますが、2024年は国内政治的に見ると、大きな転換点だったのではないかと思います。
国内政治という観点からは、10月の衆院選で自民党が大敗し、自公連立与党が過半数を割り込んでしまったことが印象的ですが、その反面、議席を大きく伸ばしたのが立憲民主党です。立憲民主党は公示前勢力を約50議席上回る、じつに148議席も獲得したのです。
ただ、以前の『立憲民主党はじつは小選挙区で大幅に票を減らしていた』などでも指摘したとおり、じつは立憲民主党、「議席」は増やしたものの、「得票」はほとんど増えていない―――というか、小選挙区ではむしろ得票が激減している―――ことについても注目しておく必要がありそうです。
日本の衆院総選挙は小選挙区が主体となっており、その小選挙区では第1党と第2党が常にせめぎ合っている、という特徴があるのです。日本の2大政党といえば自民党と立憲民主党ですので、自民党が「ズッコケ」たら、タナボタ的に立憲民主党に議席が行くのは自然な流れです。
じつは立憲民主党、得票を減らしていた
そして、じつは前回(2021年)選挙と比べて、立憲民主党は小選挙区での得票数を147万票ほど下回っています。つまり、獲得議席こそ57議席から104議席へと、倍近く増えているのですが、得票は1722万票(得票率29.96%)から1574万票(得票率29.01%)へと減っているのです。
これに対し自民党は、小選挙区での議席が187議席から132議席(45.67%)へと激減しましたが、その理由は、得票が2021年の2763万票(得票率48.08%)から、今回は2087万票(得票率38.46%)へと、676万票減っているのです。
また、比例代表では立憲民主党は1149万票(20.00%)から1156万票(21.20%)へと、約7万票増えていますが、正直、これは誤差の範囲でしょう。
自民党が1991万票(34.66%)から1458万票(26.73%)へと533万票減らすなど「ズッコケた」わりに、立憲民主党は得票を伸ばしていないのです。
それらがどこに行ったのか―――。
真っ先に思いつくのが316万票から617万票へと301万票増やした国民民主党であり、また、前回の232票から今回は381票へと149万票増やしたれいわ新選組、今回新たに登場し115万票を得た日本保守党などでしょう。これでだいたい自民党の議席の減少分が説明できます。
ほかにも、前回は自民党に投票したものの、今回は棄権したであろう人が292万人ほどいたとも考えられますし、細かい順位の変動なども生じているわけですが、いずれにせよ重要なことがあるとしたら、「自民党から離反した票が立憲民主党に向かったわけではなさそうだ」、というてんでしょう。
また、自民党を多くの人が見限ったのにしても、それでも自民党が比較第1党で残ったという事実は、選挙前の時点ですでに最大野党だった立憲民主党が、あれだけの自民に対する逆風のなかにも関わらず、第1党になれなかった、ということの裏返しでもあります。
『みんかぶマガジン』の興味深い指摘
この現象について、なかなかに興味深い考察がありました。
『みんかぶマガジン』というウェブサイトが2日付で配信したこんな記事がそれです。
日本型リベラル弱体化「3つの要因」…存在意義が問われる立憲民主「国民民主に抜かれる危険性も」
―――2024/12/02 09:10付 Yahoo!ニュースより【みんかぶマガジン配信】
立憲民主党が支持を伸ばしたとは言いづらいという点について、記事ではこう述べます。
「歴史的大敗を喫した自民党から離れた支持は、立憲民主党や老舗政党には向かわず、『手取りを増やす』『減税』といった国民の懐を温めるための政策を訴えた新興勢力に吸収された」。
「現状を見る限り、有権者の多くは『保守かリベラルか』『右か左か』という従来の構図ではなく、それぞれが共感する公約や主張、発信力などを踏まえて期待を向けているのだろう」。
なかなかに、興味深い指摘です。
著者自身としては、じつはこの「リベラル」という用語はあまり好きではなく、単なる左翼政党を「リベラル」と呼ぶことに強い違和感を覚えている人間のひとりですが(そもそも「リベラル」が「保守」の対義語であるはずなどありません)、それでも(オールドメディアなどが好む)「保守対リベラル」の構図が崩れていることはたしかです。
そして、この記事のなかで、非常に興味深いのが、この指摘です。
「逆に言えば、これだけの逆風下にあった自民党の得票数は『基礎票』と見ることができる。だが、横ばいだった立憲民主党の得票数は違うはずだ。ビッグチャンスが到来したはずなのに従来よりも期待を集められず、共産党や社民党なども票を伸ばせなかったのは深刻と言えるだろう」。
今回の自民党の得票が「基礎票」と言えるのかどうかはともかくとして、左派政党が得票を伸ばせていないことに関しては間違いありません。
オールドメディアの退勢は?
冷静に考えて、「紙の保険証を残す」といった行政の効率化を阻む政策を重視していたり、政府の総合経済対策を「規模が大きすぎる」と批判したり、日銀に対し「ゼロ%超インフレ」という事実上のデフレ政策への転換を迫ったりする政党が、支持を伸ばすとも考え辛いところです。
このように考えていくと、左派政党の議席数は今回の総選挙でのものが過去最多であり、今後はそこから落ちていくだけではないか、といった見立ても成り立ちます。
ただし、この『みんかぶマガジン』の記事に苦言を呈すわけではないのですが、著者自身はこうした変化に、もうひとつ、重要なファクターがあることを見落としている可能性を指摘しておきたいと思います。
それが、報道としての役割を果たさないオールドメディアの限界、というものです。
オールドメディアはこれまで、立憲民主党などの「リベラル(?)」政党の主張を好意的に取り上げ続けてきたフシがありますが、衆院選に加え、東京都知事選や兵庫県知事選などの事例で見ると、やはり、有権者がメディア誘導に乗っからなくなってきたこともまた間違いありません。
その意味では、2024年はオールドメディアと特定野党がそろって国民からNOを突き付けられる、そんな極めて重要な転換点となったのではないかと思えてならないのですが、いかがでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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もし欧米で、「リベラルが良い意味で使われなくなった」と日本に伝わってきたら、日本の(自称)リベラル政党は、別の看板を掲げるのではないでしょうか。
人権とか環境とか差別解消とか名乗るのでしょうね。
DEEPBLUEさま
>人権とか環境とか差別解消とか名乗るのでしょうね。
アメリカ大統領選挙でのハリス副大統領の惨敗をみると、それも危ないかも。
>人権とか環境とか差別解消とか
既にそういう文言を利用した形で人権侵害や環境破壊や逆差別助長をやっているような気もします。
私はリベラルという表現が好きなのでよく使用しています。
リベラルを僭称するリベラル野党 的な意味で。
リベラル化という意味では日本人は過去に比べて相当リベラルになったのではないかと思います。差別反対、男女差別反対、環境破壊反対・・・こういった物は共通認識になったと思います。
リベラル化した世論の中でリベラル野党が存在感を放つためには・・・
より過激なことを発言することです、また安全保障反対のような誰の利益になるのか?といった事を主張し続けます。
そりゃあ、若者層は指示しないでしょう。
若者層が求めているのはしっかりと政治論争ができる政党です。
今までは消去法で自民党を選ぶしかありませんでした。
大幅に議席増してやること・・・夫婦別姓を進める!紙の保険証廃止反対
経済施策は語らない!安全保障も語らない!
野党第一頭がこれではため息を出さざる得ません。
今の日本では珍しく103万の壁など政策論議が図られています。
まともな議論ができる野党が居なかった状況から大きく改善されたのではないかと思います。
>オールドメディアと特定野党がそろって国民からNOを突き付けられる
信念もなく「行き当たりばったり」なのが、有権者に見透かされたのですね。
彼らの実態は「自民の政策にアンチするだけの根無し草なんだ」ってですね。
仕事仲間のドイツ人は自国を支配するリベラル勢力を嫌っています。
お前たちも気をつけろよ。俺たちのようにならないように。と言ってます。
この人は来日去年の早々自国のEV偏重、電力源、ガスのロシア依存、酷いインフレによりGDPが不本意ながら順位が上がってしまったことなど自国経済の現状を嘆いてました。
この人、日本のコンビニで普通に買えるチョコレートを超高品質、安い、美味いとこよなく愛する面白い人です。
ドイツにはオールドメディアに対抗するまとまったネット世論はないんですかね?
ドイツは決まった同調圧力に疑問を唱えるだけで極右とか極左とか言われるような気がします。ディーゼルエンジンの件とかも見ると。
あと、ドイツは中国に入り込みすぎた、お前たち気を付けてとも。
ドイツメディアでは極右扱いされているAfDというパーティは、自身の実感では別にフツーで、あれを極右扱いするのはメディアが左に寄りすぎているからであって、その結果今の惨状になってしまったとも。
その人の立ち位置が「極右」なのか「中道」なのかはよく分からないが、日本の政党政治やマスコミ・メディアを更に紅化したものがドイツなんだろうなぁという印象を受けました。
川口マーン恵美さんの、”シュツットガルト通信”を読んでいると、
環境保護政治家や移民問題など、
恐ろしいなと思うことがよくありますね。
肌感覚でしかありませんが、政治・選挙を左右やリベラル保守かといった属性だけで捉えている有権者って、そもそもあんまり居ないんじゃないですかね。アメリカあたりだと多いんでしょうか?
リンク記事の執筆者は紹介も無いし存じませんが、政治家だとか政治記者だとかに身を置いていると、そんな属性ばかり気にしてかえって目が曇りそうです。
革マル派疑いのくせに自称保守本流のこの人の過去記事とか、今となってはツッコみきれないボケに溢れていて滑稽の極みですよ。
https://mainichi.jp/articles/20210623/k00/00m/010/248000c
あんまり居ない、に含まれない層が日本保守党とかに期待するだろうとは思いますが。
保守人気に頼って身内だけで盛り上がってたら、政策(とはいえ一般的には103万円の件のみではあるものの)で脚光を浴びた国民民主党に隠れてすっかり影が薄くなったなという印象。
国民民主党は別にリベラルも保守も標榜していないと思いますが。理想論を飾り立てるリベラル(自称)も、威勢のよいこと言う保守(自称)も、看板などかけないまま”意味のある政策”を投げかける政党に敵わなかったと。
「政治はよくわかんないけど◯◯主義の方が良さそう」という有権者が大半ならばイデオロギーの見せびらかし合いで良いでしょうけども。この情報社会、そんな時代は結構前にはもう過ぎているんじゃないですかね
消去法に拠る参政権の行使不行使、消去法に拠る投票行動…日本では“旗幟明らかにしない是々非々”がマジョリティな気もします。
確かに右翼とか左翼とか思想を持ってない国民がほとんどでしょうね
社会生活をしてて個人的に相容れない人、嫌いな人って、自分ではロクに努力しないくせに、他者と差が出ると文句を言う人、方法論で意見できるタイミングでは一切協力しないくせに、後から結果論で文句だけを言う人、こうした人々ですが、多分普段から頭で考えて行動しない人なんですよね
頭を使わないから方法論の部分ではそもそも意見できない
でも結果の受け止めで自分にとって気分がよいか悪いかは感情で判断できるので結果が気に食わないときに文句だけはいう
簡単に言うと馬鹿なんだろうなと思うわけです
こうした人はがなり立てる立憲民主党にシンパシーを感じるのは自然だと思うし、結局党の方もこうした人々にシンパシーを感じてもらえるような振る舞いをしてるってことなんだと思います
しかるに立憲民主党の得票が減っていくのは、すなわち国民の民度が向上してることであって、とても喜ばしいことではないかと思っています
三文週刊誌片手に国会で延々と罵倒する政党は要りません。
国会で論戦を挑めない政党は要りません。
国会で論戦に応じない政党も要りません。
民主主義を口実に、個人的な憎悪を募らせる人間が集まる政党は要りません。
民主主義を口実に、個人的な理屈を振り回す人間が集まる政党は要りません。
与党対野党の論戦の他、野党間の論戦を国会で実現してほしい。(難しいかな?)
滅びゆくものほど美しい。昔の偉人の言葉です。
最後は彗星のような一瞬の輝きをみせ、余韻を残し消える。残心とでも言うのでしょうか。
もし、会計士さんが平家滅亡や明治維新の幕府、敗戦に立ち会っていたら、そういう滅びゆくもの達をしげしげと眺めていだろうなあと想像されます。
政治経済を通し滅びゆくものを眺めるサイト、侘び寂びともちょっと違いますが、興味深い。
立憲民主党の賞味期限と寿命。あと5年持つか否か。
つい最近まで「革新政党」「革新系」という言葉があったが、どこ行ったかね?
リベラルという言葉が「自由」を意味するモノであったのは
「既に過去にあったモノ」としてしか意になりました。
現在はリベラルではなく、既にリ・ラベル「再・意味付け」に
なってしまった為、昔あった「リべラル=自由」の定義から
外れてしまい、「他者を攻撃するモノ」或いは「他者を貶める人達」に
なり下がってしまったのです。
保守(固定・頑固)に反対するモノとして、自由(柔軟)を意味する言葉として
「リベラル=自由」だった筈なのに。 今では自由を標榜しながら
何にでも規制したり・枠に嵌め込みたがるので、社会主義もしくは
共産主義と同じイメージを持つ言葉とし定義させられつつあるのです。
ここで言う社会主義は「前の社会党」のイメージもしくは「ナチス」と同等の
イメージです。