共同通信の誤報が日韓関係に影響か…政府は説明を要求

共同通信の誤報が日韓関係にも影響を与えている―――。わりとシャレにならない事案が出てきました。生稲晃子・外務事務次官が2022年8月に靖国参拝したとする共同通信の報道を受け、佐渡金山の追悼式典に韓国政府関係者が参加を見送ったなかで、当の共同通信は問題の報道が誤報だったと述べ、謝罪したそうです。これに対し林官房長官は「事実関係や経緯の説明」を求める構えです。

シャレにならない共同通信の誤報

2022年8月15日に生稲晃子参議院議員が靖国神社に参拝したとする報道を巡り、共同通信が25日、該当する報道が事実誤認だったとして謝罪しました。共同通信社としての発表文は、産経ニュースの次の記事などで読むことができます。

共同通信「生稲氏の靖国参拝報道は誤り」 見間違え、本人に確認せず「深くおわび」

―――2024/11/25 22:00付 産経ニュースより

生稲氏は今年11月、第二次石破茂内閣で外務政務次官に起用されましたが、24日に行われた佐渡金山の朝鮮半島出身者を含む全労働者のための追悼行事で、共同通信が生稲氏を巡って「靖国参拝した」と報じたことを受け、韓国政府関係者が行事への参加を見送ったとされています。

しかし、肝心の報道自体が虚偽だったことが判明したわけですので、表面的には、日韓関係という外交に共同通信の報道が影響を与えた、という格好です。

いちおう、韓国政府側は参加を見送った理由を(共同通信の報道によるものではなく)「諸般の事情を考慮したものだ」、などと説明しているそうですが、それでも事実上、共同通信の報道が日韓関係に影響を及ぼした可能性は極めて高いと考えられます。

林長官「経緯や事実関係の説明を求める」

これについて、政府が「キレた」ようです。

林芳正官房長官は26日午前の会見で、次のような趣旨の内容を述べています(動画の3:30~、4:15~)。

韓国側の説明についてわが国としてコメントする立場にはない

現下の戦略的環境下で日韓が緊密に連携していくことは双方の利益にとって重要

昨日、共同通信が当時の報道について、「誤った報道だった」などの内容の訂正記事を発出した事実は把握している

事実に基づかない報道がなされたこと、佐渡金山追悼式について混乱を生ぜしめたと認識しており極めて遺憾

政府として共同通信に対し、事実関係や経緯の説明を求める予定である

…。

政府が報道機関に対し「事実関係や経緯の説明を求める」というのは異例かもしれませんが、それでも報道が与えた影響の大きさという観点からは、ある意味ではこれも当然のことかもしれません。

(※余談ですが、あくまでも個人的な見解を申し上げておくならば、韓国側からの史実に基づかない要求については突っぱねて良いと思いますし、韓国が友邦として信頼に値する国であるかどうかについてはまた別の問題でしょう。)

あれ?メディアの皆さん、共同通信社に会見を要求しないんですか?

問題は、共同通信の今後でしょう。

共同通信は「通信社」と名乗っている通り、自社で新聞、テレビなどの媒体を発行しているわけではなく、基本的には他の媒体に報道記事を提供する事業を行っています。ということは、共同通信の該当する記事も、地方紙などを含め、多くのメディアに配信されてしまっている可能性がある、ということです。

ということは、まずは誤報を訂正するために、同社が記事を配信したすべての社に対し、訂正記事の配信・掲載を依頼すべきです。

マスメディア業界は、口を開けば「ホードーノシンライセーガー」、などと叫んでいるフシがあるのですが、報道記事が誤っていたとなれば、これは共同通信のみならず、同社の記事を掲載したすべてのメディアの報道の信頼性の根幹にかかわる問題だからです。

それから、関係者の処分と再発防止策の策定も必要でしょう。

ふだん、メーカーなどに不良品、リコールなどの問題が発生したら、それこそ社長に記者会見を要求し、メディア上げてつるし上げるかの動きを見せているわけですから、まったく同じことを共同通信に対して行うのが筋ではないでしょうか。

ちょうど良い事例があります。

斎藤元彦・兵庫県知事に対しては、おそらく記者らしき黒メガネの人物が、右手でカメラを抱えながら、左手で斎藤知事に対しマイクを突き付け、耳元で恫喝するかのように質問を行っている姿が映し出され、SNSで拡散されています。

マスメディアの皆さんは、共同通信の社長に対しても、当然、同じことをやるのでしょうね。

このあたり、普段は「デマの多いSNSに対して規制をしなければならない」、などと主張していながら、自分たちは誤報をしても謝罪文をペラッと出して終了、というのは、常識論としては通用しないと思うのですが、いかがでしょうか?

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. お世話になります より:

    誤字連絡。
    生稲氏は政務官ですね。

  2. Sky より:

    久々に共同通信社の社長メッセージを拝読したくなりました。
    https://www.kyodonews.jp/company/
    〉ネット空間では日夜、フェイクニュースや中傷、真偽不明の言説が飛び交っています。だからこそ、共同はファクトにこだわり抜きます。事実を追い、掘り起こし、裏付けを取る。特定の主張に偏らない「公平さ」を重んじながら、記事、写真、動画、グラフィックスとして、いち早く伝える。フェイクの時代に立ち向かう仕事を通じて、これからも「信頼の通信社」であり続けます。

  3. 匿名 より:

    反発を呼びそうです
    懸念が予想されます
    議論となりそうです

    壮大なブーメランが帰ってきましたな。

  4. 農民 より:

     これじゃ韓国政府がバカみたいじゃないですか!

    1. 匿名 より:

      ちょw

  5. foo より:

    オールドメディアは報道被害を起こす側、つまり、常に加害者であるのが普通です。
    その観点からすれば、何てことは無い日常の行いの一つに過ぎない訳です。
    寧ろオールドメディアの代表格である共同通信は日常の行いを乱されて驚いたというのが本心ではないかと思います。

    なにやらオールドメディアの世界では報道の3原則なるものがあるそうなのですが、原則であるから守る必要はないと考えているようですね。
    思惑で物語を組み立てていることの良い例だと思います。

  6. 裏縦貫線 より:

    本件を伝える産経ニュースの記事
    https://www.sankei.com/article/20241126-FAKLBOJYMJMQPKFPMIULA6OQIM/

    最後に『産経新聞も共同通信をもとに24日付で、生稲氏が参拝したと報じていた。』と書いています。正直に書くところは良いですが、
    裏取りもしない業者の商品(記事)を今後も漫然と仕入れて、棚(紙面やWebサイト)に並べるんじゃないでしょうね…..

  7. 引きこもり中年 より:

    ファクトチャックセンターは、共同通信の記事をチャックしないのでしょうか。ついでに、オールドメディアの斎藤(兵庫県)知事の疑惑報道に関しても。
    蛇足ですが、オールドメディアは、林官房長官の共同通信の捏造記事発言を、「報道の自由」への侵害として批判するのでしょうか。
    さらに蛇足ですが、オールドメディアは斎藤(兵庫県)知事の公職選挙法違反疑惑を報道していますが、そもそも「オールドメディアは信用できない」と言われて再選したのに、今回の疑惑報道は信用されるのでしょうか。もっとも、マスゴミが「斎藤知事は辞めるべきだ」と言っているのに、「再選されたこと自体が罪だ」と言われれば、それまでですが。

    1. 裏縦貫線 より:

      『ファクトチャックセンター』
      事実から目を背け口を噤む雰囲気が感じられます^^;

      1. 名古屋県民 より:

        そして他人にチャックを強いる者たちでもある、偶然だと思うけどなるほど言い得て妙w

  8. 七味 より:

    Xで新宿会計士様が引用して突っ込みを入れてた方曰く、
    >マスメディアは裏取りに莫大なコストをかけ、
    とのことだけど、

    マスコミって莫大なコストをかけで、誤報の発生率をどの程度まで抑えてるのかな?って思ったのです♪

    出稿された生の記事を裏取りをして発見される記事の誤りの発生率とか、記事として世の中に出たものの中の誤報の発生率とか・・・
    そんな品質管理の基礎になる数字は取ってるのでしょうか?

    誤報をゼロにするのは難しいと思うけど、「裏取りをしている」は誤報の言い訳にはならないと思うのです♪

  9. 匿名 より:

    共同通信記者の十八番、壁キック炸裂はまだですか?

  10. 一之介 より:

    靖国神社に参拝したらあかんのですか?
    もういい加減に御注進をおやめになってはいかがでしょう。
    斎藤知事さんの公職選挙法違反疑い?や、たかだか神社参拝
    したしないなど些細な事の報道よりも、もっと真剣にメディアが
    扱わないといけないことが有るのではないでしょうか?
    岩屋チャイナゲート事件?(賄賂ポッケナイナイした?)
    何故ワイドショウやら新聞やら掘り下げて取り組まないのか
    まったく持って不思議ですな。中国様に睨まれるのが怖い?

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告